光明ノ神子

 どうしていつもあまあまなのだろう。
 布団を頭からかぶり友美は、うつ伏せで枕に顎をおきながら考えていた。
「甘すぎる……そのうえ優しすぎるし……長いし……」
 なんのことかというと、夫婦の営みのことである。
 先程のことを思い出すと顔から火が出るほどに恥ずかしい。
 友美は、隣で眠る光をじっと見ると少し腹立たしくもなった。
「光のバカ……」
 このバカには、腹立たしさと少しばかり愛おしさも含まれいた。
 友美は、ため息をつくと体を起こす。
 そして布団から抜け出すと、和室をで、リビングにそしてロフトに上がるとそこで寝ている白野威を起こした。
「白野威!!」
 名を呼ばれ白野威は、目を開けると眠そうにあくびをする。
「なにさ……」
「聞いて!!」
 友美は、その後光への不満を白野威にこぼしたが、白野威は、のんきにあくびをするのみ。
「はぁ~」
「白野威ちょっと!!」
「友美それ惚気だつうの」
「そんなつもりは……」
「ないだろうけど、十分のろけさ」
 白野威からすれば、あまあまで何が悪いと言いたくなる話だ。
 友美は、目を伏せるという。
「もう少しあっさりでもいいかなぁ~と……何時もあまあまだから……」
 不満の理由がわかり、白野威は、ため息をつく。
「光のやつは、昔からそうだからしかたがない。もう友美があまあまいやー!!!! って言うしかないんじゃないの??」
「だよねぇ……でも言うと、悲しい顔をしそう……」
 自分でも思うが、光の、しょんぼりは、友美には、結構な威力がある。
 友美は、目を伏せるという。
「光には、笑っててほしいし……」
「ならあまあまなのは、しかたがないねぇ」
「だよねぇ……本当に光の馬鹿……」
 言われている本人は、夢の中。
 友美は、ため息をつくと言った。
「白野威……」
「なにさ」
「セックスレスと無縁かも……」
「まぁ新婚当初も今ほどでは、ないとは、いえやってたしねぇ……」
 友美は、頷くとスッキリした顔をした。
「白野威ありがとう」
「いいよ」
 友美は、ロフトを降り、和室へ。
 布団にはいると夢の中へと落ちていった。

 朝の日差しが障子の隙間から差し込む。友美は、目を覚ますし、身体を起こした。
「よく寝た~」
 しかしふと隣を見たとき、友美は、唖然とする。
「うぅ……」
 唸っている光の上には、大きな狼が身体を丸くし寝ている。
 友美は、何故こんなことになっているのかと首をかしげた。
「まさか……夜中の愚痴のせい??」
 とりあえずこのままほっておくべきかと考えていたとき、光が目を覚まし、凄い勢いで起きる。
「重いわ!!! 夢でも白野威に乗られてたからまさかと思ったが……」
 光の上から落ちた白野威は、あくびをし、起きた。
「仕返しさ……」
「仕返し??」
 白野威に何かしただろうかと、光は、考えるなか、友美は、顔を青ざめる。
「白野威……」
「友美よく寝てた??」
「うん」
「ならよかった」
 白野威は、そういうと微笑み、和室を出ていった。
「俺なにかしたのか……」
「たぶん原因私……」
 友美は、夜中の出来事を光に話すと、光は、唖然としながら話を聞いていた。
「友美からすれば、愚痴を、しかし白野威からすれば、惚気の話をした結果!?」
「たぶん……だって光甘すぎるんだもの!!」
 正座をし、腕を組む光は、なにかを考える素振りをする。
「と言われても……溢れる愛は、どうにもできない……」
「分かってるわ」
 分かってるからこそ、友美が困っているとも言える。
「光の囁きを聞いてると、もう恥ずかしくなるのよ!!」
「……ふふふ」
 突然笑う光に友美は、不服な顔をする。
「何がおかしいわけ??」
「可愛いと思っただけだよ」
 光は、優しく微笑むと、友美を抱き締める。
「どさくさに紛れて!!」
「いいじゃないか……」
 光は、艶やかに微笑むと、友美の唇を指でなぞる。
「本当に友美は、分かってない……この唇や髪、目元もそして……」
 光は、そのまま友美の鎖骨に優しく口づけた。
「俺し知らない場所も……すべてが……魅惑的ってこと……」
 友美は、顔を真っ赤にするとなんとそのまま光を投げ飛ばした。
「なんで!!??」
 投げ飛ばされた、光は、空中で体勢を整え、畳の上に、着地する。
「もう……光の馬鹿ー!!!!!!」
 朝から友美の怒号を聞くのもいいかもしれない。
 光は、優しく微笑む。
「恥ずかしがる友美も可愛い!!」
「……光本当に甘すぎよ!! どこで覚えてきたの!! そんなこと!!」
「少女漫画だ!!」
「キメ顔で言うな!!」
 友美には、悪いが日頃の仕返しを少しばかり光は、していた。
 もしかすると、自分もSっけがあるのかもしれない。
 困ってる友美を見ると可愛くてしかたがない。
「まぁ友美のこんな顔めったに見れないけど……」
 ある意味レアなので目に焼き付けたい。
「ほんまに光意地悪……どこで覚えてきたんよ」
 あれ方言が出ている。光は、さらにときめいていた。
「友美!!」
「なんよ」
「関西弁!!」
「……別にいいじゃない。でても」
 あれ標準語に戻ってしまった。
 光は、しょぼんとすると、今度は、友美がニヤリと微笑む。
「光の前で関西弁禁止にするわ」
「えっーー!!!???」
 友美は、そういうと和室を出ていってしまった。
 このままでは、友美の方言が聞けなくなる。
 光は、慌てて和室を飛び出すと、友美のところへ。
「友美ごめんなさい!!」
「知らないわ」
「友美……」
 うるうるとしている光を見ていると楽しくなってしまう。
 友美は、少しくらいいわよねと思いながら微笑むのであった。
「お父さんとお母さんイチャイチャしてる……」
「だね」
 榎麟と遊李からすれば、何時もの両親だが、光は、必死だった友美の方言を次からも聞くために。
「友美……お願い……」
 後ろから抱き締め、光は、友美に悲し気な声色で囁く。
 友美は、そんな夫に思うのであった。本当に可愛いと。
「まぁそこまで言うんやったら、ええよ」
「友美!!」
 嬉しそうに笑う光を見て、友美は、微笑むと思う。光は、本当に困った人。しかしすごく可愛くて愛しい人と。 
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