光明ノ神子
たまたま見かけたチラシ。すべての始まりは、このチラシからだった。
「尾崎!! ドッジボールしようぜ!!」
冬休みに入る前。遊率は、教室で一人ぼーと窓から空を見ていた。クラスメイトの声が聞こえないくらい。
「おい!!」
目の前にクラスメイトの顔が現れ、遊李は、驚く。
「うわぁ!!」
「なにぼーっとしてんだよ」
「……ぼーっとだってするよ。それよりなに」
いきなりなんなんだと、遊李は、思い声を低くし言う。このとき彼は、気づかなかった。殺気も放っていたことに。
クラスメイトは、顔を青ざめるという。
「ごご……ごめん!!」
クラスメイトは、怖じけずいたのか、そのまま教室を出ていってしまった。
「あいつ怖すぎるだろ!!」
「そりゃお前が悪いだろう」
そんなクラスメイトの声が廊下から聞こえるなか、遊李は、ため息をついた。
「……まったく」
はやく冬休みにならないだろうか。少しばかりあいつらが鬱陶し。
「本でも読もう」
遊李は、持ってきていた天文学の本をランドセルから出すと、開く。しかし読もうとしても上の空になってしまう。
しばらくじっと黙ると遊李は、本をしまい再び空を見た。素直に言えればいいのにと思いながら。
放課後になり、遊李は、珍しく図書館に寄らず帰宅していた。
家に入り、自室へ。そしてランドセルをおき保護者に渡すプリントと宿題筆記用具をもってリビングに。
「ただいま」
「おかえりなさい」
にっこり微笑む母の顔をみるとほっとする。
遊李は、炬燵にはいるとプリントを友美に渡した。
「ママこれ学校から」
「ありがとう」
一通り友美がプリントに目を通すなか、遊李は、宿題をやりだした。
友美は、視線を遊李に向けると立ち上がりキッチンに。そして宿題が終わる頃ケーキとジュースをもって戻ってきた。
「お疲れ様」
「ありがとうママ」
遊李は、片付けるといただきます手を合わせおやつを食べる。
「ママ柊麗と螢は??」
何時もなら賑やかな二人がいない。遊李は、気になり聞くと友美は、言った。
「公園よ。榎麟も行ってくれたから任せたわ」
「そっか」
珍しく家で母と二人きり。遊李の脳裏にあることが浮かぶが話すべきか悩む。
なにやら悩んでいる遊李の顔をみて友美は、微笑むと立ち上がる。そしてリビングに置いてある引き出しからあるチラシを取り出し遊李に見せた。
「もしかしてこれかな??」
遊李は、気まずそうな顔になり視線をそらした。
「図星ね!!」
「高学年の男子がおかしいでしょう??」
「なにもおかしくないわよ。それをいったらパパどうなるの?? アラフィフなのに大好きよ??」
「確かに……」
友美は、微笑むとチラシをこたつの上においた。
「テディベア可愛いものね!!」
友美の置いたチラシは、デパートで行われているテディベア博覧会のチラシだ。
遊李は、頷くと呟く。
「ママ……僕これに行きたい!!」
「良いわね!! 行こう!!」
友美の笑顔をみていると遊李は、早めに言えばよかったと思った。
嬉しそうに微笑む息子。友美は、ほっとした顔をしていた。最近遊李が、思い悩んでいたからだ。
「さて!! ならいつ行く?? 冬休みがいいわよね……そして平日となるとクリスマスの次の日ね」
「ママなんで平日??」
「少しでも空いてるときに行くためよ!! そして年末の休みにはいる前となると、クリスマスの翌日!! ここがいいと思ったわけ!!」
「なるほど。でもママ、榎麟達が……」
「いるわね。でもこの日は、あーちゃん所に榎麟達は、いく予定。だから秘密りに動くならこの日よ!!」
友美は、胸を張り言うと遊李は、なるほどと納得していた。
遊李は、その日テディベアの博覧会に行きたいと思っていたため家にいると事前に祖母に伝えていた。その時祖母は、楽しげに笑っていたことを何故か思い出した。
まさか祖母が母に伝えたのだろうか。しかし母は、遊李には、考え付かないことをやることが多い。
