光明ノ神子

 初夏の風を感じながら光は、瞳を煌めかせていた。
「お父さん……」
「パパ……」
 双子に呆れられながら。
 彼の視線の先には、柊麗そして螢と薔薇を見ている友美が。
 本当に可愛い。薔薇と友美。そして何て幸せなんだ。
 我が子と愛する姫がいる光景が。
 カメラを片手ににやにや笑う父に双子は、呆れていた。
「植物園せっかく来たけど……」
「パパを見てる方が面白いね。榎麟」
「やな遊李」
 咲き乱れる季節のはなよりも父の方が面白い。二人は、そう持っていた。
 植物園に入った直後から、ハートの形のアーチに咲き乱れる花と真ん中につけられた、鐘を見て、父は、ハイテーションに。
「友美!! 行こう!!」
「嫌よ」
 しかし一言で片付けられてしまった。
「……そんなに??」
「そんなに」
 この時母が自分達を優先してくれていると、遊李と榎麟は、すぐに気づいた。
 父もその事に察したのか、そのときは、すぐに終わったが、その後、始まったのである。
 花を見ている母を愛おしそうに見てにやにやしている父の行動が。
「ネモフィラ畑でもお母さん撮りまくってたやんな……」
「そうそう」
 もちろん自分達も相当撮られていたが。
 カメラをかまえ、母を撮りまくる父に、二人は、ますます興味が湧いていた。
「遊李恋って盲目言うけどこれも??」
「かもしれない。パパには、今ママしか写ってないのかも」
 恋とは、謎が多いとも言えよう。
 そんな双子の話を聞き、光は、少し困った顔をしていた。
「……遊李、榎麟、柊麗、螢の事もしっかり見てるぞー」
 父の言葉に双子は、半信半疑だった。
「ほんまに??」
 双子揃って関西弁で言われ、光は、困惑していた。どう答えればいいかと。
「そりゃ……たぶんお母さんのこと見てること多いが……」
「やっぱり……」
 またもや口を揃え呆れられた。二卵性であるが、さすが双子。息がぴったりだ。
「やっぱりお父さんお母さんBIGloveやな」
「それは、今に始まったことじゃないよ。榎麟」
 なんだろうか。友美に突っ込みを入れられていると錯覚する。しかも友美二人に。
 光は、これは、将来末恐ろしいと思った。
「そやな。遊李」
 自分達も恋をすればこうなるのだろうか。
「榎麟!! 遊李!! すごく綺麗よ!!」
 友美に呼ばれ、双子は、友美のところへ。この時遊李と榎麟は、知らなかった。父のもうひとつの理由を。
 美しい薔薇と愛しい我が子を見て微笑む友美と楽しげな我が子たち。本当に暖かな光景に心がほっこりし、幸福感に包まれる。
「本当に可愛い……子供たちも……」
 光は、カメラを構えると撮った。幸せな光景を。
「これ洗剤の臭いする!!」
「だね」
 隣からそんな家族の話し声が聞こえ、光は、苦笑いしていた。せめて、薔薇の匂いと言うか、精油の匂いといってくれと。
「光!!」
「今いく!!」
 友美に呼ばれ、慌てて光は、彼女たちのもとに。
「光はいとるよー!!」
「えっ!?」
 慌てて微笑むとシャッター音がひびく。
「さすが自撮り棒!!」
 薔薇のバックに家族写真がとれた。友美は、満足げに微笑む。
「あとでプリントアウトしないと!!」
「友美……その……」
 光の言いたいことがわかり、友美は、微笑むと言った。
「また送るわ」
「ありがとう!!」
 両親を楽しげな様子に、子供たちも自然と笑顔がこぼれた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん」
「なに??」
「パパとママ本当に仲良しだよね!!」
 柊麗は、微笑み言うと、双子も笑った。
「だからうちら家族は、幸せなんやとおもう」
「両親がなか悪いと、幸せも来ないよねぇ……」
 榎麟と遊李が言うなか、螢も頷く。やはり両親が相思相愛なのは、いいことだ。
「皆来てー!!」
 両親が手招きし、呼んでいる。子供たちは、楽しげに両親のところへ。
「皆楽しいのね!! ふふふ」
「そうかもね」
 隣で笑う友美に可愛いと光は、思いながら微笑む。
 もしかすると、家族の平和は、友美が要なのかもしれない。
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