光明ノ神子

 年末となり、光は、忙しそうに走り回っていた家の中の。
「光お餅だけど……」
「これから、つく!!」
 慌ただしい光に友美は、話を聞けと思いつつ、言った。
「モアがくれるって言うから貰ってくるから!! つかなくていいわ!!」
 光の動きが止まる。
「なんだって!?」
「私が予約しといたのよ。とりあえずお餅は、今年これでいいわよね!!」
「助かるよ!! すごく!!」
 これでやることが一つ減った。
 光は、ホッとした顔をする。
「光とりあえず一度やめたらそれ??」
 なぜ光が忙しいのか、それは、封筒にあった。
「しかしお年玉が!!」
「ポチ袋買いにいくわよ!! それで問題解決じゃない!!」
 どうやら、事前に買っていたポチ袋を何処かにしまってしまい、見つからないようだ。
 光は、もう疲れたと探すのをやめた。
「100均行ってくるよ」
「なら一緒に行くわ。どうせ子供たちお母さん所だし」
 本日も子供たちは、友美の実家に遊びに行っており、娘より孫が帰ってくると先日友美は、母から言われた。
 友美としては、帰る理由がないので帰らないのだが、母としては、顔を出せといいたいのだろう。
「実家面倒で、嫌なのよ」
「面倒って……うちよりましだろ??」
 光は、真顔でいう。
「……光かえ……」
「らない!! 帰るのならお義母さんところです!!」
 友美は、思う。光の方がよっぽど一族から帰ってきてくれと言われそうだなと。 
 光は、まったく実家に帰らないが。
「お義母様もさすがに……」
「あの人が会うと思うか!?」
「確かに……あったの居候の挨拶のときくらいだし……」
 友美は、光の祖国で官吏として働いていた。その時に彼の実家に居候をしていたのだ。
 今も官位は、あるが、あくまでもそれは、飾りであり、いざというときに力を発揮するだけのものだ。
 そしてその官位を作ったのが光の母にして、神事を司る部署の長である百合だ。 
「お義母様仕事人間だものね……」
「仕事というより感覚が人じゃない!! あれは、神の類いの感覚だ!!」
 一族にも関心がなく、力が強いからと当主にされ、才能があるので、好き勝手生きていても大抵のことは、なんとかなるという人物の百合。
 結婚したのも子をもうけたのも気分が向いたからかもしくは、多きや理由があるからかのどちらかだ。
「友美は、もしかしてオモヒカネ殿の事があるから……」
「まぁそれもあるかな……」
 友美が面倒という理由は、光の帰りたくない理由よりも至極単純だ。なにより簡単に解決する。
「まぁお母さんに素直に聞くか、触れなければいいのだけれど」
 友美は、困ったように笑う。
「とりあえずお餅取りに行くわ」
「俺も行く」
「ありがとう」
 友美と光は、したくをし、家を出ると、車で、モアの店まで行った。

 店につくと駐車場に車を停め、中に。
モアは、すぐに奥から出てきた。
「ありがとうモア」
 餅を受け取るの、友美は、代金を払う。
「確かに!! おまけもつけときますね!!」
 モアは、更に餅を光に渡すが、その量がすごかった。
「ありがとうモア」
 光は、どうしようと悩む。
「モア正月は、高天ヶ原に帰るの??」
「こっちでゆっくりします!! 羽月様は、お正月忙しいですし」
「神事があるもんね!!」
「はい。なので私は、こっちでのんびりしようかと!!」
「そう!! ならとりあえずいいお年を!!」
「友美と光先生も!! いいお年を!!」
 友美と光は、その後もモアの店をあとにし、車に乗ると、100均へ。
 ポチ袋を買うと帰宅した。
「光お餅どうする??」
「食べきれないよな」
 リビングのうえの炬燵には、多くの餅が。
「……お母さん要るかしら」
 友美は、とりあえずと、薫に連絡をいれ事情を説明するとすぐに欲しいと返事が。
「光実家いってくるわ」
「お餅欲しいって??」
「そう!!」
「ならいかないとね!!」
「そうね」
 友美と光は、支度をし、次は、友美の実家に。
 通路を使い行くと、玄関には、靴がいつもより多かった。
「ただいま」
 友美は、そういい中にはいると、リビングから声が。
 リビングに行き、ドアを開けると、驚いた。
「お父さん!?」
 オモヒカネが、いたからだ。炬燵に入り。
「友美おかえりー」
「馴染んでるね!?」
「友美何時もの事だから気にしないで。それよりおかえり」
「ただいまお母さん」
 友美は、そういうと微笑み餅のはいった紙袋を渡した。
「はい言ってたお餅」
「ありがとうー!! 助かるわ!!」
「そういえば遊李たちは??」
「じいちゃんところ。友美も行く??」
「うん」
 友美は、頷くと、すぐに光と祖父のところへ行ってしまった。
「友美まだ少し遠慮気味かな……」
「カネさんに??」
「お父さん!! と無難題を押し付けには、来る!!」
「カネさんには、遠慮してないのね」
 薫は、少し寂しそうな顔に。
「遠慮しないというより、使えるから、使われてるだけかもしれない」
 それも友美らしいが。しばらくして、友美たちが帰ってきた。
「お母さん」
 帰ってきた友美は、すぐに薫に話しかけた。
「その……お父さんとは、その……」
「大丈夫。まさかそれが理由で帰ってこなかったの?? 最近」
 友美は気まずそうな顔に。
「まぁ……その……色々事情があったといえど、お父さんは、お母さんを捨てたともとらえられるから……」
 確かにそうとらえられるかもしれない。だが薫は、違った。
「オモヒカネは、よく会いに来てくれたし、友美の事も私の事もずっと大切に想ってくれていた。だからそう想ったことは、ないよ」
「お母さん……」
「まぁ堂々とは、会いに来て欲しかったけど。不審者だったから」
 聞こえるように薫は、いうと、オモヒカネは、顔をひきつっていた。
「お父さんまさか不倫??」
「不倫なんてしてない!!」
「オモヒカネさんたしか……友美以外に子供いたような……」
「光!! いるけど、妻は、薫さんだけだ!!」
 オモヒカネは、娘夫婦に少し困った顔をしたが、友美と光は、ニヤリと笑った。
「似た者同士ね」
「薫さん!? そこで納得しないでくれる!?」
「納得するよ」
 そして友美と光のようにオモヒカネは、既に妻の尻に敷かれているようだ。
「私達みたい……」
「だな……」
「そこも、納得するな!!」
 オモヒカネは、炬燵から動かずに不服そうに言う。
「友美夜食べてく??」
「お母さん一人追加してもいい??」
「あーあの子ね!!」
「そう!!」
 さすがにいきなり予定を変えるわけにもいかない。
 薫は、楽しげに笑う。
「楽しみねぇー」
「お母さん変なこと吹き込まないでね!?」
「吹き込まないよ!!」
 あやしいと友美は、思うなか、光とオモヒカネは、炬燵でくつろいでいた。
「光実家には……」
「帰りません」
 と会話をしながら。 
 こういう大晦日もいいかなと友美は、思いながら、帰ってきてよかったと思うのであった。
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