今回ももしかすると突拍子もないことでこの事を知ったのかもしれない。
「ママありがとう」
遊李は、嬉しそうに微笑む。
「ママと久しぶりのお出かけだ!!」
「何時もお出かけしてるじゃないの」
「ママと二人は、久しぶりってこと!!」
兄であり、弟でもある遊李。何時も兄として確りしていると友美は、思っていたが、もしかすると我慢をさせているのかもしれないとこの時思った。
友美は、微笑むと言う。
「そうね!! ならママとデートね!!」
「そうだね!!」
二人は、微笑みいったときリビングの扉が開き、袋が落ちる音が聞こえた。
「デート!? 友美誰とデートするんだ!!?? 俺というものがいながら!!」
友美は、あきれた顔をし遊李は、苦笑いを浮かべていた。
「まったくなんでそこだけ聞いてるのよ。あとタイミング最悪」
友美は、そういうと立ち上がり、光のおでこにデコぴんをし、光は、あまりの痛さに声を出すことさせ出来なかった。
「ママやりすぎじゃ……」
「馬鹿なことをいってるからよ遊李」
「それでもこれは、酷すぎるぞ!! 友美!!」
光は、涙目になりながらもおでこを押さえ言う。
「なら和室へ来て」
友美は、そう言うと和室へ。光も後についていき、お互い膝を付き合わせ話をした。
「遊李とお出かけ!?」
「だからデートって言ったの」
「なるほど……よかった……」
光は、ほっとした顔をし、今度は、友美が申し訳なさそうな顔に。
「私もごめんなさい。ついカッときてデコぴんをしちゃって……」
「いいけど……本当にいたかったです」
友美は、顔を青ざめるなか、光は、これは、いけるかもとあることをたくらむ。
「友美さんおでこにキスしてくれる?? なら痛いのおさまるかも」
しかしこの提案が裏目に出た。友美は、真顔になると立ち上がる。
「友美!?」
「もう平気ね。ご飯作ってくるから」
「俺の至福のクッキングタイムまで取らないで!!!!」
和室からそんな父と母のやり取りを聞き、遊李は、盛大なため息をついた。
「パパ……どこまでもマイペースだね……」
「それをいうなら友美もだよ。まったく光が面白いか、ってさ」
何時のまにやら白野威が隣に。遊李は、確かにと思いながら和室から出てきた母の顔をみる。すると笑っていた。いたずらっ子の笑みで。
「友美お願いだから料理をさせて!?」
「ダメ~!!!! おとなしくかわいい奥さんを見ててください!!」
今度は、イチャイチャし始めている両親に遊李は、苦笑いを浮かべていた。
「ほんま仲良しや」
「榎麟おかえり」
「ただいま遊李」
榎麟達が帰ってきたが、両親は、料理をどちらがするかでまだ話し合っていた。
「これは、しばらくかかるかも……」
「やな」
「榎麟おかえり」
「ただいまお父さん」
光がこういったとき、友美は、今だと料理をはじめてしまい、光は、しまったと思った。
「やられた……」
「まぁええんちゃう」
「そうだな……」
この後久しぶりに友美の手料理を食べれ子供達は、喜んでいたが、光は、困り果てていた。食べられない。愛する姫の手料理を。食べるのがもったいないから。
「光これを残す選択肢は、なし!! 食べてね??」
「うん……」
美味しい美味しすぎるが味わいたいし、でもなくなるのがさみしい。
この時子供達は、納得した。なぜ父が料理をしたがるのか。その理由を。好きと言うのもあるが、母の手料理を食べるのがもったいないと言う思いもあると。
「お父さん……お母さんloveや……」
「今更なにを!! お父さんは、ずっとお母さんloveだよ!!」
「光榎麟に胸はって言わなくていいから」
「すみません。でも本当だからね!?」
「分かってるわよ」
どこか嬉しそうにしかしあきれた感じも滲ませながら友美は、言う。
光は、そんな友美をみて微笑みご飯を食べ終えたのであった。
