光明ノ神子

 目の前の光景に皆言葉を失っていた。
「アハハ!! 久しぶりに楽しいー!!!!」
 ギラギラとした笑みで笑う友美。その姿は、まさに戦いに飢えた獣だった。
「久しぶりだって?? 日頃か、暴れてるのにか??」
 友美の攻撃を軽くかわしながら、光は、言った。
 カンと金属音が道場に響くなか、友美は、むすっとした顔をした。
「日頃こんなに暴れてないわ!!」
 刀をかまえ、友美は、光の懐に飛び込み、溝内に向かって剣をきりつけるが、光は、刀で受け止めた。
「暴れてないねー」
 なんだろう真剣をつかい命のやり取りをしてるのにこの二人の余裕は。
 道場の隅で見ていたソーマは、溜め息をついていた。
「あれ夫婦喧嘩だろ……」
「というよりじゃれないだと思う……」
 ユニから見てもそう思うのかとソーマは、思いながら、友美と光のやり取りを見ていた。
 話している間に光が今度は、攻め込むが、友美が軽々と避けていた。そしてとうとう足まででてきたので、光は、言った。
「そう来たか……」
「術は、禁止だけど、体術は、問題なし!!」
「なら俺もいいな!!」
 キィーと音がなり、友美な、まさかと辺りを見るすると鋼の糸が張り巡らされていた。
「これで俺の……」
「勝ちとは、思わないことね!!」 
 なんと友美は、鋼の糸を無視して突っ込む。
「なに!?」
 赤い飛沫が光の目の前に飛ぶ。この鋼は、体を切り裂くことが出来るもので、普通の人は、こんな無茶をしたら死ぬ。
 友美は、なんと左腕を動かし、張り巡らされた糸を全て取った。
「確かに切り裂かれる……でも寸分の一まで把握し、緩くなっているところを狙えばこの包囲網は、突破できる!!」
 友美は、なんと姿勢を低くし、光が太刀を振り上げた好きに、右手の拳を、を光の腹に入れた。
 グハッと声が聞こえ、とたんに光は、飛ばされ、壁に打ち付けられた。
 結界を張っていた為、壁に損傷は、ない。
 光は、腹を擦りながら、なんとか立ち上がった。
「瞬時に……力で腹を守ったが……それでもきつい……」
 内蔵に損傷もないのでよかったが、それでも友美の拳は、ひとたまりもない。
「よし!! 私の勝ち!!」
 この勝負のルールは、どちらかが戦闘不能になれば勝ちだ。光は、すでに戦える状況では、ない。
 友美は、スッキリとした顔をし、喜ぶが、光は、恐ろしい顔をしていた。
「友美」
「はい……」
 光は、腹を擦りながら、友美のところまで来ると、友美の左手を掴む。
 友美の着ていたどうぎ袴のの袖を肩まであげると溜め息をついた。
「……はぁ……こんなに傷を負って……あの糸に突っ込む馬鹿がいるとは、思わなかった」
 友美は、お茶目に笑う。
「てへ」
「てへじゃない!!」 
 友美は、恐る恐るソーマとユニを見たが、二人も呆れた顔をしていた。
「腕飛んでたらどうするんだ!!」
「繋げればいけるから!!」
「……確かに。だがあんな無茶するな!!」
「分かりました……」
 術で道場を綺麗にすると友美は、光から手当てを受けた。
「ソーマとユニは、やらないの??」
「俺たちは、いい」
「友美が来る前に手合わせは、しましたし」
 縁側に腰かけ休憩がてらに友美達は、茶を飲んでいた。
「そうか」
「なら私とやる??」
 友美は、瞳を煌めかすがソーマは、そんな友美を見ていった。
「あんな練習試合見さされたあとにやりたいと思えるか」
「なぬ!?」
「見てるこっちがハラハラするくらいのでしたし」
「そんなに!?」
 友美は、光を見ると彼も頷いていた。真顔で。
「友美は、俺相手だと手加減をしないから」
「そりゃ光だけだもん。私と本気でやりあえるの」
 だからこそ、見ている方は、ハラハラし過ぎてその後練習試合をしたくなくなるのだ。
「でも友美あの鋼の糸にあんな無茶して大丈夫ですか??」
「あーあれ。光が力を注いでなかったから」
 友美は、そういうと光を見る。すると彼は、驚いていた。
「まさか仕組みを知っているのか!?」
 神子は、各々使う術や、戦術を仲までも教えない。
 光が驚くのも無理は、ないのだ。
「知ってるというか……観察して発見したというべきかしら……」
 光は、頭を抱えた。
「だからあんな無茶をしたのか……」
「友美と戦うときは、見透かされてる感じで違和感を覚えるが……その正体は、観察と推理か……」
「なるほど」
 ソーマとユニを分析をしているが友美は、そこまでのことかと呑気に考えていた。
「光夜の方もお願いします!!」
 飲んでいた茶を光は、吹きかけた。
「ごほ!! 友美ここでいうな!!」
「勢いで言おうかと……」
 本当に仲のいい夫婦である。
「友美達本当に仲良しだね……」
「俺たちもだろ??」
 気づけばソーマの顔が目の前に合った。美しいアイスブルーの瞳が近づいてくる。
 ユニは、思わず目を閉じると、優しく口付けをされた。
 それを見ていた友美は、対抗心からか凄いことを言った。
「光!! 野外プレイとかすべき!?」
