光明ノ神子
解剖とは、医療系の学生には、馴染みかもしれない。
「パパ解剖の歴史知ってる??」
朝から珈琲をいれながら、光は、ポカーンとしていた。
「解剖の歴史!?」
解剖とは、どんなものかでは、なく。歴史。さてどう説明すべきか。
遊李を見ながら、光は、止まってしまった。
「その世界のは、いいから!! 日本の!!」
「……日本の」
「そう!! ママに聞いたら苦笑いされて逃げられたんだ」
友美は、知っているがあえて言わなかったのだろう。
「白野威は??」
「聞いたけど、死んでた私に聞くなーって」
「確かに」
光は、悩んだのち話すことにした。たぶん駄目と言っても無駄なので。
「日本書紀でもかかれてるが、雄略天皇の頃かはじめなんだ」
「もしかして無罪なのにえん罪をかけられて行方不明になったっていう……ワカタラシヒメの事??」
「そうだ。姫の発見後、雄略天皇の命で事件解明のため、検死された。これが日本の解剖の始まりだ」
「なるほど……」
「でその後大宝律令により禁止され、その後江戸の京都の医師山脇東洋がするまでは、記録的には、解剖の記録は、ないんだ」
さてこれで満足してくれただろうか。光は、遊李を見ていると、彼、満足そうに笑った。
「ありがとう!! パパ!! ヨーロッパより物騒じゃなかった!!」
「ヨーロッパ!?」
「だって19世紀以前は、死刑囚の遺体でやってたんでしょう??」
「そうだな」
「でも19世紀になってから、解剖用の遺体が足りなくて、泥棒や殺人が横行したんでしょう??」
「らしい……」
「それに比べると物騒じゃないよね!!」
光は、反応に困る。物騒じゃないが、日本でも知らないだけで同じようなことなあったともいえよう。
「医学の発展のためやっぱり人体の構造は、大切だったって事だもんね!!」
「そうだな」
「うーん僕将来お医者さんに……」
「それは、やめておいて欲しいな。パパは」
父なら賛成すると思っていたので遊李は、驚いた。
「病院は、よくないものも多いから。遊李が大変なめにあうかもしれない」
「パパはあったことあるんだよね……たしか……」
光は、困ったように笑った。
「見たくないものを多く見てきたというべきかな。お医者さんは、すごく素敵な仕事だけど、その現場は、よくないものも多くいる。お化けやあやかしなんてざらだ。いいものならいいけど、悪いものの方が多い。だから遊李には、もっと違うところでパパは、幸せになって欲しいんだ」
「パパ……」
「もちろんどうしても!! っていうならお医者さんでもいいけどね」
あえて目線をあわせ目、光は、いう。遊李は、まっすぐに父の目をみていった。
「なら民族学者になる!!」
「民俗学!?」
「面白いでしょう!?」
「面白いかもしれないが……色々大変だと思うよ??」
その地域や国の事民族の事を調べるとなると、ひいては、墓の発掘やら考古学の事にもなってくるだろう。それは、それで嫌なものが居そうだ。
「遊李さっきからお化けやらあやかしやら出てくる所ばかり言ってないか!?」
「そうかな……」
「例えばケーキ屋さんとか……」
「パパ僕は、探求したいんだ!! 知識を!! ケーキ屋さんの技術探求もいいけど!! 世界の遺跡やらまだ発見できてないことを発見したいの!!」
さすが好奇心旺盛のわが息子。言うことが大きい。
光は、成長してるなと感心しつつ思う。これ次女に感化されてないかと。
「遊李……柊麗に影響されてる??」
「パパ。僕は、外国に連れていけとは、言ってないよ……」
柊麗は、本気になると現地にいき、見なければ納得しないという大ものであり、そこから更に探求し納得するまで調べる。
お陰で、光は、インドやらオーストラリアやらに行く羽目になったのだが。
「カメガエル……ラクダ……」
「柊麗のあの行動力は、凄いよね!!」
「ママに似て、お転婆だけどね」
あれは、お転婆でおさまるのだろうか。じゃじゃ馬と言うべき、もう破天荒と言っていいだろう。
「天真爛漫でもあるよ!!」
「遊李そんな可愛い言葉で片付けられる妹じゃないよ……」
「確かに」
ホムンクルスを錬成したいと言っていたと思いきや今度は、ウォルター·フリーマンの事を知り、ロボトミー手術に興味を持ってしまい、大変だった。
「……精神疾患を治すのに、前頭葉を切るってどうするの?? から……実際にみたいから、過去に戻る!! とか……」
「アスペルガーに興味を持つよりましだったと思うよパパ……」
「それこそ、過去に戻ったら……ナチスドイツだからね……」
