光明ノ神子
金木犀の香りがする頃は、出かけるのも楽し季節だ。
「今度一人でお散歩でもしようかなぁー」
夜一人で友美 は、呟いた。
カタン!! と床になにか落ちる音がし、友美は、キッチンの方を見ると缶を落とした光 がいた。寂しそうな顔をしながら。
「まさか……一人で??」
友美は、このときもう放置していいか思った。色々面倒なので。
「あのー俺の姫??」
「秘密」
秘密といわれ、光は、ほほを膨らまし缶を拾うと棚に片付けた。
「せっかく紅茶いれようと思ったけどやめた!!」
「紅茶なら自分でいれるから」
反乱のつもりが反乱にもなってなかった。たぶんストライキと家事をやめたとしても友美がそつなくすべてをやってしまうだろう。
友美が家事をできないわけでは、ない。
なにせ光が好きで家事しているのだから。
「友美さんこんな旦那さん面倒ですか??」
「面倒です」
友美のところへいき思わず聞くとあきれた顔をし友美に言われた。
「光それより螢 のこと」
友美は、彼の足元を見ながら言うと光は、足下を見る。すると螢が絵本を持ちじっと光を見つめていた。
「お父さん!!」
「いいよ」
優しく微笑む父をみて螢は、嬉しそうに笑うと、絵本を光に渡した。
光は、友美のとなりに座ると螢が膝に乗ってくる。
「螢今日は、お父さんの膝の上??」
「うん!! お母さん!!」
何時もは、隣なのにと思いながらもかわいい我が子に友美は、微笑む。
「螢この絵本……うんちをしたのは、誰って……」
「これがいいの!!」
「分かりました……」
まさかの本に光は、苦笑い。他にも絵本があるのに何故か友美イチオシのもぐらの復讐の話を息子は、チョイスするのだから。
光は、読み聞かせながら隣をみると友美も苦笑いを浮かべていた。
「桃太郎!! とか、こう平和なお話じゃないのがみそね……」
まぁやったことは、かえってくるという話では、あるが。
「お父さんなんでこの犬さんの飼い主は、拾わなかったの?? うんちを」
「うーん拾おうと思わなかったからかな。でも螢拾わないとこうなるからね」
「だね!!」
たぶんその犬に飼い主は、いないと思う。友美は、そう思いながら満足して本を持ち部屋に戻っていった息子を見送った。
「次の本取りに行ったのかしら??」
「かもね」
とりあえず専門書だけは、やめてくれと光は、思いつつ友美の肩に頭をのせる。
「あら」
「友美のかおりは、落ち着く……」
何時もなら抱きつきに来るのにこれは、珍しい。
「そう」
「一緒にお散歩は、ダメ??」
そして上目遣いで光、甘えるようにいう。友美は、まさかこんな作戦に出てきたかと思いながらため息をついた。
「正直に言ったら??」
光は、真面目な顔をすると友美から離れそしていう。
「デートしたいので、お散歩ついていきたいです」
友美は、しばらく考えるようなそぶりをみせそして言った。
「分かったわ。まったく」
光は、嬉しそうな顔をすると友美に抱きついた。
「ありがとうー!!!! 友美好き!!」
「ありがとう……あと暑苦しい」
光は、しょぼんとした顔をすると離れそして友美のてをそっと握った。
「まぁこれならいいでしょう」
「よかった!!」
まったく困った夫である。友美は、何時も思う。ぜったいに光が女の子ならいろんな人を虜にしていたかもしれないと。それほどに可愛いのだ。行動や仕草それに性格も。
「友美お散歩デートといえば、やっぱりお弁当いるかな??」
「要らない」
「そっか……」
光がしょぼんと落ち込んでいるが友美は、スルーした。
「さてともう寝よう……」
「……あの……」
友美がそういいたちか上がったが光は、握っているてを話すどころか手に力を込める。
