光明ノ神子

「マジか」
 朝から光が唸っていた珍しく。 
「どうしたの??」
「くるんだ……」
「誰が??」
「妹!!」
 友美は、ぱっと明るくなるが、光からすれば厄災である。
「友美断っていい??」
「それは、いいけど刻清から文句来るわよ??」
 光が何故こうも嫌がるのか。それは、からの実家が問題だった。
 光の実家は、由緒ある異能の家系だ。彼の母は、当主であり、結婚等にまったく興味もなかった。
 そんな女は、ひょんな事からとりあえず子だけもうけると結婚し、光が産まれ、世継ぎとしては、育てず、その後光が、異界を渡り、日本に来てから突然また子をもうけたのだ。それが双子であり、今回来ると連絡があったのは、妹の方だった。
「刻清……次元を渡れるだけの力があるからな……うぅ……なんだろう……嫌な予感がする……」
 光の顔がひきつっている。友美は、そんなたいしたことじゃないだろうと考えていた。
「光大丈夫よ!!」
「大丈夫じゃないのが、うちの実家だ!!」
「まぁお義母様……見事に仕事人間だしね……浮世離れしてるし……」
「何を考えているんだ……弟と妹が産まれたってだけでも天地がひっくり返るくらいの出来事なのに……」
「刻清たしか今年で15だったわよね……」
「婚儀から逃げるためか!? そもそも母さんが結婚をさせるとは、考えにくいし……」
 一人光が悩むなか、それを聞いていた白野威は、光にいった。
「もう来いっていいなよ」
「えっ!?」
「今回は、そうしな」
 白野威がこういうならには、何かあるのだろう。光は、しかたがないと来てもいいと返信をし、式を飛ばした。
「そもそも家ほっぽりだした兄に何のようだ……」
「見事にお義母様にも好きにしろ!! って言われてるしね……」
「……見事に」
 光の母百合は、光を産む前から彼の生き方を知っていたようだった。
 なので光は、言われた。覡になった時に。
「光は、どうせ世界を飛び出すから好きに自由に生きなさい。でもここが貴方の家であることは、忘れないでね」
 と。そして見事に光は、世界を飛び出し、暮らしている。
「憂鬱すぎる……友美何かあったら俺の骨は、拾って!!」
「骨拾うより本人を助けるわよ」
「ありがとう!!」
 しかし友美も今回は、少し不思議に思っていた。刻清が指定してきた日にちが見事に平時の夕方なのだ。
「まさか……見たアレが現実だった??」
「なに見たんだ!?」
「刻清が日本の学生の制服着て高校に通ってるところ」
 光は、真顔になる。
「ありえそう……母さん学問に関しては、凄く……熱いから……」
「旦那放置して学問だものね……」
「まさに」
 本の虫にして、知恵の探求に関しては、心血をそそぐ。しかし家庭の事に関しては、まったく興味がない。それが百合という女性だ。
「へたしたら一族絶えてもいいそれが運命ねーって、軽く言うからな……」
「いういう」
「はぁ……刻清頼むから……変なことは、持ちかけてくるな……」
 光は、ぞっとつかれた顔をすると、立ち上がった。盛大なため息をついて。