「変なことに興味を示すな!!」
「だって野外プレイは、なかなかいいらしいし!?」
「知らん!! あと対抗心からそんなこと言わなくていい!!!」
 光は、友美に突っ込むと、友美は、不服そうな顔に。
「ヘイヘイお二人さんそれ以上やるなら家でやれー!!!」
 ユニは、顔を赤くし、ソーマは、怪訝そうな顔に。
「友美に言われたくねぇ」
「まるで私が変態みたいじゃない!!」
「そうだろうが」
「違います!! 私が変なことに興味を示しても被害合うのは、光だけだもの!! よさまに迷惑は、かけてないわ!!」
 友美は、胸を張りいうが、その後ろで光は、溜め息をついていた。
「友美胸を張っていうことじゃない」
「光……お疲れさま……」
「先生御愁傷様です」
「ありがとう。ソーマ、ユニ」
 友美は、ぷくーと頬を膨らませる。
「どうせ私は、夜は、イケイケのソーマと違います!!」
 友美は、ニヤリと笑うとソーマは、顔を青ざめていた。こいつ絶対に知ってる色々と。
「友美!!」
「変態ってソーマの事じゃないの??」
 ソーマは、のろりと立ち上がる。
「剣をもて!! その首落としてやる!!」
「あらこわーい!!」
 しかし友美は、ニヤリと笑うと言った。
「でもその勝負は、受けるわ。異能アリでいいわよ??」
 ユニは、顔を青ざめ、光は、茶を飲む。
「先生友美をとめてください!!」
「まぁいいんじゃないのか」
「先生……」
 光は、たぶんこの勝負友美が勝つと確信していた。
 ソーマは、憤り、すぐに決着をつけようと吹雪を起こした。
「先生結界は!?」
「張ってるわけないだろ……」
 のんびり茶を飲む光にユニは、頭を抱えていた。
 頼むから大変なことにならないでくれ。
 視界が悪いが、ソーマは、友美を補足していた。
 的確に氷で作った剣を友美の首めがけ、切付けたが、次の瞬間。
「おしまい」
 友美の声と共にソーマは、地面に叩きつけられた。
 吹雪は、止み友美は、涼しげに立っていた。
「どんなときも冷静さをかけては、勝ち目は、消える。試しに煽ってみたけどまだまだねー」
 ユニは、光を見ると、彼は、笑っていた。
「先生本当ですか??」
「そうだよ。あの夜の辺りからね」
 実は、友美は、夜の発言からソーマをあえて煽り冷静に物事をとらえられるかと揺すっていたようだ。
 のびているソーマを担ぐと友美は、縁側に寝かせた。
「ソーマって自分やユニが煽られたり、するとすぐに冷静さがなくなるからね。強者と戦うときは、もよりも、自分よりかくしたでも、冷静さがないと負けるから」
「友美……」
「ユニごめん」
 友美は、素直に謝るとユニは、微笑む。
「大丈夫です。それよりありがとうございます。ソーマの課題を教えてくれて」
「これも神子の長としての役目ですから!!」
 仲間を失わないために、何より親友に二度と同じ経験をして欲しくない。
 友美は、その気持ちで今回行動を起こした。光に協力してもらって。
「でも友美その……先生との試合に関しては……」
「あれは、ソーマ煽り作戦とは、別!!」
 ユニは、光をみると、彼は、呆れたかおをしていた。
「ですよね……」
「暴れたくてね!! なので光にお願いしたの!!」
「他の神子だとそもそも無事じゃすまないだろ……」
「かもね!!」
 友美は、光に飛び付いた。
「光ありがとうー」
「いえいえ」
 目を覚ましたソーマは、ばつが悪そうなかおをしていた。
「チッ……」
「ソーマ大丈夫??」
「問題ないユニ」
「ならよかった」
 友美と光は、話すソーマとユニを見て微笑む。
「仲良しだよねー」
「俺達ほどでは、ないけど」
「光マウント??」
「事実を言ったまで」
 友美と光の視線きに付いたソーマは、イラッとした。
「あの夫婦……似た者どうしすぎるだろ!?」
「そりゃ夫婦は、似るから……なら私とソーマに似てるのかな……」
「……それは、似てるだろ」
 愛するユニと似てるのなら少し嬉しいとソーマは、思った。だがそれとこれは、別。
「友美、光いい加減にしろ!!」
「なんで!?」
「俺まで!?」
 友美と光を追いかけ回すソーマ、ユニは、そういうところだよとソーマに思いながらも微笑む。
「光私もしかして問題児??」
「今更それを言う??」
「いう」
 ソーマに追いかけられながら、友美と光は、そんな話をした。
「でも俺にとっては可愛いよ。そういう友美も」
「ありがとう光」
 友美と光は、微笑むとユニをチラッとしてさらに笑った。
 ユニが楽しそうで何よりと、この時ソーマ以外の三人は、楽しそうに微笑んでいた。
 こういうのもまた幸せなのだと。
「くっそ……逃げ足も速すぎる……」
 肩で息をするソーマは、追いかけることを諦めた。腹は、たつがある意味楽しいといえる。
 まぁこうのも悪くないかと、彼も微笑むのであった。
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