光明ノ神子

 クーラーのきいた部屋で昼寝をするのは、心地よい。
「……ぷにぷに……あとこれ……ざらざら??」
 何か近くにあったものを友美は、掴み顔を押し当てていたが、なにや、違和感を感じた。
 顔をあげ、じっと掴んだものを見る。
「どうも」
「どうも!!??」
 友美は、すぐに覚醒したおどろきのあまり。
「メジェド!!??」
 なんでメジェドがここにいるのか。
「光に会いに来たの??」
 よく夫に会いに来ているメジェド。メジェは、首を横にふるという。
「ひまだから来た~」
 暇だからと気軽にここへ来ていいものなのだろうか。
 友美は、そう思いながら苦笑いを浮かべた。
「姫もしかして暇??」
「暇と言われたら暇かも」
 のんびりしたいが、特にやることがないので、友美は、そういうと、メジェドの目が光だす。
「え!?」
「なら涼しいところへ行こうー」
「待って!?」
 咄嗟に白野威の尻尾をつかみ、友美は、メジェドの光包まれてしまった。
「なにこれ!?」
「白野威とりあえずメジェドに事情聞いて!!」
 寝ていたのに起こされた白野威は、怪訝そうにメジェドをみると、次の瞬間落ちた。水のなかに。
 しかしその水は、普通の水では、ない。この馴染まない感じの体のそこから冷える感じ。
 友美は、まずいと白野威に結界をはる。
「友美!?」
「白野威飲まないでよ!! この水を!!」
 友美は、白野威を抱え、岸まで泳ぐと、メジェドを睨む。
「涼しいでしょう??」
「涼しいわけないわ!! そもそもここ黄泉じゃない!!」
 涼しいしかしそれは、死の冷たさだ。  
 友美は、ため息をこぼすと、白野威の無事を確認する。
「白野威大丈夫??」
「なんとか……友美が結界はってくれたお陰で、水飲まなくてすんだ……」
 神でも黄泉のものを食らえば死んでしまう。友美は、ほっと胸を撫で下ろす。
「姫は、やっぱり平気!!」
 メジェドの言葉に、友美は、ばつの悪そうな顔になる。こいつ色々知ってるなと思いながら。
「友美の中の黄泉の力って本当にすごい……」
「どこその女神のものをそのまま放り込まれたからね」
 白野威も少し申し訳なさそうな顔になっている。
 友美は、そんな白野威を見て微笑むが、すぐに考え出した。
「ここ……どの世界の黄泉??」 
 エジプトかはたまたギリシャか。
 ギリシャならば、深さは、どのくらいだろうか。
「タルタロスまで落ちてるのなら、帰れる手だてあるけど……」
 こんなときに自分の顔の広さが役に立つ。友美は、珍しく力をすこしばかり解放することにした。
 夜空の瞳がまばたきをした瞬間深紅へと変わる。
「黄泉の力を使うの??」
「念のためにね。太陽神そしてもうひとつの力よりは、適用出来るから……まぁもうひとつを使ってもいけるけど、世界への影響を考えてね」
 友美の瞳の色は、一種の目印となっている。彼女が保有する力を使うときその瞳の色が変わることがあるのだ。
「白野威とのバイパスもいちおう遮断したから」
 黄泉の力は、例え神でもあったもひとたまりもないものだ。
「友美……」
「万が一白野威何かあると怖いもの」
 友美は、微笑むと白野威の頭を撫でた。
「メジェドここがどこか知ってるわよね??」
 メジェドに友美は、迫ると、メジェドは、頷く。
「うん!! ここは、黄泉!!」
 友美は、しばらく真顔になる。そして遠くから感じる気配になにかを察したのか、頭を抱えた。
「間違いなく日本神話の黄泉ね……」
「おふくろの力の気配が微かにするし??」
「そう」
「涼しいしすぐ帰れるしね!!」
 友美と白野威は、楽しげかメジェドを睨む。
「だからって黄泉を選ぶな!!」
 神子と神口を揃えそして言った。
「白野威とりあえずイザナミ所行く??」
 白野威は、メジェドに噛みつきながら頷く。
「こいつおふくろにぶん投げて帰る」
「分かったけど……メジェド楽しそうね」
 咥えられ振り回されてるのに楽しそうなメジェド。
 友美は、本当にわけの分からない神だと思っていた。
 薄暗く青い世界を友美と白野威は、歩きだした。
 黄泉の地図は、頭にあり、友美は、気配と感覚から何処か判断していた。
 イザナミの神殿までけっこうな距離がある。そのうえ、白野威にとって黄泉は、長居できる場所ではない。
 げんに今も少しずつだが、白野威の力が弱ってきていた。
「白野威」
「なにさ」
 歩きながら友美は、目を伏せるという。
「そんな状態で私を助けに来てくれたんだね……普通なら諦めない??」
 力が弱くなり、命の危機も地上よりある黄泉。そんな相性の悪いところは、普通は、助けに来ず、誰かに任せるのが普通ともいえる。
 友美の質問に白野威は、あきれた顔をし言う。
「助けに行くつうの。だって自分の神子の危険なんだよ!? それに可愛い娘を見捨てられるか!!」
 友美は、本当に白野威は、神らしくないと思いながら、笑った。
「そっか」
「それに光一人だと帰ってこれなかっただ、うしね。水郷がいたとしてもさ!!」
 ニヤリと笑う白野威。
 友美は、目を細めると言う。
「ありがとう」
「どういたしまして」
 白野威にボールのように転がされているメジェド。
 白野威と友美の会話を聞きながら、これだけ固い絆で結ばれている神と人も珍しいと思っていた。
