光明ノ神子

 なんでこうなったのか、光は、聞きたかった。目の前では、ビーチボールで遊ぶ可憐な女子などいない。
 いるのは、むさ苦しい野郎だ。強いていうなら皆顔は、いい。顔は。
「普通海って可憐な女子の一人くらい居ないか!?」
 パラソルの下光は、そんなことを呟きながら、ジュースをのんでいた。
 事の始まりは、燕青がいきなり、メッセージグループに、海に行きたいと書いたからだ。
 勇音といけと皆は、いったが、そもそも行きたくないといわれたと返信が来たのである。
 その後何故かはなしは、とんとん拍子で進みこうして海に来ることになったのだ。
「光先生もやろうぜ!!」
 海パン姿の燕青は、そういうが、光は、不機嫌な顔をしいう。
「断る」
「即答だね……にしても光海に来てまで、パーカー着て、なおかつ前閉めてるのって……」
「五月蝿い楸!!」
 ほっといてくれ。これにつきる。
「アレが光のスタイルだ」
「ソーマがそれいっていいのかい??」
「まさかの衆人服だからな」
 そういうソーマは、なんと明治の頃の水着を着ていた。しかもシマシマの。
「ウェットスーツといえ」
「それどう考えても……」
「西洋の衆人服なんだよなぁ……」
 楸と燕青がそういうなか、ソーマは、なにも気にしてなかった。
 しかし顔がいいからか普通に見えてしまうのが面白いところだ。
「光海だよ!? 海!!」
「そうだな」
「遊ばないのかい!?」
「遊ばん」
 光からすれば家族で来たかったというのが本音だ。
 友美に相談したが、行ってこいと家を追い出され仕方がなくここにいる。
「……売れるかも」
 一瞬コイツらを盗撮して、写真集を作れば売れるのでは、と思った。
 なんせ神子の男性陣は、顔だけは、いい。中身は、とりあえず置いておいて。
「水郷カメラあったけっ??」
「光やめときなさい」
「分かった」
 水郷が呆れていうのでやめることにした。にしても絵には、なる。
「あの……」
 気づけば、楸達に女性が話しかけていた。
 どうやら、遊んでいたボールがこっちに飛んできたらしい。
「よかったら一緒にやりませんか??」
 光は、そんな声が聞こえ、飲んでいたジュースを吹き出しかけた。
「ゲホ!!」 
 まてまてアイツらの中フリーなのは、楸だけだ。なおかつ変な衆人服みたいなシマシマを着ているやつがいるのに何故話しかける。
 光は、色々突っ込みをいれたかった。
「私達も3人でやっていたので、ちょうどいいと思うんです!!」
 よくないちょうどよくない。
 光は、顔をひきつり、様子を見ていると、どうやら、やることになったらしい。
「マジか……」
 やるのか。何故そうなるんだ。光がそう思ったとき、目があった。
 相手の女性達の一人と。
「あの人は……」
「彼は、気にしなくていいよ」
「そうそう」
 楸と燕青は、そういうと、ソーマも頷き、そして女性達と少し離れた場所に行き、くじでチームを決め、ビーチボールで遊び出した。
「俺は、しらんぞ……ユニと勇音に怒られても……」
 一人海を眺め、光は、そういうと、立ち上がる。
「光海に入るの??」
「水郷せっかく来たし、遊びだいだろ??」
 水郷は、瞳を煌めかせた。砂浜を歩き、人気のないところに来ると、光は、海の中に。
 水郷は、光の肩から降りると、海へ。
「冷たいー」
「流されないようにな」
「龍神をあまくみるな!!」
 水郷は、そういうと、泳ぎ出した。
 光は、もってきた日傘をさすと、波打ち際を歩いた。
「貝殻落ちてる……シーガラスも……変なものが憑いてないものは、持って帰るか……」
 他の男子たちが遊んでるなか、光は、ひたすらに貝殻やシーガラスを拾っていた。
 これは、ハンドメイドに使えそうだ。
「……昔は、この海の向こうを常世と言ってたんだったな……」
 厳密には、熊野信仰では、だが。人は、死ぬと常世にいき、また、この世に戻ってくると信じられていた。
「このガラスもどこから来たのや……日本か、はたまた、海外か……」
 光は、拾ったガラスを太陽にかざした。キラキラと優しく光るガラスは、美しい。
「シーガラスでピアスとかも可愛いかも……」
 といっても女性ものになりそうだが、作ったとしても。
「友美に頼めば着けてくれるかな……」
 そう呟いていると、水郷が珍しく龍の姿になっていた。
「え??」
 光は、思わずおどろきのあまり、声を出した。
「光ちょっとまずいわ!!」
「まさかあの女たちがあやかしだったのか!?」
「違う!!」
 水郷は、光に、乗るようにいい、光は、水郷の頭に乗る。  
