光明ノ神子

 疲れるとそれぞれやる行動というものは、あるだろう。
 友美は、疲れたと思いながら、リビングで、ストレッチをしているとそこに、疲労感を漂わせた光が帰ってきた神子装束で。
 その姿に友美は、時計を確認した。時刻は、夕方五時前。今朝着ていった仕事服と違う。友美は、驚いた顔をした。
「光おかえりなさい……」
「ただいま……」
 そのまま光は、和室に入り着替えてくるのかと友美は、おもったが、光は、ある箱をもって戻ってきた。
 炬燵の上に箱を置くと蓋を開ける。
「光!?」
 その中には、大量のチョコが。ご飯前なのに光は、気にせずに無表情でチョコを手に持つと、袋をあけ、口に運んだ。しかも次々と。
 どんどん吸い込まれるチョコに友美は、驚くと共に光を見てさらに驚く。
 虚ろな瞳をしながらチョコを食べているので。
「光……が光……が……」
 珍しい光の姿に困惑している友美。
 箱の中にあったチョコが半分消えた頃、光は、はっとした顔をし辺りを見渡した。そして友美の顔をみると微笑む。
「友美ただいま!!」
「おかえりなさい……光大丈夫!?」
 光は、目の前で山になっているチョコのパッケージを見て、何かを察すると光は、困った顔に。
「疲れすぎてチョコチョコってなってたのか
……」
「えっ!?」
 光とは、人生の半分以上一緒にいるが、友美は、知らなかった。疲れすぎると光があんなことになるなんてと。
「光それどういうこと!? 光とであってはや20年以上たつけどこんな光見たことないんだけど!?」
「そりゃこうなる前に何時もは、ドリンク剤をのんだり、疲労回復の術をつかったり、休んだりするから。でも精神的に疲れすぎると時々なってしまうんだ。あんな感じに」
 そりゃ友美が見たことないのも納得だ。そもそも光は、精神的にここまで、疲労することが少ないのだから。
「光私を抱き締める??」
 友美は、思わず、手を広げ言うと、光は、パッと明るい顔になるとすごい勢いで頷き、友美を抱き締めた。
「癒しー!!」
「そりゃよかったけど……」
 密着しすぎでは、ないだろうか。
 光は、友美のそんな気も知らずに、友美を抱き締めそして、沈丁花の香りを堪能すると、友美から離れた。
「よし!! ご飯作るね!!」
「私も手伝うわ」
「ありがとう!!」
 とりあえず回復したようで何より、友美は、和室へ着替えにいった光を見ながら安心した顔をしたのであった。

 疲れるとそれぞれやる行動というものがあるだろう。
 光は、のんびりとクッキーを作っていた。
 さて美味しいクッキーが出来るだろうか、そう思いながらオーブンクッキーをいれ、焼き色を見ていたとき、何やら背中に温もりを感じた。
「光ー疲れたー!!!」
 光は、またかと思いながらも後ろを見るも友美が抱きついていた。自分の香りを堪能しながら。
「お疲れ様。お菓子食べる??」
 友美は、瞳を煌めかすと頷き、そして出来上がった焼きたてのクッキーを無心に食べたした。
 何時もそう友美は、ある一線を超えて疲れると、こうして光に抱きつきそしてそのときに彼が作っていたお菓子を無心に食べるのである。 
 次々と掃除機のように友美の口に吸い込まれていくクッキー。見ていてこっちも気持ちよくなるたべっぷりだ。
 多めにつくってよかったと光は、思いながら友美をみていると皿にあったクッキーは
なくなり、代わりに満足げな友美の顔があった。
「満足!! 私お腹すいてたのね……」
「やっぱり自覚してなかったのか……」
「みたい!! 私疲労がマックスになると光と光の作ったお菓子を食べたくなるからそれしか考えてなかった!!」
 しかしあんなにも食べて肥らないんだから謎である。
 友美の食べたクッキーのカロリーは、果たしてどこに消えるのだろう。
「光ごちそうさまでした!!」
「お粗末様でした」
 友美は、満足げに微笑むと和室へと入っていった。
「やっぱり疲れると、その時だけの行動っていうのがあるんだな」
 先日の自分もいい今日の友美といい、それぞれ違った行動がある。むしろそれがある方がある種の目安になり対処しやすいとも言えるかもしれない。
「さてまた作ってこようかな」
 愛する姫が好きなスイーツを。
 光は、そういうと楽しそうに鼻唄を歌いながらキッチンに行き、友美の好きないちご大福を作り始めたのであった。
17/179ページ
スキ