光明ノ神子

「最近勇音浮かれてる気がする」
 友美は、お菓子を作っている光に言った。
「そりゃ浮かれるだろ」
「なんで??」
 光は、知らないのかと少し驚く。
「勇音恋人が出来たと聞いたけど……」
 友美は、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
「えっ!!?? 誰!?」
「燕青だよ」
 友美は、ニヤリと笑う。
「ようやくかー」
「そうようやく」
  光は、困ったように笑うと言う。
「もう連日グループメッセージがうるさい」
「といいますと??」
 光は、スマホを友美に見せた。
「男子組のグループメッセージなんかあるの!?」
「一応ね」
 そこには、燕青の惚気が垂れ流され、なおかつ残りの三人は、無視をしていた。
「だれか返信したれ!!??」
「面倒だから嫌だ」
「光!?」
「私も嫌だね」
 楸がリビングに入ってくるなり言うので、友美は、確かに連日これだと鬱陶しいかとも思えた。
「ほらスタンプとか……」
「スタンプか……ならこれだな」
 光が選んだスタンプに友美は、顔をひきつる。
「これ怨念こもってますが!? なんか黒いオーラでてるけど!?」
「ならこっちの五月蝿い!! ってやつは、どうかな??」
「楸それ五月蝿い!! っていいつつ呪いがある感じよね!?」
 まさかの光と楸が揃ってこれとは、これは、そうとう五月蝿いのだろう。
「もう光惚気を垂れ流したらどうだい?? 仕返しに」
「なんでいちいち。俺は、友美に伝えてるからいいんです!!」
「……なら私の寂しい晩酌写真を流す??」
「それ切なくなるからやめてあげて」
 こうなったらソーマに何かしたらというべきか、友美は、そくメッセージを送ったが、ソーマからは、面倒とだけ返信だきた。
「なんだと!? ソーマそれだけ!?」
「そりゃこんなにうるさいとな」
「そうそう」
 確かに二人のスマホの通知が鳴り止まない。友美は、唖然とした。
「因みに勇音は、どうなんだい?? 友美」
「こんな感じよ楸」
 友美は、勇音からきたメッセージを二人に見せた。
「語尾に羊の絵文字だけか……」
「いいな静かなで」
 うらやましい本当に。
「もう燕青に呪いおくるか??」
「跳ね返されるだろ」
「だよな」
「あのーそこの神子さんたちそれは、やりすぎ!!」
 友美からみても今の光と楸は、笑っていたが、怖かった。
「これが男の……妬み……」
「友美妬んでない!! 俺には、友美がいるから!!」
「私は、妬んでるが……まぁ燕青の癖にとは、思ってるよね……」
「まさかのひがみ!?」
 怖い。怖すぎる。色々と。
 茶をのみ友美は、こりゃ大変だなと思いながら。
「闘争本能でここまでなのかしら」
「それは、あるかもね」
 楸は、困ったように笑うと、キッチンに。
「光飲むかい??」
「……飲む」
「飲むんだ!?」
「友美も飲むかい??」
「付き合います」
 光が生地をオーブンにいれ、焼き始め、その流れであっというまにおつまみを作ってしまった。
「枝豆に、魚のカルパッチョ……」
「相変わらず早いね……」
 友美は、日本酒を用意し、楸は、杯を準備。光がダイニングテーブルの席に着くと、さっそく宴が始まった。
「まったく……惚気あがって……友美の方が可愛いのに!!」
「まぁそれは、分かるかな」
「友美が一番なのに!!」
「そこは、ノーコメント」
 友美のとなりでほろ酔いの光。彼がこんなにもはやく酔うのは、珍しい。
 先程から可愛いと連発される友美は、少し呆れた顔をし飲んでいた。
「はいはい」
「友美は、俺嫌い??」
「好きだけど面倒」
「ごめん……」
 しょぼんとしてるが放置。
 楸は、本当にこの夫婦も仲がいいなとみていた。信頼があるからこそ、こんな扱いでも光は、平気なのだろうとも思いながら。
「でも千年近くかけて、叶えた恋でしょう!? 凄いなぁー」
「友美と光なんてその十倍以上だよね??」
「確かに」
 そう考えると凄いなと友美は、他人事のように思っていたが、光は、違った。
「こっちたら必死だったんだぞ!? 少し目を離したら、あっというまに何処かに行くから!!」
「まぁそこは、否定したいけど光頑張ってたのね。今もそして前世でも」
 光は、頷く。
「それに勇音が可愛そうじゃないか!! ずっと引きずってて!!」
「まぁ神の感覚だから……」
