光明ノ神子

 夏の朝のこと。友美は、ニュースを観ながらそういえばとカレンダーを見た。
「そっか……花火大会……」
 髪ものび、今なら様々なヘアアレンジも出来る。
 友美は、よし。とあることを決めると、座っていた椅子立ち上がり、リビングから和室へ。
「光!!」
 襖を凄い勢いで開けると、友美は、まだ寝ている光に飛び付いた。
「うっ……」
 いきなりの衝撃に光は、唸る声をあげると、瞼をうすくあけ、友美を見る。
「いきなり……飛び付くな……」
 かすれた声など気にせずに友美は、話した。
「光!! 花火大会行こう!!」
「……花火大会??」
 枕元に置いてあった眼鏡をとり、光は、かける。
「そう!! 花火大会!!」
 ぼやけていた、視界がはれ眩しい笑みを浮かべる恋人。
 光は、覚醒していない頭で、花火大会などあったかと思いながら、体を起こした。
「光!! お願い!!」
「友美とりあえず降りろ」
 体を起こしたことにより、友美の顔との距離が近くなってしまった。
 光は、あくびをしながらいうと、友美は、なにか言いたげだが、退いた。
「光!!」
「そんなに朝から……大きな声で名前を連発するな……」
 朝から大きな声は、頭に響く。
 光は、そういうと、友美は、さらに不満げな顔になる。
「光の馬鹿!!」
「確かに俺は、馬鹿だが」
「……そこは、認めるんだ……」
「そりゃな」
 友美は、いきなり話題を切り出したのは、よくなかったかと思いながら、話した。
「今日は、花火大会があるの!!」
「そうなのか……」
「だから……光……行かない??」
 頬を赤くし、恥ずかしそうに友美は、言う。先程は、勢いで言ってみたが、改めていうと少しこそばゆい。
「……」
 光は、しばらく考えたのち、言った。
「場所は??」
 これは、もしかすると行けるかもしれない。友美は、光に場所を伝えると、彼は、何かを思い出したのか、顔がとたんに暗くなった。
「それ……毎年凄い人がくる花火大会じゃないか」
「そうなの??」
 光は、苦笑いを浮かべる。友美がこういうのもしかたがない。
 巫女の時は、毎日少女には、耐え難い日々を送り、花火大会どころでは、なく、二年前は、そもそも花火大会などには、いけない状態。そして去年も人混みを避け花火大会などには、行かなかった。
「そうなの」
 光は、優しい声色でそういうと、さらに話をした。
「毎年50万人とか100万人とか、言われるくらいの人が来るんだよ」
「凄い数……」
 想像してみたが、何故か、すし詰め状態の満員電車が出てきた。しかしこれに近い状態と考えれば、行くことに億劫になるのもわかる。
「光やっぱりやめとく??」
「別に俺は、どっちでもいいよ……」
 光は、どうやら付き合ってくれるらしい。友美は、どうしようかと悩んだが、すぐに答えを出した。
「行く!!」
 眠そうな顔をしながらも光は、優しく目を細める。
「なら夏休みの宿題しっかりやらないとな。俺も大学の図書館にいく……」
 光が続きをいいかけたとき、友美は、あることをひらめき、光にせまる。
「私もいく!!」
「えっ??」
「大学の図書館私もいく!!」 
 光は、キョトンとしたのち、驚いた顔に。
「えっ!!??」
「確か一般の人も入れるでしょう??」
「そりゃ……」
「それに静かだし、人も少なさそうだし!!
