代理審神者
「えっ??」
全ては、主の一言が始まりだった。
「正雪お願い!!」
困惑している由井正雪と書類を片付けている友美。
ひょんなことから友美と式神の契約をし、これからどうなるのかと思った矢先とんでもないことを正雪は、頼まれることに。
それは、つぶれた本丸の臨時主をして欲しいというものだった。
「姫その……そもそも本丸といえば……一城の主に……この私がなるということ……かな??」
聞き間違いかと正雪は、確認し直すが、友美は、頷いた。
「そういうこと!! 大丈夫!! 天照もいるし、なによりみんな優しいから!!」
「大丈夫じゃないと思うが……」
確かに生前、浪人を集め私学を開いたり、軍師として奉公したことは、ある。しかしそれとこれは、はなしが違う。
「姫……その……」
「なに??」
「その……」
友美は、一先ず一枚の紙を正雪に見せ、それを読ませた。
「どう??」
「歴史を守るための組織で……刀剣の神をまとめるのが役目……」
「そう!! そしてそれを審神者というの!!」
友美は、にっこり微笑む。
「まさに、正雪にいいと思って!! 私がしてもいいのだけど、それは、それで色々困るから!! とりあえず行ってみて!!」
有無を言わさずその後正雪は、あれよあれよと友美に流され、来てしまった。指定された本丸に。
荘厳な門の前で正雪は、本当に大丈夫だろうかと不安になっていた。
「あんたが、姫さんの言ってた臨時の主はんやな」
声が聞こえ、正雪は、慌てて辺りをみると、門があき、中から人が。
「自分の明石国行いいますぅ。とりあえずこっち来てや」
「えっ!!??」
いきなり国行に手を引かれ、そのまま中にはいると、またもやあれよあれよと正雪は、流され、知らぬまに高御座にちょこんと座らされていた。
おかしい。自分は、ここに座れるような人物では、ない。
あわあわと汗を流すなか、正雪の前には、金髪碧眼の青年がやってきた。
「姫からあんたのことは、きいてる。俺は、山姥切国広だ」
「山姥切国広……とうこう堀川国広の傑作と名高い……」
「そうだ」
友美から総髪の可愛い武士がそっちに行くから宜しくと聞いていたが、本当にみる限り小さく、儚いと国広は、思ってしまった。
「ここの事について私は、なにも知らない。指南のほど宜しくとお願い申し上げる」
頭を下げ正雪は、いうと、国広は、短く言った。
「分かった。なら先ずは、皆に挨拶を」
国広が退くと、目の前には、刀剣男士が座っていた。数にして三十もない程の少数だ。
「私は、由井正雪烈士を志さんものである。この度は、臨時でここを任されることになった。力不足と思うが宜しくお願い申し上げる」
凛とした正雪の声が部屋に響き、辺りは、しーんと静かなままだ。
まさか何かしてしまったのかと内心不安に少しなったが、それを打ち消すように燭台切光忠が言った。
「国広君!! もういいかい??」
「あぁ」
国広のこの一言で刀剣達は、凄い勢いで高御座に座っている正雪のところにやってきた。
「すごく綺麗な方です!!」
「姫が言っていた通りですね」
五虎退と、太郎太刀がそう言い、皆が楽しそうにはなしをするなか、正雪は、一人ポカーンとしていた。
「あの……」
「あんたを歓迎するってことだ。ひとまずこのまま歓迎会だから、光忠にどれだけ何時も食べているか、食事の量、アレルギー、苦手なもの、宗教関連で食べれないものは、伝えてくれ」
国広は、そう言うと何処かに言ってしまった。
本当にしっかりしている刀剣だなと正雪は、思いながら、言われた通りに光忠に伝えた。
「OK!! ならそれでしたくするね!!」
「ありがとうございます」
正雪が頭を下げると、光忠も何処かに言ってしまった。しばらくして豪華な食事が運ばれてきて、宴が始まったが、そこに山姥切国広が姿を見せることは、なかった。
宴が終わり、皆とも少しだけ打ち解けることが正雪は、出来た。想像していたよりその有り様は、人に近い。