 神にとっては、引きずっていても千年なんての十年くらいかもしれかい。
 楸は、こらゃ惚気るの我慢してたなと光をみながら、思った。
「光も似たようなものじゃないのかい??」
「分からん」
 友美は、微笑む。
「似たようなものよねー」
「ならそうかも」
 友美には、優しい眼差しを向けるくせに、楸をみる時キリッとした顔になる光。
 楸は、そのままとろけてくれれてもいいのにと、思っていた。
「楸も相手探したらどうだ」
「私は、ごめんだけどいいかな」
「何で??」
「女性は、色々面倒だからね……」
 友美は、苦笑いを浮かべ光もこればかりは、同情していた。
「大学で合コンに誘われまくってたもんな」
「そうそう。光が羨ましかったよ。恋人いるからって断れてたから」
 楸も断っていたが女性陣が五月蝿くなんやかんやで参加させられていた。
「ただ酒飲めないの??」
「友美合コンは、さすがに無理だよ」 
「そうなのね光」
 友美は、じっと光をみた。 
「参加したことあるの??」
「ないです。そもそも白野威のしごきでそれどころじゃなかった」
 そういえば光をここまで育て上げたのは、白野威だった。
 楸は、いびきをかいて寝ている狼をみて驚いた。
「白野威もしかして教えるのが上手い??」
「実地訓練だ。何度殺されかけたか。すれすれのところを白野威は、ついてくる。殺されないが体は、ボロボロ節々が痛くなる」
「光唸ってたし、包帯いつもつけてたしね!!」
「ちなみに友美は、天照におそわったのかい??」
「まぁね。でも私は、光明ノ神子とてのものは、白野威によ。光と違ってしごかれるというより、手解きして教えてくれたって感じ」
 光は、呆れた顔に。
「絶対俺の場合突貫コースだろ!! 時間がない!! とかで……」
 友美のこともあったので尚更だろう。光は、酒を飲むという。
「楸は、紅蓮だろ??」
「そうだよ。私も普通に教えてもらったかな」
「体張ったの俺だけか……」
 光は、不満げな顔をしたが、すぐに笑う。
「でも友美が居てくれる未来を作れたからよかったかな」
「そうね」
  友美と光は、微笑み合う。本当に見ていて微笑ましくなる夫婦だ。
「私も普通の幸せを感じられ相手が表れるといいが……」
「ならあえてむさくするか?? 効果覿面だぞ」
「あれだけは、勘弁してくれ。私が耐えられない」
 光のあの格好は、友美でも嫌だった。楸に友美は、同意する。
「まぁ縁のもんだし表れるわよ。それか神子の中は??」
「残ってるのが夏音、モア、珊瑚……友美彼女たちそもそも結婚するきあるかい??」
 なかなか癖の強い相手たちに楸は、顔をひきつる。
「うーん珊瑚は、相手しだいって言ってたけど、モアと夏音は、ないわ」
「だろうね……モアは、なにやら変なものを作ってるし、夏音は、研究にいま夢中だしね」
「変なものか……桃の枝が更に進化したと聞いたが……」
 光のなんとなくの発言に友美と楸は、顔をひきつらせる。
「なんだって……」
「なにを進化させたのよ!!」
「自炊するようにしたとか……あと日本舞踊を踊るようにしたとか……」
 それいるのかと友美と楸は、思う。
「もうさ桃の枝破壊する??」
「友美それやるとモア落ち込むからやめよう……」
 楸は、優しすぎるような気がする。友美は、不満げな顔をしたとき、スマホの通知がなった。
「燕青がとうとう返信くれー!!! って叫んでるな」
「そうだね」
 友美は、光のスマホを覗き込む思わず笑った。
「本当だー」
「光ここは、もうこれでいいかな」
「いいだろ」
 そして楸が送ったのは、スタンプだったが、だからなに!?嫉妬めらめらのスタンプだった。
「光、楸これでいいの!?」
「いいんだよ」
「そうそう」
 燕青から涙のスタンプが送られてかたが、今度は、ソーマがたたっきるようなスタンプを送ってきていた。
「光へーって送ってるし……」
 これは、なかなか酔った勢いというよりも数日の鬱憤が破裂している。
 友美は、返信を送る光と楸をみながら、思うのであった。燕青御愁傷様と。
「さてまたお風呂~」
 やろうと二人は、楽しそうなのでここは、退散。友美は、キッチンで水を飲むと、そのまま風呂へといったのであった。
 
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