光明ノ神子

 本日は、キスの日である。
「友美」
「なに??」
 光は、怪訝そうに友美を見ていた。厳密には、彼女の持つものを。
「それ鱚だよな!!?? しかも生きてるやつ!!」
 暴れる鱚を必死に友美は、捕まえながら言う。
「だって鱚の日だもの!! 生きのいいのを用意しないと!!」
 暴れる鱚を見ながら、光は、恐ろしいことを考えていた。
「まさかそれに……」
「それは、光がキスしてきたらよ!! この鱚は、私の防衛みたいなもの!!」
 鱚をバケツに入れると友美は、言う。
「この鱚食べようかしら……」
「けっきょく食べられるのかそれ……」
 防衛といいながら食べるのかと光は、思う。
「光煮付けにして!!」
「分かったよ。しかし……友美のそ鱚食べないでくれ!! って……」
「ならかえっていうの?? さすがに、海水の魚は、色々面倒だから嫌よ。塩分濃度やら環境整うまで、無理とか色々あるから」
 友美は、バケツのなかを見ながら言うと、手を洗いにキッチンに。
 戻ってくると、光と隣に座り、優しく頬にキスをした。
「嫌だったんじゃ……」
「光からじゃなく私からしたかったの」
 友美は、お茶目に笑うとそのまま書物室にいってしまった。
 光は、その姿を見ながら一人、顔をおおっていた。
「可愛すぎる……これは、生き殺しでは!?」
 自分からもキスしたかったのに。そう思いながら、光は、バケツの中の鱚を見るのであった。
「生きいいし……飼ってみる……??」
 ととんでもないことをいいながら。
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