「……その」
「どうしたの??」
遠慮しがちに光は言う。
「駄目でしょうか?? 今晩……」
友美は、微笑むと言う。
「久しぶりかも。こんなお誘いは。何時も感じたいと言ってくれるのに」
「……なんか今日は言いにくい感じで……変だったか??」
「ぜんぜん。むしろかわいい」
友美は、微笑み言うと光は、ほほを膨らませる。
「可愛いって言われて嬉しくないからな!?」
「そう言うところもかわいいからしかたがないわ。それに女の子が男の子を可愛いと言うのは、好きだからなの!! だから諦めなさい!!」
友美は、微笑むが光は、拗ねていた。だがすぐに艶やかな笑みを浮かべると立ち上がり
友美を後ろから抱き締めた。
「かっこいいも思われたいんです……男は、大切な女性には……」
「なるほど。それよりお風呂はいろねー」
「あの俺の姫。わざと雰囲気ぶち壊してない??」
友美は、楽しげに笑う。
「やろうと思うならどこでもできるでしょう??」
「……確かに……じゃない!! 出来ないからね!?」
友美は、さらに楽しげに笑うと言う。
「とりあえず寝るためにもお風呂~」
「そうだな」
友美は、そういうと和室へ、そして着替えを持つと風呂場に向かったが。
「……お願い聞いてもらえるよね??」
光は、一人一物の不安を抱えていた。
なんだかはぐらかされているような気がして。
そしてしばらく色々推測していると友美が戻ってきた。
「光はやく……」
ドアの隙間から顔を出すと恥ずかしそうに言って。
「……はい」
そんなに恥ずかしそうにされるとこちらも恥ずかしくなる。
光は、着替えを持つと風呂場に向かった。恥ずかしがる彼女は、やはり可愛いと思いながら。
朝の日差しが障子の隙間から射し込む。友美は、その光で目を覚ますと体を起こし隣を見た。
「寝顔は、可愛いのに.…夜は、雄よね」
昨晩のことを思いだし友美は、呟くが雄ならもっと乱暴かと思った。
「光のは、どちらかも言うと硝子を扱うみたいに繊細で優しい感じか……あと甘すぎる」
さて朝からシャワーでも浴びてくるかと思い布団から友美は、抜け出す。
「……ゆみ??」
「シャワー浴びてくるね」
「うん……」
起きてしまった光に伝えると、光は、眠そうな顔をし頷いた。
和室から友美が出ていくと光は、まだ彼女の温もりを感じる布団に手を当てる。
「……やっぱり沈丁花の香りは、いいな」
昨晩もかわいかったと思いながら彼女の残り香を感じていると、しばらくして友美が戻ってきた。相変わらず早い。
「光なにしてるの……」
そしてその顔は、呆れていた。光は、慌てて布団から起き上がる。
「ちょっと幸せを堪能してただけだ!!!」
「そう。それよりシャワー浴びてくる??」
「うん」
友美は、そのまま和室を出ていってしまった。なんというか、切り替えも早い。
「朝からイチャイチャは、なしか……」
中から水郷がいつもイチャイチャしてると言ってきているが無視。
光は、起きると洗濯物を持ち、シャワーを浴びにいく。そしてその間に友美は、天気がいいからと布団をテラスに干し、そうこうしていると子供たちが起きてきた。
「お母さん布団!!」
「ありがとう榎麟」
そして子供たちが持ってきた布団も干すと深呼吸をした。
「金木犀のかおりがする……」
「もう秋だもんね友美」
「おはよう白野威 」
「おはよう」
テラスに出てきた白野威は、のびをすると、クンクンと臭いをかいだ。
「金木犀の香りだね」
「そうね。とてもいい香り」
友美は、微笑むとテラスからリビングに。
「光のやつ拗ねてたよ。イチャイチャ出来ないって……」
友美は、白野威の言葉にあきれた顔をすると言う。
「あれだけイチャイチャしてたのに??
