光明ノ神子

 目の前には、つららと白虎そして金華がいる。
 友美は、羨ましそうに見ていた。
「光の式って可愛い子達ばかり……」
 友美は、式神を必要としないが、色々あり、契約している式神は、いる。しかし可愛いかと言われたら個性のかたまりという方があっている。
「何を羨ましがってるのさ!!」
「白野威……だって可愛いなぁ~と」
 屋敷の大きさ桜の木下で戯れているのを見ているとさらに羨ましいとなる。
 白野威は、そんな友美を見ていった。 
「可愛い私がいるのに!?」
 友美は、真顔になるとあきれた顔に。
「白野威は、可愛いとかけはなれてるわ!!
「酷い!! これでも可愛いと自負してるのに!!」
「はいはい」
 友美は、適当に返事すると、またつらら達をみた。
「青龍は、可愛いというより威厳だし……憑霖は……恐ろしいだし……」
「狐達は、可愛いだろ??」
「白夜と銀狐だけよ!? 可愛いわ!!」
「なら結羽は??」
「結羽は、高貴かしら……麒麟だし……」
 黒麒である結羽の本来の姿は、美しいといえる。久しく見てないなと友美は、思いながら、さらにいった。 
「マリーと六花は、可愛いとは、違うというか……」
「マリーは、可憐じゃん」
「そのもふもふ可愛いでは、ないでしょう!?」
「あーそういうことか」
「そう!! 六花は、個性的というか……こう……戦ってきた強い女!! というか……」
「私からしたら個性的だよ。あれは」
 白野威と友美は、ため息をつく。こう考えると友美の契約している式神達は、どれも自由奔放で個性的だ。
「唯一縛れてるの憑霖くらいじゃね??」
「野放しにしていいな、するけど??」
 憑霖は、あやかしのなかでも強大な力をもち、本来式神や使令として使役することは、出来ない。それが出来るのは、友美だからだ。
 白野威は、顔を青ざめいう。
「あんなもん野放しにするな!!」
「そう?? おとなしいと……」
「絶対に私殺される!!」
 白野威が身震いするほどに憑霖は、恐ろしい存在のようだ。友美からすれば美しいユキヒョウだが。
「光ならいうこと聞くんじゃ……」
「聞くわけないつうの。友美だからだあいつは、おとなしくしてるのさ!!」
 友美は、そうなのかと思いつつ頬杖をついた。
「思ったより式神多い私……」
「皆押し掛け訳ありばかりだけどねー」
 そう押し掛け訳ありばかりだ。それには、理由がある。
 青龍と狐は、別だがそれ以外の者達は、友美が渡った世界でそれぞれ過酷な環境にいた。
 殺されかけた者、罪人とされ首を落とされかけたもの。強大なあやかしとして地獄を作っていたもの。そして人に捕まり、いじられた精霊。
 どれも友美が関わった事件の関係者だ。
「友美が優しすぎるのも原因かもね」
「え?? 私優しくは……」
 友美は、自分が人でなしであると思っている。優しい人ならば手段としても人が悲しむことは、選ばないだろう。しかし友美は、選ぶそれが必要なことと思っているから。
「優しいからこそ、式神にして、幸せになれるように力も与えてるんだろ??」
「それは……環境を変えるためにも式神にしてるだけで……」
「他にも手段は、あるのに??」
 白野威にここまで言われては、なにも言えない。
 友美は、目を伏せるといった。
「理の事とか考えてよ」
「まぁそうしといてやる」
 白野威は、微笑む。
「姫少しいいか??」
 影から声が聞こえ、友美は、頷くと、六花が姿を見せた。その手には、美味しそうな桜餅が。
「マリーと作った。良ければ」
「ありがとう六花」
 友美は、微笑むと、六花は、恥ずかしそうに視線をそらし、姿を消した。
「ほら。わざわざこんなことする??」
「それは……」
 桜餅を食べながら、白野威は、いう。
「基本戦わせず、ただゆっくり穏やかに過ごせる式なんて珍しいよ」 
 友美も桜餅を食べながら、驚く。 
「えっ!? でも光の式も……」
「光もだが基本は、式なんて、戦闘させるのが目的だろ」
「戦闘……」
