光明ノ神子

 何故だろう。朝から機嫌が悪い。
「翠!!??」
 翠は、はたいていた。キュウリを。何時もなら喜ぶキュウリをポイするなんて。なにがあったんだ。
 光は、唖然としていた。ただ分かる。翠がそうとう不機嫌だと言うことだ。
 翠は、不機嫌そうにプイッとした。
「友美翠がおかしいんだ!!」
「あら本当ね」
 和室からでてきた友美に言うと、友美は、不思議そうに見ていた。翠を。
「光もしかして翠体調悪いのかも??」
「というと??」
「お皿が湿りすぎてる」
 まさかの真実に光は、驚く。翠は、頷くと小躍りをはじめた。
「……友美なんで分かるんだ??」
「なんとなくよ。とりあえずシリカゲル!!」
「シリカゲル!?」
 それでなんとか、なるのかと、光は、思ったが、友美は、皿にシリカゲルを置くと、翠がおとなしくなった。
 光は、キュウリをあげると、ペコリと頭を下げ、翠は、食べはじめた。キュウリを。
「機嫌が直った!?」
「翠お皿が湿りすぎるの嫌みたいなのよねー」
「なんということだ!?」
 河童は、川にすむ妖怪だ。濡れることに関しては、平気だろうと思っていたが、翠は、別のようだ。
「……うちの河童こだわり強すぎないか??」
「光普通河童をペットにしないわよ」
 ペットといえば、犬、猫、魚、ハムスターなどが定番だろう。
 しかしいくら珍しい生き物をペットにしてようとも、河童をペットにしているやからは、この家くらいだ。
「確かに……」
「それに増えてるし……」
 友美は、テラスをみると、行商河童が検品していた。品物の。
「検品作業してる!!??」
「何時もの事よ」
「完全に住み着かれてる!?」
「今更よ」
 今更だ。むしろ家賃を毎月払ってくれている。翠と違って。
「家賃も払ってくれてるし、まぁいいかなぁ~って」
「翠より確りしてる……」
「翠と一緒にしない」
 アマビエまで検品作業を手伝いだし、光と友美は、思った。なぜうちには、変なものが住み着くのかと。
「友美、アマビエって……もう定住してるよね??」
「してるわよ。なんなら、行商河童のお手伝いして、お給料もらって、家賃おさめてるわ」
「アマビエまで家賃を!?」
 光は、凄いことになってると驚いていると、友美は、言った。
「そう。病魔退散だけだと、家賃として足りないからって!!」
「足りてると思うんだが!?」
 世の中の人がほしい加護の一つである病魔退散。それをくれているのだ。
 それだけでもこちらとしては、とてもありがたい。
「まぁアマビエの気持ちしだいだからねー」
「確かに……うち値段決めてないしな……」
「そうそう」
 そうだとしても、だ。
 光は、テラスのアマビエと目があった。アマビエは、あたまをさげると検品作業をまた始めた。
「う~ん翠の家賃は、可愛さで支払いか??」
「光翠可愛い??」
「……微妙だな」
 翠は、ショックを受けキュウリを落とした。
「あら翠……」
 翠は、のろりと立ち上がると光に飛び付き、光の腕をはたきはじめた。
「いったー!!!!!」
 絶対に可愛くないこの河童。
 光は、翠を引き剥がすと、光は、翠をじっと見た。
「……ごめん」
 翠もペコリも頭を下げそして地面に。おとなしくまたキュウリを食べ始めた。
「河童って難しい」
「そうだね光」
 本当に河童は、難しい。もしかするとペットを飼うというのは、大なり小なりあるといえど難しいことなのだろう。
「そういえばこんなのを見たわ」
「というと??」
 友美は、優しく微笑む。
「ペットの家賃は、可愛いなんだって!!」
「可愛いか……」
 光は、イスに座ると、友美も彼の向かいに座り、話す。 
「そう!! でその可愛いは、過剰に払われるか、飼い主は、負債を抱える」
「なるほど」
「でもその可愛いは、ペットが亡くなった後も残る。あの子達は、自分がいなくなった後の事も考えて、過払いしてるのかもって!!」
 オウムや亀でない限り、人よりも先に彼らは、逝ってしまう。
 でもふとしたときに思い出すとすぐに可愛いく元気な姿を思い出すことができる。
 光は、優しく微笑むといった。
「かもしれないね!!」
「ねぇ!! 翠は、まだまだ生きるだろうけど……」
「そもそも可愛いを過払いしてるかも不明だけど」
「確かに!!」
 キュウリを食べ終え、翠は、テラスへ戻っていった。
「そういえば睡蓮が咲いていたわ」
「俺も今朝見たよ。無事に咲いてよかった」
「もしかして翠が住み着いてるから毎年綺麗に咲くとか??」
「ありえそう。だが河童にそんな力あるのか??」
「分からないわ」
 ふと河童とは、なんなのかと思うことがある。しかし思い付くことといえば川に住む妖怪でキュウリが好きということだけだ。
「光!! つららちゃんみたいに服を着せたら可愛くなるかも!?」
「友美あの丸いボディーに服は、難しいよ。そもそも一頭身だし……」
「確かに」
「どうにかして可愛く出来ない!?」
「まぁ無理だろうね」
「よね……」
 ワンコがペットなら、悩まないのだろうなと友美は、思ったが、そういえばうちには、狼がいたと思い出した。
「うちすでにイヌ科いる!!」
「広いね!? イヌ科で縛るの!!」
「狼に狐!! なんと素敵なのかしら!! それに人の言葉話すわ!!」
「友美さん……狼は、厳密には、太陽神だからねー」
「狐は、違うわよ!?」
「う~ん白狐と玄狐だけどね……なおかつ尾っぽ2本……」
 仙狐というべきかもしれないが。
 友美は、真顔になるといった。
「いいのよ。可愛いから!! そういえば白夜と銀狐が油揚げ食べたいって言ってたの!! 買ってこないと!!」
「そういえば友美なんで玄狐に銀狐って名付けたんだ??」
 銀狐と呼ばれているがこの狐は、漆黒の美しい毛並みをしている。
「月の光にあたったら銀色に見えたからよ!! だから玄狐かもだけど、銀狐かなと思ったから名前で銀狐ってしたの!!」
「なるほど」
「さてさて油揚げ!!」
「ならおいなりさんもよろしくー」
 友美は、声をする方を見ると白野威が起きてきていた。
 友美は、頷く。
「分かったわ!! なら油揚げとおいなりさんね!!」
 友美は、頷くと、和室へかばんをとりにいった。
「白野威も行かないのか??」
「いくさ。でも言っておかないと忘れそうでね」
「確かに」
 友美が和室からでてくると光も立ち上がった。
「俺も行くよ」
「オッケー!!」
 一緒に買い出しもしてこようと光は、思ったのだ。したくをし、テラスの鍵を閉めると、翠とめがあった。
 翠は、手を振ってくれたので、振り返すと、翠は、潜ってしまった。
「こういうところは、かわいいよな」
 光は、そう呟くとリビングの入り口に。
「車だそうか??」
「暑いしね!!」
「分かった」
 白野威が車と言いながら、玄関に、二人は、微笑み合うと扉を閉めた。
「はやく!!」
「分かったわ」
 友美は、そういうと玄関にそして光も微笑むと玄関に向かったのであった。買い出しに出かけるために。


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