まったく」
「光は、甘えん坊だからね」
白野威は、呆れた顔をし言うと友美も苦笑い。
「まぁそれが光だしねー」
子供たちが朝の支度をするなか友美も支度をする。そして朝ごはんを作ろうとしたとき光がキッチンにやって来た。
「シャンプーの香りがする……」
仄かに香る優しいシャンプーの香りに友美は、クンクンと光の香りを嗅いだ。
「友美とりあえず朝ごはん作るから」
「えっ!? 光!?」
優しくキッチンから友美を出すと光は、手際よく朝ごはんを作り出す。
「また……追い出されちゃった」
しかたがない。他にやることをすべし。友美は、洗濯をしようと、洗面所にいくと、すでに洗濯機が回されていた。
「やっぱ手ぎわいい」
しかしへこたれている暇は、ない。子供たちの支度を手伝いそして自分のしたくもし朝食の準備を手伝い朝食を食べ終えると、子供たちは、上の子三人は、学校に。そして螢は、光が幼稚園に送っていった。
「友美今日は、平日だろ?? 光仕事は??」
「私も分からないわ。何時も螢を
送ってくれるけど……荷物が今日は、少なかったのよね……」
まさか休みでもとっていたのだろうか。いやそんなそぶりは、なかった。友美は、色々考えながらパソコンで仕事をし出すと、しばらくして、玄関のドアが開く音がした。
「ただいま~!!」
光は、リビングに入ってきたが、友美は、驚く。
「光仕事は!?」
「分身に任せたぜ!!」
友美と白野威は、驚いた顔をした。
「え?? 今日は、いくんでしょう?? お散歩!!」
「え?? そのつもりは、ないけど……」
「そうなの!?」
しょぼんと光は、すると友美のとなりに座った。
「ごめん……早とちりした」
「落ち込まないの!! 今日は行こう」
「本当!?」
すぐに元気になった。
光は、嬉しそうに微笑むと、鼻唄をうたいだし掃除を始めた。
「友美いいの??」
「いいのよ。白野威。それに楽しみにしてる光を落ち込ませなくないでしょう??」
「なるほど」
白野威は、楽しげに微笑むと立ち上がり、光の後ろを追いかけ始めた。
「あら」
白野威は、楽しそうなのでいいが、光は、少し迷惑そうだ。
「まぁいっか!!」
とりあえずやることを終わらせるべし。
光がリビングの掃除を始めると友美は、パソコンを持ち書物室へ。そしてカタカタキーボードをならしながら仕事をし何時ものように昼前には、終わらせた。
書物筆からリビングに戻ると光が何やらキッチンでやっている。
「光何を??」
「お弁当作ってるんだ!!」
嬉しそうに微笑む光だが、友美は、唖然としていた。散歩に弁当を持っていくのかも思いながら。
「友美一応要らないっていったよ。なのにお散歩でもお弁当持っていってもいいだろ?? って作り出しちゃったのさ……」
少し疲れた顔をし言う白野威。どうやらだいぶ戦っていたようだ。
友美は、白野威の頭を撫でると光を見る。
「まぁいいんじゃない。光は、楽しいみたいだし何より、遠足みたいでいいかもね!!」
そう。遠足みたいに楽しいはずだ。たぶん。
昨晩友美も要らないといったが、ここまで作ってしまったのならしかたがないというのもあるが。
「さて!! 完成!!」
スマホで写真もとり満足。光は、お弁当をしばらく冷ますと蓋をしめ袋にいれた。
「友美何時でも出発できるぞ!!」
「分かったわ」
にしてもすごく楽しそうである。友美は、ただのお散歩も彼とっては、楽しい時なんだと思うと心が少しだけ弾んだ。
「友美せっかくなら遠くいく??」
「白野威いいの??」
「いいよ」
「でどこに行くんだ??」
「いいところさ」
支度をし、二人は、白野威に連れられやって来たのは、なんと。
「金木犀関係ない!?」
