光明ノ神子

 光は、ここ一年見てきて思ったことがある。
「女子高生って……お弁当にこだわらないのか……」
 男ならこだわりがなくても納得いくが、女の子は、違うだろうと光は、思っている。
 古より女子とは、様々なものに可愛いや美しさを求めてきたものだ。
 目の前におかれ冷まされている弁当を光は、みながら思った。友美の作る弁当は、無頓着すぎないかと。
「白ご飯に醤油であえた鰹節だけ……」
 確かに美味しいが他におかずは、無いのかとも思えてくる。
「光どうしたの??」
「美味しそうだなぁ……って」
 ここで色々言ってしまったら大変なことになる。光は、そう思い余計なことは、言わなかった。
「友美女子高生ってお弁当もっと……色鮮やかじゃないのか??」
 しかし気になることは、聞く。光の問に友美は、呆れたかおをした。
「腹に入れば皆同じ。彩りなんて余計なもん」
 いや大事ですから彩り。
 光は、質問に答え学校にいく支度をしている友美をみながら思った。
 四年前より間違いなく食に関して、友美は、考えるようになったが、色々また問題大有りだと。
「……インスタントやら早く食べれるものから、温かいご飯にシフトできただけいいんだが……次は、彩りだな」
 友美の生い立ちを考えるとしかたがかいともいえる。天照がしっかりしていたとは、いえ、やはり母との時間を過ごしていなかったことは、大きいと言えよう。
「よし!! やるか!!」
 今は、気合いを入れると、大学にいく支度をし、朝食を食べると友美と一緒に家を出た。

 昼になり、キャンバス内は、昼食を食べる者たちで賑わっていた。
 ベンチに座りながら光は、弁当を食べる。そして同時に辺りを見ていた。
「やはり……彩りと可愛さか……プチトマトや、ブロッコリーに……肉団子も串にさしたり……いやあの串や、皿……かわいいものを使えばいいのか」
 じっと見られている女子生徒は、光を怪訝そうに見ると去っていってしまった。
「光見すぎ」
 この声はと顔をあげると同じ学部の類が。
「類……」
「なに??」
「頼む!! 教えてくれないか!! かわいいお弁当を!!」
 類には、妹がいる。何か役に立つかもと光は、思い言ったが、類は、困った顔をしていた。
「光俺が作れると??」
「確かに……」
 さてどうしたものかと思ったとき背後に気配を感じた。
「春翔!? 隆二!?」
「俺たちの出番だねぇー」
「なんで複数になってんだ!!」
 光は、色々不味くなったと逃げようとしたが、春翔につかまる。
「光面貸せ!!」
「なに!!??」
 そのまま何処かにつれていれ、やって来たのは、学食だった。
「ここでおっけー」
「春翔の強みをここで使わないとな」
 ノリノリになってきてる隆二まで。
 光は、ため息をつくと、類と顔を見合わせたが、二人の勢いに押され、そのまま女子のところに。
「春翔なに??」
「ねぇ!! かわいいお弁当って作れる??」
「はぁ?? かわいいお弁当??」
 声をかけられた女子たちは、またナンパしにきたと春翔をみて怪しげな顔をしてみる。
「ほらいけ!!」
「えっ!?」
 隆二が光の背中をおし、彼を女子の前に出した。
「俺じゃなくてこいつが知りたいって!!」
 光は、困惑した顔をし、女子たちは、光の顔をみてほほを赤く染めた。
「顔も武器だぜ光!!」
「五月蝿い」
 光は、ため息をつくとじっと見てくる女子たちを見た。
「栗花落君って凄くイケメン」
「……そりゃどうも」
 光は、本当にこういうやつは、めんどくさいと思いながら続けた。
「先ほど春翔も言っていたが、貴女方の食べているお弁当を見させてもらっても??」
 光は、優しく微笑むと女子たちは、その笑みに見とれてしまっていた。
「でた光の営業スマイルー」
「春翔たぶんこれは、営業スマイルじゃないぞ」
「俺もそう思う」
 隆二と類に突っ込みを入れられ、春翔は、ばつの悪そうな顔に。
「お弁当??」
「いいよ!! でもなんで??」
「実は……かわいいお弁当をつくってあげたい人がいまして」
 女子たちがこの時なにかを感じとり、そしてこれは、本気だと察した。
「よし!! なら栗花落くん!! 私達が手伝ってあげる!!」
「えっ!?」
 光は、驚いたが、ここは、知恵を借りようとさらに詳しく話をした。
「彼女さんいたの!?」
「そりゃいるだろ。こんな優しくてイケメンなんだから」
「だよね」
 女子たちは、少し落ち込んでいたが、すぐに吹っ切れ話をし始めた。
 光は、メモを取る。そして一通り教えてもらうと、お礼にと珈琲をおごり光は、学食をあとにした。

