光明ノ神子

 なぜか視界におかしな光がいる。
 リビングで読書をしている友美は、苦笑いを浮かべた。
「光訴えなくても分かってるわ……」
 まさかこんな手段に出てくるとは。あまりにも好き、好き、五月蝿いので少し黙ってといったことがこうなるなんて。
 フリップを持ち光は、じっと友美を見る。そしてそのフリップには、「I love you.」と書かれているのである。
「友美なんで光あんなことしてるのさ」
 リビングにやって来た白野威は、怪訝そうに光を見ていった。
「実は、あまりにも好き好き五月蝿くて、黙ってといったらあんなことに……」
「新手の手段だね」
「そうなの」
 さてこの困った光をどうしようか。そもそもなぜ今日は好き、好きと五月蝿かったのかその疑問も残る。
 友美は、本を閉じると光をじっと見返した。
「……光。そんな記事読んだからって実践しなくていいの」
 心を読まれ、光は、顔を青ざめる。
「とんちんかんなものを読んだわけか」
「白野威。光にとっては、要らない記事よ」
 本当に困った旦那様である。友美は、光に手招きをすると、すぐに彼は、やって来た。
「友美あの……」
「光そんなことしなくても光の気持ちは、伝わってるから」
 友美は、そう言うと微笑むが光は、何処か傷心していた。
「本当にごめん……妻を信じられないなんて……なんたる友美への侮辱!! 煮るなり焼くなり好きにしろ!!」
 白野威がノコギリをくわえているが友美は、無視。
「光煮るなり焼くなり好きにしないわよ。たいしたことじゃないのに」
 光は、思わず友美を抱き締めたが、友美は、避けた。
「うぎゃ!!」
「嫌よ」
「友美さん……身体能力高すぎる……」
「おほめの言葉ありがとう!!」
 光は、うった顎をさすりながら寂しそうな顔をした。
「友美って猫みたいだ」
「猫??」
「自分からは、よってくるのに俺からくっつきにいくと逃げる……」
 友美、このとき犬でも同じだと思った。
「なら離れようかもっと」
「それは、やめて!!?? あと友美楽しんでるだろ!?」
 楽しげに笑う妻に思わず、言うと友美は、更に笑いだす。
「だって光面白いもの!!」
「友美の鬼畜!!」
「あらそういうのなら私もう家から出ていくわ。まぁマンション借りてすめるしひとりで」
「それもやめて!!??」
 あまりにも光がいった発言の揚げ足を取るのが楽しい。
 友美は、楽しげに微笑み、光は、ほほを膨らませ友美に訴える。
 そんな光景をみて、白野威は、本当に仲のいい夫婦だと思った。
「夫婦喧嘩は、犬も食わないっていうが、夫婦のイチャイチャも食わないよ犬は」
 本当にいつまでとラブラブなんだから。
 今度は、友美を捕まえた光と捕まえられた友美のじゃれあいをみながら白野威は、呆れたかおをし見る。
「ようやく捕まえた……」
「きゃー光に捕まった!!」
 捕まって嬉しそうな友美をみて光は、微笑む。本当に楽しそうだと。
「本当にお転婆なんだから……」
「あらそう??」
「そうです」
 本当にあつあつ。白野威は、ため息をつくとリビングを出ていってしまった。
「もしかして呆れられた??」
「うーんもうはじめなら呆れられてるよ……」
 友美は、驚いたかおをしているが、冷静に考えてこれだけイチャイチャしてたら呆れたくなるのも分かる。
 光は、友美を離すといった。
「光??」
「白野威の相手してくるよ。あいつさみしがりやだしな」
「そうね!! 白野威の好きな和菓子もあるし!!」
 友美は、キッチンにいくと和菓子を持ってきた。そして白野威の気配がする書物室の前に来ると二人は、顔を見合わせうなづきなかに。
「白野威!!」
 そして本を読んでいる狼に飛び付く。
「二人してどうしたのさ!!」
「和菓子食べよ!!」
「友美……」
「抹茶もあるぞ??」
 白野威は、光の方をじっと見ると、前足で彼の顔を叩いた。
「いった!!」
「抹茶は、要らないよ」
 白野威は、友美に嬉しそうに飛び付くが、光は、そんな彼女をみて思う。声をかけるんじゃなかったと。
「白野威友美には、素直だよな……」
「友美の事だ好きなのさ!! 悪いか!?」
「へぇーなら俺より好きと??」
「あぁ。光より好きな自信あるよ」
 待ってくれ変な争いが始まったぞ。
 いつのまにやら本来の姿になっている白野威に抱き締められ友美は、困惑していた。
「なら勝負だ!!」
「負けたら、私の大好きなみたらし団子おごって!!」
「なに!? ならもし白野威が負けたら秘蔵のお茶を飲ませてもらうからな!!」
 バチバチと火花が飛び会うなか友美は、思う。勝手にやってくれと。
「私本の続きを読んできていい??」
「どうぞ!!」
 友美は、白野威と光にリビングまで送られ、その後白野威と光は、外に飛び出していった。
「本当に仲良しなんだから」
 さて勝負は、どうなるのやら。友美は、そう思いながら楽しそうに微笑むと紅茶を飲むのであった。
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