「だね……」
「散歩なんだから金木犀以外も付属いいじゃないのさ!!」
一面に広がる高原のコスモス畑だった。
「ここ入場料……」
友美が不安そうな顔をし言うと白野威は、驚きの事実をいった。
「私が作ったから要らないよ」
「白野威が作った!? 土地は!? まさか勝手によそ様の土地を!?」
友美が顔を青ざめるなか白野威は、不機嫌な顔になる。
「ここ虚空ノ宮の土地だつうの!!!」
「ならよかったー!!」
友美は、安心した顔をすると更なる疑問が。
「でもなんでコスモス??」
「コスモス畑ってきれいだからさ」
白野威は、そう言うと微笑む。
「そうね。ありがとうここへ連れてきてくれて。あとごめんなさい色々うたがっちゃって」
「別にいいよ。それくらいのことそれよりなかなかいいだろ??」
「うん!! とてもきれい!!」
友美は、頷くと光の方を見た。
「あれ?? 光いない……」
「どこへ行ったんだ??」
辺りを見渡すと光は、レジャーシートをひきお茶を飲んでいた。満足げな顔をして。
「なんとマイペース!!??」
「それが光だからね」
白野威が呆れたかとをし友美は、苦笑いを浮かべる。
「友美も白野威もはやく!!」
呼ばれたので光の所へ行くと紅茶が準備されていた。
「お昼前にお茶しよう!!」
「ありがとう光」
友美は、光の隣に座り白野威は、友美のとなりに座る。そして紅茶をのみながら高原の爽やかな風を感じた。
「コスモスやっぱりいいわね」
「友美摘んで帰る??」
「白野威いいのか?? せっかく育てたのに……」
「育てたからこそ飾ってほしいのさ」
白野威は、光にそういうと微笑む。
「そうか」
風に揺れるコスモスは、とても優美で美しい。
友美は、微笑むと紅茶を飲む。
「なら摘んで帰ろう!!」
「全部とらないでよ!?」
「分かってるよ白野威」
お茶をのみお弁当を食べ始めると友美は、驚く。
「デコ弁!?」
「白野威を作ってみたんだ」
「そうだったんだ」
モグモグとお弁当を食べ終えてしまった白野威は、言う。本人は、気にしていなかったらしい。
「注目されてなかった……」
「光落ち込まないで!! 白野威食欲がすごいから!!」
「確かに」
納得できてしまうこの言葉で。それほどに白野威は、食欲旺盛なのだ。
「でも可愛いこの狼さん!!」
「よかった!!」
短時間でこんな可愛いお弁当をつくれる光は、すごい。友美は、隣で楽しげにお弁当を食べている光をみて微笑む。本当にすごいと思いながら。
「美味しい」
「それは、よかった!!」
お弁当を食べコスモスも堪能し、友美たちは、次に、金木犀を堪能しに向かった。
金木犀が多く植えられた公園。この時期になると金木犀のいいかおりに包まれる。
秋の爽やかな風を漢字ながら友美は、深呼吸をした。
「いい香り……」
「秋って感じたね」
「そうね!!」
学生の頃この時期は、何時も金木犀の香りを感じながら登下校をしていた。
懐かしい記憶を思いだし友美は、金木犀を見ていると、視界のはしに光の姿が。しかも怪しげに何かしている。
「光??」
「金木犀……どこがスパイシーなんだ……」
なんと近くで臭いを嗅いでいた。こんなことを呟きながら。
「スパイシー……確かにどこがかしらね??」
スパイシーな香りとも例えられる金木犀の香り。やはり甘いと思うが、スパイシーとは、感じない。
「ドライフラワーでも作ってみようか……金木犀の」
「それいいと思う光!!」
「ありがとう」
微笑む光だが、友美は、このと生真面目に考えていた。作るの大変かもと。
「早速かえったら作り方調べるぞ~!!」
楽しげな光をみて友美は、微笑む。
「もうそろそろ帰る??」
