光明ノ神子
友美の式は、特殊な者が多い。それは、彼女のもつ縁からなのだろう。
光は、洗濯物を干し終え、テラスからリビングに入ると、思わずぎょっとした。
「……なんです」
十年ぶりくらいに見る。この者は。この気配。この白髪に深紅の瞳の女は、誰だろうか。
光は、しばらく考えいった。
「白蓮か??」
「よく分かりましたね。水郷ノ神子」
友美の式は、滅多にでてこない。銀狐と白夜を除いては。
この二頭は、いわば、マスコットであり、よく出てきては、友美に可愛がられている。
そしてこの白蓮だが、彼女は、本当に出てこない。光でも見たのは、二度目だ。
「珍しいな……」
「姫から魂の補正をと頼まれましたから」
「魂の補正!? 誰の」
「異界の者です」
白蓮は、もとは、イザナミの所にいた彼女の力の一部だった。
それがイザナミが、友美に力を放り込んだ際、余分なものとして、捨てられ、その後友美の式になった。
造化三柱とまでいかなくても、イザナミも創造を司る神ともいえ、彼女は、イザナミの生命を司る部分が分離し、人格を持ち、人のかたちをえたものだ。
「さすが元イザナミの一部」
「あなた様のように、造り出す方に言われたくは、ありません」
光は、苦笑いを浮かべる。
「といわれても……」
「もう少し自覚というものをもって欲しいものです」
そして手厳しい。友美には、違うが。
「白蓮お待たせ!!」
リビングに友美が入ってきたとたん白蓮の空気が、柔らかくなる。
友美は、困ったように光をみて笑うと、とりあえず光も笑い返した。
「姫……」
「この羽衣よかった、使って」
友美が差し出したのは、美しい絹の羽衣だった。
「このような貴重な品私が……」
「いいから!! 私もあまり使わないし、白蓮なら使うでしょう?? それと今回の対価に」
対価というのならしかたがない。白蓮は、羽衣を受け取ると頭を下げた。
「ならば、頂戴いたします」
「ありがとう!!」
白蓮は、嬉しそうに少しだけ笑うと、そのまま姿を消した。
「友美」
「光ありがとう。白蓮の話し相手になってくれて」
「話し相手になってたかどうか……」
「なってたと思うわ」
友美は、そういうと笑った。
「でもビックリしたよ。まさか白蓮が出てきてるなんて」
「めったに出てこないものね」
本当に白蓮は、出てこない。友美ですら、会うのは、久しぶりだった。
「そもそも白蓮が出てくるってことは、それだけ大事ってことだから、出てこないのが一番とも言えるけどねー」
「なら今回は、大事だったのか??」
「今回は、対価的に私より白蓮が適任と思ったから」
確かに魂の補正なら友美も出来る。だが、対価的にそこまではらわれない場合適任となると白蓮になるのだろう。
「対価的か……」
「まぁ私がやるより影響も少ないしね」
「それも考えると確かに」
強い力の者がいじるとどうしても影響が出る。そこも考えての采配だったようだ。
「とりあえず今回も無事すんだしよかった!!」
「そうだな」
友美は、微笑むと、キッチンに。
「友美」
「なに??」
紅茶をいれる友美に光は、聞く。
「白蓮をもう少し使うとかは、しないのか??」
「う~んさすがにねぇ……ほら魂の補正とかになるとねぇ……めったに使わないし……」
「その偵察とか連絡とか……」
「偵察なら六花の方が向いてるし……連絡なら銀狐と白夜でいいし……」
「なら敵と戦うときとか!?」
「憑霖と青龍がいるし……」
光は、この時思った。
「もしかして、白蓮の能力は、魂の補正だけ??」
友美は、困ったように笑う。
「あとは、保管かな……」
「出してあげたくても出せないと??」
「まぁそういうことね」
友美としても自由に出れるようにしてるが、白蓮は、基本出てこない。そして使いたくても使う用途が限られ過ぎて、使えないのだ。
「だから滅多に会わないか……俺なんて二度目だし見たの……」
「まぁそういうことね」
紅茶をいれおえ、友美は、言う。
「まぁ白蓮もやりたいことをやってるみたいだし出てこなくてもいいと思うわ」
「そうか」
そのやりたいこととは、なにか聞きたいが。まさかアマビエのような事だろうか。
「友美の追っかけ??」
「なんでそうなるのよ。ていうか白蓮にとって私は、それほどじゃないわ」
友美は、何故何時もこうなのか。分かっていない。魅力に。
「それほどだよ!! もう友美が分かるまで言おうか!?」
友美は、顔を青ざめる。
「夜も甘く囁かれてるのに昼間もやめて!? 拷問よ!! 拷問!!」
「なんと失礼な!? ならもっと甘くするぞ!!??」