行く!!」
 まさかの展開に光は、驚きを隠せなかったが、ふとおもう。もしかして、友美は、今日は、自分といる時間を増やしたいのかと。
「分かった。だが、静かにすること!! あと勉強もすること!!」
 さすがにここまで言われなくても友美は、やると思っていた。
「光お母さんみたい……」
「そりゃ薫さんから友美を任されてるから、こういうことも言う」
 二人の関係を友美の親は、知っており、認めている。
 友美は、少し不服だが、光が親から認められている証拠かとここは、そうとることにした。
「とりあえず朝御飯にしよう!!」
「そうだな。今朝は、どうする??」
「食パン焼いて、ジャム塗るだけで……」
 友美は、そう言ったとき、見てしまった。光の恐ろしい形相を。
「はぁ??」
 低い声に友美は、身震いする。
「なにか問題でも!?」
「大有りだ!! それが健康的な食事と言えるか!!!」
 光は、そういうと、着替えて、和室をで、キッチンに。
「友美は、洗濯を。俺が朝食を作るから!!」
「はい」
 これは、手を出さない方が身のためだ。
 友美は、洗濯機をまわすと、ゴミを出しにいこうとしたが、すでに光がやりあえていた。そのあと掃除機をかけたりしたが、光が普段やっているのでとても綺麗だ。
「白野威……光って今はやりのスパダリ??」
 床に落ちていた白野威に友美は、話しかけると、白野威は、むくりと、顔をあげる。
「……今さらなにいってるのさ」
「ふと思ったから」
 友美のためにと色々おかしな方向にへんなスキルを身に付けている光の苦労がようやく認知されたかと白野威は、思いながら、言う。
「まぁ思えたならいいんじゃない。友美とりあえず光にお礼言っときな。あと誉めとくこと!!」
 友美は、不思議そうに頷く。
「分かった。でも感謝は、わかるけど誉めるのって……」
「友美の未来のために!!」
 とりあえず言われた通りにしよう。
 友美は、朝食が出来上がり、食卓につくと、朝食を食べながら言った。
「ありがとう!! とても美味しい!!」
 光は、微笑む。
「ならよかった」
「でも凄い……味噌汁に、卵焼きに……ご飯と漬け物……」
 この短時間であっという間に作ってしまった光。
 確かにこれは、誉めておけといった白野威の言葉の意味が分かる。
「あれ……私別れられる可能性あり??」
 ふと友美は、呟くと光は、飲んでいたお茶が気管にはいりむせた。
 咳き込む光に友美は、慌てて立ち上がると彼の背中をさすった。
「ありがとう……」
「大丈夫??」
「とりあえずはな」
 友美は、よかったと胸を撫で下ろすが、同時に光なら恋人をよりどりみどり出来るのだと改めて思った。
「……続き食べよう」
 少し様子がおかしい友美。
 光は、しばらく黙って友美を見ていた。
「友美」
 沈黙を光が破ると、彼は、立ち上がり、友美のところに。
「光ご飯まだ……」
「途中だが、こっちの方が大切だから」
 光は、そういうと友美を抱き締めた。
「光??」
「俺は、別れる気なんてさらさらないから」
 友美は、微かに瞳を揺らすと目を伏せた。
「ありがとう……」
「ようやく安心して隣にいれるようになったのに、その幸せをみすみす手ばなせれるか……」
 拗ねたくちょうで光は、いうと、友美から離れる。
「とりあえずそういうことだから!! ご飯食べたら行くぞ図書館!!」
 友美は、頷くと、二人は、朝食を食べ終え、残りの家事を片付けると、図書館に出かけた。

 照りつける夏の日差しに友美は、うんざりしていた。
 隣にいる光は、涼しげな顔をしている。友美は、まさか光は、この暑さがへっちゃらなのかと思った。
「光暑いの平気なの!?」
「平気じゃない」
 一言そういうと、光は、歩き出す。何時もの彼ならもう少し早く歩くが、歩幅を今日は、友美に合わせてくれていた。
「光まだ??」
「もう少しだ」
 光の通う大学につき、二人は、図書館をめざし、歩いていた。
 大学のキャンパスは、広いときいていたが、確かにその通りだ。
 友美は、手で、あおぎながら頷く。
「……これ使え」
 差し出された扇子に友美は、驚く。
「光扇子持ち歩いてるの!?」
「よく使うから」
 差し出された扇子を受け取り、友美は、早速使うが、その柄に少し驚く。
「猫……ゴロゴロころがってる……」
 この柄は、女性向きのような気がする。
 光は、かわいいものが好きなので、なんとなく納得もできた。