「そうね白野威」
そして金木犀の香りに包まれながら友美たちは、帰った。優しい秋の日差しのしたを。
「今度一人でお散歩でもしようかなぁー」
夜一人で
カタン!! と床になにか落ちる音がし、友美は、キッチンの方を見ると缶を落とした
「まさか……一人で??」
友美は、このときもう放置していいか思った。色々面倒なので。
「あのー俺の姫??」
「秘密」
秘密といわれ、光は、ほほを膨らまし缶を拾うと棚に片付けた。
「せっかく紅茶いれようと思ったけどやめた!!」
「紅茶なら自分でいれるから」
反乱のつもりが反乱にもなってなかった。たぶんストライキと家事をやめたとしても友美がそつなくすべてをやってしまうだろう。
友美が家事をできないわけでは、ない。
なにせ光が好きで家事しているのだから。
「友美さんこんな旦那さん面倒ですか??」
「面倒です」
友美のところへいき思わず聞くとあきれた顔をし友美に言われた。
「光それより
友美は、彼の足元を見ながら言うと光は、足下を見る。すると螢が絵本を持ちじっと光を見つめていた。
「お父さん!!」
「いいよ」
優しく微笑む父をみて螢は、嬉しそうに笑うと、絵本を光に渡した。
光は、友美のとなりに座ると螢が膝に乗ってくる。
「螢今日は、お父さんの膝の上??」
「うん!! お母さん!!」
何時もは、隣なのにと思いながらもかわいい我が子に友美は、微笑む。
「螢この絵本……うんちをしたのは、誰って……」
「これがいいの!!」
「分かりました……」
まさかの本に光は、苦笑い。他にも絵本があるのに何故か友美イチオシのもぐらの復讐の話を息子は、チョイスするのだから。
光は、読み聞かせながら隣をみると友美も苦笑いを浮かべていた。
「桃太郎!! とか、こう平和なお話じゃないのがみそね……」
まぁやったことは、かえってくるという話では、あるが。
「お父さんなんでこの犬さんの飼い主は、拾わなかったの?? うんちを」
「うーん拾おうと思わなかったからかな。でも螢拾わないとこうなるからね」
「だね!!」
たぶんその犬に飼い主は、いないと思う。友美は、そう思いながら満足して本を持ち部屋に戻っていった息子を見送った。
「次の本取りに行ったのかしら??」
「かもね」
とりあえず専門書だけは、やめてくれと光は、思いつつ友美の肩に頭をのせる。
「あら」
「友美のかおりは、落ち着く……」
何時もなら抱きつきに来るのにこれは、珍しい。
「そう」
「一緒にお散歩は、ダメ??」
そして上目遣いで光、甘えるようにいう。友美は、まさかこんな作戦に出てきたかと思いながらため息をついた。
「正直に言ったら??」
光は、真面目な顔をすると友美から離れそしていう。
「デートしたいので、お散歩ついていきたいです」
友美は、しばらく考えるようなそぶりをみせそして言った。
「分かったわ。まったく」
光は、嬉しそうな顔をすると友美に抱きついた。
「ありがとうー!!!! 友美好き!!」
「ありがとう……あと暑苦しい」
光は、しょぼんとした顔をすると離れそして友美のてをそっと握った。
「まぁこれならいいでしょう」
「よかった!!」
まったく困った夫である。友美は、何時も思う。ぜったいに光が女の子ならいろんな人を虜にしていたかもしれないと。それほどに可愛いのだ。行動や仕草それに性格も。
「友美お散歩デートといえば、やっぱりお弁当いるかな??」
「要らない」
「そっか……」
光がしょぼんと落ち込んでいるが友美は、スルーした。
「さてともう寝よう……」
「……あの……」
友美がそういいたちか上がったが光は、握っているてを話すどころか手に力を込める。
「……その」