「しなくていい!!」
何故そうなるのか。友美は、呆れながら、紅茶をいれていると、ちょこちょこと光がやってきた。
「俺ものみたいです」
「分かったわ」
光の分もいれたとき、後ろから抱き締められた。
「光離れて」
「少しは、甘えさせてよ……最近登場回数少ないんだぞ!?」
「メタ発言するな」
しかし事実である。
「俺もっとイチャイチャしたいんですが!?」
「私は、したくありません」
「ブー」
頬を膨らますと光は、拗ねた。
「友美は、俺よりほかがいいわけ!?」
「そう思うなら離れなさい」
「やだ」
これは、相当面倒なことになっている。友美からすれば別にいいだろうと思うが、光からすればよくないらしい。
「一応俺この話のヒーローですが!?」
「ヒロインでしょう」
友美は、光の腕から出ると言う。
「ヒロイン!?」
「私より女子力高いし」
「友美は、綺麗だ!!」
「ありがとう。でも私の方がこうなんというか……」
「友美は、強すぎるんだ」
そう友美は、強すぎる。たぶん光がいなくても生きていける。しかし光は、違う。
「だからこそ守りたくもなる」
友美は、ほほえむといった。
「ならしっかり守ってね??」
「もちろん!! 愛を囁き守るぞ!!」
「愛の囁きは、要らないわよ」
「なんで!?」
「光重すぎる」
「純愛と言ってくれます!?」
確かに純愛かもしれないが、友美は、溜め息をついた。
「紅茶さめるわよ」
「それは、いけない!!」
光は、慌てて紅茶を飲むと言った。
「友美これ新しいのだろ??」
「正解!! オレンジの香りがよくて」
「これは、美味しい」
光は、なにやらごそごそ戸棚を探り始めた。
「クッキー食べる??」
「食べる」
クッキーを光は、皿にのせると、友美は、さっそくとった。
「合う」
「だろ??」
「でもなんで私達立ちながらの食べてるのかしら」
「確かに」
まぁ時々こういうのもいいだろう。友美と光は、楽しそうにクッキーを食べている。
「光のクッキー食べたい」
「また作るよ」
「ありがとう」
結局なんやかんや友美は、光が好きだなとこの時思った。
「これも惚れた弱みねぇ」
「なにを今更」
「確かに」
色々あるけれどそれでも好きと思える相手がいることは、やはり幸せだ。
二人は、そう思いながら、微笑むのであった。どこか楽しげに。
光は、洗濯物を干し終え、テラスからリビングに入ると、思わずぎょっとした。
「……なんです」
十年ぶりくらいに見る。この者は。この気配。この白髪に深紅の瞳の女は、誰だろうか。
光は、しばらく考えいった。
「白蓮か??」
「よく分かりましたね。水郷ノ神子」
友美の式は、滅多にでてこない。銀狐と白夜を除いては。
この二頭は、いわば、マスコットであり、よく出てきては、友美に可愛がられている。
そしてこの白蓮だが、彼女は、本当に出てこない。光でも見たのは、二度目だ。
「珍しいな……」
「姫から魂の補正をと頼まれましたから」
「魂の補正!? 誰の」
「異界の者です」
白蓮は、もとは、イザナミの所にいた彼女の力の一部だった。
それがイザナミが、友美に力を放り込んだ際、余分なものとして、捨てられ、その後友美の式になった。
造化三柱とまでいかなくても、イザナミも創造を司る神ともいえ、彼女は、イザナミの生命を司る部分が分離し、人格を持ち、人のかたちをえたものだ。
「さすが元イザナミの一部」
「あなた様のように、造り出す方に言われたくは、ありません」
光は、苦笑いを浮かべる。
「といわれても……」
「もう少し自覚というものをもって欲しいものです」
そして手厳しい。友美には、違うが。
「白蓮お待たせ!!」
リビングに友美が入ってきたとたん白蓮の空気が、柔らかくなる。
友美は、困ったように光をみて笑うと、とりあえず光も笑い返した。
「姫……」
「この羽衣よかった、使って」
友美が差し出したのは、美しい絹の羽衣だった。
「このような貴重な品私が……」
「いいから!! 私もあまり使わないし、白蓮なら使うでしょう?? それと今回の対価に」
対価というのならしかたがない。白蓮は、羽衣を受け取ると頭を下げた。
「ならば、頂戴いたします」
「ありがとう!!」
白蓮は、嬉しそうに少しだけ笑うと、そのまま姿を消した。
「友美」
「光ありがとう。白蓮の話し相手になってくれて」
「話し相手になってたかどうか……」
「なってたと思うわ」
友美は、そういうと笑った。
「でもビックリしたよ。まさか白蓮が出てきてるなんて」
「めったに出てこないものね」
