日常編2

 ある夏の日。ミンミンと蝉の声が聞こえるなか、正雪は、あるものを拾った。
「これは、なんだろうか……」
 一先ず屋敷に帰り、国広にそれを見せると、国広は、真顔に。
「拾った場所に返してきなさい!!」
「こんなに暑いのに無理だ!!」
 正雪がプクーと頬を膨らませるが、国広は、溜め息をこぼした。
「それ……なにか分かるか??」
「分からぬが……」
 白の布をかぶった者。
「メジェドだ」
 メジェドと聞いた瞬間正雪は、先日友美がメジェドと言っていたことを思い出した。
「死の書にかかれているという……エジプトの神……」
 メジェドは、正雪の顔を見上げると頷く。
「僕がメジェド。マリカの気配がする!! マリカ居る??」
「マリカ??」
 正雪と国広が首をかしげるなか、メジェドは、正雪の腕の中から出るの、部屋を飛び出していった。
「国広殿……あれは……あのままで……いいの……かな……??」
「よくない気がするぞ……」
 正雪と国広は、顔わひきつらせると、部屋をで、メジェドを追った。するとメジェドは、いた。庭の池に浮きながら。
「浮いてる!?」
「国広殿……メジェドとは……どのような神なのだ……??」
「知らん」
「そうか」
 メジェドは、池から上がるとプルプルと体を震わせ、水気を取り、そのままみた走る。
「足が速い……」
「正雪あとは、任せた」
「むっ!?」
 国広は、そう言うと、執務室に戻っていき、正雪は、そんなアホなと思いながら、しかたがないと、メジェドを追った。
「メジェド様ー」 
 屋敷から離れ、裏にある大きな畑に着た。しかしメジェドは、いない。
「うむ……あつい……」
 いくら暑さ対策をしても暑いものは、暑い。正雪は、手首につけているバングルに目をやった。
 美しいシルバーのバングルには、特殊な術がかけられており、その一つが、体が冷えるような術がかけられていた。
「熱中症は、少しばかり、なりにくくなっているといえど……」
 はやく見つけなければ。正雪は、さらに辺りを歩き、林の木陰に入った。
「かぶと狩りじゃー!!!!!」
「うわぁぁぁー!!!!」
 後ろの藪から突然そんな声が聞こえ、正雪は、驚き跳び跳ねた。
「あら正雪」
「姫……」
 声の主は、友美だった。驚き顔を青ざめる正雪を友美は、心配そうな顔をしみた。
「ごめんなさい!! 大丈夫??」
「とりあえず……」
 友美は、藪から出てくるとその手には、虫取網、肩から、虫籠をせよい、服装は、甚平を着、麦わら帽子をかぶっていた。
「正雪何をしてたの??」
「メジェド様を探していて……姫は??」
「私は、後藤や五虎退と虫取よ!!」
「だからそのような格好を……」
「そうそう!! それよりメジェドよね!!」
 友美は、大声を出した。
「メジェドー!!」
 そんな呼んですぐ出てくるかと、正雪が思ったとき、なんと地面に黒い穴があき、そこからメジェドが出てきた。
「む!?」
「マリカ!!」
「遊びにきてたのね」
「そう!!」
 嬉しいそうに跳ねるメジェド。正雪は、目の前で起こったことに困惑していた。
「姫……メジェド様は……」
「メジェドでいいよ。無垢な子」
 正雪は、困惑したが、とりあえず言う通りにした。
「分かった……メジェド……」
 メジェドは、頷く。
「マリカ何してたの??」
「虫取よ」
「おー」
 籠の中にはクワガタが。
「メジェドもとる!!」
「ありがとう。林の中に五虎退と後藤がいるから一緒に遊んできなさいな」
「そうする!!」
 メジェドは、そういうと林の中に走っていった。
「姫メジェドとは、どのような神なのだ??」
「うーん神出鬼没で目からビームを出すしか分かってないのよね……」
「目からビーム……??」
「冥界の神オシリスの館に住んでるとかなんとか……あと死者の心臓を食べて聖別する役目があるとか……」
「一応死に関係している神かな……??」
「ともいえるけど、ホルスが地平線から出てくる前の姿だとか、地方の大気の守護のアメン神だとか……そもそもメジェドって打ち倒すものって意味だったりするみたいだし……とりあえず謎の神ねー」
 正雪は、キャパシティがオーバーし困惑するなか、友美は、笑っていた。
「まぁメジェドは、不思議な神って事よ!!」
「姫摩訶不思議すぎで、まったく理解が追い付かないんだが……」
「それでいいのよ!! 重要なのは、目からビームを出すってこと!!」
 友美がそういったとき、背後でビームがうたれ、林が吹っ飛んだ。
「え??」
「姫ビームが出てたが……」
「後藤!! 五虎退!!」
 友美は、正雪と慌てて林の中に入り、二振りの所に。
 すると仲良くメジェドと虫を捕っていた。ビームで気絶したものを。
「姫スゴい捕れたぜ!!」
「この不思議な方のお陰で」
 メジェドは、くるくる回っている。友美は、ビームの使い方間違ってると思いながら、言った。
「そうね……とりあえず林もとに戻すわ……」
 メジェドについては、考えたら、負けな気がする。
「友美が考えることを放棄した……と……」
 正雪は、その事にも驚いたが、それよりもメジェドは、本当に謎が多いのだと感じた。
「姫その手伝えることは……」
「ありがとう。でもとくにないわね」
 友美は、指を鳴らすと、なんと林は、もとに戻った。
「むっ!?」
「正雪そんなに驚かなくても……」
「姫普通驚きます」
「そうだぜ!! 姫!!」
 五虎退と後藤は、そう言うと、メジェドも頷いていた。
「マリカだから出来ること」
「五穀豊穣や山の神なら出来るわよこれくらい」
「神でも高位ならだと思うぜ?? 姫」
「僕もそう思います」
 友美は、ガーンとショックをうける。
「差し出がましいと思うが……私の輪廻の干渉の件と人として産まれるようにしたこと。かようなことを意図も簡単に出来る姫だからこそ出来るのでは??」
 友美は、さらにショックをうけた。
「正雪癒してー」
 そして正雪を思わず抱きつくと、正雪は、困ったように笑う。
「姫」
「I am 一般人!!」
「どこがだ姫」
「後藤兄さんまぁまぁ……」
「マリカは、マリカ!!」
 友美は、正雪から離れると、メジェドを掴んだ。
「マリカ??」
「メジェドそこは、一般人と言ってよ!!」
「やだ」
「けち」
 メジェドは、離されると、また何処かに走ってしまった。
「行っちゃったな……」
「ですね……」
 残念そうな五虎退と後藤だが、友美は、言った。
「メジェドは、いつもあんな感じたから」 
 籠を肩から、離すと、五虎退に友美は、渡した。
「はい籠ね」
「ありがとうございます姫!!」
「いえいえ」
「姫俺達は、もう少し遊んでいくよ!!」
「分かったわ後藤」
 後藤と五虎退は、そういうと駆けていった。
「正雪私達は、屋敷に帰ろっか!!」
「そうだな姫」
 友美の隣を歩きながら、正雪は、いう。
「本当に貴女は、不思議だな」
「今更??」
「改めてそう思ったから……友美」
 友美は、微笑む。
「そう」
 メジェドという不思議な神との出会いだった。だが主の事がまた知れた。正雪は、そう思いながら、友美と屋敷に帰った。軽い足どりどどことなくたのしげに。
24/35ページ
スキ