光明ノ神子

 本日エイプリルフールだ。
「友美!!??」
 光の目の前には、美しい黒猫が。
 猫は、にゃおと鳴くと、光の膝の上に乗った。
「友美がいない……でもこの猫友美だよな……」
 猫は、首をかしげると、光に撫でられ、ゴロゴロと喉をならしていた。
「可愛い……」
 友美が猫ならそれは、それで可愛い。
 光は、猫をだっこすると、和室へ。そしてつらら用に作った服を猫に着せると、スマホをかまえた。
「可愛すぎる!!」
 可愛らしいワンピースを猫に着せ、写真を撮るなか、光は、瞳をキラキラさせていた。
「にゃー」
 猫は、困った顔をするなか、ふと和室の入り口をみた。
「光なにやってるの!?」
 聞きなれた声に、光は、驚く。
「友美!?」
 ならこの猫は、なんなのだろうか。光が困っている間に猫は、友美の肩に乗った。
「友美その猫は……」
 友美は、微笑む。
「私の式神」
 猫は、ゴロゴロ喉をならしながら、友美の頬を自分の頬を刷り寄せていた。
「友美の!?」
「そう。この間息絶え絶えの猫が倒れてて、せめて最期に……誰かそばにと思って……手当てしたら……そのまま猫又になっちゃって……

 よくみると猫の尻尾が二本に分かれていた。
「なぁ!!??」
「懐かれたのもあったから式神に……」
 猫は、にゃーと鳴くと、友美の肩から降りると、彼女の、傍らに座った。
「……友美って動物に懐かれやすい??」
「そんなことないと思うわよ光」
 友美と光は、互いに同じことを思い出していた。動物の感なのかいつも友美は、野生どうぶうに、警戒され、怯えながら逃げられていたような。
「確かに」
「この子は、変わってるのかもね」
「友美名前は??」
 式神なら名を与えたはずだ。光は、聞くと、友美は、微笑む。
「決めてない!!」
 光は、ポカーンとしたのちいう。
「なんでやねん!!」
「おー!! 関西弁!!」
「それは、ええから、名前つけるのが先やろ!! なんで名前つけてないん!!」
 光の関西弁に友美は、嬉しそうだが、それもそうだ。
 猫を抱き上げると友美は、いう。
「貴方は……たま!!」
「オーソドックス!!」
「ならみけ??」
「この子は、黒猫!!」
「ならクロ!!」
「まんま!!」
 頼むからボケるなと光は、肩で息をしながら言う。
「もう少し……あるだろ……」
「うーんなら……月!!」
 光は、まだましかと思いつつ、猫をみると猫は、嬉しそうに二本の尻尾を振る。
「気に入ったみたい!!」
「だな」
 猫は、友美の手から離れると、とてとてと歩いていってしまった。
「今年のエイプリルフールは、もふもふだったな」
「へ??」
 光は、友美に微笑むと、彼女は、首をかしげていた。
「さてお菓子作ろ」
「おっ!!」
 光は、そういうと和室を出た。毎年これくらいのエイプリルフールならいいなと思いながら。
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