光明ノ神子

 本日光の誕生日だ。夕飯の時にパーティーもし、子供たちも部屋に戻った。
「主役の光が結局何時もどうりご飯作って食べてって感じで、ゆっくり出来なかったわね……」
 食器を洗いながら、友美は、隣で珈琲を淹れる光に言った。
「いいよ。俺は、何時もどうりで。誕生日といっても特別というわけでもないしな」
 友美は、不満げに言った。
「私や子供達の誕生日は、はりきるのに!! なんで自分の誕生日は、無頓着なのよ!!」
「まぁ大切な家族の誕生日と自分の誕生日は、全然違うから」
「そんなことないから!!」
 友美は、食器を洗い終えた。
「とりあえず付き合ってよね!! この後!!」
「もちろん」
 さて友美に何をさせられるのかと光は、考えながら、とりあえず指定された珈琲をいれ終えた。
「よし!! 光とりあえずそれリビングへ持っていく!!」
「オッケー」
 珈琲を光がリビングに持っていくと、友美は、その間冷蔵庫をごそごそし始めた。
「よし!! 術かけて見えないようにしてたから無事ね!!」
 友美は、冷蔵庫を閉めると、リビングにあるものを持ってきた。
「ケーキ作りました!!」
「えっ!!??」
 友美は、ダイニングテーブルの上に置くと、光は、瞳を煌めかせる。
「美味しそう……苺と……パイン……」
「季節のものをね!! 苺は、少し季節外れかもだけど!!」
 可愛らしいケーキに光は、スマホで写真を撮った。
「子供達には、秘密ね?? これくらいなら光食べちゃうし、なら誕生日だし楽しんでもらおうと!!」
「友美……ありがとう!!」
「いえいえ。改めて光お誕生日おめでとう!!」
 光は、目を細める。
「ありがとう!! 友美も食べよう!!」
 彼ならこう言うとなんとなく分かっていたが好きなだけ食べてほしいとケーキを作った。
「光が食べてもいいのよ?? 全部!!」
「俺一人だと流石に多いよ。それにカロリーの事もあるし……それに一緒に食べた方が嬉しさも二倍!! だから!!」
 嬉しそうに笑う光をみていると自然とこちらも笑顔になる。 
 友美は、困ったように笑うといった。
「ありがとう。分かったわ」
「ならさっそく!!」
 ケーキを切り分け、光は、さっそく食べると美味しさに舌鼓をうった。
「美味しい~」
「それは、よかった」
「友美本当にありがとう!!」
「いえいえ。後これも」
 友美は、光に綺麗にラッピングされた箱を差し出した。
「開けても??」
「もちろん!!」
 箱を開けて受けとると、中には、美しい万年筆が。
「いくつか持ってるけど、光が好きそうと思って!!」
 光は、目を細めるといった。
「ケーキと万年筆か……」
「光??」
「嬉しくてつい。よし!! 友美の誕生日は、更にはりきるぞー!!!」
「はりきらなくていい!!」
 二人は、微笑みあうとまたケーキを食べる。子供達とのパーティーも楽しいが、やはりこうして夫婦水入らずの時もよい。
 光と友美は、何気ない会話をしながら、ケーキを食べたのであった。
 優しくあったかな空気に包まれながら。
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