光明ノ神子

 閑静な住宅地にそのカフェは、あった。おれしゃれでナチュラルな佇まないのカフェ。
 女性うけがしそうなそのカフェの前でソーマは、眉間にシワを寄せていた。
「……ここ洋服の方がよかった……」
 見事に着物で来てしまった。しかしここまで来たら、しかたがない。
 店内に入ると、店員とやり取りし、ソーマは、ある席に座った。
「待たせた」
「そんなに待ってないから大丈夫だぜソーマ」
 にっこり笑う燕青とその奥で微笑む楸。そして楸の向かいに座り、本を開きながら視せんだけこちらを向けている光。
 ナチュラルでおしゃれなカフェに野郎が四人。なかなか似つかわしいともいえよう。
「これで揃ったな光さん!!」
「そうだな」
 なぜいちいちこっちに話題をふってくるのか、光は、そう思いながら答える。
「さてでは、始めようかな!! 男子会!!」
 楸が微笑みいうと、光は、本に栞を挟み鞄に片付ける。
「とりあえずパフェ」
「とりあえずでパフェ頼まないだろ……光……」
 ソーマの突っ込みに光は、真剣な顔をしいう。
「パフェは、美味しいからな!! それにこのカフェのイチオシだから!!」
 どうやら下調べをしてきたようだ。いつもどうりの光に三人は、笑った。
「なら私は、珈琲かな」
「俺も」
「……アールグレイ」
 店員を呼び四人は、それぞれ注文する。
運ばれてきた各々の品をみると本当に個性がでる。
「着物でアールグレイか……」
「悪いか楸」
「いや。相変わらず君は、気品があると思ってね」
 普段和服姿のソーマ。この見かけから日本茶などが好きなと思いきや彼は、紅茶やケーキ洋菓子等が好きだったりする。
 アールグレイを飲みながらソーマは、いった。
「ただ、アールグレイを飲んでるだけなんだが……」
「ほら仕草や雰囲気がね??」
 光は、あきれた顔をしながらパフェを食べていた。
「光さん顔に出てるぞ~まぁ俺もわかるけど……」
「毎回そこから入らないと駄目なのかまったく」
 楸は、毎回まず誉めるところからはいる。今回は、ソーマからだったが、次は、燕青の番だろう。
「光誉めるって大切だからね!?」
「知ってる。だが毎回同じことばかり誉めて、バリエーションがないのか?? 楸」
「光さんそこ!?」
「そこだ燕青」
 確かに誉めることは、いいことだが。
「毎回誉めるからそれ以外の話のレパートリー増やせ!! かと思ったけど……俺……」
 自分よりも歳上の三人の話を聞きながらソーマは、レモンタルトを食べていた。
 光、楸、燕青が揃うと本当に面白い会話が繰り広げられる。
「増やせって楸にふやせられるとおもうか??」
 光のこと言葉に楸は、眉をあげた。
「失礼な!! 私にだってそれくらいできる!!」
「ならソーマの着ている着物がなにか楸には、わかるのか??」
 楸は、ここは、答えなければ、自分のプライドな許せないとじっとソーマの着物を凝視していた。
「燕青は、分かるよな??」
「そりゃまぁな……この時期になると衣替えで勇音がよくいってるしなぁーあの織物のこと」
 光と燕青の会話がヒントかもしれない。 楸は、これだと言う答えが出たのでいう。
「ソーマ、麻かな??」
「ファイナルアンサー??」
「ファイナルアンサー」
 ソーマは、アールグレイを飲むといった。
「藤だ」
 楸は、悔しそうに珈琲を飲むなか、光は、にやにや笑っていた。
「残念ー!!」
「光その言い方やめろ!!」
 楸なにかと不憫な男である。
 光と楸のやり取りを見ながら燕青は、あきれたようにいった。
「光さん絶対にわざとだよなぁー」
「光にとって、楸は、面白いやつだからな」
 仕返しにと、楸は、光のパフェを、食べようとしたが、素手になく、かわりに、光に苺のショートケーキの苺を食べられてしまった。
「光君は……」
「そもそも楸がパフェを取りに来ようとするからだ。とりあえず苺返す」
 パフェの次に頼んだ、苺のショートケーキに乗っている苺を光は、楸のショートケーキに乗せた。
「結局返すのかよ!!」
「そりゃそうだ。燕青」
「まぁ光だからな……」
「まぁそうなんだけど」
 しかしなぜ自分だけこうも光にいじられるのか。楸のちょっとした悩みである。
「光にどうすればいじられなくなるのか……」
