光明ノ神子

 ある漫画を読んでいて思ったこと。
「能無し巫女って……あんたも生きた生け贄だろ!?」
 友美は、ポテチ片手にたまたま出てきた広告に突っ込みをいれていた。
 その広告の内容は、巫女の一族に生まれながら、力がない姉を家族が強いたげ、いざ、鬼神への嫁として一族の娘を差し出さなければならなくなり、無能の姉が嫁に出され、妹が蔑むというのものであった。
「友美何してるのさ」
「白野威これみて!!」
 広告を白野威は、見るとなぜ友美がここまで憤っているのか分からなかった。
「何が無能な巫女だ!!」
「あーそこ」
「だってそうでしょう!? 巫女って生きた神への花嫁!! 生け贄だし!!」
「まぁ広く言えばねぇ……」
「あれ?? 私もある意味生け贄??」
 友美は、ふと冷静になり過去の自分を思い出していた。
 目の前にいる狼を甦らせることだけを神により決められ、生き死ぬ運命だったのだから。
 友美は、溜め息をつくとポテチを食べた。
「私も生け贄だったわ……」
 白野威は、珍しく本来の姿に戻ると、友美の頭を撫でる。
「誰が生け贄だつうのー」
「でも……」
「私からしたらさ迷ってた私を助けてくれた恩人さ。とりあえず、暗くなるな~」
 頭をわしわしされ、友美は、不機嫌な顔に。
「髪の毛がぐちゃぐちゃ!!」
「なら早く元気になれー」
 友美は、しかたがないと、笑うと白野威は、手をとめた。
「とりあえず、この巫女は、私でも要らないさ。まぁ人柱には、つかえるかなぁーこの偉そうな方!!」
 白野威は、そう言うと今度は、友美の頬をつつく。
「ちなみに友美には、そんなことしないからねぇ」
「……ありがとう」
 白野威にとっては、目の前の姫は、たても大切な存在だ。本人は、あまり分かっていないかもしれないが。
 今度は、友美と頭を撫でると白野威は、いう。
「神子は、神の使いのことをさす。友美は、今は、私の使いなんだからさ、むねはりな!!」
「ありがとう」
 友美がようやくちゃんと笑い白野威もひと安心。狼の姿に戻ると彼女の傍らであくびをし、眠り始めた。
「白野威本当に優しい」
 友美は、そう呟くと白野威を撫でるのであった。優しく微笑みながら。
36/179ページ
スキ