光明ノ神子

 春晴れたひは、布団を干したくなるものだ。
 白野威は、テラス干されている布団を見ながら、あくびをした。
「あいつらも気持ち良さそう」
 風に揺れる布団を見ながら、白野威は、そういうと、リビングをでた。
「友美!!」
 書庫に行くと友美が何やらしている。
 友美は、微笑むと言った。
「どうしたの??」
「散歩行こうぜ!!」
「分かったわ」
 友美は、一目散に玄関に行く白野威をみて笑った。本当に自由なんだからと思いながら。
 本を片付け、出掛ける支度をすると、友美は、玄関に。靴をはくと白野威と外へでた。
 こてまりと八重桜が咲くなか、もうすぐ初夏だなと友美は、感じていた。
「白野威お出かけしてどこ行くの??」
「和菓子買いにさ!!」
「近所の和菓子屋さんね」
 白野威がご機嫌よく歩くなか、友美は、その様子を見て、笑っていた。
 何時も行く和菓子屋にくると、友美は、中に。
「桜餅とヨモギと栗饅頭お願いします」
「はいよ!!」
 馴染みの店主と話をし、友美は、そとへ。待っていた白野威は、立ち上がると友美のところへ。
「友美帰ろー」
「抹茶でも飲む??」
「のむのむ!!」
 帰ったら久しぶりに抹茶をたてようと、友美は、決め、帰る。
 たまたま通りかかった花屋に可愛らしい八重桜の切り花があり、友美は、それを買う。
「花瓶ある??」
「桜には、渋いのもあうから大丈夫!!」
 帰ったら花をいけなくては。
 友美と白野威は、春の陽気を感じ、家に帰ると、早速桜を生け、床の間に飾った。
「よし!!」
「和室で食べるの??」
「せっかくだしね!!」
 抹茶もたてると、友美は、和室へ。買ってきた和菓子は、白野威が持ってくる。
 和室からテラスを見ながら、白野威と友美は、お茶をはじめた。
 美味しい抹茶に白野威は、尻尾を振り、桜餅も美味しそうに食べた。
「全部食べていい??」
「もちろん。光と子供達の分は、別で買ってきてるから」
「よっしゃー!!!」
 白野威は、ガブガブ桜餅も食べると、今度は、栗饅頭を食べる。
 友美も自分用に買った栗饅頭を食べながら、抹茶をのんだ。
「美味しいー」
「友美光の分食べていい??」
「駄目よ!! あとで怒られるわよ??
晩御飯ぬきになってもいいならいいけど」
 白野威は、顔を青ざめる。
「ならやめとく」
「その方がいいわ」
 もし白野威が食べたら、光は、泣き出して、しばらく面倒なことになるだろう。
「光って面倒よね?? 友美」
「まぁ面倒なところもあるわね」
 診療室でくしゃみをする光が思い浮かぶが、友美は、ほっておくことにした。
「さてと、おやつも食べたし、仕事してくるわねー」
 友美は、そういうと神子の役目をするために、和室をでていった。
「螢迎えに行く時間までは、まだあるか……」
 白野威も自分の使った食器をキッチンに持っていくと、リビングの窓際に。
「まだ布団いれるには、はやいかー」
 さてなにをしようか。
 白野威は、あくびをしながら、考える。
「お昼!!」
 そしてそう叫ぶと、キッチンにいき、器用に冷蔵庫をあけた。
「うーんなに作るか!!」
 しかし何も思い浮かばなかった。
 白野威は、冷蔵庫を閉めると、リビングに戻った。
「ひーまー!!!」
 暇すぎる。こうなったらと白野威は、リビングをでて、友美の執務室に。
「友美!! 暇!!」
 扉を開け、入ってきた白野威に友美は、苦笑い。
「ならお使いしてくれる??」
「どこに??」
「勇音ところ」
「いいよー華澄と話してこれるし!!」
 白野威は、友美から鞄を受けてると、それを咥え、薬問屋に。
「本当に白野威は」
 友美は、そう呟き、仕事をはじめ、白野威は、空を飛ながら、薬問屋に。
 前につくと、器用にドアを開け、なかに。
「勇音!!」
 てくてくと店の奥に行くと、白野威をみた勇音が驚く。
「白野威様!?」
「友美からのおつかいさ」
 鞄を勇音に渡すと、勇音は、中を確認し、鞄になにか入れた。
「対価のふきです」
「おっ!! 初物!!」
「そうですよ!! この間薬草を取りに行ったときに見つけたんです。処理は、してますから後は、料理してくださいね!!」
「あいよ!!」
 春の食材を食べれると白野威は、小躍りしていた。
「おっ!! 白野威様!!」
 店の奥から燕青が顔を出した。
「燕青!! ヤッホー!!」
「ヤッホー!!」
 白野威と燕青は、波長があうのかなかなか仲がよい。
 勇音も微笑み様子を見ていると、燕青は、なにやら鞄に入れた。
「タケノコ昨日神社で取ってきたんだ。よかったら」
「おっ!! ありがとう!!」
