光明ノ神子

 10月31日は、ハロウィンこと、収穫祭だ。
「なんでこんなことに……」
 絶望の色を顔に浮かべこうは、悲しげな声で言った。
 彼の目の前には、赤く染まったカボチャのランタンと倒れている友美ゆみが。彼女の頭のしたには、赤い水溜まりができていた。
「はやく助けないと!!」
 悲しんでいる暇は、ない。光は、道具を取りにリビングから和室へ向かったが、その様子を見ていた子供たちは、あきれた顔をしていた。
「お母さん……」
「本気すぎ……」
 倒れていた友美は、頭をあげると辺りを見渡しオチャメに笑う。
「てへへ」
「お母さんネタバレはよ!! 大変なことになるで!!」
「大丈夫!!」
 榎麟かりんと友美は、小声でそう会話すると光の足音が聞こえ友美は、また頭を下げる。
「お母さん助けるからあんしろ!?」
 あわてて和室から出てきた光は、子供たちにそういうが、その時違和感を感じた。
 なにせ、あきれた顔をしていたのだから。
 まさか何かあると思ったとき肩に何かふれ、ゆっくりふりかえると髪がだらんとたれた友美と目があった。
「トリック・オア・トリート……」
「ギャー!!!!!!」
 光は、叫ぶと涙目になりながら言う。
「もう聞く前にいたずらしてるだろ!!!!!!」
 友美は、楽しげに微笑む。
「確かに!! 光お菓子ちょうだい!!」
 友美は、ナチュラルにいうが、子供たちは、思った。この流れで普通ナチュラルに言えないと。
「まったくお菓子は、あげません!!
とりあえずはやく片付けてくれ!! あと俺の心配を返せ!!」
「お菓子くれないならもっと悪戯するわよ?? あと心配は、返しません!!」
 更なる悪戯。考えたくない。光は、ポケットに入っていた飴を袋か、出すと友美の口に入れた。
「今は、これで我慢して。とりあえず片付けるよ。あとお風呂もね」
「はーい!!」
 とりあえず満足したようだ。友美は、楽しげに微笑むと血糊をつけたまま、光と片付けをし始めた。
 その異様な光景に子供たちは、これがうちのハロウィンだと改めて思うのであった。
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