ある意味精神疾患とは、脳の故障、とも言えるのでウォルター·フリーマンの予想は、少し位は、当たっていたのかもしれない。やり方は、人道的では、ないが。げんにロボトミー手術をうけ、回復したと言われる事例よりも後遺症が出たという事例の方が多いとも言える。
「だからパパ僕は、まだ柊麗よりはるかにましだよ!?」
「わかったよ」
確かにましかもこれないが、一番ましなので長女と何故か次男である。
「光どうしたの??」
光の様子がおかしいと友美は、声をかけた。顔色が悪いうえに、何処か疲れている。
「ママ僕書庫に行ってくるね!!」
「いってらっしゃい」
遊李は、リビングを出ていくと、光は、立ち上がり、友美を抱き締めた。
「疲れた……なんで朝から解剖の歴史なんだ!!」
友美は、思わずキョトンとしてしまう。
「解剖の歴史……」
「世界の歴史を聞かれたくてよかったけど……遊李どこへいくんだ……」
「今に始まった話じゃないでしょう?? これも光の英才教育のたわものよ!!」
光は、この時後悔した。過去の自分の行動に。
「絵本を無理矢理でもよませればよかったー!!!!!」
「なにを今さら」
「そんな冷たい声で言わないで!?」
「冷静と言ってよ」
友美と光がそんな会話をしていると白野威と螢がリビングにやって来た。
白野威の背中にのり、楽しそうな螢。なんだろう次男を見てると心がほっとする。
「螢可愛い……」
「光ー可愛い顔したやんちゃだからね」
「分かってる」
それでも可愛いのだ。
「白野威!! 空飛びたい!!」
「後で行く??」
「いく!!」
そう見かけは、可愛い。だがやることは、可愛くない。
「え?? 空を飛ぶ!?」
「何時もの事だし、白野威が守ってくれてるか、大丈夫よ!!」
友美は、知っていたようだ。光は、そのまま色々しでかしそうな気がしてならなかった。
「そのままダイブ!! とかいわないよね??」
「わからないわ」
友美は、七面そうしている光をみて微笑む。
「光面白い!!」
「なぁ!?」
「まぁうちの子だから大丈夫よ!! 好奇心旺盛だけど」
「その好奇心が大変なんだが……」
「確かに」
本当に二人によく似て好奇心旺盛で素直な子達だ。
光と友美は、困ったように笑うと白野威の背中に楽しそうに乗っている螢をみて笑うのであった。これか、どうなるのやらと思いながら。
「パパ解剖の歴史知ってる??」
朝から珈琲をいれながら、光は、ポカーンとしていた。
「解剖の歴史!?」
解剖とは、どんなものかでは、なく。歴史。さてどう説明すべきか。
遊李を見ながら、光は、止まってしまった。
「その世界のは、いいから!! 日本の!!」
「……日本の」
「そう!! ママに聞いたら苦笑いされて逃げられたんだ」
友美は、知っているがあえて言わなかったのだろう。
「白野威は??」
「聞いたけど、死んでた私に聞くなーって」
「確かに」
光は、悩んだのち話すことにした。たぶん駄目と言っても無駄なので。
「日本書紀でもかかれてるが、雄略天皇の頃かはじめなんだ」
「もしかして無罪なのにえん罪をかけられて行方不明になったっていう……ワカタラシヒメの事??」
「そうだ。姫の発見後、雄略天皇の命で事件解明のため、検死された。これが日本の解剖の始まりだ」
「なるほど……」
「でその後大宝律令により禁止され、その後江戸の京都の医師山脇東洋がするまでは、記録的には、解剖の記録は、ないんだ」
さてこれで満足してくれただろうか。光は、遊李を見ていると、彼、満足そうに笑った。
「ありがとう!! パパ!! ヨーロッパより物騒じゃなかった!!」
「ヨーロッパ!?」
「だって19世紀以前は、死刑囚の遺体でやってたんでしょう??」
「そうだな」
「でも19世紀になってから、解剖用の遺体が足りなくて、泥棒や殺人が横行したんでしょう??」
「らしい……」
「それに比べると物騒じゃないよね!!」
光は、反応に困る。物騒じゃないが、日本でも知らないだけで同じようなことなあったともいえよう。
「医学の発展のためやっぱり人体の構造は、大切だったって事だもんね!!」
「そうだな」
「うーん僕将来お医者さんに……」
「それは、やめておいて欲しいな。パパは」
父なら賛成すると思っていたので遊李は、驚いた。
「病院は、よくないものも多いから。遊李が大変なめにあうかもしれない」
「パパはあったことあるんだよね……たしか……」
光は、困ったように笑った。
「見たくないものを多く見てきたというべきかな。お医者さんは、すごく素敵な仕事だけど、その現場は、よくないものも多くいる。お化けやあやかしなんてざらだ。いいものならいいけど、悪いものの方が多い。だから遊李には、もっと違うところでパパは、幸せになって欲しいんだ」
