光明ノ神子

 光は、泣いていた。
「買っちゃダメ!?」
 それは、友美のある一言が、原因だ。
「今年は、ポッキー買っちゃダメだから」
 そう11月11日のポッキー日光は、毎年楽しみにしている。そしてポッキーをかうことも。まさかそれが、今年は、禁止命令が出るなんて。
 うるうると瞳をさせてもこの時だけは、友美は、首をたてにふることは、なかった。
「ポッキー……」
「ポッキーってキスしたいだけでしょう!! キスは、毎日やってるんだからいいでしょう!! この話は、終わりです!!」
 友美は、そういうと和室を出ていったしまった。一人のこされた光は、しょぼんとしながらしかたがないとため息をつく。
「友美が今年は、駄目なんてなにがあったのかしら……」
 様子を見ていた水郷は、出てくると首をかしげる。
「分からない……まさかなにか嫌なことでもあったのか……」
 しかしそんな様子も友美になくまったく分からない状況だ。
「とりあえず当日になったらわかるかな??」
「かもしれないわよ」
 光と水郷は、そういいながらとりあえず当日の様子を確認することにした。
 
 ポッキーの日当日。光は、怒られるのは、嫌なので我慢してポッキーを買わずにこの日を迎えた。
 仕事から帰ってくると子供たちの元気な声が書物室から聞こえる。声をかけ、リビングに入ったとき炬燵の上にとんでもないものが鎮座していた。
「……なんだこれ!!!???」
「光おかえりなさい!!」
 にっこり微笑む友美。光は、炬燵の上におかれた箱をもち友美に聞いた。
「ただいま……単刀直入にきくが、これなに!?」
「ご当地大きなポッキーよ!! ちなみにメロン味!! 北海道限定のー!!」
 にっこり微笑む友美だが、光は、この時ポッキーを買うなと言われた理由がわかりすこしほっとしていた。
「なんだ……この為か……」
「なにが??」
「なにもないよ」
 光は、微笑むが、あることに気づく。
「これ……ポッキーゲーム出来ないのでは!?」
「はなからやるつもりなんてないわよ」
「なんだって!?」
「何時もキスしてるのにポッキーゲームする必要ないでしょう??」
 確かにそうなのだが。
「ポッキーゲームだと何時もと違う感じで……」
「楽しめるって??」
 友美にすべて見透かされている。
 光は、気まずそうに頷くが、その時唇に柔らかなものが触れた。
「はい!! ポッキー!!」
 次の瞬間今度は、ポッキーを口にさしこまれた。
「友美!?」
 メロンのチョコの味が口広がるなか光は、不満そうな顔をした。
「こうじゃない!!」
「いいじゃない!! 何時と違うキスだしね??」
 確かにそうだが。
「光ポッキー美味しい??」
 光は、友美に聞かれ頷く。
「なかなか美味しい。でも大きいなこれ……」
「それがご当地ポッキーのうりよ!!」
 楽しげに微笑む友美をみて光は、ポッキーを食べながらこんな日もいいかと思う。
なにより友美が楽しそうなので。
「まぁこういうのもいいかな」
「でしょう!!」
 隣で笑っている友美に微笑むと光は、今度は、自分から彼女に口づけをした。優しくほのかにメロンの香りがするキスを。
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