「そもそも無理だろ。楸面白いしな」
「確かに」
 ソーマと燕青に言われてしまった。
「私は、至って真面目なんだが……」
「そこが面白いんだ。それに光はあの友美を妻にしたんだぞ。楸が太刀打ちできると思うか??」 
 ソーマに言われ、楸は、それだけで納得してしまった。確かに太刀打ち出来ないと。
「恐るべし友美……」
「楸それ今に始まった話じゃないぞ~」
 燕青は、パンケーキを食べながらいう。
「そうだぞ」
 ソーマも同意したが、光だけは、どこか不服そうだ。
「友美は、少しいたずらが好きなだけだ!!」
「その悪戯がすごいんだろう」
 確かにそうかもしれない。光は、困った顔をするなか、燕青は、そんな光をみてため息をつく。
「でもそれ愛情表現だろ?? 光さん」
「まぁ本人も好きな人には、悪戯しちゃうとは、いってるが……」
「いいじゃん!! 悪戯されても愛情表現なんだから。俺を見てみろ!! アプローチしようがスルーだぞ!?」
 光と楸そしてソーマは、苦笑いを浮かべた。
 確かに恋愛において、燕青は、なかなか不遇と言える。相手があの勇音なので。
「勇音は……難攻不落だならねぇ……」
「基本戯言と思ってるしな」
「そう……」
 楸とソーマも燕青に同情していた。
「こうなったら光を、見習ったらどうだい??」
 楸の言葉に光は、困惑していた。
「そうだな。普通言えんぞ神に瀕死の自分を贄にして、愛する人を守りたいから生かせろとは」
 三人の視線がいたい。
 光は、鋭い光を瞳に宿しいう。
「なんだ。文句でもあるのか??」
「いや」
「なにも思ってないよ」
「いやー光さんやっぱすごいわ……でもさ水郷様じゃなかったらやばかったんじゃね?? ある意味」
 燕青の言葉にソーマと楸も同意した。
「普通の神ならそれこそ、やらないだろうし、助けたとしても、体を好きにされてたかもだしね??」
「そもそも意思も自由にさせられてないだろう」
「確かにそうだなソーマ」
 三人がこう話すなか、光は、冷静に考えて確かにと納得してしまった。
 水郷だからこそ、手をさしのばしてくれたといえる。
「本当よ!! もう!!」
 白銀の蛇の姿で水郷が呆れた顔をし出てきた。それに思わず、ソーマ、楸、燕青は、驚くが、彼らは、忘れていた。
 水郷は、光と比較的一緒にいることを。
「光このケーキくれる??」
「いいぞ」
 水郷が光の食べていたショートケーキの残りを食べるなか、ソーマは、不思議そうに水郷を見ていた。
「光ずっと神と一緒で平気なのか??」
「なにが??」
 光は、首をかしげるなか、ソーマは、いう。
「だってずっと見られてるんだぞ??」
「別に。それに水郷は、色々な所に行きたいたちだし」
「そうよ!! 光ありがとう!!」
 ケーキを食べ終え、水郷は、姿をけした。
「本当に水郷様だからいいんだと思うよソーマ。紅蓮なんて、それここ、大変だろうさ」
 楸がため息をこぼすと、燕青も言った。
「桜花なんで、それこそ、興味津々に色々に手を出すから大変だぞ~ この間も美味しそうな果物って八百屋の蜜柑にてをだして、大変だったんだぜ……」
 猿が蜜柑盗もうとしたと、八百屋の店主と一悶着あった。
 水郷は、そう考えると本当にいい神である。
「氷雪は、基本つれ歩けないからな。楸と燕青の悩みは、俺には、わからん」
 ここにもいた。冷酷にみえながらも優しく神子に基本干渉せず、見守っている神が。
「冬の神なのに、やはり優しいね……氷雪様は……」
「そのうえ掃除うまいしな!!」
 神と神子関係は、それぞれやはり違う。光は、そう思いながら微笑んでいた。
「この後どうする?? 他へいくか??」
 光は、提案をしたとき、三には、言った。
「私は、この後少し用事が」
「俺は、幼稚園にお迎えだ」
「俺は、友美から頼まれたもの届けにいく」
 やはり皆なんやかんや忙しい。
「分かった。燕青なら後で」
「あぁ光さん」
 皆が頼んだものをすべて食べ終え、飲み終え、今回の男子会は、幕を閉じた。
 店をで、四人はそれぞれ楽しげに微笑みながら初夏の風と共に、それぞれの用事へ向かったのであった。
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