これなら問題なく仲良く出来るかもしれかいと思いながらも少し不安に思うことがあった。
「山姥切国広殿は、私のことが……」
気に入らないのだろうか。少しかいまみえた様子からして、彼は、この本丸を管理しているように見えた。
突然主だと現れた見知らぬやつを認められないのも無理は、ないはず。
「やはりもう一度話さなくては……」
正雪は、そう呟くと、国広を探し始めたが、困ったことにこの屋敷は、広すぎる。
途方にくれていると、五虎退が声をかけてきた。
「正雪さんどうされたんですか??」
「五虎退殿その……」
五虎退に事情を説明すると、彼は、言った。
「国広さんならこちらですよ」
五虎退の後について行くと、ある部屋についた。
「歓迎会も少しだけでてすぐに戻ってしまってましたし……」
「そうなのか……」
「はい。では、僕は、行きますね!!」
「ありがとう」
五虎退が去っていき、正雪は、案内された部屋をみると、書類の山を片付けている山姥切国広がいた。
声をかけようか悩んだが意を決して声をかけた。
「由井正雪だ少し宜しいだろうか」
国広は、部屋の前でたっている正雪を確認し頷くと、正雪が入ってきた。
「歓迎会は、どうした」
「もう終わった」
「そうか」
会話が続かないと正雪は、思いながら、これなら手伝えるかもしれないと彼にあることを提案した。
「国広殿は、今書類を片付けているのか??」
「あぁ」
「なら私も手伝えるかもしれない。その……手伝わせてもらってもいいか??」
国広は、頷くと、すぐに仕事のやり方を正雪に伝えた。
確かに正雪は、丁寧で書類も完璧だった。これなら任せていいと、国広は、ある程度彼女に任せると、何時もなら時間のかかる仕事が少しだけはやく終わった。
疲れている様子の正雪に緑茶をいれ、茶菓子と共に出した。
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう助かった」
まさか茶菓子を出されるとは、思っていなかった。
せっかくの好意受け取らねばとお茶を飲むと、正雪は、ふと思う。まさか都独特の嫌味では、ないかと。
「京都人と一緒にするな。嫌味などない」
「すまない……」
国広は、遠慮しがちに緑茶を飲む臨時主を失礼と思いながら、じっとみた。
確かに剣を持つ者の手をしているがそれでも細く繊細だ。
「……あの私になにか」
「いや。姫より上品だなと思っただけだ」
正雪は、驚いた顔をていたが、国広は、続けた。
「あんた生前人じゃなかっただろ」
正雪の顔色がみるみる青くなる。
「貴殿には、やはり分かるのか……」
「あぁ。だが全ていわなくていい」
「それは……」
「生前であって、今のあんたには、関係ないからな…」
「というと??」
「…もしかして気づいてないのか??」
正雪は、首をかしげると言う。
「うむ??」
「……姫説明をしっかりしてくれ」
溜め息まじりに、国広は、主に言う。
「あんた姫とどういった経緯で契約をした」
「それは……たまたま姫が陣に触れたら私が……召喚されそのながれで……」
国広は、真顔になるとさらに溜め息をついた。
「姫……」
「その……変だよな……」
「いや姫ならあり得ることだ」
あり得ることなのかと正雪は、姫の顔を思い出し困惑していた。
「この本丸は、姫が管轄する組織だ」
「そうだったのか!?」
「姫の口ぶりからしてそのようには、思わないだろうな」
国広は、とりあえず一から説明んすることにした。
「正雪まず審神者については、聞いているか??」
正雪は、頷く。
「刀のつくも神と契約し、歴史を守る、その刀の管理をするものと聞いている」
「そこは、きっちり説明してるのか……姫……」
ならはなしをもう少し進めても良さそうだと国広は、思った。
「ならこの本丸のことは??」
「……つぶれた本丸としか……」
「確かに正しいがもう少し話して欲しいものだな」
国広は、立ち上がると、棚から書物を取り出し正雪に渡した。
