光明ノ神子

 外出から帰宅すると、リビングに置いてあるダイニングテーブルの上に、あるものがあった。
「シャインマスカット……」
 高級品のシャインマスカットが何故あるのか、友美は、首をかしげながら、じっとシャインマスカットを見た。
「美味しそう……」
 しかし一つだけだと色々大変なことになりそうだ。
 友美は、どうしたものかと考えていると、リビングの扉が開き、光が入ってきた。
「友美おかえり」
「ただいま光」
 友美が見ている物。光は、ダイニングテーブルの上に置いてある、シャインマスカットを持つと言った。
「安かったから買ってきたんだ!! 季節だしね!!」
「そうだったのね」
 友美は、買ってきた人物がわかり、ほっとするなか、じっとシャインマスカットを見ていた。
「光一つだけ買ってきたの??」
 光は、首を横にふった。
「流石に一つだけだと足りないから三つ買ってきたんだ。一つは、白野威に……白野威には、お供えしてもお下がりが来るどころか、全部白野威の腹のなかだからな……」
「確かに」
「でもう一つは、子供たちに……」
「最後の一つは、私たちってこと??」
 光は、頷くと、ヒソヒソ声で話し出す。
「子供たちには、悪いけど高いから……四等分にしてもらう……」
 友美は、可愛い夫に笑った。
「ふふふ」
「半分だと四ついるからな……その時点でお財布が……それに食べきれないだろうし……だから一つで四等!! パパとママは、半分でずるいと言われるかも……だけど……」
「そうねふふふ」
 笑っている友美に光は、首をかしげる。けっこう大切な話をしているのだがと思いながら。
「友美さん!!」
「なに??」
「俺けっこう大切な事を話してるんですよ!?」
 友美は、更に微笑む。
「分かってるわ。でも光可愛いから」
「食べ物の恨みは、怖いんだよ!?」
「知ってる。でも子供たちそこまで気にしないじゃない。自分達のお小遣いで買ったおやつに関して以外は……」
 あと蜜柑という例外もあるが。
 光は、確かにと思いながらも内心不安になっていた。
 僕たちこれだけと、子供四人に言われないか。
「子供……なんで四人いるんだ……」
 光の呟きに友美は、あきれた顔をすると光のほほを引っ張る。
「やることやってるからでしょう!! そんなに嫌なら、過去に戻って産むなー!!! っていてくるけど??」
 光は、引っ張られた頬をさすりながら顔を青ざめる。
「それは、やめて!?」
「ならそんなこと言わない!!」
「はい……」
 まずいことをいったと反省しながら、光は、言った。
「これは、夜伽廃止かしら」
「それは、やめてくれ!! こんなくだらない俺の発言のせいでレスは、嫌だ!!」
 涙目の光に友美は、内心笑っていた。
 ついついいつも虐めたくなる。可愛い光を。 
「そのくだらないが積み重なってレスになるらしいわよ??」
「そうらしいな……」
 光は、気を付けないとと思いながら、マスカットとを見た。
「夜に出すぞー」
「私たちは、そのあとね」
「うん!!」
 一先ずもうひとつを隠さなくては、ならない。
 光は、どうしようかと考えていたときある場所を思い付いた。
「友美執務室に冷蔵庫あったよね!?」
「えぇ。小さいのだけど……」
「ならもう一つのシャインマスカットは、そこに隠す事にする!!」
 そう言うとエコバッグをもち、光は、納戸へと向かった。
「でも……神子としての執務室の冷蔵庫……今巨峰でいっぱいなんだけど……」
 先日白野威が大量にもらってきた巨峰。どうしようかと思案しつつとりあえずと冷蔵庫にいれたのである。
「夕飯にも昨日出したし……あとは、お菓子かしら……」
 神子たちにも配ったのに、まだまだあるのだ。有り難いことに。
「友美!!!!」
 慌てて戻ってきた光の手には、案の定巨峰が。しかし彼の瞳は、輝いていた。
「友美この巨峰いっぱ今だあったんだね!!」
「そう」
「なら使っていい??」
 友美は、にっこり微笑み頷くと、光は、嬉しそうにキッチンに。
「友美ありがとう!!」
「どういたしまして」
 さてさてこれからどんな美味しいものが出来上がるのだろうか。
 その事に胸を弾ませながら、友美は、夕飯の支度を手伝い、食事を終えたあと、光の緊張した面持ちを見ながら、一人笑っていた。
「さすがシャインマスカット!! すごく美味しい!!」
 子供たちがそう話すなか、光は、ようやくほっとした顔をしていた。
「お母さん巨峰どうするん??」
 榎麟は、気になっていた巨峰の事を聞くと、友美は、微笑みいった。
「お父さんが何かするかも??」
「それは、楽しみ!!」
 光が遊李と何やら話している様子を見ながら友美は、言うと、榎麟も楽しげに微笑んだ。
「双子って似るもんやなぁ……」
「そりゃお母さんのお腹の中から一緒だもの。考えも似てくるかも知れないわ」
 榎麟は、嫌そうな顔をしていたが、こればかりは、そうかもしれないとも思った。
 その後子供たちも部屋に戻り、ようやく二人の時間に。
 シャインマスカットを味わいながら、友美は、美味しさに瞳を煌めかせた。
「過ごす甘い!! 子供たちが夢中になってた理由が分かるわ……」
 友美は、染々というなか、光は、幸せそうな顔をし食べていた。
「幸せ~」
「それは、よかったわ」
 本当に可愛い。友美は、そう思いながら、シャインマスカットを食べ、その日は、歯を磨くと風呂に入り、眠りについた。
 
