光明ノ神子

 夜少しだけ涼しくなり、秋の虫の声が聞こえ始めた。
 友美は、動きやすい服装に着替えると、玄関にいた。
「白野威いくぞー!!!」
 風呂は、既に沸いていて、子供達がいま入っている。
 帰ってきてからすぐに汗をこれで流せる。友美は、リードを持つと、白野威にハーネスを着けた。
「白野威でもいいの?? このワンコお散歩しようで……」
 座っている白野威に友美は、聞くと、彼女は、言った。
「いいのさ。それにノーリードで走ってたらうるさいやからに怒られるしね」 
 それは、そもそも白野威が狼の格好なのが問題と言える。
 友美は、本来の姿に戻ればいいのにと思ったが、白野威に睨まれた。
「めんどい」
「分かったわよ……」
 さていざ夜のランニングに出発と思った矢先、光がリビングから出てきた。
「友美夜に一人でランニングは、危ないよ!!」
「白野威がいるけど……」
 光は、白野威を見た。どこか疑い深く。
「……なにさ」
「友美を守れるんだろうな??」
「守るつうの!! というかなんでそうなのさ!!」
「今日は、約束破ってお菓子食べすぎるからだ!!」
 また始まった喧嘩に友美は、苦笑いしていると、そこに居候が。
「なら私も行くってことでいいかな?? 光」
 光と白野威は、口を揃えいう。
「なんで楸!!」
「といわれてもね??」
「俺が着いていくが!?」
「子供達どうするの」
 友美にグサッと言われ、光は、黙る。
「じゃ光行ってくるね!!」
「水郷に頼めば!!」
「その水郷今日は、いないでしょう??」
 タイミングよく水郷は、今晩は、実家に帰っていた。
 光が肩を落とすなか、友美は、いう。
「じゃ行ってくるからよろしくね!!」
「じゃ私もお供しよう」
 そういい、楸と友美そして白野威は、家を出た。
 
 しばらく友美と楸は、並んで走っていた。
「白野威尻尾るんるんだね」
「そうだね楸」
 白野威は、少し先を走り、楽しげに跳ねていた。
「風が少し涼しいかも」
「この風だと秋になってきたなと思うよね」
「まだ暑いけどね!!」
「確かに」
 なにより白野威が、元気になっているので、それだけ涼しくなった証拠にもなる。
「友美よかったのか?? 光の事」
「いいのいいの」
 友美は、わらう。
「後でお土産買って帰るから!!」
「お土産……」
 これは、後でスーパーかコンビニに寄るつもりだろう。
 ふと光のずるいという声が頭に響いたが、楸は、すぐに消した。
「でも楸もランニングってどうしたの??」
「体力作りだよ」
「涼しくなったし??」
「そうそう」
「友美は、また何故??」
「私は、秋を感じたくて!! あと白野威の付き合い」
 確かに狼一頭走ってたら通報される。
 楽しそうな白野威をみて、楸は、思った。ワンコじゃないだよなと。
「ワンコにしか見えないな……」
「そうよねぇ。でもこれが太陽神……」
「これぞ世の中の神秘かな」
「確かに」
 友美と楸の会話を聞きながら、そんなアホなと白野威は、思ったが、確かに事情の知らないものからすればこの反応が普通なのだろう。
「友美公園行こう!!」
「蚊に噛まれるから嫌よ」
「ならしゃない」
 走りながら、白野威は、そう言うと、散歩中のワンコとすれ違った。
 ワンコは、白野威を見ると怯える。
「ワン!!」
 白野威は、吠えてみるとワンコは、固まってしまった。
「すみません!!」
 友美は、飼い主に謝ると急いで走る。
「白野威!!」
「なんでさ!! そもそもあの犬が、ゲッ!! なにあいつ!! って言ったんだぞ!?」
「なら吠えたくなる気持ちも分かるね……」
「楸同意しない!!」
 友美は、そりゃ人よりも感じやすいワンコなら白野威で怯えるだろうと思ってしまった。
