光明ノ神子

 光は、いつでも思うことがある。
 隣でどうでも良さそうにテレビを観ている友美。このような時は、まったく友美が興味のないものを観るときだ。
 ここまでして彼女は、どうして付き合ってくれるのかと。
「友美」
 光は、かけていたブルーレイを停めると、友美の方を見た。
「せっかく観てたのにいいの?? 停めちゃって……」
「いいんだ。それより気になることがあって」
「気になること??」
 友美は、どうしたのかというようすだ。光は、まじめな顔をし聞く。
「友美は、どうして一緒に観てくれるんだ??」
「といいますと??」
「その映画まったく友美興味ないよね??」
 友美は、頷くと、光は、続ける。
「なのに何で観てくれるのかなぁって……」
 友美は、しばらく考えたのち言った。
「視野を広げるためと、好きな人の好きなものを一緒に体験したいからね」
「なるほど……」
「これでいいかしら」
「うん」
 光は、頷くと、友美は、微笑みそしてスマホを触りだした。
 友美と言う人物は、なかなか奥が深い。かれこれ二十年ちかく友美のそばにいる光でもまだ知らないことが多い。
「友美って興味ないことは、切り捨てるイメージもあるんだよな……」
 光は、ある出来事を思い出していた。
 それは、神子として江戸時代に出向いたとき、助けをこいにきた男を友美は、突き放した。
 その時の冷酷な眼差しは、今思い出しても身震いするほどだ。
「神子は、助けるのが役目だろ!!」
 男が化け物を見るような恐怖を秘めた目。友美は、それを見ると更に冷たい眼差しをしていた。
「お主のようなものを助ける価値などない」
 そう言うと友美は、踵を返し、男から離れていった。
 今思うにこれは、興味がないから切り捨てたというべきでは、ないと光は、今になって分かった。
 友美は、神子としては、気高く誇りがある。
 難題もその誇りにかけ解決するこが友美と言う神子姫だ。
「あれは……因縁と……男の心が問題だったのか……」
 神とは、己を見つめ、欠点を改善し、突き進んでいき、感謝をするものに力を貸すが、そうでないものには、力を貸さない。
 たぶん男は、傲慢で思う道理にやってくれと友美に言っていたのだろう。
 だから彼女は、切り捨てたとも言える。
「うーん」
「光??」
 じっと光に見られ、友美は、すこし困った。
「私何かついてる??」
「なにもついてないよ。ただ……」
 光は、友美の頭を撫でる。
「友美って不思議だな……と……」
「そんなに??」
「なんとなく……友美って興味のない事は、切り捨てそうなのにと思ってみたけど……違うし……」
 友美は、なに言ってるんだと言う顔をしため息をつくと言った。
「あのね……赤の他人と家族を一緒にしないでくれる……??」
「ごめんなさい……」
「私にとって大切な人の好きなことには、とりあえず付き合うようにしてるの。まったくの他人の事は、そもそも知りません。あと神子としてアウト!! って時は、大切な人でも切り捨てるから」
 友美は、そう言うと立ち上がり、リビングを出ていった。
 残された光は、そんな友美を見て笑った。
「友美らしい……そういうところも素敵だけど……」
 結局なんやかんやで優しいのが友美である。本当に素敵だなと光は、思いながら彼女の優しさに今日も感謝をするのであった。
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