「どうしたの??」
遠慮しがちに光は言う。
「駄目でしょうか?? 今晩……」
友美は、微笑むと言う。
「久しぶりかも。こんなお誘いは。何時も感じたいと言ってくれるのに」
「……なんか今日は言いにくい感じで……変だったか??」
「ぜんぜん。むしろかわいい」
友美は、微笑み言うと光は、ほほを膨らませる。
「可愛いって言われて嬉しくないからな!?」
「そう言うところもかわいいからしかたがないわ。それに女の子が男の子を可愛いと言うのは、好きだからなの!! だから諦めなさい!!」
友美は、微笑むが光は、拗ねていた。だがすぐに艶やかな笑みを浮かべると立ち上がり
友美を後ろから抱き締めた。
「かっこいいも思われたいんです……男は、大切な女性には……」
「なるほど。それよりお風呂はいろねー」
「あの俺の姫。わざと雰囲気ぶち壊してない??」
友美は、楽しげに笑う。
「やろうと思うならどこでもできるでしょう??」
「……確かに……じゃない!! 出来ないからね!?」
友美は、さらに楽しげに笑うと言う。
「とりあえず寝るためにもお風呂~」
「そうだな」
友美は、そういうと和室へ、そして着替えを持つと風呂場に向かったが。
「……お願い聞いてもらえるよね??」
光は、一人一物の不安を抱えていた。
なんだかはぐらかされているような気がして。
そしてしばらく色々推測していると友美が戻ってきた。
「光はやく……」
ドアの隙間から顔を出すと恥ずかしそうに言って。
「……はい」
そんなに恥ずかしそうにされるとこちらも恥ずかしくなる。
光は、着替えを持つと風呂場に向かった。恥ずかしがる彼女は、やはり可愛いと思いながら。
朝の日差しが障子の隙間から射し込む。友美は、その光で目を覚ますと体を起こし隣を見た。
「寝顔は、可愛いのに.…夜は、雄よね」
昨晩のことを思いだし友美は、呟くが雄ならもっと乱暴かと思った。
「光のは、どちらかも言うと硝子を扱うみたいに繊細で優しい感じか……あと甘すぎる」
さて朝からシャワーでも浴びてくるかと思い布団から友美は、抜け出す。
「……ゆみ??」
「シャワー浴びてくるね」
「うん……」
起きてしまった光に伝えると、光は、眠そうな顔をし頷いた。
和室から友美が出ていくと光は、まだ彼女の温もりを感じる布団に手を当てる。
「……やっぱり沈丁花の香りは、いいな」
昨晩もかわいかったと思いながら彼女の残り香を感じていると、しばらくして友美が戻ってきた。相変わらず早い。
「光なにしてるの……」
そしてその顔は、呆れていた。光は、慌てて布団から起き上がる。
「ちょっと幸せを堪能してただけだ!!!」
「そう。それよりシャワー浴びてくる??」
「うん」
友美は、そのまま和室を出ていってしまった。なんというか、切り替えも早い。
「朝からイチャイチャは、なしか……」
中から水郷がいつもイチャイチャしてると言ってきているが無視。
光は、起きると洗濯物を持ち、シャワーを浴びにいく。そしてその間に友美は、天気がいいからと布団をテラスに干し、そうこうしていると子供たちが起きてきた。
「お母さん布団!!」
「ありがとう榎麟」
そして子供たちが持ってきた布団も干すと深呼吸をした。
「金木犀のかおりがする……」
「もう秋だもんね友美」
「おはよう
「おはよう」
テラスに出てきた白野威は、のびをすると、クンクンと臭いをかいだ。
「金木犀の香りだね」
「そうね。とてもいい香り」
友美は、微笑むとテラスからリビングに。
「光のやつ拗ねてたよ。イチャイチャ出来ないって……」
友美は、白野威の言葉にあきれた顔をすると言う。
「あれだけイチャイチャしてたのに??
