光明ノ神子

 光は、ふと思った。
「カーテン変えるか……」
 なんとなくリビングのカーテン見ていたとき、そういえば、まったく変えてないことを思い出した。
 そもそもカーテンは、汚れることがあっても、痛むことは、少ない。変える機会なかなか無いともいえる。
 現にこの家のカーテンも光が居候し始めてから一度も変えられたことは、ない。
「友美に相談だな」
 光は、そう呟くと、用事をし始めた、その日の夜。
 子供たちが部屋に戻り、友美と二人になったとき、光は、友美に相談をした。
「カーテンを買いかえたい!?」
「そう!! ほら季節に応じて変えるのもありかなと……」
 友美は、困惑した顔をしていた。
「わからん……カーテンなんて年中同じでいいと思うけど……」
 友美は、インテリア等も好きだが、光のように家をおしゃれにカスタマイズしたいとは、あまり思わない。
 たぶんリフォームやおしゃれな部屋を作る人は、カーテンまでこだわるんだなとこの時思っていた。
「テーマやコンセプトに応じてカーテンも変えるとなおよしなんだ!!」
「へぇー」
 友美が適当に返事したのがばれたのか、光は、不服そうな顔に。
「友美って以外に適当だよな……」
「光ほどきっちりしてないわね」
 友美は、そういうと、微笑む。
「まぁ光のポケットマネーからならどうぞ」 
「ポケットマネー……友美さん家計からだしても……」
「それは、カーテンのデザインしだいね」
 友美は、そういうと歯を磨きに洗面所に行った。
 残された光は、悩ましげな顔に。
「光どうしたのさ」
「白野威……カーテンと書籍どっちがいいと思う??」
 これは、たぶん買うものの事だろう。
 白野威は、あきれた顔をし言う。
「どっちでもいいつうの。とりあえず私は、カーテンより障子派!! ここの窓全部障子でおおわない?? カーテン外してさ!!」
 とんでもないことをいいだす白野威に光は、唖然としていた。
「リフォームになるじゃないか!! それこそ、友美に俺と白野威のお金でやれ!! といわれる……そもそも離婚といわれるかもしれない……」
 光が、顔を青ざめるなか、白野威は、間違いなく怒られるとこの時感じていた。
「まぁ拳骨は、間違いなしだね」
 こんな話を白野威と光がするなか、友美は、リビングに通ずるドアの前で困った顔をしていた。
「なんか話がすごいことに……」
 友美は、どうしようかと考えていると背後に気配を感じ、ふりかえると水郷があきれた顔をしいた。
「もう!! なんでリフォームになるの……」
「水郷があきれてる!?」
 友美は、物珍しさに驚くと、水郷は、友美の体を登り、彼女の肩に巻き付く。
「そりゃあきれるわよ友美。光は、いつもどうりだけど、白野威様に、関しては、珍しいもの。でもなんでそこに発想がとぶのか……」
 友美は、この時ある事を思い出した。
「そういえば、数日前に障子の特集があってその時にカーテンがわりに窓の日除けに障子を使ってるお家が出てきたの。たぶんそれね」
「白野威様もしかして、目をキラキラさせてたの??」
「そう」
 水郷は、ため息をつく。
「白野威様昔から興味のあることになるとそうなんだから……だから一柱で高天ヶ原から降り、私達が側にいない隙をつかれ、ポックリいっちゃったのよ……」
 白野威の死に関しては、友美も前世での記憶がある。あのときの瑠花は、とても悲しみ声にならない嗚咽をあげていた。
「水郷それとこれは、関係ないんじゃ……」
「関係ないとしても、白野威様の今回のあの好奇心は、大変なことになる気がするの!! 友美なんとしても止めなさい!!」
「そう言われても……家のリフォームは、するきないし……まさか別荘たてろと??」
 まさかと思ったが、話は、とんでもない方に。
「小さな家でもたてる?? なら障子いける!!」
「さすがにそれは、やり過ぎだ!!」
 本当に家をたてようとしている。友美は、困惑していると、ドアの向こうからこえが。
「友美家たてるのは、やりすぎだよな!?」
 友美は、ドアをあけそしてあきれた顔をしいう。
「やり過ぎ」
 光の助け船に友美は、乗った。