「しかも男性もの……これ必死に探したやつだな……」
「可愛いだろ??」
「うん。でも光ほら蛍とか男性ものの柄が……」
「俺は、これがよかったんだ」
「なるほど……」
 これは、将来大変なことになるかもしれない。
 友美は、色々考えて顔を青ざめるが、それを、光は、不思議そうに見ていた。
「さてついた」
 光が足を止めた建物には、図書館と看板が。友美は、思ったよりも大きい図書館に驚きつつも、中にはいる。
 静かで涼しい図書館に天国と友美は、思っていると光が居なくなっていた。
「こっち」
 手招きしている光をみつけ、慌てて彼のいる席に。
「じゃ俺は、資料を、探してくるから」
「うん」
 さて勉強を始めよう。教材を友美は、広げると、シャーペンを動かし始めた。
「友美もうそろそろ……」
 昼前になり、光は、時計を確認し、友美に声をかけようとした。しかし彼女に自分の声は、届いていなかった。
 光は、なにげなく、友美をじっと見る。
 整った顔立ちに、長いガラス細工のような睫毛。そして雪のような白い肌。改めて思うが、友美は、そうとう美人の部類に入る。
「子供の頃は、やんちゃだったのに……」
 まさかあの猪がこんなにも綺麗になるとは。
 確かに幼い頃の友美は、可憐という印象を持てるような容姿をしていたが、その中身は、恐ろしいほど、可憐でそのうえ、強い感じだった。
「ねぇやっぱり未成年に手を出す男ってダメよね??」
「当たり前よ!!」
 風に乗りそんな話し声が聞こえ、光は、きもが冷える。そのヤバイやつがまさしく俺だと思いながら。
「光??」
 目の前で何故か、落ち込んでいる光に友美は、首をかしげる。
「友美俺ってやっぱり変態??」
「はぁ??」
 思わず間抜けな返事をしてしまったが、友美は、周りの状況を確認し、そして、答える。
「ケースバイケース」
「そっか」
「少なくとも親が認めてる関係だから問題ないでしょう」
「だよな……」
 とりあえずフォローしておいたが、正直未成年に手をだす男も不味いが、騙される未成年も未成年といえる。
 たいてい未成年に手を出してくるやつなんて、ろくなやつがいないというのに。
「まぁでも本気なら親に許可もらうのが普通だよ。未成年に手を出す前にね」
「友美……」
「その点は、光クリアしてるから大丈夫!!」
「ありがとう」
 周りの声より当人たちの問題ともいえる。 
 友美は、微笑むと時計を見て驚く。
「お昼!!」
「学食でもいくか??」
「学食は、遠慮しとく!!」
「わかった。なら帰ってお昼にするか」
「それも遠慮します」
 光は、困った顔になる。ならどうするのかと。
 友美は、にっこり微笑むと片付けをし、光の手を握ると、そのまま図書館をあとにした。
「友美!?」
「今日は、少し贅沢!!」
「贅沢!?」
 まさかこの格好でフレンチにでも行くのかと光は、思ったが、やって来たのは、大学近くのコーヒーチェーン店だった。
「ここでアメリカンなお昼とあまーいフローズンを飲もう!!」
「確かに少し贅沢だな……」
 光は、ほっとしたようにいうと、友美は、微笑む。
「光いつも頑張ってるから私からのちょっとした労い!! でもお小遣いアップがいいなら、そっちでもいいよ??」
 光は、あきれた顔をするという。
「お小遣いってねぇ……」
「冗談!! 光のお給金アップも検討してもいいよ??」
「それは、おいおいでいい。今でもいい方だと思うが??」
 神子は、何かと大変なことに巻き込まれることも多いが、この分稼ぎもいいとも言える。
 光が普通のバイトもせず、ある校長に目をつけられ、保健室にいるだけのへんなバイトだけ時々やって過ごせているのもこのお陰だ。
「確かに??」
「なんで疑問けい……」
「他をあまり知らないから」
 確かに友美ならそうかもしれない。
そんな話をしながら、二人は、空いている席をとり、早速注文するために列に並ぶ。
 たわいもない話をしながら、待っていると順番が回ってきた。そして商品を注文すると、受け取り、席についた。
「光どっちも甘いの!?」
 彼が頼んだものは、フローズンになんとケーキ。友美は、確かに甘党だとは、知っていたが、ここまでかと驚く。
「頭を使ったら糖分がほしいんだ」
「まぁわかるけど……」
「友美は、フローズンにサンドイッチか……」
「お昼は、しっかり食べないとね」
 友美なら甘いものに、すると思っていた。
