日常編2

 夕陽が窓から差し込むなか、楸は、真剣な顔をし彼女の執務室で友美に話をしていた。
「友美知っていたかい??」
 友美は、頷くと微笑む。
「えぇ」
「なら捨て置くと??」
 楸が何を言いたいのかと友美には、分かっていた。
「なら殺せっていうの??」
「それは……」
 楸からすればあの力は、恐ろしいものだ。友美のように管理かに置いているのならともかく、彼女は、違う。
 言葉に詰まっていると、友美は、言った。
「私の力の断片でなおかつ蛍と同じなら普通に考えて、あるとは、思っていた。でもあの子なら大丈夫だと思ったからこそ、そのままにしているの」
「友美……」
「楸報告ありがとう!! 後は、私がやるから」
 楸は、頭を下げると執務室を出た。
「友美殿は、呑気だ……」 
 呑気というよりは、冷静さを忘れないというべきだろうか。
 楸は、廊下を歩き、納戸の引戸を開けると、蛍と正雪が帰宅していた。
「友美いる??」
「奥にいるよ」
「ありがとう!!」
 蛍と正雪が納戸へ入っていき、楸は、それを見送ると部屋へと戻った。

 主の執務室に入ると、のんびりと主は、紅茶をのんでいた。
「友美待ってた!?」
 驚く蛍に友美は、頷く。
「えぇ。楸から話は、聞いてたし、蛍と正雪ならまず私のところに来ると思ってたから」
 友美は、微笑む。
「なら話早いね!! 友美正雪の事だけど」
「その……私の中にある闇は……なんなのだろうか」
 友美は、引き出しからクッキーを出して食べていう。
「黄泉の力よー」
 楸と友美の反応の温度差に風邪をひきそうになる。
 蛍と正雪は、呆れた顔をしていた。
「だいぶ緊張ほぐれてきたわね」
 友美は、ポッキーを取り出すと食べた。
「蛍と正雪も食べる??」
 ちょうどお腹も空いていたので、蛍と正雪は、頷き、1本ずつ食べた。
「うまい」
「それは、よかったわ正雪蛍。少し席外してくれる??」
「分かった……」
 主は、何を考えているのか。蛍は、言われたとおりに部屋を出た。
 部屋には、友美と正雪の2人だけに。
 正雪は、緊張した面持ちで友美を見ていると、彼女は、立ち上がった。
「大丈夫」
 優しい声色で友美は、そういうと正雪を抱き締めた。
 緊張から脈拍が速くなっている。友美は、安心さすように背中をさすると、少し緊張がほぐれたのか、正雪の脈拍が遅くなった。
「姫私は……」
「楸達が少し神経質になりすぎなの。それに蛍も使えるわ」
 友美は、安心さすように笑った。
「黄泉の力は、確かに怖い力よ。でも使い方を分かっていればそこまで怖くないの」
 友美は、そういうと正雪から離れた。
「そうなのか」
「黄泉の力を制御するか、封印するか、そのどちらかを選べるけど正雪は、どうする??」
 あくまでも正雪の意見を優先したい。友美は、そう思い聞く。
「姫は……どうしているのだ??」
「私は、制御することを選んだわ。なかなか修行は、大変だったけど」
「なら蛍殿は??」
「蛍は、鍵をかけて、いざってときは、少しずつ使うようにした。あの子もまだ修行してるところなの」
 ときより蛍が一振で居なくなるときがあったがそれは、修行のためだったらしい。
 正雪は、真剣を顔をし、更に聞いた。
「姫この力は、五蘊盛苦·夢幻泡影よりは危なくないのか??」
「真逆ね。五蘊盛苦·夢幻泡影は、新人類として由井正雪を増殖させ、今の人類を殲滅し、新たな人類を誕生させるのが目的だった」
 友美は、黒い霧を手を出すという。
「黄泉の力は、全てのものを静かに消し、安らかな死へともたらすもの」
 類似していても真逆といえる力。友美は、更にいう。冷たい声色で。
「本当ならこの手で森宗意軒を私は、消し去りたい」
「姫……」
 このような友美見たことがない。そう思うほど怖くそして冷たい声色で友美は、言った。
(総宗軒様……貴方は……神を日ノ本によぶために私を創った……ですが……既に神は、貴方を……見放している……)
 友美の正体にかんしては、正雪も詳しくは、知らない。だが間違いなく今証明された気がした。
 顔が強ばってる正雪に友美は、ハッとした。
「ごめんなさい!! つい……」
「いやいい……間違いなくあの方は、許されざる事をしたと分かったから……」
