光明ノ神子

 友美は、神妙な面持ちで光を見ていた。
「友美さんそれ……」
「着いてきたというか……拾ったというか……」
 光は、友美に持ち上げられている者を怪訝そうに見た。
「????」
 首をかしげるそいつは、光も見たことがあるものだ。古代文献で。
 なぜこいつが日本にいるのか。光は、困惑しながら言った。
「友美それ何かわかってます??」
「分かってるわ!!」
 白い布を頭からかぶり、出ているのは、可愛らしい黒い足のみ。
「……なんでメジェドが……」
「それ私が聞きたいわ!! 普通にお買い物いっただけなのに!! 着いてきたんだもの!!」
 友美は、ただ自転車をこいでいただけ。不意に何か落ちてきたと前かごを見たとき、入っていたメジェドが。
「公園に置いてこようとしたわ!! でも何故か下ろしても下ろしても落ちてくるの!! 上から!!」
 友美は、困った顔をし光に訴えた。これは、そうとう友美も粘ったらしい。メジェドを追い出そうと。
「友美とメジェドか……」
 光は、ふとあることを思い出した。
「どうしたの??」
「メジェドは、死者の書に画かれている神で、死と深い繋がりがあるんだ。人の心臓を食らい、死者の肉体を聖別する役割をもつと言われていたり、ホルスが地平線から来る前の姿と言われていたりするんだが……」
「するけど??」
「分かってることは、冥福の神オシリスの館にすみ、不可視であり、目がらビームを出す!! それだけなんだよ……」
 友美は、ポカーンとすると手に持っていメジェドをみた。 
 ゆらゆらと揺れているメジェド。こいつは、本当に謎のようだ。
「まぁ中の神がいるとされそれがアメンだとも言われているが……あくまでも諸説のひとつだからなぁ……」
「目からビーム……中の神……こいつ何者……」
「メジェドとしか言えないかな……」
「確かに」 
 手をパタパタさせているメジェドを見ながら友美は、ますます不思議そうに見ていた。
「友美は、黄泉の力もあるから死とも関係が深い。それもあって寄ってきたかも??」
「……ねぇ光」
「なに??」
「こいつ天之御中主みたいじゃない!!??」 
 光は、驚いた顔をすると言った。
「どこがだ!!?? メジェドは、謎なんだぞ!!?? 天之御中主は、その存在事態が大事で、こいつみたいに謎では、ないだが!!!??」
「似たようなものよ。古事記のはじめに出てきて終わりか、死の書に少しだけかかれてるだけかだもん!! 結局謎よ!! どちらも!!」
 光は、天之御中主は、謎では、ないと思いながらもそもそも創造神とメジェドを一緒に扱っていいのかとおもった。
「メジェドここには、住めないぞ??」
 光は、メジェドにいうと、メジェドは、どこか残念そうにしていた。
「メジェド送っていくわね」
 メジェドは、床におろされるとペコリと頭を下げた。
「じゃ光エジプト神の所に送ってくるわ」
「分かった友美」
 友美は、そういうとメジェドを送り届けるために、出かけた。そして帰宅後友美は、少し困った顔をしていた。
「友美??」
「天之御中主!! ってラーに言われて、逃げてくるの大変だった……お茶しようって!! 言われたけど今時間が!! っていうと、トートに時間を戻させ送らせるとか……もうなんか大変で……エジプト恐るべし……」
 光は、唖然としながら友美の話を聞き、思った。自分もいかなくてよかったと。
「友美創造神って繋がりあるんだな……」
「みたいね」
 本当に神との付き合いも大変だと思った。翌日。
「それ片付けてくれるか??」
「はい!!」
 光は、キッチンで洗い物をしていたとき、なぜ自分は、こう言ったのか疑問に思った。そしてふと隣を見たとき、目を見開く。
「なんで!!??」
 皿を食洗機にいれてくれているのは、なんとメジェド。
 帰ったはずのメジェドがなぜここにいるのか。光がそう思っていたとき、キッチンの入り口に申し訳なさそうに見えているプラチナブロンドの髪が。
「……この気配……ミレイか??」
 光は、声をかけると恐る恐る顔を出したのは、ミレイだった。
「光その……ごめんなさい!! 不法侵入するつもりは、なかったの!!」
 ミレイは、急いで頭を下げるとさらに続けた。
「実は……コンラットに働きすぎと城を追い出されて……浜辺を歩いていたら落ちてて……」
「メジェドが!?」
「そう。そして拾ったらここに連れていけって言われたの……」
 光は、メジェドをみて溜め息をつく。 
 どうやらミレイに力らを使わせ、ここへ連れてきたらしい。
「メジェド知ってただろ。ミレイがカオスとガイアの娘って」
「噂には、聞いていた」
「やっぱり」
 光は、食器を洗い終えると、お茶をいれ、ミレイとメジェドにだした。
「ありがとう光」
「いいよ」
 友美が不在でよかったとも言える。
 目の前に座っているミレイは、疲れた顔をしており、そうとう無理をしていることが光にも分かるほどだ。
 光は、メジェドをみて、おもう。まさかこの女神を休ませるために連れてきたのかと。
「うん」
「なに!?」
 どうやら考えを読まれていたらしい。
 光は、ますますメジェドという神は、不思議だと思った。
「ありがとう」
「いえいえ」
 ミレイが困惑しながらメジェドと光を見るなか、彼らの間には、不思議な絆が芽生えかけていた。
「もう好きなときにこい。俺がいればお茶の一つくらいいれてやるから」
「ありがとう」
「光とメジェドなんか不思議……」
 そんか彼らをみて、ミレイは、少し怪訝そうにこの光景を見るのであった。
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