「パパ……」
「もちろんどうしても!! っていうならお医者さんでもいいけどね」
あえて目線をあわせ目、光は、いう。遊李は、まっすぐに父の目をみていった。
「なら民族学者になる!!」
「民俗学!?」
「面白いでしょう!?」
「面白いかもしれないが……色々大変だと思うよ??」
その地域や国の事民族の事を調べるとなると、ひいては、墓の発掘やら考古学の事にもなってくるだろう。それは、それで嫌なものが居そうだ。
「遊李さっきからお化けやらあやかしやら出てくる所ばかり言ってないか!?」
「そうかな……」
「例えばケーキ屋さんとか……」
「パパ僕は、探求したいんだ!! 知識を!! ケーキ屋さんの技術探求もいいけど!! 世界の遺跡やらまだ発見できてないことを発見したいの!!」
さすが好奇心旺盛のわが息子。言うことが大きい。
光は、成長してるなと感心しつつ思う。これ次女に感化されてないかと。
「遊李……柊麗に影響されてる??」
「パパ。僕は、外国に連れていけとは、言ってないよ……」
柊麗は、本気になると現地にいき、見なければ納得しないという大ものであり、そこから更に探求し納得するまで調べる。
お陰で、光は、インドやらオーストラリアやらに行く羽目になったのだが。
「カメガエル……ラクダ……」
「柊麗のあの行動力は、凄いよね!!」
「ママに似て、お転婆だけどね」
あれは、お転婆でおさまるのだろうか。じゃじゃ馬と言うべき、もう破天荒と言っていいだろう。
「天真爛漫でもあるよ!!」
「遊李そんな可愛い言葉で片付けられる妹じゃないよ……」
「確かに」
ホムンクルスを錬成したいと言っていたと思いきや今度は、ウォルター·フリーマンの事を知り、ロボトミー手術に興味を持ってしまい、大変だった。
「……精神疾患を治すのに、前頭葉を切るってどうするの?? から……実際にみたいから、過去に戻る!! とか……」
「アスペルガーに興味を持つよりましだったと思うよパパ……」
「それこそ、過去に戻ったら……ナチスドイツだからね……」
ある意味精神疾患とは、脳の故障、とも言えるのでウォルター·フリーマンの予想は、少し位は、当たっていたのかもしれない。やり方は、人道的では、ないが。げんにロボトミー手術をうけ、回復したと言われる事例よりも後遺症が出たという事例の方が多いとも言える。
「だからパパ僕は、まだ柊麗よりはるかにましだよ!?」
「わかったよ」
確かにましかもこれないが、一番ましなので長女と何故か次男である。
「光どうしたの??」
光の様子がおかしいと友美は、声をかけた。顔色が悪いうえに、何処か疲れている。
「ママ僕書庫に行ってくるね!!」
「いってらっしゃい」
遊李は、リビングを出ていくと、光は、立ち上がり、友美を抱き締めた。
「疲れた……なんで朝から解剖の歴史なんだ!!」
友美は、思わずキョトンとしてしまう。
「解剖の歴史……」
「世界の歴史を聞かれたくてよかったけど……遊李どこへいくんだ……」
「今に始まった話じゃないでしょう?? これも光の英才教育のたわものよ!!」
光は、この時後悔した。過去の自分の行動に。
「絵本を無理矢理でもよませればよかったー!!!!!」
「なにを今さら」
「そんな冷たい声で言わないで!?」
「冷静と言ってよ」
友美と光がそんな会話をしていると白野威と螢がリビングにやって来た。
白野威の背中にのり、楽しそうな螢。なんだろう次男を見てると心がほっとする。
「螢可愛い……」
「光ー可愛い顔したやんちゃだからね」
「分かってる」
それでも可愛いのだ。
「白野威!! 空飛びたい!!」
「後で行く??」
「いく!!」
そう見かけは、可愛い。だがやることは、可愛くない。
「え?? 空を飛ぶ!?」
「何時もの事だし、白野威が守ってくれてるか、大丈夫よ!!」
友美は、知っていたようだ。光は、そのまま色々しでかしそうな気がしてならなかった。
「そのままダイブ!! とかいわないよね??」
「わからないわ」
友美は、七面そうしている光をみて微笑む。
「光面白い!!」
「なぁ!?」
「まぁうちの子だから大丈夫よ!! 好奇心旺盛だけど」
「その好奇心が大変なんだが……」
「確かに」
本当に二人によく似て好奇心旺盛で素直な子達だ。
光と友美は、困ったように笑うと白野威の背中に楽しそうに乗っている螢をみて笑うのであった。これか、どうなるのやらと思いながら。