「障子いいのに~」
「白野威それは、分かるけど、リフォームとかは、やらないから!! 和室の障子と私の執務室の障子で我慢しなさい!!」
 白野威は、不服そうな顔をするが、友美は無視した。
「光カーテンの件だけど」
 歯を磨きながら、友美は、あることを考えていた。
 光のとなりに座ると言う。
「カーテンのレースを変えるのは、どう??」
 光は、しばらく考えるという 。
「ありだな……でも俺は、メインも変えたい……」
「わかったわよ。ならメインも光の好きなのに……」
「一緒に決めるから!!」
 夫の圧に友美は、思わず頷くことしか出来なかった。こうしていつも光のペースに流されているような気がする。
 友美は、内心ため息をつきながら、こちらをみて笑っている光に微笑みかえした。
「友美……」
「光??」
「友美ってとりあえず笑ってごまかすことある……」
 友美は、ギクッとなったが、ならどうしろというのだろうか。
「なら不満をいえと??」
「夫婦間で隠し事は、なしだふ」
 友美は、ため息をつくという。
「ならカーテン変えなくてもいいと思う」
 光は、振り出しに戻ったと思ったが、友美は、そんな光を見て続けた。
「興味ないから基本どうでもいいのよ」
「どうでもいいだと!?」
「そう。まぁ光が変えたいなら変えたらいいし。それに光センスいいから変なのは、選ばないし。ファンシー過ぎなければなんでもいいいわ」
 
「ファンシーって……小物ならともかく、インテリアでファンシーは、選ばないよ!!」
 しかし選びそうなのが光なのである。
 友美は、疑いの眼差しを向けた。
「そんな目で見るな!!」
「だって光可愛い!! って買っちゃうもの色々。ピンにもくまちゃんついてたし……」
「あれは、柊麗がくれたからだ!! 俺が選ぶ時は、無難なのにする!! 可愛いのは……買うけど使わない!!」
「買うのね……」
 そこで我慢すると言わないのが光である。
「分かった。なら買うからね!? 好きに買うからね!?」
「はいはい」
 友美は、そういうとあくびをし、和室へ入ってしまった。
「友美後悔してもしらないからな!!」
 光は、早速ポチットなにかネットショッピングでやった。
「ふふふふふ」
 怪しげな光の笑みに白野威は、思う。光は、たいてい悪いことをしない。こんな笑みを浮かべていても。本人のなかでは、悪巧みのようだが。
「まぁ友美があきれる程度のことかな」
 さてさて白野威の予感は、どうなるのか。そして数日後の事。
 友美は、朝眠そうな顔をし、和室から出たとき、リビングの異変に気づいた。
「……なるほど。これがほしかったのね」
 朝の風になびき、美しい水面が、フローリングに出来ていた。
 朝日の柔らかな光によりさらに美しい。
「光ナチュラル、シンプルなのも好きだものね……メインは、変えずにレースを変えたのか……」
 これなら家計から出してもいいと後で言っておこう。
 友美は、そう思い、顔を洗いに洗面所に。
顔を洗い戻ってくると光が起きてきていた。
「おはよう光」
「おはよう友美」
 二人は、微笑み合う。
「キスは、後で……」
「そうね。先ず歯磨いてこないと!!」
 光は、寂しそうに洗面所に行き、友美は、そのかんに珈琲を入れることにした。
 珈琲のいい香りがキッチンからリビングに広がる。
 光は、リビングに戻ってくると珈琲の香りにほっとしたのち、キッチンに行き、後ろから友美を抱き締めた。
「友美カーテンどう??」
「なかなかいいと思うわ」
「よかった!!」
 光は、楽しげに微笑むと、二人は、口付けをした。
「これに一目惚れしたんだー」
「一目惚れねぇ」
 友美は、珈琲のはいったマグカップを光に渡す。
「さすが光ね」
「友美その……」
「家計から出していいわよ」
 光は、驚いた顔をすると、満足げに笑った。
「友美のおめがねになかった!!」
「まぁそうしておいて」
 光は、嬉しそうに微笑むと、珈琲を飲む。 
 友美は、そんな光をみながら幸せそうに微笑むのであった。
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