まったく」
「光は、甘えん坊だからね」
白野威は、呆れた顔をし言うと友美も苦笑い。
「まぁそれが光だしねー」
子供たちが朝の支度をするなか友美も支度をする。そして朝ごはんを作ろうとしたとき光がキッチンにやって来た。
「シャンプーの香りがする……」
仄かに香る優しいシャンプーの香りに友美は、クンクンと光の香りを嗅いだ。
「友美とりあえず朝ごはん作るから」
「えっ!? 光!?」
優しくキッチンから友美を出すと光は、手際よく朝ごはんを作り出す。
「また……追い出されちゃった」
しかたがない。他にやることをすべし。友美は、洗濯をしようと、洗面所にいくと、すでに洗濯機が回されていた。
「やっぱ手ぎわいい」
しかしへこたれている暇は、ない。子供たちの支度を手伝いそして自分のしたくもし朝食の準備を手伝い朝食を食べ終えると、子供たちは、上の子三人は、学校に。そして螢は、光が幼稚園に送っていった。
「友美今日は、平日だろ?? 光仕事は??」
「私も分からないわ。何時も螢を
送ってくれるけど……荷物が今日は、少なかったのよね……」
まさか休みでもとっていたのだろうか。いやそんなそぶりは、なかった。友美は、色々考えながらパソコンで仕事をし出すと、しばらくして、玄関のドアが開く音がした。
「ただいま~!!」
光は、リビングに入ってきたが、友美は、驚く。
「光仕事は!?」
「分身に任せたぜ!!」
友美と白野威は、驚いた顔をした。
「え?? 今日は、いくんでしょう?? お散歩!!」
「え?? そのつもりは、ないけど……」
「そうなの!?」
しょぼんと光は、すると友美のとなりに座った。
「ごめん……早とちりした」
「落ち込まないの!! 今日は行こう」
「本当!?」
すぐに元気になった。
光は、嬉しそうに微笑むと、鼻唄をうたいだし掃除を始めた。
「友美いいの??」
「いいのよ。白野威。それに楽しみにしてる光を落ち込ませなくないでしょう??」
「なるほど」
白野威は、楽しげに微笑むと立ち上がり、光の後ろを追いかけ始めた。
「あら」
白野威は、楽しそうなのでいいが、光は、少し迷惑そうだ。
「まぁいっか!!」
とりあえずやることを終わらせるべし。
光がリビングの掃除を始めると友美は、パソコンを持ち書物室へ。そしてカタカタキーボードをならしながら仕事をし何時ものように昼前には、終わらせた。
書物筆からリビングに戻ると光が何やらキッチンでやっている。
「光何を??」
「お弁当作ってるんだ!!」
嬉しそうに微笑む光だが、友美は、唖然としていた。散歩に弁当を持っていくのかも思いながら。
「友美一応要らないっていったよ。なのにお散歩でもお弁当持っていってもいいだろ?? って作り出しちゃったのさ……」
少し疲れた顔をし言う白野威。どうやらだいぶ戦っていたようだ。
友美は、白野威の頭を撫でると光を見る。
「まぁいいんじゃない。光は、楽しいみたいだし何より、遠足みたいでいいかもね!!」
そう。遠足みたいに楽しいはずだ。たぶん。
昨晩友美も要らないといったが、ここまで作ってしまったのならしかたがないというのもあるが。
「さて!! 完成!!」
スマホで写真もとり満足。光は、お弁当をしばらく冷ますと蓋をしめ袋にいれた。
「友美何時でも出発できるぞ!!」
「分かったわ」
にしてもすごく楽しそうである。友美は、ただのお散歩も彼とっては、楽しい時なんだと思うと心が少しだけ弾んだ。
「友美せっかくなら遠くいく??」
「白野威いいの??」
「いいよ」
「でどこに行くんだ??」
「いいところさ」
支度をし、二人は、白野威に連れられやって来たのは、なんと。
「金木犀関係ない!?」
「だね……」