 光は、こういうところは、しっかりしてるんだよなと友美を見ながら思う。
「美味しい!! 季節限定にしてよかった!!」
「そうだな」
 昼食を取りながら、二人は、話をしていると、ふと視界に浴衣姿の女性が目にはいった。
「まだお昼なのに!?」
「友美。多くの人は、和服と縁遠いからな。浴衣でも今は、お祭りの時にきる特別なものともいえるかもしれない」
「確かに……」
 二人にとって浴衣は、部屋着のイメージが強い。それに和服も神子装束としてよく着ている。
 和服とは、しきいが高いイメージもあり、なかなか今は、着る機会が少ない。
 友美は、こんな昼間から暑いのにと思いながら、浴衣姿の女性を見ていた。
「光この後浴衣見に行く??」
「……あるのに??」
「あるのに!!」
 これは、付き合った方がいいかもしれない。光は、そう思いなかば呆れながら言った。
「分かった」
「ありがとう!!」
 その後食事を終えると、二人は、浴衣を見に、ショッピングモールへ。しかし友美は、渋い顔をし、結局お世話になっている呉服屋に、やって来た。
「友美それ浴衣じゃないぞ~」
「でもかわいい……」
 友美が見ているのは、爽やかな色味の絞り染めで染められた夏用の着物だった。
「友美さん絞り染めの浴衣ございますよ??」
 店主が声をかけると友美は、瞳を煌めかせすぐに見せてといい、品を見せてもらった。
「可愛いー!!!」
 しかしお値段は、可愛くない。
 友美は、ぎょっとした顔をしたが、すぐに決めた。
「あの夏用の着物とこの浴衣お願いいたします!!」
 光は、呆然とそんな友美を見る。確かに彼女の懐事情なら即決できるものだが、それでも高価だ。
「お着物は、採寸し反物から仕立てますね。浴衣は、ちょうどよいものがありますのでそれで」
「ありがとうございます」
 会計を済ませ、浴衣を受けとると、二人は、呉服屋を後にした。
「友美よかったな」
「うん!! でもけっこうお財布には、いたい衝動買いだったけどね……」
 自嘲し友美は、そういう。
「まぁ呉服屋に行く時点で安くすむわけないしな……」
「御名答」
 二人は、微笑み合うと、スーパーにより買い物を済ませ、帰宅した。

 日がかたむきだし、友美は、わたわたとしていた。
 鏡の前で、着付けをした浴衣を見て、変なところがないか確認をし、とりあえず髪も結ってみた。
「友美いいじゃん」
「そうかな?? 白野威??」
 可愛らしい簪が頭で揺れ、少し大人びた雰囲気を友美は、まとっていた。
「これで光のハートゲット!!」
「すでにしてるつうのー」
 しかし白野威には、ある疑問が。
「友美こんな時間にのんびりやってていいわけ?? この花火大会すごい人来るじゃん」
 友美は、自慢気に胸を張るという。
「実は、私大家さんなのです!!」
「だからなんなのさ」
 友美は、地図を見せると言う。
「ここが花火が上がるところで、ここでスッゴク見やすいビル」
「確かにそこからだとけっこう見れるね」
 白野威は、まさかと思い友美の言葉を思い出した。
「まさかこのビルの大家さん!?」
「そう!! 天照が、不動産は、もっとくと色々いいから~って買ってたみたい……」
 衝撃の事実に驚きながらも白野威は、天照ならやってそうだなと納得していた。
「友美のこと思って色々やってたんだなぁー天照」
「みたい……お陰で色々助かってるけどね」
 高天ヶ原で唸っている天照を思い出し白野威と友美は、笑った。
「でもさ税金とかどうなの??」
「それを賄えるだけの家賃収入は、あるから問題なし!!」
「なるほどね」
 友美が光によく、家計が危なくなっても大丈夫といってる理由もわかり、白野威は、思う。もしかすると友美には、まだまだ収入源が複数あるのかもしれないと。
「友美少しいいか??」
 和室から声が聞こえ、友美は、ロフトから移動した。
 中にはいると光が難しそうな顔をし地図を見ている。
「友美この時間からだと……」
 どうやら見る場所の打ち合わせをするつもりのようだ。
「光大丈夫!! 私大家さんだから!!」
 友美は、胸を張り言うが、光は、困惑した顔に。
「確かに大家さんだけど……」
「だから!! ここのビルの大家さんでもあるの!!」
 友美は、地図を指差すと、光は、驚く。
「なに!? ここすごく見えるところじゃないか!! 毎年見せてくれとか問い合わせないのか!?」
