光明ノ神子

 最近友美には、はまっているものがある。
 今日は、夫婦揃って仲良くスーパーに買い物に来た二人。
 光は、かごを持つと今晩何にしようかと考えるなか、友美は、一人そわそわしていた。
「光いい?? いい??」
 光は、そんな友美をみてかをいいと思うなか、言う。
「いいよ。でも一本だけだよ」
「一本だけ!?」
 友美は、背に腹はかえられぬとこの条件を守ることにした。
 光が安売りの野菜を見るなか友美は、一目散に焼き芋コーナーに。
 ちょうど店員が焼き芋を機械からだし、品だしをしていた。少し離れたところで友美は、待ち、店員が居なくなると、焼き芋コーナーに。
「どれにしよう……」
 三種類の品種からどれにするか。蜜が多めか、はたまた、定番の焼き芋か。
 入っている紙袋をのぞき、芋の状態を確認し、ながら、友美は、一つを手に取った。
「ぬくぬく……密も出てるし……これに……」
 しかし別の品種でも美味しそうなのがある。
 友美は、そちらもてにもつとダメもとで交渉をすることにした。
 二つの焼き芋を持ち、友美は、白菜を見ている光の所に。
「光あの……」
 友美に話しかけられ、光は、彼女の方を見るとすぐに二つの焼き芋に気づいたが、あえてなにも言わなかった。
「なに??」
「一緒に食べない?? 焼き芋!!」
 光は、微笑むとじっと友美を見る。
 可愛い。可愛すぎるお願いをしてくるときの友美が。
「光、見とれてないではやく決めて!!」
 友美は、じっとみつめてくる夫に呆れた顔をし言うと光は、慌てて咳払いをしいった。
「食べる」
 愛する妻のためにも。たぶん友美は、どちらも欲しいからこの方法をとったのだろう。
しかしこんなチャンス逃すわけには、いかない。
 仲良く彼女と半分こした焼き芋を食べられるチャンスなんて。近くで可愛いと見ていても友美に怒られないのだから。
「光絶対に下心あるわね」
 光は、体をビクッとさせると、内心焦り、慌てて笑った。
「どっ……どうかな~??」
「図星ね」
「ご明察……」
 はなから友美に隠そうとしたことが間違いだったかもしれない。
「とりあえずお芋二つ~」
 友美は、かごに焼き芋をいれると少し跳ねた。嬉しさから。
「本当に友美って最近焼き芋が、ブームだな」
「久しぶりに食べると美味しくて!! あと数年前より品種改良もされててね!! 知らない品種が出てたのよ」
 昔から友美は、好んで焼き芋を食べることが少なかった。それがまさか焼き芋を自ら買って食べる日が来るなんて。
 長年友美のそばにいる光ですら予想外のことである。
「確かに。数年前は、安穏芋、紅はるかってよく聞いたような……」
「それが今や甘太くんとシルクスイートだもの!! あとね安穏芋より蜜かんが強いの!!」
「昔ながらのほくほくより、蜜が今の流行りなのか……」
 確かに今若い人達の間で焼き芋が流行っていたような。しかもほくほくでは、なく蜜たっぷりの。
「でも私紅はるかならほくほくの焼き芋も好きよ!! 甘くて美味しいもの!!」
「そうなのか……」
 光は、なにかを考えると、聞く。
「友美ここには、シルクスイートと、甘太くん以外何がおいてる??」
「あとは、王道の鳴門金時よ」
「鳴門金時か……天ぷらにすると旨いよな……」
「確かに」
 芋の天ぷらが食べたくなってきたが、今は、違う。
 光は、さつまいもコーナーにいくと何やら吟味しかごに入れた。
「紅はるか??」
「そう。せっかくならと思って」
「せっかく??」
「夜のお楽しみ」
 彼は、何をする気だろうか、友美は、とりあえず頷く。
「次は、スイーツー」
「光焼き芋は、スイーツよ!?」
「それとは、別だよ別!!」
「人には、お芋さん1つだけとかいっておいて??」
 友美は、不満そうに光に言うと、光は、すぐにしょぼんとなる。