クリスマス翌日。友美は、朝から出掛ける準備をしていた。
休みをとるといいだした光をなんとか仕事にいかせたがほんとうに大変だったと友美は、思いながらしたくをする。
ながれで光には、伝えたが、そのとたん彼もテディベアを見たいと言い出したこときには、本当に困った。
なんとか遊李と二人だけでいくと説得は、したものの今朝も少し萎れていた。
「友美光のやつついてこないよね??」
白野威がこういうなか、友美は、言う。
「さすがにないと思うわ。それに遊李がパパついてきたらゆっくり見れない!! っていっちゃったからねぇ……おとなしく仕事納めにむけて頑張るわよ」
たぶん。頑張っていてほしいが。しかし今朝の落ち込んだ光の背中は、何故か忘れられなかった。
「……」
友美は、あることを思いつきスマホ取り出すと何かをし、また片付けた。
「ママ行こう!!」
「分かったわ遊李」
遊李以外の子供たちは、実家に遊びに行き二人も出発。
電車に乗りデパートまでやって来たがこの間遊李が楽しげに色々なことを話してくれた。
「着いたわね」
「ママはやく!!」
まだまだやはり息子は、子供なのかもしれない。普段は、兄として妹や弟の面倒をみてくれているので、大人びて見えるが、今は、無邪気だ。
「分かったわ」
遊李の所へいくと友美は、息子の手を握った。
「ママ??」
「迷子にならないようにね!!」
「僕もうそんなとじゃ……」
「まだまだそんな歳よ!!」
繋がれた手をみて遊李は、幼い頃を思い出す。そういえば昔は、こうしてよく手を繋いでもらった。
これは、これでどこか心地よい。
「分かったよ」
仲よく手を繋ぎテディベア博覧会の会場に二人は、やって来るとさっそくなかに。
中には、様々な国のテディベアとその歴史が分かりやすく展示されていた。
「凄い……」
遊李は、瞳を煌めかせさっそくテディベアの歴史にかんしての展示を見始めた。
「アメリカが発祥だと思ってたけど、その前にドイツの商人がフェルトせいの針刺しを売っていたのが始まりになりのねぇ……」
友美が隣でそう呟くなか遊李は、ブルックリンだ作られたとされるテディベアをみて大きく目を見開いていた。
「凄い……このテディベアがすべての始まり……」
「みたいね!!」
「ママ凄いよ!! ここ!!」
「本当ね!!」
はしゃぐ遊李をみているとこっちも楽しくなってくる。
さらに各国のテディベアをみて、国や制作会社の違いをみて二人は、驚いていた。
「そういえばこの会社のテディベアうちにあるよね??」
「えぇ。ママが持ってるから」
「すごいなぁ……うちにこの会社のテディベアがあるって!!」
遊李は、そう言うと楽しげに笑った。
そしてすべてを回り、売店に来ると博覧会限定のテディベアのグッズがならび、遊李は、楽しげにそれみる。
「……ダメダメ我慢」
「これがほしいの?? なら買おっか!!」
小さなテディベアのマスコットをみて遊李は、我慢しようと思ったのに。
友美の言葉に遊李は、目を伏せる。
「でも高いよ??」
「3000円。まぁこんなものね。榎麟にも買って帰る??」
「榎麟にも!?」
「だって榎麟も好きでしょう?? テディベア」
「うん」
「なら買って帰ろう!! あと柊麗には、これで螢には、これと」
何時も友美は、太っ腹。こういうところにくると必ず来てない姉弟のぶんもおみあげを買う。
「あれ?? パパのは??」
「パパのは、大丈夫!!」
何時もなら父のぶんもというのに珍しい。
遊李は、これは、何かあるかもしれないと思いながら友美の会計が終わるのを待ち、博覧会会場をあとにした。
「ママ今日は、ありがとう」
電車に揺られながら遊李は、友美に言った。
「どういたしまして。楽しかったわね」
「そうだね!!」
母に連れてきてもらえてよかった。
遊李は、そう思いながら買ってもらったマスコットを大切そうに撫でた。
「ママこの後あーちゃんところいってもいい??」