「正雪……ちなみに天草の方だと森宗意軒を祀る神社があるのよねー」
「なんと……」
 友美は、理解不能と言った感じでいう。
「供養とうを祀ってるとかでお参りすると体調よくなった!! とかあるらしいわ」  
 友美は、呆れた顔をする。
「正雪行くとか言わないでね」
「さすがにそれは……」
「ならよし!!」 
 友美は、脱線したと思いながら、続けた。
「で話戻るけどどうする??」
 正雪は、目を伏せると何かを決意した顔をした。
「私は、使いこなしたい」
 予想外の答えに友美は、驚くがすぐに微笑む。
「大変よ??」
「それでも」
 友美は、本当にこの子は、と思いながら、正雪のてに触れた。
「ならこうしましょう」
 自分の中の闇に光が落ち、その光が闇を包み鍵をしたのが分かった。
「姫これは……」
「封印というよりも水源を抑えて、必要なときにチョロチョロ出るようにしたって感じね!! このままだと暴れちゃうかもしれかいから!!」
「まるで水道のようだ……」
「まさにそれ!! とりあえずこうしておけば、使いこなすための修行も無理なくできるから」
 友美は、そういうと正雪の頭を撫でる。
「本当に正雪は、楽な方にいかないんだから」
「その楽とは、逃げるということでは??」
「そうとも限らないとだけれど」
「私は、あるものを最大限使ってみたい。それが自分の可能性を試せると思っているゆえ」
 友美は、困ったように笑う。
「うちの子達ってなんせ試せるものは、試したい精神強すぎよ。光もそうだけだ」
「それは、姫がそうだからでは??」
「かもしれないわね」
 部屋から笑い声が聞こえ、蛍は、そっと扉を開けた。
「もうはいっていい??」
「いいわよ」
 蛍は、微笑むと入ってきた。
「はい友美!!」
 そしてある紙を渡すと友美は、確認して、言った。
「本当に経費にかんしては、蛍しっかりしてるわね……」
「当たり前だよ!!」
 友美は、紙を机の上に置くと席に着き、処理をし始めた。
「そういえば姫も免許の申請したのか??」
 友美は、手を動かしながら言った。
「やらないと駄目??」
 正雪は、キョトンとしてしまった。
「え??」
「だってなくてもできるしーなんなら私審神者じゃないしー」
「さすがにそれは、不味いのでは!? そのあれば無免許でおとがめとかには、ならぬだろ!?」
 友美は、面倒そうにいう。
「確かに。でも写真がねー」
 友美は、呆れたかおしいう。
「数年前の運転免許更新のときに使ったやつしかないけど」
 友美は、そういうと処理を終えた。
「蛍はい」
「ありがとう!!」
 代金を蛍は、受け取るという。
「オッケーだね!! ねぇ友美写真なら俺撮るよ??」
「ありがとうーまぁ残ってる証明写真使うわ」
 その方が手間が省けそうだ。
「それは、駄目だろ!? しっかりメイクして可愛くしないと!!」
 友美は、声が聞こえ、呆れたかおに。
「光……」
 なんと部屋の入り口に光が。
「蛍もその方がいいよな!?」
「まぁね……」
 蛍は、とりあえず光に合わせていい、正雪は、困り顔に。
「正雪は、どう??」
「そりゃ……綺麗な写真の方がいいと思うが……」
 正雪は、蛍を見ると彼のところにいき、小声で何かを言った。
「それは、出来るけど」
「なら私も光殿に賛同する」
 友美は、この時読んでしまった。正雪の考えを。
「友美!!」
「はぁ……ならそうするけど、バッチリ決めなくていいからね!? たかが証明写真なんだから」
「されど証明写真だ!!」
 友美は、面倒そうにため息を着くが、微笑む。
「友美正雪には、あまいよな」
「どこその夫より可愛いもの」
 光がガーンとショクを受けるなか、友美は、席から立った。
「蛍、正雪光は、ほっていきましょう!!」
 友美は、そういうと執務室を出ていったが、光は、すぐに復活し、友美の後を追っていった。
 仲のいい夫婦に蛍と正雪は、微笑む。
「仲良き事は、美しきかなだな……」
「だね」
 蛍と正雪も微笑むと執務室を出ていったのであった。
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