「あれなに??」
 白野威が、見ている先になにやら土煙があがっていた。
 友美は、目を細めると驚いた顔をした。
「あれ黄泉の蟲!?」
「なんであんな、大群!?」
 そして大群の目指す先にあるのは、なんとメジェド。
 友美は、まずいと、メジェドを抱えると、いっきに、黄泉の蟲を青白い炎でやきつくした。
「さすが友美……」
「こうなったら……」
 友美は、指笛を鳴らすと、なんとユキヒョウが影からあらわれた。
「憑霖お願い!!」
 ユキヒョウは、主の瞳の色をみると、なにかを察しすぐに動く。
「白野威乗って!!」
「狼の姿で!?」
「いいから!!」
 姿勢を低くしまつ憑霖に白野威は、躊躇しながらも背に乗ると、友美もつづけてのり、憑霖は、すぐに空へ。
「こいつがこんなことをするなんて……」
「姫の頼みだからだ」
 憑霖は、それだけいうと、飛ぶことに集中した。
「わぁーい!!」
「メジェド楽しそうね……」
 友美は、呆れたようにいうと、白野威も同意した。
 しばらく空を飛ぶと、明るい神殿が見えてきた。
 憑霖は、その上を旋回すると、神殿を守る黄泉の民が驚いた顔に。
「間違いない……姫だ」
「すぐに伝えろ!!」
 神殿の門に降り立つと、門は、静かに開いた。
「姫」
「いきなりですまぬ。イザナミは、おるか??」
「はい。中に」
 憑霖は、友美に頭を垂れると、消え、友美は、白野威とメジェドをつれ中に。
 通された奥の部屋の上座にイザナミは、いた。
 突然の来訪者に驚きながら。
「友美に天照どうした」
「えーとー」
 どう説明しようかと友美が悩んだとき、白野威は、宣言通りメジェドをなんと咥え、凄いスピードでイザナミに投げ飛ばす。
 投げられたメジェドは、凄い速さでイザナミのところに、イザナミは、そんなメジェドを持っていた扇で顔に迫る前に打ち、メジェドは、壁にのめり込んだ。
「天照これは、どういうことだ」
「それが行きなり来た理由おふくろ!!」
 メジェドが、どんな神か、イザナミも知っている。
 なにかを察し、イザナミは、ため息をつくと言った。
「あのエジプト神は、困ったやつだな相変わらず……」
「本当に。とりあえずおふくろもう帰るわ」
「メジェドを置いていくと??」
「面倒を起こされたら困るから」
 白野威は、そういうと部屋を出ていってしまった。
「イザナミ色々とごめんなさい!!」
「よい友美。ひとまず、メジェドは、こちらでどうにかする」
「ありがとう」
 イザナミは、優雅に微笑むと、友美は頭を下げ、部屋を後にした。 
「メジェドのやつ……天照に会いたいといった私の言葉を覚えていたのか……」
 久しぶりにみた娘の元気そうな姿にイザナミは、ほっとしていた。しかし。
「メジェドは、言わなければいけないな。普通の神にとって黄泉とは、危険なところだと」
 対策もせずに、連れてこられたように今回は、見えた。
 友美が色々咄嗟に対処したようだが、それでも不十分だ。
「メジェド。いいか次からは、事前に言ってか、連れてこい」
「はぁーい」
 ころころ転がるメジェドをみて、イザナミがため息をつく頃、友美は、白野威を抱え、急いで帰っていた。
「白野威あと少しだから!!」
 イザナミの前では、立っていたが、その後倒れてしまった白野威。
 問題のない地点にくると、友美は、黄泉の門を開く。そして門を潜ると、目の前には、見慣れたリビングが。
「白野威ゆっくりしてね」
 友美は、門を閉めるの、白野威を清め、閉じてたバイパスを開き、白野威を彼女がよく使ってる座布団に寝かせる。
「命の方は、大丈夫ね。力が急に減って倒れた感じか……」
 この家は、清浄な空気に満ちている。少したてば、白野威も回復するだろう。
 しばらくすると、白野威は、目を覚まし、体を起こした。
「友美ありがとう」
「いいよ。私も咄嗟に連れていってしまったものごめんなさい」
 白野威は、あくびをする。
「着いていったのは、私だから気にしなくていいつうの」
「白野威……」
「久しぶりにおふくろに会えたし、まぁよかったかな」
 白野威は、そういうと微笑みまた寝始めた。
 友美は、その様子を見ながら思う。もしかするとメジェドの行動は、この親子を会わすためだったのでは、ないかと。
「友美その瞳……」
 この声はの振り替えるとリビングに光が。どうやら異変に気づき帰ってきたのだろう。
「光仕事は!?」
「分身に任せてきた。突然友美と白野威の気配が黄泉に移動したのを感じたからか」
「あー実は、メジェドが……」
 一連の説明を光に友美は、すると、光は、あきれた顔に。
「メジェドらしいな……だから友美の瞳の色が深紅になっていたのか……」
「黄泉で白野威守るためにもね……でもじきに戻ると思うわ」
 しかし光は、何処か寂しそうな顔をすると、言った。
「ならその瞳を思う存分見る!!」
「なんで!?」
「レアだから!! 写真とっていい??」
 友美は、顔をひきつると思う。メジェドの馬鹿と。
 ようやく落ち着けると思ったら、今度は、夫とは。友美は、ゆっくりさせてくれと心のなかで叫びながら、光から逃げるのであった。
「友美カンバーク!!」
「嫌よ!!」
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