光明ノ神子

 大晦日の夕方散歩をしていると、各家庭から漂ってくる美味しいかおり。
 白野威は、その香りに、食欲が刺激され、お腹が鳴っていた。
「くぅー」
「白野威のお腹が、鳴った」
「そうだな」
 友美と光に同時に言われ、白野威は、ばつが悪そうな顔になる。
「だっていい香りなんだもん!!」
「光今晩は、焼き肉??」
「そのつもりだよ。猪の肉もあるし」
「お!!!」
  美味しいタレの香りがし、ちょうど焼き肉が食べたいとおもっていた白野威。 
 嬉しそうに尻尾をふると、白野威は、その場で跳ねた。
「焼き肉ー」
「凄いはしゃぎよう……」
「そうね」
 子供達よりも白野威が喜んでいる。
 友美と光は、微笑むと言った。
「お酒もあけちゃう??」
「そうだな」
 お酒と言うワードに白野威は、ニヤリと笑う。
「大吟醸!!」
「分かったよ」
 光は、立ち上がりながら、いう白野威に思わず呆れつつ言った。
「年の瀬に焼き肉と鴨なんばん!!」
「鴨なんばんは、カップ麺な!!」
「それでいいさ!!」
 カップ麺でいいところが白野威である。  
 年の瀬、白野威をみていると、本当に楽しい気分になる。
「光少し早いけど、今年もありがとう!! 来年も宜しくね!!」
「友美こちらこそ」
 二人は、微笑み合うと、お腹空いたとうるさい白野威を連れ、帰宅し、美味しい焼き肉と、鴨なんばんを食べ、楽しい時間を過ごしたのであった。
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