光明ノ神子
正しき世とは、なんなのだろう。
「……島原·天草の乱って結局色々混ざってあんな酷いことになったのね」
飛び散る血。そして切り殺される人々と屍の山。
切り落とされた首は、無造作に埋められ、そして体もまた放置された。まるでゴミのように。
仏教では、江戸の時代には、すでに世の中が乱れる末法に入っているとされている。
確かにこの参事を目にすると、そうとも思う。
普通の人ならば惨劇に目をそらし、嘔吐し気絶するだろうが、彼女は、じっと見ていた。
「友美そんなに見なくてもいいと思うけど~??」
木上に座り、じっと見ている友美に白野威は、言う。
「……そうね」
でも見ておこうと思った。これが生きながらにして人々が作った地獄なのだから。
「……せっかく人に産まれてきたのに……なぜ鬼になるのかしら生きながら」
「友美……」
自分も同じかと友美は、思う。間違いなく彼女の中には、鬼がいるからだ。
人々の悲鳴と火薬の匂い。なにより人が焼ける匂いがする。
白野威は、顔を歪め、友美は、感情のない眼差しでそれを見ていた。
「まぁおかしなことをし、おかしなものを信仰していればこうもなるよ」
「白野威……」
「何が神を裏切ったら堕天使、悪魔だつうの。いっとくが悪魔や堕天使より、神と天使は、人殺してるから」
「まぁ確かにそうよね」
「私には、全く理解できん。キリスト教ってやつは、さ」
「私もよ」
もし主が万民を助けるというのなら何故この肥前の国の島原、天草の人達を助けなかったのだろう。
重い年貢、そして飢餓に苦しみ、そしてキリスタンの迫害。その全てが重なり、民の不満となりこの一揆は、起こってしまった。
幕末より以前の最大の戦にして人殺しがおこなわれた、島原、天草一揆が。
「……そういえばフランシスコ・ザビエルって騙す形で日本人に、キリスト教を宣教してたって聞くわ」
「あー確かキリスト教における。親の神、子の神、聖霊に分かれてるとかで……その親の神をポルトガル語でデウスっていうから、日本だと大日と訳して、大日如来と言い直して、布教したってあれね」
「日本人が賢すぎて、仏教も織り混ぜた、とか、仏教と宗派と勘違いされたらそうしたとか……諸説は、色々あるわよね」
「まぁその時点でおかしいからこうなるのも分かるって??」
「なんとなくね」
しかしそれが全てとは、思わない。様々な因縁が複雑に絡まりあい、そしてこの一揆は、起こったのだから。
友美は、立ち上がる。
「友美??」
「白野威帰ろう」
「わかった」
友美は、そういうと、白野威と共に姿を消した。
結局戦とは、因縁や怨恨様々な思惑や想いが絡まりあいおきる。
でもいえることは、ある。その戦の渦中にいるものたちは、生きながらにして鬼となり地獄にいると。
家に着き、友美は、呟いた。
「どれだけ完璧なものを作ろうとしても、欠陥は、産まれる」
「だね」
「ましてや私達は、仏じゃない。神にも欠陥があるんだから人だとあるのが当たり前」
友美は、何がいいたいのだろう。白野威は、そう思いながら、友美をみた。
「……結局欠陥をもって産まれたとしても実相を知り、認め、変わっていくからこそ人は、成長し、神、仏にもなれる」
「友美……」
「私思うの。時々我々は、正しいとか新しい人類を作ればとか、理想の人類は、我々だとか言ってるやつほど、その理想とやらからかけはなれているって」
完璧な人類を作ろうと、自分達が完璧だと言おうと、結局は、全ておごりとえご。
成長をしなくては、落ちていくのみだ。
「生きとし生きるとの全てが幸せになるために産まれてくる……でも己の実相も分からず業も認めず、おごればすぐに毒に犯され、落ちていく」
結局その三毒と言われる、怒り、貪り、愚か。これに気づけるか、見とめられるかと言うのが、重要ともいえる。
「確かにそうだね」
「白野威。私見れてよかったわ。お陰で、もっと今の幸せに感謝し、私の中の鬼をまた再確認できた」
友美は、目を伏せ言う。
「私は、もっと成長できる。白野威ありがとう」
白野威は、少し驚くがすぐに笑った。
「いえいえ。でももうあんなところいくのこりごりだから」
「もういかないわよ!!」
それに見たくもない。あのような地獄を。しかし知識として正しいものを知れたのは、よかったともいえる。
「白野威ありがとう」
「付き合うのも神の役目さ」
白野威は、そういうと、陣のある部屋をでていった。
「……神の役目ね……」
あの惨劇をただ見るのも役目なのだろうか。
「この世は、因果応報……おかしなものを信仰すれば……おかしなものも集まる……か……」
友美は、ポツリと呟くと何処か、悲しげな顔をし、部屋をでたのであった。
主をどうして助けてくださらないのですか。主を……