「散歩なんだから金木犀以外も付属いいじゃないのさ!!」
一面に広がる高原のコスモス畑だった。
「ここ入場料……」
友美が不安そうな顔をし言うと白野威は、驚きの事実をいった。
「私が作ったから要らないよ」
「白野威が作った!? 土地は!? まさか勝手によそ様の土地を!?」
友美が顔を青ざめるなか白野威は、不機嫌な顔になる。
「ここ虚空ノ宮の土地だつうの!!!」
「ならよかったー!!」
友美は、安心した顔をすると更なる疑問が。
「でもなんでコスモス??」
「コスモス畑ってきれいだからさ」
白野威は、そう言うと微笑む。
「そうね。ありがとうここへ連れてきてくれて。あとごめんなさい色々うたがっちゃって」
「別にいいよ。それくらいのことそれよりなかなかいいだろ??」
「うん!! とてもきれい!!」
友美は、頷くと光の方を見た。
「あれ?? 光いない……」
「どこへ行ったんだ??」
辺りを見渡すと光は、レジャーシートをひきお茶を飲んでいた。満足げな顔をして。
「なんとマイペース!!??」
「それが光だからね」
白野威が呆れたかとをし友美は、苦笑いを浮かべる。
「友美も白野威もはやく!!」
呼ばれたので光の所へ行くと紅茶が準備されていた。
「お昼前にお茶しよう!!」
「ありがとう光」
友美は、光の隣に座り白野威は、友美のとなりに座る。そして紅茶をのみながら高原の爽やかな風を感じた。
「コスモスやっぱりいいわね」
「友美摘んで帰る??」
「白野威いいのか?? せっかく育てたのに……」
「育てたからこそ飾ってほしいのさ」
白野威は、光にそういうと微笑む。
「そうか」
風に揺れるコスモスは、とても優美で美しい。
友美は、微笑むと紅茶を飲む。
「なら摘んで帰ろう!!」
「全部とらないでよ!?」
「分かってるよ白野威」
お茶をのみお弁当を食べ始めると友美は、驚く。
「デコ弁!?」
「白野威を作ってみたんだ」
「そうだったんだ」
モグモグとお弁当を食べ終えてしまった白野威は、言う。本人は、気にしていなかったらしい。
「注目されてなかった……」
「光落ち込まないで!! 白野威食欲がすごいから!!」
「確かに」
納得できてしまうこの言葉で。それほどに白野威は、食欲旺盛なのだ。
「でも可愛いこの狼さん!!」
「よかった!!」
短時間でこんな可愛いお弁当をつくれる光は、すごい。友美は、隣で楽しげにお弁当を食べている光をみて微笑む。本当にすごいと思いながら。
「美味しい」
「それは、よかった!!」
お弁当を食べコスモスも堪能し、友美たちは、次に、金木犀を堪能しに向かった。
金木犀が多く植えられた公園。この時期になると金木犀のいいかおりに包まれる。
秋の爽やかな風を漢字ながら友美は、深呼吸をした。
「いい香り……」
「秋って感じたね」
「そうね!!」
学生の頃この時期は、何時も金木犀の香りを感じながら登下校をしていた。
懐かしい記憶を思いだし友美は、金木犀を見ていると、視界のはしに光の姿が。しかも怪しげに何かしている。
「光??」
「金木犀……どこがスパイシーなんだ……」
なんと近くで臭いを嗅いでいた。こんなことを呟きながら。
「スパイシー……確かにどこがかしらね??」
スパイシーな香りとも例えられる金木犀の香り。やはり甘いと思うが、スパイシーとは、感じない。
「ドライフラワーでも作ってみようか……金木犀の」
「それいいと思う光!!」
「ありがとう」
微笑む光だが、友美は、このと生真面目に考えていた。作るの大変かもと。
「早速かえったら作り方調べるぞ~!!」
楽しげな光をみて友美は、微笑む。
「もうそろそろ帰る??」
「そうね白野威」
そして金木犀の香りに包まれながら友美たちは、帰った。優しい秋の日差しのしたを。