光明ノ神子

 新年となっても、白野威は、何時ものように、寝っ転がっていた。
「白野威!!」
 名を呼ばれ、そちらを見ると、友美が。
「なに??」
「ちょっといい??」
 友美は、白野威の前に座るという。
「実は、勇音が相談あるみたいなのよ」
「私に??」
「そう!!」
 それは、元旦の日。
 勇音からメールがきて、白野威に相談があるあると。
 詳しく聞き、友美は、これは、話した方がいいと、判断し今白野威に話したのだ。
「元旦は、白野威も忙しかったし」
「まぁ出かけてたしねー」
「そう!! とりあえずちょっとデリケートな事だから……」
「デリケート?? まさか、恋愛関係??」
「そうそう」
 友美は、自分でもいいのでは、と思ったが、勇音が、白野威の方がいいというので、今回は、白野威に任せることにした。
「まぁいいけど……」
 しかし白野威は、乗り気では、なさそうだ。
「後であの子に撫でて貰うから!!」
「そんなもん要らん!! 勝手に撫でにくるのに!!」
 なんなら、リビングの入り口に今いるだろと白野威は、思っていた。
「あの子ってなんなのさ!!」
「こっち一応創作だから!!」
「なんだそれ……」
 しかし大切なことなのだろう。
「分かったよ。とりあえず行ってくる」
「分かったわ!! ありがとう!!」
 白野威は、そういうと、起きて、したくをし、すぐに出かけた。


 カランカラントとベルの音がし、勇音は、顔を上げた。
 客がきたのかと思って待っていると、白銀の狼が。
「白野威様!?」
「友美から言われたから来た」
 友美は、約束どおり話してくれたようだ。
 勇音は、立ち上がる。
「ありがとうございます。少し待っててください」
 表に出ると、勇音は、クローズと、看板をかけ、もどってきた。
「閉めなくても」
「重要な事ですので!!」
「重要ね」
 白野威は、持ってきていたタオルで足を拭くと、上がった。
「でなにさ」
「とりあえず奥で」 
 勇音についていくと、家の方に。そして居間に案内され、待っているとお茶とまんじゅうを勇音は、持ってきた。
 白野威の前に湯呑みとまんじゅうを置くと、自分のも置き、そして座った。
「白野威様……その……」
「なに??」
 緊張した面持ちで勇音は、言う。
「バレンタインってなにをあげればいいんですか!?」
 白野威は、ポカーンとした。
「はぁ?? そんなこと??」
「重要なことです!! 白野威様もご存じだと思いますが、神にとって一ヶ月なんてあっという間です!! あげるものきまった時には、すでに十年近くたってます!!むしろ、十年できまれば早い方!!」
 そう。人と神の時間さ、とても違う。神にとって十年なんて、人間の一ヶ月くらいだ。
「確かに」
「昨年は、バレンタインなんて無視してましたが、今年は、そうもいきません!!」
 勇音は、溜め息をつくが、その顔は、恋する乙女の顔だ。
「ようやく結ばれたし、何かしたいのか」
「はい……」
 勇音にかんしては、白野威も知っている。
 白野威は、こりゃ協力しないと女神として廃るなと思った。
「なら好きなもの聞いて、あげれば??」
「……そんなの即答して、芋焼酎って言うに決まってます」
 むしろそれは、勇音に合わせてるだろと、白野威は、思った。
 燕青が友美の家に飲みに来た時た、ワインが好きと言っていたのだ。
「でもさぁー俺白派だけだ、勇音は、赤が好きみたいだしなぁーあと芋焼酎!! それに日本酒と、ビールだぜ?? もっとカクテルやらワインのみたい……」
 と。
「燕青は、焼酎や日本酒、ビールが好きなんです!! 私だって普通にワインやカクテルが飲みたいです!! 家でも!!」
 白野威は、この時あることに気づく。
 こいつら、遠慮しすぎて、酒に関して大きな勘違いをしていないかと。
 しかしそこにヒントがあるとも言える。
「ならリキュールあげればいいじゃん」
「リキュールですか……」
「そう」
 勇音は、確かにと腕を組む。 
「しかしバレンタインとは、チョコをあげると聞きます」
「ならウィスキーボンボンとか??」
「ウィスキーボンボン……」
 勇音は、顔を歪める。
「あれ、安物のウィスキーで美味しくないですよね!?」
「そこかよ!! 日頃燕青に高い物食べさせて、舌肥えさせないようにするとか言ってるのにさ!!」
「あれは、別!! 美味しくないですから!! それなら養命酒あげますよ!?」
「それと養命酒比べるな!!」
 勇音は、溜め息をつく。
「がさつな熊の癖に、変なところで繊細なんだから……」
「そこは、きっちりしてるといってやれ」
 そもそも勇音がツンデレ過ぎるので、余計に力業で色々臨機応変に燕青が対応しているとも言える。
「懐広いやつでよかったな本当に」
「私を残して死んだんですから……これくらい、付き合って貰います……」
 それに人は、脆い。
 勇音は、切ない顔をし言うので、白野威は、少し切ない顔に。
「そっか」
「はい!! でもバレンタインどうしたら!! やはりここは、ミイラを!!」
 白野威は、真顔に。
「やめとけ!?」
「ですよね……私も要らない」
 それにあっても困る。現に困っている。
「ならリキュールにしましょう……あとチョコ作ることにします」
「作る!?」
「チョコは、薬ともいえますから、まぁなんとかなるでしょう!! あとは、困った時の光先生です!!」
 確かに神子の中では、お菓子作りにかんしては、光の右に出るものがいないほど、彼は、うまい。
「まぁ光のお菓子は、美味しいけどさぁー」 
「でしょう?? 光先生ならなにかしら作り方を教えてくれると思いますから!!」
 光が断らなければの話だが。 
「とりあえずバレンタインのやつ決まってよかったじゃん」
「はい!! 白野威様!! ありがとうございます」
 さてこれで用事も終わりだろうと白野威が思ったとき、勇音は、あることを話した。
 白野威は、話を聞くと言う。
「あるけど。そんなことは、友美に聞けばいいのに」
「さすがにそれは……」
 さすがに夜の営みの話は、友美には、言いにくい。
「まぁ分かるけど」
「効果としては、やはり」
「友美曰くバッチリだってさ」
 白野威は、それだけ言うと、巻物を渡す。
「友美からさっき渡されたやつ」
 勇音は、巻物を受け取ると、驚く。
「友美みましたね!?」
「知らないよ。でもあのこの目は、とてもいいからねぇー」
 勇音は、溜め息をつくと、巻物を片付けた。
「勇音ならしばらく拒むと思ってたけど」
「さすがに無理です。こだれた相手が側にいるんですから……」
 悲しみにくれた、千年。そりゃそうかとも思えてくる。 
「幸せならいいよ」
「白野威……はい!!」
 勇音は、微笑む。幸せそうに。
「燕青にもその顔見せたら??」
「それは、嫌です。恥ずかしい」
「相変わらずツンデレ」
 しかしそれも勇音のいい、所なのだろう。
「じゃ私帰るよ」
「ありがとうございました」
 茶とまんじゅうを食べると、白野威は、薬問屋を後にし、帰った。
「白野威おかえり!!」
「友美ただいまー」
「解決した??」
「一応ね」
「それは、よかった!!」
 友美は、たぶん全て知っていたのだろう。
 白野威は、微笑むと、また定位置の座布団の上に丸くなった。
「白野威様!!」
 しかし聞きなれた声が聞こえ、こりゃゆっくり出来ないなと思う。しかしその顔は、どこか優しい顔をしていたのであった。
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