 遠くを見てみると誰か倒れていた。
「アイツらで対処できるだろ」
「人前で術使えるわけないでしょう!? その国家しかくは、お飾りなの!?」
「お飾りです」
 はっきりと言いきった。光は、呆れた顔をするという。
「そもそも俺は、お人好しじゃない」
「……どの口がそれいうの!! とりあえず助けてきなさい!!」
 光は、しかたがないと術を使いその場にいくと、女性の一人が倒れていた。
「光なんとかなるか??」
「とりあえず救急車。後は、日陰で、からだ冷やせ」
 熱中症だろうと光は、思いいうと、女性達は、慌てて動きだし、楸は、救急車を呼んだ。
「光他には……」
「ないだろうな」
 思ったよりも早く救急車は、きた。そして女性は、運ばれていった。
「光着いていかなくていいのかい??」
 救急車を見送り、光は、いう。
「俺は、たまたま居合わせたやつだからな」
 光は、そういうと、浜辺にあるいていった。
「光先生相変わらずだなぁーこういう時……」
「だね」
 運ばれていった女性の連れがソーマにお礼をいうなか、ソーマは、あきらかに俺は、なにもしてないという顔をしていた。
 その後連れの女性二人も友達が運ばれた病院に。
 燕青と楸そしてソーマは、光の所に戻ると彼ら、なにかと話をしていた。
「そうなのか……海も大変だな」
「そうだ。水郷ノ神子よ」
 はなしていたのは、なんとワタツミ三神の一柱と話をしていた。
「では、帰るか」
「ありがとう」
 神がさり、光は、楸達に気づくと首をかしげた。
「どうした??」
「さらりとワタツミ三神と話を普通するか!?」
「そうだよ光!!」
「なんだ、燕青、楸。だって相手が話しかけてきたから……」
「まぁ光ならそうだろうな」
 やはり友美の夫彼もまた神の知り合いが多いようだ。
「さて帰るか」
「光先生もう少し遊ばね??」
「面倒」
 光は、そういうと、帰るしたくを始めた。
「俺も帰る」
「そうだな」
 結局燕青、ソーマ、楸も帰るしたくをし、その日は、帰ったが、後日大変なことが起こった。

「光なんかユニと勇音が凄まじく怒ってるんだけど何かあったの??」
 夜何時ものように光は、和室で本を読んでいると、友美が話しかけてきた。
 光は、本を閉じると、言う。
「海でのことかな??」
「あーこの間の!!」
 光が貝殻とシーガラスを持って帰ってきたので、子供たちが大はしゃぎしていたことを友美は、思い出していた。
「遊李達喜んでたものね!!」
「理由が炭酸カルシュウ!! だけどね……」
 砕いてなにする気だと光は、思ったが、その後貝殻は、子供達の部屋に飾られていたので、少しほっとした。
「まぁ飾ってるし、光そこは、おおめにみてあげて!!」
 友美は、そういうと続けた。
「で海で何があったの??」
「たまたま来てた、女性三人とビーチボールで遊んでたからだろ」
 友美は、遠い目をすると言った。
「なんと……」
「ユニと勇音は、束縛すごそうだからな……」
「まぁ数千年、数百年越しの恋ですから……」
 友美は、そういうと困ったように言った。
「束縛すごいのもねえ……私は、嫌だなー」
「友美の場合束縛というより要らない。ポイ!! だからね」
 真顔で光に言われ、友美は、視線をそらした。
「あはは……」
「追いかける身にもなって欲しいものだ」
「追いかけなくてもよかったのよ??」
「よくない!!」
 本当に困った妻に光は、呆れながらいうが、その顔は、優しく笑っていた。
「でも光は、遊ばなかったの??」
「遊んでなんの利点がある」
「せっかくの海よ??」
「面倒」
 そして相手が女性に塩対応。
 友美は、たぶん下心あったんだなと推測した。
「海なら友美と行きたかった。でオーシャンビューのカフェとかでデートしたいよ」
「泳ぐは、入らないのね??」
「マグロとってくる妻とのデートに海水浴は、無し!!」
 マグロ事件は、本当に困ったと今でも光は、思っている。
「ソーマと燕青が助けてくれとメッセージ来てたが、無視して正解だな」
「まさかの……」
「楸を見てよ。見事に巻き込まれてる」
 確かに楸は、二人の味方をして、いま見事にユニと勇音に標的にされている。
「俺は、そういうのは、ごめんだ」
 光は、そういうと、本をまた読み始めた。ある意味危機回避能力高いらしい。
「……光すご」
 友美は、そういうと少しばかり、困った顔をして、微笑むのであった。  
 ある意味光ってドライかもしれないと思いながら。
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