 本日は、妹に会う日だ。光は、仕事を終え、家に帰るとまだきてなかった。
「光はや!?」
「買い物によってないからだよ」
「なるほど」
「あれ?? 子供達は??」
 何時もなら賑やかな子供達が居るのに居ない。光は、首をかしげる。
「お母さんところ。お姉ちゃん来るなら邪魔しないように遊びに行くって!!」
「そうか」
 ますます光は、疲れた顔をすると、和室へ。急いで着替えて、リビングに出てきたとき、インターフォンがなった。
「はい」
 光は、インターフォンに出ると、妹の声が。
「こんにちは兄上」
「ちょっと待ってて」
 光は、そういい、玄関へ。そしてドアを開けると、制服姿の妹が。
「兄上」
「マジだだったのか……」
「何が??」
「なにもない」
 刻清を中にいれ、リビングに案内する。そして光は、座布団の上に座るように言うと、刻清が座った。
「兄上、義姉上は??」
「いるよ」
 友美が居るとしり、刻清は、嬉しそうに笑った。 
「よかった!! 義姉上に会いたかったの!!」
「そうか」
 淡々と話す兄に少し不満げな刻清。しかし光は、友美はやく出てきてくれと祈っていた。
「いらっしゃい!!」
 友美は、キッチンからお茶をもって出てくると、ティーポットとカップを炬燵に並べ、茶をいれた。
「義姉上!!」
「刻清可愛い~」
「ありがとうございます!!」
 友美も座布団の上に座ると、光も腰を下ろした。
「で単刀直入だが、わざわざ来た理由は??」
 茶を飲むと刻清は、本当にせっかちだなと思いながら、言う。
「本当にせっかち」
「夕方は、忙しいんだが!?」
「兄上はね」
「どこの家庭でもだ!!」
「はいはい」
 適当に返事をすると刻清は、話す。
「今年の春からこっちの学校に通ってるの。だから挨拶をと思って」
 友美の見たものは、やはり現実になっていた。
 光は、顔をひきつり、友美は、微笑む。
「父さんが許したな!?」
「父上は、蛍雪びいきだもの。私が何しようと放任よ」
「……確かに」
 自由な長男と我が道を往く長女そして唯一家の事も考えてくれる次男。そりゃ次男が可愛いのが普通だろう。
「お義父様基本家では、権力ないしね……」
「そうそう!! 義姉上!! だから余計によ。因みに母上は、光が居るしいいでしょう!! 家から通うならいいわよーって!!」
「母さん俺をあてにするな!!!」
「母上より強いんだから諦めて兄上」
 光は、ため息をつくと。
「こんな時だけ頼るなー」
「諦めて兄上」
 刻清と光のやりときを聞き友美は、笑っていた。面白くて。
「で通ってるのか家から」
「えぇ。でも力で学校近くに通路開けるから、けっこうギリギリでも遅刻しないの」
「ならいいが……高校か??」
「えぇ。だって上の学校行くにしても高校からでしょう??」
「まぁな」
 しかしここにきて何故彼女は、留学を選んだのか。刻清をみながら、光は、考えていた。
「まさか縁談避け??」
「ゴホ!!」
「図星みたいね」
 刻清は、ハンカチで口元をふく。
「兄上!! 義姉上!!」
「母さんなら縁談くらい断れるだろ」
「父上です!!」
「あー」
 刻清は、ため息をつく。
「縁談なんていいのに。まったく!!」
「で母さんに相談したら留学を奨められたのか……」
「えぇ。遊学に出ればなにも出来ないからと!!」
「母さんらしいな」
「確かにお義母様ならそうするわ……」
 兄夫婦ですらそう思うのだ。刻清は、ほっとしていた。
「皆母上がおかしいといってるけど、違うって安心した」
「母さんは、先進的だから」
「そうね!!」
 刻清は、微笑む。 
「兄上、義姉上。これからよろしくお願いいたします!! あまり迷惑は、かけないようにするけれど……」
 筋を通そうと妹は、していた。光は、少し後悔しつついった。
「分かった。とりあえず問題ごとだけは、持ち込まないで。それがないなら何時でも頼っておいで」
「兄上……」
「私も何時でも力貸すわよ!!」
「義姉上は、おとなしくしておいてください」
「なぬ!?」
「友美は、笑っててねー」
 友美が動けば大変なことになることを刻清もよく知っている。
 落ち込む友美に光は、微笑む。その姿は、本当に仲睦まじい。
 私も結婚するならこのようになりたい。刻清は、そう思いながら、母の言葉を思い出していた。
「この世界に刻清の求めるやつは、少ないわ。なら外へ行きなさい!!」
 確かに外にならいるかもしれない。
「兄上私こっちで見つけたいの」
「何を??」
「兄上のように大好きな人を!!」
 光は、目を細める。
「俺は、そっちで見つけたけどな」
「でも今は、こっちじゃない」
「なら楸ありでは!?」
「義姉上それ紅蓮ノ神子が犯罪者になるわ!!」
「確かに……」
「それに刻清の相手として楸は、無理だろ。ふりまわされるのがおちだ」
「なにそれ酷い!! 兄上!!」
「事実だろ。このじゃじゃ馬が」
「じゃじゃ馬とは、失礼な!!」
 また兄妹喧嘩が始まり、友美は、苦笑いを浮かべていた。
 本当に光によくにて自由で天真爛漫な刻清。
「ふふふ」
 友美は、微笑む。本当に兄妹よく似ている。違うといえば刻清は、父譲りの黒髪というくらいだ。
「お義母様にどちらもにてるのよねー」
「それは、ない!!」
「母上に似てるとか最悪の極み!! 家より仕事なのに!! あの人!!」
「でも二人とも好きでしょう??」
 光と刻清は、視線をそらした。
「お義父様の言うことは、聞かない二人がお義母様の助言だけは、聞くんだから」
「それは、先見の明があるからよ」
「そうだよ。友美」
「ならそうしとくわ」
 友美は、楽しげに微笑むと立ち上がった。
「友美??」
「ちょっとね」
 さてここは、兄妹水入らずに。友美は、そう思い、リビングをでた。
「ふふふ楽しいわね」
 中からまた楽しげな話し声が聞こえる。
 友美は、そう呟くと、書庫にはいった。さてこの後どんな楽しい話が聞けるのか。そう思いながら、友美は、調べものをするのであった。
 
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