「勿論」
家に帰ると遊李は、おみあげを持ち、友美の実家に一人通路を使い向かった。
友美は、時計を確認するともうそろそろだとしたくをはじめる。
「友美また出かけるの??」
「うん白野威。あんなに落ち込まれたらねぇー」
友美の言葉に白野威は、なにかをさっした。
「私もついてくよ」
「わかったわ」
したくをおえ、家を出ようとしたとき、玄関先でまさか会うとは、夫に。
「光!?」
「ただいま……せっかくなら車で行こうかと取りに来たんだ」
友美は、微笑むと言う。
「駐車場探すの大変よ??」
「でもドイラブデートもいいでしょう??」
「確かに」
今朝友美は、光にメールをしていた。仕事が終わってからテディベア博覧会に行かないかと。
光もはじめは、いいのかと思ったが、今朝の自分の様子から友美が気を使ってくれていることに気づきならと友美の誘いに乗った。
「遊李は??」
「実家にいったわ。榎麟たちにおみあげわたす!! って」
「そうか」
「じゃ行こう!!」
「うん!!」
今度は、旦那様と二人で。白野威もいるが彼女は、友美の中なのでカウントしない。
仲良く二人は、恋人繋ぎをすると車へ。そして乗り込むとさっそくデパートに向かったのであった。その社内は、とても楽しくあたたかな空気が流れた。
デパートにつき、博覧会をみながら、友美は、はしゃぐ光をみて思った。息子に本当に似ていると。
「やっぱり親子ね」
「そりゃそうだよ。遊李は、大切な息子ですから!!」
「そうね」
「友美売店でなにか買っても……」
こんなところまで似てるとは。友美は、微笑むと言った。
「もちろんいいわよ」
「ありがとう!! とりあえずペアルックにしないと!!」
「分かったわよ」
しかし息子と違って友美と同じものを持ちたがる。すべて見回り売店で真剣に悩む光をみて友美は、思う。今日は、息子とそして夫とこれてよかったと。
「今日も幸せね」
友美は、そう呟くと光こ隣に向かった。楽しげに微笑みながら。
「尾崎!! ドッジボールしようぜ!!」
冬休みに入る前。遊率は、教室で一人ぼーと窓から空を見ていた。クラスメイトの声が聞こえないくらい。
「おい!!」
目の前にクラスメイトの顔が現れ、遊李は、驚く。
「うわぁ!!」
「なにぼーっとしてんだよ」
「……ぼーっとだってするよ。それよりなに」
いきなりなんなんだと、遊李は、思い声を低くし言う。このとき彼は、気づかなかった。殺気も放っていたことに。
クラスメイトは、顔を青ざめるという。
「ごご……ごめん!!」
クラスメイトは、怖じけずいたのか、そのまま教室を出ていってしまった。
「あいつ怖すぎるだろ!!」
「そりゃお前が悪いだろう」
そんなクラスメイトの声が廊下から聞こえるなか、遊李は、ため息をついた。
「……まったく」
はやく冬休みにならないだろうか。少しばかりあいつらが鬱陶し。
「本でも読もう」
遊李は、持ってきていた天文学の本をランドセルから出すと、開く。しかし読もうとしても上の空になってしまう。
しばらくじっと黙ると遊李は、本をしまい再び空を見た。素直に言えればいいのにと思いながら。
放課後になり、遊李は、珍しく図書館に寄らず帰宅していた。
家に入り、自室へ。そしてランドセルをおき保護者に渡すプリントと宿題筆記用具をもってリビングに。
「ただいま」
「おかえりなさい」
にっこり微笑む母の顔をみるとほっとする。
遊李は、炬燵にはいるとプリントを友美に渡した。
「ママこれ学校から」
「ありがとう」
一通り友美がプリントに目を通すなか、遊李は、宿題をやりだした。
友美は、視線を遊李に向けると立ち上がりキッチンに。そして宿題が終わる頃ケーキとジュースをもって戻ってきた。
「お疲れ様」
「ありがとうママ」
遊李は、片付けるといただきます手を合わせおやつを食べる。
「ママ柊麗と螢は??」