「これは……」
「読みながら、聞いてくれ、とりあえず五ページ」
言われた通り指定されたページを開くと、国広がはなしを始めた。
「この本丸は、もとは、未来の政府の管轄かにあった。天照が依頼され、代理人として神子……つかいである姫が作り上げ、管理していた」
「……なるほど」
「で契約期間が終わり、政府もこの本丸の刀剣達の処理に困り、姫が全て引き取った」
「なに!?」
「で今の組織が出来たということだ。今は、主に、未来の政府では、対処できない厄災の対処、あやかし退治、困った本丸の対処や祭事の手伝い等をして、運営している」
正雪は驚きのあまり言葉がでなかった。
「歴史は……」
「守るがそれがメインでは、ないな。あとここの管理は、今天照がしているが、俺たち刀剣の主は、あんたと同じだ。皆天照事を主と言っているが気にするな」
「分かった……」
「であんたのことは、名で呼ぶやつや、代理主と呼ぶやつもいるが好きにさせてやれ」
「了承した……」
思っていたものと違いすぎて、正雪は、困惑していた。
国広もそれを察してた彼女が理解できるまで何度も質問に答えた。
「ふむ……おおよそ把握は、出来たが……私が呼ばれた理由が……」
「それは、未来の政府職員が来るからその対処の為だ。姫を出すわけにもいかず、かといって天照に対処もさせれないからな」
「確かにそうだな」
主の反応からしてなにか事情があるとは、思っていたが、国広から全て聞き正雪も自分が選ばれた理由に納得できた。
仕事をし、国広と話していると外は、いつの間にか黄昏の時。
正雪は、自分の腹から音が聞こえ少し困惑していた。
「何故……」
「……それは、あんたが、生きてるからだ」
国広の言葉に正雪は、驚きを隠せなかった。
「私は、死に英霊となったはず。肉体もあくまでも魔力で……」
「本来ならそうだろうな。だがあんたは、間違いなく新しい肉体を持っている。しかも人としてのな」
正雪は、それだけで全てを察する事がでした。
なら眠くなるのも腹が減るのも無理は、ない。そして主から衣を渡されたのも。
「……私がまさか」
「嫌だったのならすまないが俺には、どうにも出来ない。姫と契約を切ればもとに戻るから知れないが、それもまた不明だ」
正雪は、目を伏せると、自分の身に起こったことが摩訶不思議過ぎて、理解が追い付いてなかった。
「……むしろ好機だ」
「好機??」
「生前の私は、あくまでも人の手で作られた身。ならこの機会を活かさなくては」
国広の瞳に鋭い光が宿るが正雪の口からは、国広の考えていたことでは、なくとても平和な言葉が出た。
「平らさな世を作る。その為にこの体を使う……といいたいが、そこまでのことは、望まない。今は、ただ世が平穏であることを祈る。それに姫がせっかくならとの平和を味わって幸せにと言っていた。私は、それを味わうことにする。生前で出来なかったことをしたいんだ」
「そうか」
国広がそう言ったとき、慌ただし足音が聞こえてきた。
「国広!! 晩飯出来たって!!」
国俊は、それだけ言うと去っていった。
「正雪だそうだ」
「ならいただくとしよう」
正雪は、立ち上がると、国広は、その小ささに立ち上がったのに、思わず撫でていた。頭を。
「国広殿??」
「小さくて弱いな……」
「それは……」
「その装おだが、あんた女性だろ。気お付けろよ。ここのやつらは、強姦などは、しないがそれでも男だからか」
国広は、それだけいうと先に言ってしまった。
正雪の国広の後についていくが、彼と話して分かったことがある。
ぶっきらぼうで気難しいと思っていたが、ただ真面目で優しいと。
黄昏世空を見上げ正雪は、見上げた。
「……これからどうなるのか……出来ることをするしかないな……」
そうできることをするしかない。
正雪は、自分に与えられた任務の事を考えながら、歩くのであった。少しの不安とたのしさを感じながら。
全ては、主の一言が始まりだった。