本当に白蓮は、出てこない。友美ですら、会うのは、久しぶりだった。
「そもそも白蓮が出てくるってことは、それだけ大事ってことだから、出てこないのが一番とも言えるけどねー」
「なら今回は、大事だったのか??」
「今回は、対価的に私より白蓮が適任と思ったから」
確かに魂の補正なら友美も出来る。だが、対価的にそこまではらわれない場合適任となると白蓮になるのだろう。
「対価的か……」
「まぁ私がやるより影響も少ないしね」
「それも考えると確かに」
強い力の者がいじるとどうしても影響が出る。そこも考えての采配だったようだ。
「とりあえず今回も無事すんだしよかった!!」
「そうだな」
友美は、微笑むと、キッチンに。
「友美」
「なに??」
紅茶をいれる友美に光は、聞く。
「白蓮をもう少し使うとかは、しないのか??」
「う~んさすがにねぇ……ほら魂の補正とかになるとねぇ……めったに使わないし……」
「その偵察とか連絡とか……」
「偵察なら六花の方が向いてるし……連絡なら銀狐と白夜でいいし……」
「なら敵と戦うときとか!?」
「憑霖と青龍がいるし……」
光は、この時思った。
「もしかして、白蓮の能力は、魂の補正だけ??」
友美は、困ったように笑う。
「あとは、保管かな……」
「出してあげたくても出せないと??」
「まぁそういうことね」
友美としても自由に出れるようにしてるが、白蓮は、基本出てこない。そして使いたくても使う用途が限られ過ぎて、使えないのだ。
「だから滅多に会わないか……俺なんて二度目だし見たの……」
「まぁそういうことね」
紅茶をいれおえ、友美は、言う。
「まぁ白蓮もやりたいことをやってるみたいだし出てこなくてもいいと思うわ」
「そうか」
そのやりたいこととは、なにか聞きたいが。まさかアマビエのような事だろうか。
「友美の追っかけ??」
「なんでそうなるのよ。ていうか白蓮にとって私は、それほどじゃないわ」
友美は、何故何時もこうなのか。分かっていない。魅力に。
「それほどだよ!! もう友美が分かるまで言おうか!?」
友美は、顔を青ざめる。
「夜も甘く囁かれてるのに昼間もやめて!? 拷問よ!! 拷問!!」
「なんと失礼な!? ならもっと甘くするぞ!!??」
「しなくていい!!」
何故そうなるのか。友美は、呆れながら、紅茶をいれていると、ちょこちょこと光がやってきた。
「俺ものみたいです」
「分かったわ」
光の分もいれたとき、後ろから抱き締められた。
「光離れて」
「少しは、甘えさせてよ……最近登場回数少ないんだぞ!?」
「メタ発言するな」
しかし事実である。
「俺もっとイチャイチャしたいんですが!?」
「私は、したくありません」
「ブー」
頬を膨らますと光は、拗ねた。
「友美は、俺よりほかがいいわけ!?」
「そう思うなら離れなさい」
「やだ」
これは、相当面倒なことになっている。友美からすれば別にいいだろうと思うが、光からすればよくないらしい。
「一応俺この話のヒーローですが!?」
「ヒロインでしょう」
友美は、光の腕から出ると言う。
「ヒロイン!?」
「私より女子力高いし」
「友美は、綺麗だ!!」
「ありがとう。でも私の方がこうなんというか……」
「友美は、強すぎるんだ」
そう友美は、強すぎる。たぶん光がいなくても生きていける。しかし光は、違う。
「だからこそ守りたくもなる」
友美は、ほほえむといった。
「ならしっかり守ってね??」
「もちろん!! 愛を囁き守るぞ!!」
「愛の囁きは、要らないわよ」
「なんで!?」
「光重すぎる」
「純愛と言ってくれます!?」
確かに純愛かもしれないが、友美は、溜め息をついた。
「紅茶さめるわよ」
「それは、いけない!!」
光は、慌てて紅茶を飲むと言った。
「友美これ新しいのだろ??」
「正解!! オレンジの香りがよくて」
「これは、美味しい」
光は、なにやらごそごそ戸棚を探り始めた。
「クッキー食べる??」
「食べる」
クッキーを光は、皿にのせると、友美は、さっそくとった。
「合う」
「だろ??」
「でもなんで私達立ちながらの食べてるのかしら」
「確かに」
まぁ時々こういうのもいいだろう。友美と光は、楽しそうにクッキーを食べている。
「光のクッキー食べたい」
「また作るよ」
「ありがとう」
結局なんやかんや友美は、光が好きだなとこの時思った。
「これも惚れた弱みねぇ」
「なにを今更」
「確かに」
色々あるけれどそれでも好きと思える相手がいることは、やはり幸せだ。
二人は、そう思いながら、微笑むのであった。どこか楽しげに。