「ソーマに手伝わされたかいあったぜ」
「あいつ神子づかい荒いしね」
「それは、ノーコメント!!」
 糠までいれてくれたので、これは
後で光にすべてたくそう。
 白野威は、嬉しそうに尻尾をふるが、まさにそこにいたのは、ワンコだ。
「本当に神にみえない……」
「白野威様は、威厳とかないし……」
「親しみやすさら、あるけどな」
「そうそう」
 燕青と勇音の会話をきき、白野威は、首をかしげる。
「威厳なんてただの邪魔な飾りさ」  
「いやー要る時もあるからな!?」
「そうですよ!! 白野威様!!」
「日常生活でそんなに要らんじゃん!!」
 なんだろう。この適当さ加減とズボラさ。それが親しみやすい要因ともいえるが。
「友美と似てるよな……」
「友美の方がまだきっちりしてる」
「そういえば華澄と桜花は??」
「二柱ならお花見に」
「そっか」
 話せると思ったがタイミングが、悪かったようだ。
 白野威は、鞄を咥える。
「じゃまた」
「では、お願いいたします!!」
「じゃあな!!」
 薬問屋を後にし、白野威は、また空へ。
「タケノコ~タケノコ~ふき~」 
 と歌いながら家に帰ると、いい匂いが。
 足を洗い、白野威は、リビングにいくと、キッチンで友美がご飯を作っていた。
「友美これは、ペペロンチーノだな!?」
「白野威そうよ」
 しかしここまで勢いよくきいてくる必要は、あるのだろうか。
 友美は、苦笑いを浮かべながら、答える。
「それよりありがとう。お疲れさま」
「いいよ。対価にふきとタケノコ貰った!!」
「おっ!! いいわね!!」
「光に処理頼む??」
「まぁそれが一番かもね!!」
 光なら美味しくしてくれるだろう。友美と白野威がそんな話をしていると、スマホがなった。
 白野威は、ディスプレイを確認すると、器用にでた。
「もしもし」
「ふんふん!! ふーん!!」
 そしてマイクに向かって鼻息をかける。電話の相手は、これだけで誰か分かると、盛大なため息が。
「白野威!!」
「あら光から」
「ふんふん!!」
 スピーカーになっているので、誰か分かったがそれよりも白野威の鼻息がかって通話など出来ない。
「白野威ーいっといたら??」
「だね」
 白野威は、いう。
「ふきは、下処理オッケー!! タケノコは、してない!! 美味しくしてよ!! じゃ!!」
 ブチ。通話を白野威は、切った。
「白野威光用事があったんじゃ……」
「気にしない~気にしない~」
 気にした方がいいような気もするが、友美は、まぁいいかと思ったとき、また着信が今度は、友美がでる。
「友美あれは……」
「白野威の悪戯ね。今朝から暇暇連呼してるから」
 相手は、案の定光。彼は、ため息をつく。
「まったく……それよりふきとタケノコは、冷蔵庫にいれておいて。帰ったらやるよ」
「分かったわ」
「それと家にトイレットペーパーあった??」
「あったけど備蓄としては、一袋だけよ」
「ありがとう。なら買って帰る」
「了解」
 光とその後他愛もない話をし、友美は、電話を切った。
「白野威ご飯できたよー」
「やっほーい!!」
 ペペロンチーノをさらに盛り付け、リビングに持っていくと、白野威は、いただきますといい、早速食べはじめた。
「料理してくれるって」
「やった!!」
「それと呆れてたわよ光」
「それは、知ってる!!」
 本当にマイペースな白野威に友美は、微笑む。普段は、こうだがしっかり空気を読んでいるのと友美は、知っている。
 昼も食べ終え、片付けをし、友美は、残りの用事をしに、執務室に。
 白野威は、干された布団を見ながら、もういいだろうと、辺りを見渡す。
「布団叩きない」
 光が普段使ってるのに何故ないのか。白野威は、とりあえず叩け、埃を払えればいいかと、あることを思い付く。
「そうだ!!」
 ニヤリと笑うと白野威は、なにかをはじめた。

 書類整理も終わり、友美は、時計をみた。
「もうそろそろ布団を……」
 そう思ったとき、ドンドンとなにやら力の気配を感じた。
「え?? 結界が揺れてる!!??」
 まさか敵襲かと思い、慌てて執務室を飛び出し、リビングにいくと、答えは、そこにあった。
「白野威!!??」
 犯人は、白野威。しかも彼女は、神器の太刀を咥え、それを布団叩き代わりに使っていた。
「えい!!」
 布団に打ち付けられる神器。友美は、いくら適当でもそれは、良くないだろと思った。「白野威……それは……」
「通称雨の叢雲の剣なんて基本使わないしーこれくらい使わないと錆びるしね!!」
「神器も布団に打ち付けられる日が来るとは、思ったないわよ!!」
「気にしない~気にしない~」