 翌日目を覚ますと、隣に光は、居なかった。
 布団から出ると、友美は、あくびをし、リビングに。すると目の前に驚く光景が。
「ケーキにタルト、ゼリー!!??」
 ダイニングテーブルのうえには、スイーツが並んでいた。
「友美おはよう!!」
「おはよう光……」
 にっこり微笑む夫に友美は、視線で語った。まさか今朝からこれを作ったのかと。
「そう!! せっかくだしね!!」
「さすが……光ね……」
 確かに楽しみにしてたが、朝に出来ているなんて思わなかった。
「友美と榎麟が楽しみにしてたから!! 張り切っちゃった!!」
 昨晩の親子の会話を聞いていたようだ。
 友美は、微笑むと光を抱き締めた。
「ありがとう!! とりあえずおやつね!!」
「そうだな」
 二人は、微笑み合うと光が作ったスイーツを冷蔵庫に入れた。
「榎麟たちには、学校帰ってきてから見せようかしら」
「それでいいと思う」
「分かったわ。ありがとう」
 その後朝のしたくを二人は、し、光は、子供たちと一緒に家を出た。
 午後三時になり、子供たちが帰宅するなか、友美は、冷蔵庫から、ケーキとタルト、ゼリーをダイニングテーブルのうえに、並べてた。
「凄いパパ……」
「そうね遊李!!」
 友美は、微笑むという。
「さぁ!! 切ってるから好きなの食べてね!!」
「はーい!!」
 子供たちが好きなおやつを選ぶなか、友美も早速ゼリーを食べることにした。
 冷たくも巨峰の風味が広がり、友美は、微笑む。
「美味しい」
「お母さんこれ美味しい!!」
 蛍がケーキを食べ言う。やはりケーキもなかなか美味しいようだ。
 後は、光と食べよう。
 友美は、ケーキとタルトをこのときは、食べずに、子供たちと話をし、その後光が帰宅して、色々用事をやり終えたあと、二人でケーキとタルトをたべた。
「柊麗が美味しい!! っていってたけど、タルトすごく美味しい!!」
 友美の向かいに座り、珈琲を飲む光は、微笑む。
「ありがとう!! よかった!!」
「どのスイーツもすごく人気だったわ」
「おっ!! それは、嬉しい!! 次も張り切るぞ!!」
 ケーキを食べながら、光は、楽しげに微笑む。
 友美は、そんな光を見て、次も楽しみと期待を膨らませるのであった。 

    
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