「自分よりも強いものもしくは、自分が相手するには、弱いやつを式に片付けさせる。だか、式は、本来戦闘に身を置くことがほとんどさ」 
 友美は、確かにそうかと納得した。
「でもそんなの可哀相よ!! それにそれなら自分が力をつければいいだけじゃない!!」
 白野威は、友美のこういう考え方が好きだ。だからこそ、友美は、優しいといえる。自分の式に戦いを強制せず、好きにさせているから。
「式神だとしても彼らには、心があるの。だから適材適所だし……殺伐としたことを私は、させたくないわ。好きなら別だけど」
「憑霖のように??」
「えぇ。あの子は、戦いが好きだから、戦闘があるかもしれない事に力を貸してもらうけど……」
 憑霖的には、満足してないかもしれないが。
「姫は、私の事をそう考えていたのか」
 この声はと振り返りと憑霖が出てきた。白野威は、顔を青ざめると、距離をとる。
「当たり前よ憑霖。貴女も私の大切な使令というか……式だもの!!」
 憑霖は、主を甘いと思うことがあるが、決して嫌いでは、ない。
 彼女の側に腰を下ろす。
「私を個として見るのは、姫くらいだ」
「……だってそうでしょう??」
「他のものは、あの大陽神のようだがな」
 友美は、白野威を見て目を伏せた。
「だとしても私は、貴女をあやかしの王では、なく憑霖として見るわ」
 頭を主に撫でられ、憑霖は、驚いたが、ゴロゴロと喉をならし始めた。
「そうだ!! 桜餅食べる??」
「いらぬ」
「甘いの苦手だっけ……」
 友美は、ならと出してきたのは、鯣だった。
「神様も鯣は、好きだから、どう??」
 神と憑霖は、正反対ともいえる存在だ。
 憑霖は、本当にこの主はと呆れながらも鯣は、食べた。 
「まぁいける」
「あやかしの干物は、いまなくて……」
「あったとしても霞ノ神子が全て薬剤にするだろ」
「まぁね……」
 勇音が嬉しそうにあやかしの干物をもっていく光景が目に浮かぶ。
「憑霖何処へいくの??」
「静かなところで昼寝だ」
 憑霖は、そういうと屋敷の奥へと姿を消した。
「マスター!!」
 次に出てきたのは、マリーだった。
「あれマリー羽……」
 普段羽を見せていないマリーが妖精の羽を今日は、見せている。
 マリーは、可憐に笑う。
「お天気がいいですもの!! 羽を広げたくて!!」
「確かにそうね」
「マスターも一緒にどうかしら??」
「やめとくわ」 
 マリーは、ショボンと落ち込むがすぐに笑った。
「ならまた次の機会に!!」
「ありがとう」
 マリーは、そういうと、桜の木の方に歩いていった。
「姫様!!」
 次に出てきたのは、銀狐と白夜。友美は、もってきていたいなり寿司を机の上に奥と、二匹は、食べはじめる。
「本当に好きね」
「はい!!」
 銀狐と白夜は、息をあわせいうと、また食べ出す。
「青龍」
「なんだ姫」
 呼ばれ、出てきた青龍は、微笑む友美を見て思う。 
「ただ呼びたかっただけか」
「ご名答!!」
 あと結羽がいればいいのにと思ったとき、庭に一角の獣が。
「結羽のやつ珍しく獣の姿」
 結羽は、友美に一礼をすると、つらら達のとなりに腰を下ろし、寝はじめた。
「友美集結したね」
「そうね!! 白野威!!」
 知らぬまに神々まだ集まりだしている。 
 光が迅雷達のお尻を押し、なにやら言っているが、友美は、それを見て笑っていた。
「こういう時もいいわよね!!」
「まぁ光が大変かもだけど~」
 つららが桜の木に登りだし、光がアワアワしていた。
「確かに」
 友美は、そういうと微笑む。春のこののどかな時間は、本当にいいなと。
「友美ちょっとへルプー!!!!」
 光から呼ばれ、友美は、立ち上がる。
「白野威行こう」
「はいよ!!」
 さてこれもまた春の風物詩かもしれない。友美は、楽しげに笑うと、歩き出した、白銀の狼と共に、大切な人の所へ。
 
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