 本日最後の抗議が終わり、光は、足早に移動していた。
「いいよなぁ。姫ちゃんもいるし……女の子にももてるしー」
 ついてきている春翔がうるさい。光は、そう思いながら言う。
「ナンパしてないで一途になれば出会えると思うが。じゃ俺これで」
 光は、そういうと、大学をあとにし、やって来たのは、100均。
 店内にはいるとお弁当コーナーにそして色々見るなか驚く。
「本当に可愛いものがいっぱい……これを使うのか……」
 フィルムや串やら光は、とりあえず買い、そして次に書店に。そしてお弁当の本を買うと、そのままスーパーに行き、帰宅した。
 買ったものを冷蔵庫に入れると、さっそく光は、明日の支度を始めた。
「とりあえず豚肉とアスパラをまいて……よし!!」
 これは、晩御飯にもなりそうだ。多めに作り、焼きタレを絡め、弁当に入れる分は、冷まし、冷蔵庫に。他にも冷凍食品を活用しながら光は、作りおきできるおかずを作ると、満足げに微笑む。
「よし!! これでおかずは、いいと。 ご飯は、明日だな」
「ただいま」
 友美の声が玄関から聞こえ、光は、出迎えるとエプロン姿の光に友美は、驚く。
「夕飯私の……」
「もう作ったから大丈夫!! とりあえず友美明日は、楽しみにしてて!!」
「わかった……でもなにを??」
「秘密」
 オチャメに笑う光だが、友美は、何をたくらんでいるのかと思っていた。
 そして着替えを済ませ夕飯を食べながら友美は、思った。
「なんかお弁当のおかずだね」
 光は、体をビックっとさせたが、微笑む。
「そんなときもあるさ」
「なるほど」
 白野威の方をみても彼女もなにもしらいようだ。友美は、とりあえず食べられればいいと思いながら夕飯を済ませ、勉強をした。

 翌朝光は、キッチンで笑っていた。
「出来た……」
 これこそ、女子高生が喜ぶお弁当では、ないだろうか。
 さて友美の反応は、どうか楽しみである。
「光何してるの??」
「友美おはよう」
「おはよう……」
 なぜこんなにも怪しまれているのだろうか。
 光は、友美の変な様子に少し不安を感じたが、友美からすれば昨晩からの光の様子が何時もと違いあやんでいるのだ。
「光変なもの食べた??」
「食べてない」
「そう」
 ならいいのだが。友美と光は、その後朝の支度をし、二人は、揃って直食を食べる。
 朝食は、何時もどうりで友美は、少しほっとしていた。
「じゃ光行ってくるね」
「いってらっしゃい!!」
 光からお弁当を受け取り、友美は、なんでそんなに笑っているのかと光をみながら思った。そして家をでた。
「光友美に言わないのかよ」
「白野威!!??」 
「驚くなつうの!!」
 友美についていっているはずの白野威がいて、光は、驚く。
「すまん」
「で言わないの??」
「言わない。……サプライズしたいし」
 本当にこいつは、こういうところは、本当に優しいんだからと白野威は、思いながら微笑む。
「そう。なら今日は、夕方予定あけときな」
 白野威は、そういうと、影のなかに消えた。光は、白野威がこういうなら何かあると思い、言われた通りにすることにした。
 
 昼になり、友美は、ソーマとモアとお弁当を食べていた。屋上で。
「ソーマ今日もパン」
「旨いからいいだろモア」
 モアは、相変わらず豪華なお弁当だ。たぶん羽月が作ったのだろう。そしてソーマも普通の焼きそばパン。
 友美は、光の顔を思い出しながら、お弁当箱を恐る恐る開けた、目を見開く。
「友美何時もより女らしい弁当だな……」
「可愛いですね!!」
 お弁当箱には、かわいい熊さんのおにぎりが二つ。そして卵焼きに、串に刺されたアスパラのにく巻きが。
 そして一緒に入れられていた手紙には、こう書かれていた。
「友美へ

 彩りも大切だろ?? 
 食とは、楽しいもの。彩りは、それをさらに楽しくする魔法なんだ。
 上手く出来てるか分からないが、俺なりに作ってみた。楽しんでくれたら幸いです。 学校頑張れ。
                  光」

 そう光は、こういうことをする男だ。友美は、嬉しそうに微笑むと携帯で写真を撮る。
「でしょう?? 光手作り!!」
 ソーマとモアは、顔を見合わすと微笑む。
「あいつらしいな」
「愛のなせる技ですね!!」
「そんな大袈裟な!!」
 しかしそうかもしれない。友美は、お弁当を食べると美味しいと呟きそして光にメールを打った。


 夕方になり、光は、近くの公園に来ていた。友美から昼過ぎに待ち合わせ場所としていされたからだ。 
 時計を確認し、息をはいたとき、友美がやって来た。
「光!!」
「友美」
 友美は、光のそばまで駆け寄ると、彼の手を握る。
「友美??」
「早くいこう!!」
「あぁ」
 いったいどこにいこうとするのか。光は、友美につれられやって来たのは、彼の好きなカフェだった。
「友美!?」
「お礼だよ。そのありがとうお弁当……美味しかったし可愛かった……また作ってくれたら嬉しい……」
 友美は、ほほを赤くそめいうと、光は、嬉しそうに笑った。よかった彼女が喜んでくれてと。
「もちろん作るぞ!! なんならもっと可愛くするよ!!」
「ありがとう!!」
 列にならびながら二人は、そんな会話をし、商品を頼むと、近くの公園で飲むことにした。
「友美ホワイトモカのホットか」
「うん!! 光……激甘フラッペ……」
「美味しいぞ??」
「ならいいけど」
 光ってやっぱりかわいいものが好きな気がする。
 友美は、幸せそうにフラッペを食べる光をみて思う。
「光……好き……」
「ありがとう……俺も好きだよ友美」
 二人は、ほほを赤くし言うと微笑む。恥ずかしそうに。
 今しかない。友美は、勇気を出して光の頬に優しく口付けをした。
「その……お礼に……」
 光は、驚いた顔をしたが、すぐに微笑むと優しく友美の唇を塞いだ。
「こっちの方が嬉しいかな……」
「でも外だし……」
 光は、はっとした顔をするとみるみるうちに顔を真っ赤にした。
「忘れてた……」
「でもキスできてよかった!!」
「ならよかったです」
 本当に友美が喜んでくれているのからよかった。光は、そう思いそして、微笑むのであった。愛しいそうに友美をみながら。
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