「なら友美もスイーツかう??」
「当たり前よ」
 腕を組言われ、説得力がある。光は、友美ってなんとも言えないあつもあるなと思っていた。このとき。
「子供たちリクエストのおやつも買わないと!!」
「そうだな」
 野菜を一通り見ると、今度は、スイーツコーナーに。子供たちからのリクエストのプリンを友美は、かごに入れた。
「このプリン好きだよね……四人とも」
「そうよね。滑らかなのがいいのよね!!」
「昔ながらの固いプリンも美味しいのに……」
「遊李たちそっちも好きよね!! 光手作りのプリンを小さい頃から食べてるから!!」
 なにかと光は、子供たちが小さい頃おやつをけっこう作っていた。せっかくなら手作りを食べさせたいという思いから。
「そうだね……今は、滑らかブームか……」
「たぶん!!」
 自分の手作りプリンより、市販のプリンに負けたと思っているのか少し不機嫌になる光だが、友美は、そんな彼を可愛いと思っていた。
「光は、どのスイーツにするの??」
「俺は菓子パンだよ」
「菓子パン!?」 
 せっかくならとシュークリームやケーキにするのかと友美は、思っていた。そして光の手に取ったパンには、パッケージにポイントシールが貼られていた。
「パン祭りだからね。集めてお皿もらわないと!!」
「あーそういえば春のパン祭りやってたわ」
 毎年春になると光は、あるメーカーのパンをよくかう。ポイントシールを集めもらえるお皿のために。これがなかなか使い勝手がよく重宝するのだ。
「なら私は、これと!!」
 友美もシールのついた菓子パンを取ると、かごに入れた。
「友美ありがとう」
「いえいえ。一応一点獲得!!」
「ふふん。だな」
 思わず笑ってしまった。友美は、笑う光をみて少しほほを赤く染めた。
「笑わなくても……」
「姫が可愛いからしかたがありませんよ」
 二人は、微笑む。
 二人ならこんな何気ないときも幸せなひとときだ。
 二人は、残りのものを買い、そして会計を済ませ、帰路についた。

 夜になり友美は、昼に買った菓子パンを食べながら光の様子を見ていた。芋を選んでいたとき、夜のお楽しみといっていたのは、なんなのだろうか。
「まだ焼き芋食べてないし……それに心なしか私のご飯少なかったような……」
 お陰でお腹が空いてきた。
 友美は、菓子パンを食べ終えると、キッチンに。
「光なにやってるの??」
 オーブントースターの、前で様子を見ている光に聞くと、彼は、手招きし、そしていった。
「これだよ」
 友美は、光のそばに行き、オーブントースターのなかを見ると中には、昼間に買った芋が焼かれてた。
「焼きいも??」
「そう。紅はるかを焼いてるんだ。だが、トースターの焼き芋コースでもけっこうかかるな……まぁ焼き芋ってじっくり焼くからこそ美味しいんだけど……」
「まさかの焼き芋……」
「食べ比べです」
 友美は、心なしかうきうきしている。そんな彼女をみて、光は、微笑むといった。
「友美もう少しだけ待っててね??」
「分かったわ!!」
 友美は、そういうとリビングにもどり、ゲームをして待っていると、光がリビングにやって来た。半分に切られた、三つの焼き芋をもって。
「友美お待たせ」
 炬燵の上に光は、お皿を置くと友美のとなりに座った。
「おー!!!」
「一応お皿ごとに、違うお芋が乗ってるから」
「はーい!!」
 友美は、三種の芋の中からシルクスイートを取った。
「おっ!! なかなかいい選択だね」
「この中だとシルクスイートが一番甘味控えめだからね!!」
 温められた、シルクスイートを友美は、早速食べると、滑らかなの食感と甘味に顔をほころばす。
「美味しい~」
「本当だ……当たりだねこれ」
「ねぇ!!」