何時もなら賑やかな二人がいない。遊李は、気になり聞くと友美は、言った。
「公園よ。榎麟も行ってくれたから任せたわ」
「そっか」
珍しく家で母と二人きり。遊李の脳裏にあることが浮かぶが話すべきか悩む。
なにやら悩んでいる遊李の顔をみて友美は、微笑むと立ち上がる。そしてリビングに置いてある引き出しからあるチラシを取り出し遊李に見せた。
「もしかしてこれかな??」
遊李は、気まずそうな顔になり視線をそらした。
「図星ね!!」
「高学年の男子がおかしいでしょう??」
「なにもおかしくないわよ。それをいったらパパどうなるの?? アラフィフなのに大好きよ??」
「確かに……」
友美は、微笑むとチラシをこたつの上においた。
「テディベア可愛いものね!!」
友美の置いたチラシは、デパートで行われているテディベア博覧会のチラシだ。
遊李は、頷くと呟く。
「ママ……僕これに行きたい!!」
「良いわね!! 行こう!!」
友美の笑顔をみていると遊李は、早めに言えばよかったと思った。
嬉しそうに微笑む息子。友美は、ほっとした顔をしていた。最近遊李が、思い悩んでいたからだ。
「さて!! ならいつ行く?? 冬休みがいいわよね……そして平日となるとクリスマスの次の日ね」
「ママなんで平日??」
「少しでも空いてるときに行くためよ!! そして年末の休みにはいる前となると、クリスマスの翌日!! ここがいいと思ったわけ!!」
「なるほど。でもママ、榎麟達が……」
「いるわね。でもこの日は、あーちゃん所に榎麟達は、いく予定。だから秘密りに動くならこの日よ!!」
友美は、胸を張り言うと遊李は、なるほどと納得していた。
遊李は、その日テディベアの博覧会に行きたいと思っていたため家にいると事前に祖母に伝えていた。その時祖母は、楽しげに笑っていたことを何故か思い出した。
まさか祖母が母に伝えたのだろうか。しかし母は、遊李には、考え付かないことをやることが多い。
今回ももしかすると突拍子もないことでこの事を知ったのかもしれない。
「ママありがとう」
遊李は、嬉しそうに微笑む。
「ママと久しぶりのお出かけだ!!」
「何時もお出かけしてるじゃないの」
「ママと二人は、久しぶりってこと!!」
兄であり、弟でもある遊李。何時も兄として確りしていると友美は、思っていたが、もしかすると我慢をさせているのかもしれないとこの時思った。
友美は、微笑むと言う。
「そうね!! ならママとデートね!!」
「そうだね!!」
二人は、微笑みいったときリビングの扉が開き、袋が落ちる音が聞こえた。
「デート!? 友美誰とデートするんだ!!?? 俺というものがいながら!!」
友美は、あきれた顔をし遊李は、苦笑いを浮かべていた。
「まったくなんでそこだけ聞いてるのよ。あとタイミング最悪」
友美は、そういうと立ち上がり、光のおでこにデコぴんをし、光は、あまりの痛さに声を出すことさせ出来なかった。
「ママやりすぎじゃ……」
「馬鹿なことをいってるからよ遊李」
「それでもこれは、酷すぎるぞ!! 友美!!」
光は、涙目になりながらもおでこを押さえ言う。
「なら和室へ来て」
友美は、そう言うと和室へ。光も後についていき、お互い膝を付き合わせ話をした。
「遊李とお出かけ!?」
「だからデートって言ったの」
「なるほど……よかった……」
光は、ほっとした顔をし、今度は、友美が申し訳なさそうな顔に。
「私もごめんなさい。ついカッときてデコぴんをしちゃって……」
「いいけど……本当にいたかったです」
友美は、顔を青ざめるなか、光は、これは、いけるかもとあることをたくらむ。
「友美さんおでこにキスしてくれる?? なら痛いのおさまるかも」
しかしこの提案が裏目に出た。友美は、真顔になると立ち上がる。
「友美!?」
「もう平気ね。ご飯作ってくるから」
「俺の至福のクッキングタイムまで取らないで!!!!」