「だとしてもよ!! 白野威!!」
「神様パワー使うぞ!?」
「ワンコを消すな」
 友美は、ズバッというと、白野威は、身震いし、黙った。
「さすが友美だね……」
「何がさすがよ」
 そこまでのことじゃないと友美は、思ったが、あの白野威が怖がるのは、友美くらいだ。
 なので楸からすればさすがというべき事なのだ。
「私なんて紅蓮の下僕だからね……」
「それは、紅蓮が甘えてるだけさ!!」
「楸が甘やかしすぎなのもあると思うわ」
 確かに友美と白野威には、紅蓮は、あそこまでわがままでは、ない。 
 光に関しては、若干紅蓮が怖じ気ずいている。
 楸は、ならもう少し厳しくしてみるかと思った。
「私にできるだろうか……」
「確かに」
「まぁなかなか難しいかもね」
 友美と白野威に言われ、やる前から折れかけた。意思が。
「楸なんか凄いDVされてる人みたい??」
「友美それは、失礼」
「そうだね白野威」
 楸は、そこまでは、酷くないと心のなかで突っ込む。
「そこまででは、ないよ……」
「ならよかった!!」
 話しているとコンビニに着いた。友美は、止まると、白野威は、姿を普通の人には、見えないようにしする。
「さて!! 行くよ!!」
 気合いをいれ、友美は、店内に、楸と白野威も中には入る。
 友美は、まっすぐにスイーツコーナーに行くと、新作のさつまいもと栗のスイーツをかごにいれた。
「確かに光が、喜ぶね」
「でしょう!! 楸も好きなの選んで!!」
「え??」
「私のおごり!!」
「ならお言葉に甘えて」
 楸は、シュークリームをいれると、白野威と目があった。彼女は、咥えていた。エクレアを。
「白野威は、それね!!」
 友美は、白野威が咥えていたエクレアを、かごにいれると、そのまま会計に。
 そして持ってきたエコバッグにつめ、店内をでた。
「帰ったら夜のティータイム!!」
「背徳感マシマシだね」
「そうそう!!」
 友美は、微笑む。
 また、家まで走り、着くと、白野威は、足を洗い、中に。
 友美と楸も中には入ると、光がキッチンでお茶をいれていた。
「光ただいま!! お土産!!」
 友美は、そういうとエコバッグを見せる。
「おかえり。そう来ると思って、ハーブティーいれてたよ」
 この夫婦よく以心伝心出来ているが、ここまでとは、楸は、そのすごさに感服した。
「楸も飲むだろ??」
「ありがとう光」
 手を洗い、ダイニングテーブルの椅子に座ると、すぐに光がお茶をもってリビングにきた。 
 ダイニングテーブルにマグカップをおくと、彼は、友美のとなりに座った。
「子供達のも買ってきたのか??」
「もちろん!!」
「なら安心」
 光は、そういうとエコバッグがごそごそ目の端で動いた。
「友美食べるよ??」
「分かったわ」
 白野威は、エクレアを取ると、食べ始め、光がいれたハーブティーも飲み始めた。
「なら私達も」
 楸は、シュークリームを、友美は、栗のロールケーキ、光は、さつまいものシュークリームを選び食べる。
「秋ー!!」
「食でまず秋を感じるっていうね……」
「昔は、気候と食べ物どちらもだったけどな」
「だよね光!!」
 しかし秋は、食欲が増す。今でこれならさらに秋が深くなるのどうなるのか。
「ししにく!!」
「友美それ冬」
「だね」 
 光と楸に突っ込まれ、友美は、笑った。
「確かに!!」
 三人は、楽しくその後も話し、お菓子を食べ、夜のティータイムを楽しんだ。
 カロリーの心配は、あるがやはり夜のティータイムは、楽しい。
 そう思いながら、美味しいお菓子に舌鼓を打つのであった。
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