「気にしろ!!」
 友美は、テラスで、叩かれた布団に触ったとき驚く。
「ふわふわだと!?」
「どうだ!! これこそ、神器パワー!!」
「すごい副産物ね……」
 とりあえず取り入れると、白野威は、次の布団を叩き出す。
「普通神器をあんなに扱う神いないわよ……」
 天照がみたら発狂ものかもしれな。友美は、布団を押し入れにしまい、次の布団を取り入れる。
 また片付け、干していた布団を全て片付けると、白野威は、満足げにリビングに入ってきた。
「満足!! 友美もうそろそろ螢迎えに行く??」
「そうね……後少ししたら」
「なら私行ってくる!!」
「まさか狼の姿で!?」
「そこは、本来のに戻るさ!! 螢との約束もあるし!!」
 友美は、なにやら嫌な予感が。
「螢に危ないことしないでよ!?」
「しないしない~空飛んでくるだけ!!」
「まぁならいいけど、夕飯までには、帰ってきてね」
「あいよ!!」
 お迎えの時間になると白野威は、お迎え担当の印を持ち、家をでた。
 幼稚園の近くになり、本来の姿に戻ると、気づく。
「げっ……洋服じゃなくて和服じゃん!!」
 仕方がない。白野威は、他の保護者にまじり、螢を迎えに行くと、中からでてきた螢は、白野威をみて驚く。
「白野威!!??」
「お母さんの代わりに迎えに来た」
 他の先生達が、白野威を怪しげにみるなか、慣れている先生は、螢を白野威に託す。
「お願いしますね!! お姉さん!!」
「何時もありがとうございます」
「先生また明日ね!!」
「明日ね!!」
 幼稚園から出ると、白野威は、狼に戻った。
「白野威どうしたの??」
「螢約束覚えてる??」
 白野威の言葉に螢は、瞳を煌めかせた。
「うん!!」
「よし!! なら姿を消すやつ!!」
「はーい!!」
 螢は、姿を消す術をつかい、白野威にだけ見えるようにした。
「乗りな」
「うん!!」
 白野威の背中に螢は、乗ると、白野威は、落ちないように術で自分と螢を繋ぐ。
「行くよー!!」
「ラジャー!!」
 白野威は、そういうと空へ。あまり高すぎると寒いので、そこまで上昇は、せず、天駆けると螢は、楽しそうに笑った。
「すごい!! お母さん何時もこんなのなんだー!!」
「そうさ」
 螢は、瞳を煌めかし眼下に広がる世界を見る。
 しばらく飛び家に着くと、螢は、家の中に。
「ただいまー!」
「おかえりなさい螢!!」
 柊麗が螢を出迎える。どうやら小学生組が帰ってきてるようだ。
 螢が手を洗いうがいをしリビングを行く頃、白野威は、足を手洗、中に入った。
「やっぱりホムンクルスを作ってみるべきや!!」
「だよね!? 検証には!!」
「作らなくていい!!」
 リビングでは、榎麟と遊李がとんでもない話をし、ていた。
 キッチンから光の声が聞こえるが、双子は、聞いてなさげだ。
「錬金術まで頼むからやるな!!」
「お父さんでも!!」
「そうだよ!! 知るには、やるしかないよね!?」
「しなくていい!! 創られたそのホムンクルスの事を考えなさい!!」
 双子は、ほほを膨らませるが確かにそこは、かんがえなくては、いけない。
「なら創るのは、よくない……」
「たぶん短命だし……身勝手は、よくないもんね」
 双子は、そういうと更になにか検証するための方法を考え出していた。
「白野威おかえり」
「光ただいま」
 キッチンに白野威は、いくと湯がかれているタケノコをみて微笑む。
「タケノコご飯にするから」
「おっ!! いいね!! それより光双子錬金術するつもり??」
「かもしれない……変なものを作らないでほしいよ……」
 光は、ため息を着くと、白野威も少し呆れたかおをしていた。
「まぁいざってときは、私が止めるさ」
「頼む」
 白野威は、そういうとキッチンからリビングに。
「白野威!!」
「なに?? 柊麗」
「遊びましょう!!」
 これは、昼寝できそうにない。白野威は、微笑むと、頷いた。 
「でなにするの」
「フリスビー!!」
 光がキッチンからアワアワしてるのが分かる。柊麗は、そんな父を無視し、双子も放置していた。
「なら公園行く??」
「行くわ!!」
「僕達も!!」
「やな!!」
 子供達が玄関に行くなか、白野威は、キッチンの光に声をかけた。
「ちょっと行ってくるから。夕飯には、帰ってくる」
「分かった。すまないが頼む」
「あいよー」
 白野威は、微笑むと、玄関にいき、その後近くの公園でフリスビーで遊ぶのであった。こういうのもありだかと思いながら。
 
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