和室からそんな父と母のやり取りを聞き、遊李は、盛大なため息をついた。
「パパ……どこまでもマイペースだね……」
「それをいうなら友美もだよ。まったく光が面白いか、ってさ」
何時のまにやら白野威が隣に。遊李は、確かにと思いながら和室から出てきた母の顔をみる。すると笑っていた。いたずらっ子の笑みで。
「友美お願いだから料理をさせて!?」
「ダメ~!!!! おとなしくかわいい奥さんを見ててください!!」
今度は、イチャイチャし始めている両親に遊李は、苦笑いを浮かべていた。
「ほんま仲良しや」
「榎麟おかえり」
「ただいま遊李」
榎麟達が帰ってきたが、両親は、料理をどちらがするかでまだ話し合っていた。
「これは、しばらくかかるかも……」
「やな」
「榎麟おかえり」
「ただいまお父さん」
光がこういったとき、友美は、今だと料理をはじめてしまい、光は、しまったと思った。
「やられた……」
「まぁええんちゃう」
「そうだな……」
この後久しぶりに友美の手料理を食べれ子供達は、喜んでいたが、光は、困り果てていた。食べられない。愛する姫の手料理を。食べるのがもったいないから。
「光これを残す選択肢は、なし!! 食べてね??」
「うん……」
美味しい美味しすぎるが味わいたいし、でもなくなるのがさみしい。
この時子供達は、納得した。なぜ父が料理をしたがるのか。その理由を。好きと言うのもあるが、母の手料理を食べるのがもったいないと言う思いもあると。
「お父さん……お母さんloveや……」
「今更なにを!! お父さんは、ずっとお母さんloveだよ!!」
「光榎麟に胸はって言わなくていいから」
「すみません。でも本当だからね!?」
「分かってるわよ」
どこか嬉しそうにしかしあきれた感じも滲ませながら友美は、言う。
光は、そんな友美をみて微笑みご飯を食べ終えたのであった。
クリスマス翌日。友美は、朝から出掛ける準備をしていた。
休みをとるといいだした光をなんとか仕事にいかせたがほんとうに大変だったと友美は、思いながらしたくをする。
ながれで光には、伝えたが、そのとたん彼もテディベアを見たいと言い出したこときには、本当に困った。
なんとか遊李と二人だけでいくと説得は、したものの今朝も少し萎れていた。
「友美光のやつついてこないよね??」
白野威がこういうなか、友美は、言う。
「さすがにないと思うわ。それに遊李がパパついてきたらゆっくり見れない!! っていっちゃったからねぇ……おとなしく仕事納めにむけて頑張るわよ」
たぶん。頑張っていてほしいが。しかし今朝の落ち込んだ光の背中は、何故か忘れられなかった。
「……」
友美は、あることを思いつきスマホ取り出すと何かをし、また片付けた。
「ママ行こう!!」
「分かったわ遊李」
遊李以外の子供たちは、実家に遊びに行き二人も出発。
電車に乗りデパートまでやって来たがこの間遊李が楽しげに色々なことを話してくれた。
「着いたわね」
「ママはやく!!」
まだまだやはり息子は、子供なのかもしれない。普段は、兄として妹や弟の面倒をみてくれているので、大人びて見えるが、今は、無邪気だ。
「分かったわ」
遊李の所へいくと友美は、息子の手を握った。
「ママ??」
「迷子にならないようにね!!」
「僕もうそんなとじゃ……」
「まだまだそんな歳よ!!」
繋がれた手をみて遊李は、幼い頃を思い出す。そういえば昔は、こうしてよく手を繋いでもらった。
これは、これでどこか心地よい。
「分かったよ」
仲よく手を繋ぎテディベア博覧会の会場に二人は、やって来るとさっそくなかに。
中には、様々な国のテディベアとその歴史が分かりやすく展示されていた。
「凄い……」
遊李は、瞳を煌めかせさっそくテディベアの歴史にかんしての展示を見始めた。
「アメリカが発祥だと思ってたけど、その前にドイツの商人がフェルトせいの針刺しを売っていたのが始まりになりのねぇ……」
