光明ノ神子

冬の朝は、冷え込む。やはり布団は、極楽だと友美は、思い布団の温もりを感じていた。
「友美……友美……」
 なを呼ばれているが無視。私は、寝る。友美は、そう思いながら布団を頭までかぶった。
「友美」
 しつこい。友美は、しぶしぶ布団から顔をだし声のする方を見る。そこには、しょぼんとしている光が、いた。友美を見下ろして。
「なに……」
「ついてきて欲しいところが……」
「光一人でいってきて」
 しかしここでめげる光では、ない。なんと布団に潜ると友美を抱き締めた。
「友美お願いー」
「光!?」
 このままでは、ずっと抱き締められてしまう。首を縦にふるまで。
 友美は、溜め息をつくとそのまま目をつぶった。今は、睡眠優先と思いながら。
 しばらくして寝息が聞こえてきた。
 光は、やられたと思いながらも、今なら友美を堪能できると光は彼女の髪の香りを感じながら優しく彼女の頭を撫で、その手をお腹に持っていくとぎゅっと抱き締めた。
「可愛い……」
 しかしこのとき事件が。光の吐いた息が友美の耳にかかり、友美が目を覚ました。そしてギョロりと光をみると思わず。
「この変態!!!!」
「むぎゃ!!」
 光のそんな声が和室から聞こえると同時に襖が飛び、そして光が中なら吹っ飛ばされてきた。
 光は、そのまま受け身をとり、床にしかしいたい。てが。恐る恐る友美をみると彼女は、怒っていた。蔑んだ眼差しで。
「人の安眠を邪魔するやつは許さん!!」
「ごめんなさい!!!」
 すぐに光は、謝ったお陰か友美は、それ以上なにもしては、来なかった。しかし盛大な溜め息をつかれ、朝食の時の食卓は、重い空気に。
「お母さんお父さんなにしたん」
「榎麟。お父さんが人の安眠を邪魔しに来たの!! まったく!!」
「いつものやつやな」
「そういうこと」
 子供たちにとっては、日常茶飯事ともいえる、友美の安眠を邪魔し怒られている父は。
「友美その……」
「お詫びにケーキワンホールで手をうってあげる」
「分かった」
 ケーキワンホールなら安いもの。光は、ようやく平穏が戻るのむねでを撫で下ろした。 
「で光ついてきてってどこに??」
 光は、友美の優しさに飛び付きそうになっていたが、こらえて言う。
「手芸屋さんです」
「あー」
 友美は味噌汁を飲むとあきれた顔に。
「子供たちと行くてもあるわよ??」
「お母さんもうそれお父さん使ってるで」
「そうそうー僕たちが嫌だっていったからママのところに行ったわけ」
 榎麟と遊李は、目刺しを食べながらいい友美は、もうやっていたのかと困った顔に。
「だから友美しかいないんです……」
 しょぼんとしている光をみていると、なにも言えなくなる。
「わかったわ。その代わり私の予定にも付き合って」
「そりゃもちろん!!」
 友美の予定とは、なんだろうか。しかし付き合うのが光のつとめとも言える。
 ご飯を終え片付けをし、子供たちを図書館に見送るの二人は、出かけた。

 いつも思うが、光は、本当に人生を楽しんでいる。
 友美は、隣で車を運転しながら鼻唄を唄う光を見ながら思った。
「普通運転だけでここまで楽しんでる人少ないと思うけど」
「そうかな?? いがいにいると思うぞ??」
「そうなのね」
 光が楽しそうならそれでいい。
 友美は、そう思いながら外を見た。
「友美着いたよ!!」
「ありがとう」
 やって来たのは、ショッピングモール。そして近くのデパートに、行くると、やって来たのは、紅茶専門店だ。
「あった!!」
「工芸茶??」
「そう!!」
 友美が手に持ったのは、工芸茶。なぜそれをと光は、思いながらも友美は、それといつも飲んでいる紅茶と新作の紅茶の茶葉を買った。
「後は、光ここのケーキ!!」
 光の手を引き次にやって来たのは、高級なパティスリー。そう光が一番最近お気に入りのパティスリーだ。
「あのイチゴとラズベリーのケーキがいい!!」
 光は、嬉しそうな友美を見てかわいいと思ったが、ケーキの値段を見たとたん顔を青ざめる。
「何だって……」
「高い??」
 友美は、不安そうに言うが光は、ニヤリと微笑むと言う。
「安いだろ!? このケーキワンホールたぶんサイズは、6号で3000円!! なんという価格か!!」
「そこ!?」
「そこ!! よし!! 買おう!! 友美あとこのラズベリータルトも買おうね!!」
 これは、まずい光が暴走し始めた。
 友美は、光の勢いに負け唖然と見ているとあっという間に、会計が。
「10000円!?」
「税込みだから!!」
「そういう問題じゃない!!」
 商品券で光は、支払ったか、友美は、他に使い道があったのでは、ないかと思った。
 両手にケーキの箱を光は、持ち、車に。そして後部座席にケーキを置くと、そのまま次は、ショッピングモールへ。
「光あのケーキ……」
「帰ったら食べるよ!!」