「正雪お願い!!」
困惑している由井正雪と書類を片付けている友美。
ひょんなことから友美と式神の契約をし、これからどうなるのかと思った矢先とんでもないことを正雪は、頼まれることに。
それは、つぶれた本丸の臨時主をして欲しいというものだった。
「姫その……そもそも本丸といえば……一城の主に……この私がなるということ……かな??」
聞き間違いかと正雪は、確認し直すが、友美は、頷いた。
「そういうこと!! 大丈夫!! 天照もいるし、なによりみんな優しいから!!」
「大丈夫じゃないと思うが……」
確かに生前、浪人を集め私学を開いたり、軍師として奉公したことは、ある。しかしそれとこれは、はなしが違う。
「姫……その……」
「なに??」
「その……」
友美は、一先ず一枚の紙を正雪に見せ、それを読ませた。
「どう??」
「歴史を守るための組織で……刀剣の神をまとめるのが役目……」
「そう!! そしてそれを審神者というの!!」
友美は、にっこり微笑む。
「まさに、正雪にいいと思って!! 私がしてもいいのだけど、それは、それで色々困るから!! とりあえず行ってみて!!」
有無を言わさずその後正雪は、あれよあれよと友美に流され、来てしまった。指定された本丸に。
荘厳な門の前で正雪は、本当に大丈夫だろうかと不安になっていた。
「あんたが、姫さんの言ってた臨時の主はんやな」
声が聞こえ、正雪は、慌てて辺りをみると、門があき、中から人が。
「自分の明石国行いいますぅ。とりあえずこっち来てや」
「えっ!!??」
いきなり国行に手を引かれ、そのまま中にはいると、またもやあれよあれよと正雪は、流され、知らぬまに高御座にちょこんと座らされていた。
おかしい。自分は、ここに座れるような人物では、ない。
あわあわと汗を流すなか、正雪の前には、金髪碧眼の青年がやってきた。
「姫からあんたのことは、きいてる。俺は、山姥切国広だ」
「山姥切国広……とうこう堀川国広の傑作と名高い……」
「そうだ」
友美から総髪の可愛い武士がそっちに行くから宜しくと聞いていたが、本当にみる限り小さく、儚いと国広は、思ってしまった。
「ここの事について私は、なにも知らない。指南のほど宜しくとお願い申し上げる」
頭を下げ正雪は、いうと、国広は、短く言った。
「分かった。なら先ずは、皆に挨拶を」
国広が退くと、目の前には、刀剣男士が座っていた。数にして三十もない程の少数だ。
「私は、由井正雪烈士を志さんものである。この度は、臨時でここを任されることになった。力不足と思うが宜しくお願い申し上げる」
凛とした正雪の声が部屋に響き、辺りは、しーんと静かなままだ。
まさか何かしてしまったのかと内心不安に少しなったが、それを打ち消すように燭台切光忠が言った。
「国広君!! もういいかい??」
「あぁ」
国広のこの一言で刀剣達は、凄い勢いで高御座に座っている正雪のところにやってきた。
「すごく綺麗な方です!!」
「姫が言っていた通りですね」
五虎退と、太郎太刀がそう言い、皆が楽しそうにはなしをするなか、正雪は、一人ポカーンとしていた。
「あの……」
「あんたを歓迎するってことだ。ひとまずこのまま歓迎会だから、光忠にどれだけ何時も食べているか、食事の量、アレルギー、苦手なもの、宗教関連で食べれないものは、伝えてくれ」
国広は、そう言うと何処かに言ってしまった。
本当にしっかりしている刀剣だなと正雪は、思いながら、言われた通りに光忠に伝えた。
「OK!! ならそれでしたくするね!!」
「ありがとうございます」
正雪が頭を下げると、光忠も何処かに言ってしまった。しばらくして豪華な食事が運ばれてきて、宴が始まったが、そこに山姥切国広が姿を見せることは、なかった。
宴が終わり、皆とも少しだけ打ち解けることが正雪は、出来た。想像していたよりその有り様は、人に近い。
これなら問題なく仲良く出来るかもしれかいと思いながらも少し不安に思うことがあった。