 焼き芋は、やはり美味しい。友美は、そう思いながらシルクスイートを食べ終えると今度は、紅はるかに手を伸ばした。
「甘太くんにしないの??」
「甘太くんは、すごく甘いから」
「なるほど」
 光も友美を真似して、紅はるかに。そして二人は、紅はるかを食べると、シルクスイートよりもほくほくでそれでいてすごい甘味に目を煌めかせた。
「美味しい~!!」
「これは、美味しい!!」
「光の焼き方もいいのかも!!」
「俺というよりトースターのね??」
 光は、見ていただけである。ひっくり返したりは、したが。
「それでもだよ!!」
 さて紅はるかを食べ終え、次は、甘太君だ。
 二人は、同時に食べると、驚く。
「この密と甘さヤバイよ!!」
「すごく甘い……恐るべし甘太くん……」
 このとき光の脳裏に『棺桶くん』という単語が浮かんだ。
「光??」
「なんで焼き芋食べながら……そのワードだ思い浮かぶんだ!!」
 焼き芋をお皿の上に置くと光は、ウェットティッシュでてをふきそして、友美を抱き締めた。
「何が浮かんだの??」
「棺桶くん……」
 友美は、思わず笑いそうになりなんとかこらえた。確かに。甘太くんと、棺桶くん漢字二文字で、なおかつかから始まる。普通思い付くだろうか。いやつかないと思う。
「ぼう叔父様の顔が脳裏に……」
「あのドラマCDぼう叔父様が棺桶に入れられてたし、棺桶くん!! って言われてたもんね!!」
 友美は、もういいだろうと笑うが、光は、げんなりしていた。思い出したくなかったと。
 再び焼き芋を食べると、光は、旨いと言葉をこぼした。
「ごちそうさまでした!!」
 焼き芋を食べ終え、友美は、お皿を片付けにキッチンに。しばらくして光もキッチンにいき、仲良く片付けをした。
「光棺桶くんに会いに行くの??」
 光は、この時ぎろりと友美をにらむと言う。
「行きません!!!! 友美面白がってるだろ!!!!」
「ふふふ当たり!!」
 本当に困ったプリンセスだこと。
 光は、友美を抱き締めると言う。
「本当に困った姫だよ」
「それが私だもの!! 承知ど結婚したのは、誰??」
「俺です……」
 まったく言い返せない。光は、苦笑いを浮かべると友美に口付けをした。
「キスってお芋味だったのね……」
「それは、俺達がお芋を食べたあとだからです……」
「そうね!!」
 あえてボケたな。光は、そうもいながら楽しげに微笑む彼女を見ていた。
 友美って本当にいつも楽しく生きているような。光は、改めてそう思った。
「友美って本当に楽しく生きてるよな……」
「そりゃそうよ!! せっかくのなが~い生楽しく生きないと!!」
「そうだな」
 友美は、光に、そういいながらも思っていた。光も楽しく生きてますよ??と。
「さてまったりハーブティーでも飲む??」
「飲む!!」
 友美の手には、光が作ったクッキーが入った缶が。
「食べるの!?」
「食べるわ!!」
「相変わらず食欲旺盛……」
「へえん!!」
 自慢げに胸をはっている友美も可愛いが、光は、そこ自慢するところでは、ないと思っていた。
 湯を沸かしながら二人は、キッチンでハーブティーをいれるしたくをしながらも楽しい話をしていた。こうして二人で準備をするからこそ楽しいとも言える。
 ハーブティーの入ったポットに湯が注がれさらにいい香りがキッチンに満ちた。
「光これオレンジとリンゴね!!」
「残念!! オレンジとローズヒップ!!」
「負けた……」
「ふふふ」
 本当に彼女、彼といると楽しい。
 光と友美は、微笑み合うと互いにそう思っていた。
 マグカップにハーブティーをいれ、二人は、リビングにいき、また、何気ない話を始めた。楽しげに微笑みながら。
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