光明ノ神子

 七月七日は、七夕だ。
「今年は、少し力使ったけど見れてよかった!!」
 浴衣に身を包み、友美は、テラスにあるベンチに座ると、団扇であおぎながら、空を見上げていた。
「友美西瓜たべる??」
 リビングから声が聞こえ、友美は、ふりかえると目を見開いた。
「友美??」
 首をかしげる夫。しかしその服装は、洋服でも神子装束でもなかった。
 涼しい白地に紺色格子柄の浴衣を身にまとっていた。
「浴衣……」
「友美が浴衣に着替えてたからせっかくと思って!! どうどう?? 新しいの似合う??」
 西瓜の乗った盆を炬燵の上に置くと、光は、その場でくるりと回った。
 友美は、可愛らしい光に微笑むと言う。
「涼しげだし、モダンな感じで似合う」
「よかった!!」
 嬉しそうに光は、笑うと、盆を持ち、テラスへ。
 友美のとなりに座ると盆を友美に差し出した。
「ありがとう」
 友美は、早速西瓜を食べる。みずみずしい果汁と舌に広がる甘さがいいかんじだ。
「美味しい」
「よかった!! 今年の初物もあたりだった」
「そうね」
 先程子供たちが美味しいと食べていた理由がわかった。
「天の川きれいだな」
「そうね」
 毎年こうして、二人で見ている天の川。しかしけっして毎年同じでは、ない。
 友美は、隣にいる、光を見て微笑むと彼の肩に頭をおいた。
「友美??」
「今年も光と一緒に見れたと思って……」
「織姫、彦星に妬かれそうかも??」
 光は、おかしそうに笑うと、友美は、ニヤリと微笑む。
「大丈夫!! 雨降ってないし、イチャイチャしてるわたぶん!!」
「そうだな」
 互いに微笑みあうと、二人は、夜空を見上げた。美しく輝く天の川を見るために。
 
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