「山姥切国広殿は、私のことが……」
気に入らないのだろうか。少しかいまみえた様子からして、彼は、この本丸を管理しているように見えた。
突然主だと現れた見知らぬやつを認められないのも無理は、ないはず。
「やはりもう一度話さなくては……」
正雪は、そう呟くと、国広を探し始めたが、困ったことにこの屋敷は、広すぎる。
途方にくれていると、五虎退が声をかけてきた。
「正雪さんどうされたんですか??」
「五虎退殿その……」
五虎退に事情を説明すると、彼は、言った。
「国広さんならこちらですよ」
五虎退の後について行くと、ある部屋についた。
「歓迎会も少しだけでてすぐに戻ってしまってましたし……」
「そうなのか……」
「はい。では、僕は、行きますね!!」
「ありがとう」
五虎退が去っていき、正雪は、案内された部屋をみると、書類の山を片付けている山姥切国広がいた。
声をかけようか悩んだが意を決して声をかけた。
「由井正雪だ少し宜しいだろうか」
国広は、部屋の前でたっている正雪を確認し頷くと、正雪が入ってきた。
「歓迎会は、どうした」
「もう終わった」
「そうか」
会話が続かないと正雪は、思いながら、これなら手伝えるかもしれないと彼にあることを提案した。
「国広殿は、今書類を片付けているのか??」
「あぁ」
「なら私も手伝えるかもしれない。その……手伝わせてもらってもいいか??」
国広は、頷くと、すぐに仕事のやり方を正雪に伝えた。
確かに正雪は、丁寧で書類も完璧だった。これなら任せていいと、国広は、ある程度彼女に任せると、何時もなら時間のかかる仕事が少しだけはやく終わった。
疲れている様子の正雪に緑茶をいれ、茶菓子と共に出した。
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう助かった」
まさか茶菓子を出されるとは、思っていなかった。
せっかくの好意受け取らねばとお茶を飲むと、正雪は、ふと思う。まさか都独特の嫌味では、ないかと。
「京都人と一緒にするな。嫌味などない」
「すまない……」
国広は、遠慮しがちに緑茶を飲む臨時主を失礼と思いながら、じっとみた。
確かに剣を持つ者の手をしているがそれでも細く繊細だ。
「……あの私になにか」
「いや。姫より上品だなと思っただけだ」
正雪は、驚いた顔をていたが、国広は、続けた。
「あんた生前人じゃなかっただろ」
正雪の顔色がみるみる青くなる。
「貴殿には、やはり分かるのか……」
「あぁ。だが全ていわなくていい」
「それは……」
「生前であって、今のあんたには、関係ないからな…」
「というと??」
「…もしかして気づいてないのか??」
正雪は、首をかしげると言う。
「うむ??」
「……姫説明をしっかりしてくれ」
溜め息まじりに、国広は、主に言う。
「あんた姫とどういった経緯で契約をした」
「それは……たまたま姫が陣に触れたら私が……召喚されそのながれで……」
国広は、真顔になるとさらに溜め息をついた。
「姫……」
「その……変だよな……」
「いや姫ならあり得ることだ」
あり得ることなのかと正雪は、姫の顔を思い出し困惑していた。
「この本丸は、姫が管轄する組織だ」
「そうだったのか!?」
「姫の口ぶりからしてそのようには、思わないだろうな」
国広は、とりあえず一から説明んすることにした。
「正雪まず審神者については、聞いているか??」
正雪は、頷く。
「刀のつくも神と契約し、歴史を守る、その刀の管理をするものと聞いている」
「そこは、きっちり説明してるのか……姫……」
ならはなしをもう少し進めても良さそうだと国広は、思った。
「ならこの本丸のことは??」
「……つぶれた本丸としか……」
「確かに正しいがもう少し話して欲しいものだな」
国広は、立ち上がると、棚から書物を取り出し正雪に渡した。
「これは……」
「読みながら、聞いてくれ、とりあえず五ページ」