友美が隣でそう呟くなか遊李は、ブルックリンだ作られたとされるテディベアをみて大きく目を見開いていた。
「凄い……このテディベアがすべての始まり……」
「みたいね!!」
「ママ凄いよ!! ここ!!」
「本当ね!!」
はしゃぐ遊李をみているとこっちも楽しくなってくる。
さらに各国のテディベアをみて、国や制作会社の違いをみて二人は、驚いていた。
「そういえばこの会社のテディベアうちにあるよね??」
「えぇ。ママが持ってるから」
「すごいなぁ……うちにこの会社のテディベアがあるって!!」
遊李は、そう言うと楽しげに笑った。
そしてすべてを回り、売店に来ると博覧会限定のテディベアのグッズがならび、遊李は、楽しげにそれみる。
「……ダメダメ我慢」
「これがほしいの?? なら買おっか!!」
小さなテディベアのマスコットをみて遊李は、我慢しようと思ったのに。
友美の言葉に遊李は、目を伏せる。
「でも高いよ??」
「3000円。まぁこんなものね。榎麟にも買って帰る??」
「榎麟にも!?」
「だって榎麟も好きでしょう?? テディベア」
「うん」
「なら買って帰ろう!! あと柊麗には、これで螢には、これと」
何時も友美は、太っ腹。こういうところにくると必ず来てない姉弟のぶんもおみあげを買う。
「あれ?? パパのは??」
「パパのは、大丈夫!!」
何時もなら父のぶんもというのに珍しい。
遊李は、これは、何かあるかもしれないと思いながら友美の会計が終わるのを待ち、博覧会会場をあとにした。
「ママ今日は、ありがとう」
電車に揺られながら遊李は、友美に言った。
「どういたしまして。楽しかったわね」
「そうだね!!」
母に連れてきてもらえてよかった。
遊李は、そう思いながら買ってもらったマスコットを大切そうに撫でた。
「ママこの後あーちゃんところいってもいい??」
「勿論」
家に帰ると遊李は、おみあげを持ち、友美の実家に一人通路を使い向かった。
友美は、時計を確認するともうそろそろだとしたくをはじめる。
「友美また出かけるの??」
「うん白野威。あんなに落ち込まれたらねぇー」
友美の言葉に白野威は、なにかをさっした。
「私もついてくよ」
「わかったわ」
したくをおえ、家を出ようとしたとき、玄関先でまさか会うとは、夫に。
「光!?」
「ただいま……せっかくなら車で行こうかと取りに来たんだ」
友美は、微笑むと言う。
「駐車場探すの大変よ??」
「でもドイラブデートもいいでしょう??」
「確かに」
今朝友美は、光にメールをしていた。仕事が終わってからテディベア博覧会に行かないかと。
光もはじめは、いいのかと思ったが、今朝の自分の様子から友美が気を使ってくれていることに気づきならと友美の誘いに乗った。
「遊李は??」
「実家にいったわ。榎麟たちにおみあげわたす!! って」
「そうか」
「じゃ行こう!!」
「うん!!」
今度は、旦那様と二人で。白野威もいるが彼女は、友美の中なのでカウントしない。
仲良く二人は、恋人繋ぎをすると車へ。そして乗り込むとさっそくデパートに向かったのであった。その社内は、とても楽しくあたたかな空気が流れた。
デパートにつき、博覧会をみながら、友美は、はしゃぐ光をみて思った。息子に本当に似ていると。
「やっぱり親子ね」
「そりゃそうだよ。遊李は、大切な息子ですから!!」
「そうね」
「友美売店でなにか買っても……」
こんなところまで似てるとは。友美は、微笑むと言った。
「もちろんいいわよ」
「ありがとう!! とりあえずペアルックにしないと!!」
「分かったわよ」
しかし息子と違って友美と同じものを持ちたがる。すべて見回り売店で真剣に悩む光をみて友美は、思う。今日は、息子とそして夫とこれてよかったと。
「今日も幸せね」
友美は、そう呟くと光こ隣に向かった。楽しげに微笑みながら。