「分かったわ」
 子供たちの分もあるだろうが、多すぎるような気がすると友美は、思いながらやって来たのは、手芸用品店。
 中には入ると光のあとについて行く。やはり客層としては、女性が多いと思いながら。
「でもなんで着いて来てっていったのしら……何時もやら一人で来るのに……」
 開き直ってから光は、一人でよく手芸用店に来ている。
 なのについてきて欲しいとわざわざ起こしに来るからには、なにか理由があるのだろうか。
「可愛い……」
 目の前にあった。
 瞳を煌めかせ、端切れコーナーで止まっている光。
 友美は、もしやこれかと思ったとき、光は、はっとした顔をし友美の方を向くと頷く。
「光買っていいのよ??」
 あまりにも欲しそうなので友美は、言うと光は、瞳を煌めかせた。
「ありがとう」
 光は、そういうと端切れコーナーから距離をとる。
「でも買ったらとまらなくなる!! 色々作っちゃうし」
「すでに作ってるでしょう。うちにある小物は、光がほとんど作ったものじゃない」
 友美の事発言がまさか大変なことになるとは、思いもしなかった。
 光は、そうかと思うと可愛い端切れを吟味しかごに入れた。
「で光は、これ買いに来たの??」
「違うよ。目的は、こっち!!」
 そして光につれられやって来たのは、毛糸コーナーだった。
「マフラーを編もうと思って!!」
「なるほどね」
「友美は、やっぱり水色かな~?? 俺は、モエギ色かな??」
 ぶつぶつ呟きながら毛糸のことで悩む光。友美は、毛糸コーナーを何気なくみながら思う。なかなか色々な種類があると。
「アルパカの毛か……すごい」
 こうしてみると毛糸は、色々ある。友美は、何気なく毛糸を眺めていると光が戻ってきた。
「友美お待たせ!!」
「大丈夫よ……ってなんでそんなに!?」
 かごの仲の毛糸の量をみて友美は、驚く。確かに六人分マフラーを編もうとなるとかごいっぱい山盛りに要るのかもしれないが。
「作るのに必要だから!! さぁいきましょう!! 姫!!」
 姫という言葉に辺りの人達と目が合い友美は、顔を真っ赤に家ならともかく今そう呼ぶなと思いながら。
「光姫ってここでは、呼ばない!!」
「ごめん!!」
 光は、気付き慌てて辺りを見渡すがその様子がとてもかわいい。
「さぁレジに行くわよ!!」
「だな!!」
 そして会計を済ませ店を出ると光の両手には、紙袋に入った大量の毛糸が。
「光それだけも買ってどうするの?? マフラー以外にナイロンたわしでも作るの??」
 ナイロンたわしは、なにかと便利でよく汚れがとれる。友美は、あると便利だしと思い言うと光は、はっとした顔に。
「確かに!! 余ったら作れるな!! でもこれは、別のものを作るために買ったんですよ?? 俺の姫」
 友美は、辺りを見渡しだれも聞いていないことを確認するとむねをなでおろした。
「光また言ってる」
「だって友美は、そうなんだもん!! いいじゃないか!! 下ネタならともかく違うんだから!!」
 ほほを膨らませ怒る夫から友美は、視線をそらした。
 可愛すぎる。色々しでかしてしまいそうだ。
「友美ー!!」
「はいはい。もうそんなに怒ったらりすさんみたいになるわよ!!」
 光がリスになるのも可愛いかもしれないが。
 光は、すねた顔をするという。
「なら呼んでもいいよね??」
「もう好きにして」
「ありがとう!!」
 これは、大変なことを許してしまったかもしれない。
「友美せっかくだしカフェでも……」
「その毛糸の山どうするの。あと子供たち帰ってくるわよ」
「親として失格だ……なんで忘れてたんだ!! 俺!!」
「そりゃそれだけ毛糸ってはしゃいでたら忘れるかもね。あと親として失格じゃないから!!」
 毛糸の入った袋をもちながら落ち込む光に友美は、言うと優しく頭を撫でた。
「ならテイクアウトでかっておうちカフェしよう」
「友美……」
 優しい妻を今すぐきでも抱き締めたい。しかし光は、紙袋をみて諦めた。
「善は、急げ!! 友美いくよ!!」
「そうね」
 ショッピングモール内にある光の好きなカフェでテイクアウトを二人は、するとそのまま車に。
 荷物を積み、運転席と助手席に二人は、乗った時、光は、隣にいる友美を抱き締めた。
「光どうしたの??」
「さっき抱き締めれなかったから」
 光は、友美の頬に口づけをすると、微笑みそして、車のエンジンをかけた。
「よし!! 帰ろう!!」
「そうね」
 友美は、頬を赤く染めると窓の外を見た。
「そういうことをなんでさらりと出来るのよ……」
 光は、さらりとこのようなときめくことをやって来る。家につくまで友美は、ずっと窓の外をみていたのであった。
 光に今の顔をみてほしくなかったから。
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