そんな声を彼女は、聞いたのかもしれない。
「……島原·天草の乱って結局色々混ざってあんな酷いことになったのね」
飛び散る血。そして切り殺される人々と屍の山。
切り落とされた首は、無造作に埋められ、そして体もまた放置された。まるでゴミのように。
仏教では、江戸の時代には、すでに世の中が乱れる末法に入っているとされている。
確かにこの参事を目にすると、そうとも思う。
普通の人ならば惨劇に目をそらし、嘔吐し気絶するだろうが、彼女は、じっと見ていた。
「友美そんなに見なくてもいいと思うけど~??」
木上に座り、じっと見ている友美に白野威は、言う。
「……そうね」
でも見ておこうと思った。これが生きながらにして人々が作った地獄なのだから。
「……せっかく人に産まれてきたのに……なぜ鬼になるのかしら生きながら」
「友美……」
自分も同じかと友美は、思う。間違いなく彼女の中には、鬼がいるからだ。
人々の悲鳴と火薬の匂い。なにより人が焼ける匂いがする。
白野威は、顔を歪め、友美は、感情のない眼差しでそれを見ていた。
「まぁおかしなことをし、おかしなものを信仰していればこうもなるよ」
「白野威……」
「何が神を裏切ったら堕天使、悪魔だつうの。いっとくが悪魔や堕天使より、神と天使は、人殺してるから」
「まぁ確かにそうよね」
「私には、全く理解できん。キリスト教ってやつは、さ」
「私もよ」
もし主が万民を助けるというのなら何故この肥前の国の島原、天草の人達を助けなかったのだろう。
重い年貢、そして飢餓に苦しみ、そしてキリスタンの迫害。その全てが重なり、民の不満となりこの一揆は、起こってしまった。
幕末より以前の最大の戦にして人殺しがおこなわれた、島原、天草一揆が。
「……そういえばフランシスコ・ザビエルって騙す形で日本人に、キリスト教を宣教してたって聞くわ」
「あー確かキリスト教における。親の神、子の神、聖霊に分かれてるとかで……その親の神をポルトガル語でデウスっていうから、日本だと大日と訳して、大日如来と言い直して、布教したってあれね」
「日本人が賢すぎて、仏教も織り混ぜた、とか、仏教と宗派と勘違いされたらそうしたとか……諸説は、色々あるわよね」
「まぁその時点でおかしいからこうなるのも分かるって??」
「なんとなくね」
しかしそれが全てとは、思わない。様々な因縁が複雑に絡まりあい、そしてこの一揆は、起こったのだから。
友美は、立ち上がる。
「友美??」
「白野威帰ろう」
「わかった」
友美は、そういうと、白野威と共に姿を消した。
結局戦とは、因縁や怨恨様々な思惑や想いが絡まりあいおきる。
でもいえることは、ある。その戦の渦中にいるものたちは、生きながらにして鬼となり地獄にいると。
家に着き、友美は、呟いた。
「どれだけ完璧なものを作ろうとしても、欠陥は、産まれる」
「だね」
「ましてや私達は、仏じゃない。神にも欠陥があるんだから人だとあるのが当たり前」
友美は、何がいいたいのだろう。白野威は、そう思いながら、友美をみた。
「……結局欠陥をもって産まれたとしても実相を知り、認め、変わっていくからこそ人は、成長し、神、仏にもなれる」
「友美……」
「私思うの。時々我々は、正しいとか新しい人類を作ればとか、理想の人類は、我々だとか言ってるやつほど、その理想とやらからかけはなれているって」
完璧な人類を作ろうと、自分達が完璧だと言おうと、結局は、全ておごりとえご。
成長をしなくては、落ちていくのみだ。
「生きとし生きるとの全てが幸せになるために産まれてくる……でも己の実相も分からず業も認めず、おごればすぐに毒に犯され、落ちていく」
結局その三毒と言われる、怒り、貪り、愚か。これに気づけるか、見とめられるかと言うのが、重要ともいえる。
「確かにそうだね」
「白野威。私見れてよかったわ。お陰で、もっと今の幸せに感謝し、私の中の鬼をまた再確認できた」
友美は、目を伏せ言う。
「私は、もっと成長できる。白野威ありがとう」
白野威は、少し驚くがすぐに笑った。
「いえいえ。でももうあんなところいくのこりごりだから」
「もういかないわよ!!」
それに見たくもない。あのような地獄を。しかし知識として正しいものを知れたのは、よかったともいえる。
「白野威ありがとう」
「付き合うのも神の役目さ」
白野威は、そういうと、陣のある部屋をでていった。
「……神の役目ね……」
あの惨劇をただ見るのも役目なのだろうか。
「この世は、因果応報……おかしなものを信仰すれば……おかしなものも集まる……か……」
友美は、ポツリと呟くと何処か、悲しげな顔をし、部屋をでたのであった。
主をどうして助けてくださらないのですか。主を……
そんな声を彼女は、聞いたのかもしれない。