「基本テナントしか入れないようにしてるからそんな問い合わせは、ビルの管理担当さんに断ってもらってる」
「ビルの管理担当……」
 光もしらない友美のこと。まだまだありそうである。
「なら場所問題は、解決だな」
「光またいこう!! 夜店もみたいし!!」
「分かった」
 光は、微笑むと直ぐに視線をそらし言った。
「浴衣似合ってる……すごくきれいだ……」
 友美は、パット明るい顔になると言った。嬉しそうに。
「ありがとう!!」
「へぇー素直に誉めるんだ~」
 茶化すような白野威の言い方に光は、不機嫌な顔になる。
「どこその方向音痴と一緒にするな」
「方向音痴……」
 突っ込むのは、やめよう。友美は、苦笑いを浮かべた。
「とりあえず行こうか」
「うん!!」
 光も支度をしだし、友美は、白野威とリビングで待っていた。
 和室から出てきた浴衣姿の光に思わず瞳を煌めかせる。
「格好いい……」
「そりゃどうも」
「照れてる……」
「白野威五月蝿い!!」
 照れる光もまた可愛い。友美は、そう思いながら笑うと、花火大会へと向かった。


 人々の楽しげな声に、ごげるソースの香り。友美は、辺りをキョロキョロしながら、歩いていた。
「友美」
 前を歩く光に呼ばれ、友美は、止まると、手に温もりを感じた。
「迷子になりそうだから」
 そっと握られた手に友美は、驚くと直ぐに微笑む。
「ありがとう。光焼きそば食べたい!!」
 困ったように光は、笑うと、いう。
「分かった」
 夜店で、焼きそばにりんご飴を買うと、光は、ふと思う。
「友美金魚すくいとかヨーヨー釣りは、やらないのか??」
 友美は、首をかしげると言う。
「なんで??」
「お祭りといえばとだろ?? あと射的とか……」
「金魚すくいやってもその後の金魚どうすればいいかな?? っていうのもあるし、ヨーヨーも直ぐに小さくなっちゃうしねぇ」
 友美は、どうやらやらないらしい。光は、少し寂しく感じた。せっかくの夜店なのにと。
「やってくる」
「何を??」
「ヨーヨー釣りだ!!」
 友美は、驚いた顔をするが、光は、手を繋いだままヨーヨー釣りへ。そしてすごい気合いでヨーヨー釣りを始めた。
「釣れた!!」
「ほんまや!!」
 光の、楽しげな様子を見ていると友美もやりたくなってきた。
 店主に声をかけ、お金を払い、さっそくヨーヨー釣りに挑戦。
 水色のヨーヨーを見つけ、さっそく釣ってみた。
「釣れた!!」
「よかったね」
「うん!!」
 二人は、微笑み会うとお礼を店主にいい、夜店を後にした。
「光ここ!!」
「おしゃれなビル……」
 そしてやって来たのは、友美がオーナーのビル。おしゃれなたたずまいに光は、驚くが、すぐになかに。
 エレベーターにのり、屋上まで行くと、屋上は、おしゃれな植物がおかれ、ウッドデッキになっていた。
「このビルに入ってる会社の人たちは、したにあるテラスやバルコニーで見る人が多いからここは、穴場!!」
「なるほどな」
  友美は、置いてあるベンチに座ると、白野威も姿をあらわす。
「はい焼きそば!!」
「ありがとう友美」
 光もベンチに座ると、友美が焼きそばを彼に手渡した。
「ありがとう」
「どういたしまして!!」
 焼きそばを食べながら花火を待っているとすぐにドーンと音がし、大輪の花が夜空に咲き誇った。
「うわぁー」
「綺麗だな」
「うん!!」
 いきなりだったが光を誘ってよかった。友美は、方思いながら花火を見る。
「そういえば硝煙で色つけてないの……??」
「白野威昔は、そうだったが、この色は、違うと思う。硝煙をつかったよりも明るいからな」
 白野威と光の会話を聞きながら友美は、思う。それ江戸時代のはなしではと。
「炎色反応を利用して、色々新しくできてるしね!! 今は」
「そうだね」
 友美は、白野威にそういうと、再び花火を見始めた。
 こうして来ることが出来てよかった。友美は、そう思いながら隣にいる光をみると、幸せそうに微笑む。
「また来ようね光!!」
 光は、優しく微笑むと頷き、優しく彼女の手を握った。
「そうだな」
「なに二人でイチャイチャしてるのさー!!!!」
 空気を壊すように、白野威が光に飛びかかると、またもや、光と白野威の言い争いがはじまる。
 友美は、苦笑いを浮かべると、空を見上げると目を細めるのであった。美しい花火を見ながら。
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