言われた通り指定されたページを開くと、国広がはなしを始めた。
「この本丸は、もとは、未来の政府の管轄かにあった。天照が依頼され、代理人として神子……つかいである姫が作り上げ、管理していた」
「……なるほど」
「で契約期間が終わり、政府もこの本丸の刀剣達の処理に困り、姫が全て引き取った」
「なに!?」
「で今の組織が出来たということだ。今は、主に、未来の政府では、対処できない厄災の対処、あやかし退治、困った本丸の対処や祭事の手伝い等をして、運営している」
正雪は驚きのあまり言葉がでなかった。
「歴史は……」
「守るがそれがメインでは、ないな。あとここの管理は、今天照がしているが、俺たち刀剣の主は、あんたと同じだ。皆天照事を主と言っているが気にするな」
「分かった……」
「であんたのことは、名で呼ぶやつや、代理主と呼ぶやつもいるが好きにさせてやれ」
「了承した……」
思っていたものと違いすぎて、正雪は、困惑していた。
国広もそれを察してた彼女が理解できるまで何度も質問に答えた。
「ふむ……おおよそ把握は、出来たが……私が呼ばれた理由が……」
「それは、未来の政府職員が来るからその対処の為だ。姫を出すわけにもいかず、かといって天照に対処もさせれないからな」
「確かにそうだな」
主の反応からしてなにか事情があるとは、思っていたが、国広から全て聞き正雪も自分が選ばれた理由に納得できた。
仕事をし、国広と話していると外は、いつの間にか黄昏の時。
正雪は、自分の腹から音が聞こえ少し困惑していた。
「何故……」
「……それは、あんたが、生きてるからだ」
国広の言葉に正雪は、驚きを隠せなかった。
「私は、死に英霊となったはず。肉体もあくまでも魔力で……」
「本来ならそうだろうな。だがあんたは、間違いなく新しい肉体を持っている。しかも人としてのな」
正雪は、それだけで全てを察する事がでした。
なら眠くなるのも腹が減るのも無理は、ない。そして主から衣を渡されたのも。
「……私がまさか」
「嫌だったのならすまないが俺には、どうにも出来ない。姫と契約を切ればもとに戻るから知れないが、それもまた不明だ」
正雪は、目を伏せると、自分の身に起こったことが摩訶不思議過ぎて、理解が追い付いてなかった。
「……むしろ好機だ」
「好機??」
「生前の私は、あくまでも人の手で作られた身。ならこの機会を活かさなくては」
国広の瞳に鋭い光が宿るが正雪の口からは、国広の考えていたことでは、なくとても平和な言葉が出た。
「平らさな世を作る。その為にこの体を使う……といいたいが、そこまでのことは、望まない。今は、ただ世が平穏であることを祈る。それに姫がせっかくならとの平和を味わって幸せにと言っていた。私は、それを味わうことにする。生前で出来なかったことをしたいんだ」
「そうか」
国広がそう言ったとき、慌ただし足音が聞こえてきた。
「国広!! 晩飯出来たって!!」
国俊は、それだけ言うと去っていった。
「正雪だそうだ」
「ならいただくとしよう」
正雪は、立ち上がると、国広は、その小ささに立ち上がったのに、思わず撫でていた。頭を。
「国広殿??」
「小さくて弱いな……」
「それは……」
「その装おだが、あんた女性だろ。気お付けろよ。ここのやつらは、強姦などは、しないがそれでも男だからか」
国広は、それだけいうと先に言ってしまった。
正雪の国広の後についていくが、彼と話して分かったことがある。
ぶっきらぼうで気難しいと思っていたが、ただ真面目で優しいと。
黄昏世空を見上げ正雪は、見上げた。
「……これからどうなるのか……出来ることをするしかないな……」
そうできることをするしかない。
正雪は、自分に与えられた任務の事を考えながら、歩くのであった。少しの不安とたのしさを感じながら。
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