光明ノ神子

 友美は、ふと気になったことがある。
「白野威」
 ゴロゴロしている白野威に話しかけると、彼女は、顔を上げた。
「なに??」
「三種の神器を事なんだけど」
 白野威は、あくびをすると座り直した。
「なに」
「今の伊勢神宮、熱田神器、天皇家で保管してるのって天照のよね??」
「そうだよ。私は、天岩戸の前には、死んでるからねぇー」 
 今さらこんなことを聞いてなにがしたいのか。白野威は、そう思いながら答える。
「白野威のやつも同じ名前だなーと思って」
 なにか特別な意味でもあるのだろうかと、友美は、ふと思ったのである。 
 白野威の剣、勾玉、鏡は、友美と光が持っている。
 白野威も使えるようには、なっているが、ある時彼女に預かってくれと言われたのだ。
「特別な意味??」
 白野威は、あくびをすると言う。
「ないない!!」
「えっ!!??」
「そんなもんあるかいな!! 当世に合わせて、そう呼ぶようにしてるだけさ」
 友美は、開いた口が塞がらない。特別な意味などなかったのだから。
「でも白野威の神器凄い力持ってるじゃない!!」
「そりゃまがりなりにも高天ヶ原の統括者だったしー」
 自分でまがりといっていいのだろうか。
これを聞いた神達から何がまがりかとブーイングが来そうだ。
「まぁね……」
「それに昔の統治者にとっては、勾玉、鏡、剣は、権力の証だったしねぇー」
「ある意味これは……高天ヶ原の統治者の証ってことか!!」
「そうそう!!」
 そういえば、天照は、持っていなかったとふと友美は、思い出した。
「白野威ならこの勾玉とかを天照に渡さなくていいの??」
 白野威は、あくびをすると言う。
「それをしようとしたら、オモヒカネに全力でとめられた。そもそも証があるってこと事態秘匿みたいでねぇー」
「秘匿!?」
「私が持ったまま死んじゃったからさ。だから秘匿にしたんだとさ」
 突然の天照の死は、当時の高天ヶ原を騒然とさせただろう。
 色々騒動を抑えるのに、オモヒカネも大変だったんだろうなと友美は、思う。
「だから名前なんてなんて呼ぼうがいいってこ。なら日本の総氏神として、頑張ってる天照の神器の名前で呼んどくかーって」
 白野威なりの理由を聞け、なるほどと納得出来たが、それでも理由が理由なだけに、もう少し考えて名付けしろともいいたくなる。
「神器って大切なはずなのに……」
「そういうのなら友美の持ってるやつもじゃん」
「私の持ってるやつ??」
 友美は、首をかしげた。思い当たる節が多すぎるからである。
「指輪とか??」
「結婚指輪じゃないよ!! 友美の中にあるやつ!!」
「あーあれ」 
 友美は、指を鳴らすと眩い光がリビングに。その光が収まりと、青く美しい光を帯びた7つの物が炬燵の上に乗っていた。
「友美!!??」
「なんで驚くのよ。みたいと思ったからだしただけなのに……」
 友美か、すればどこか珍しいのかと思うが、この神器白野威からすればたいそう大切でなおかつ貴重な物だ。
「そりゃみれるのは、ありがたいけど!! これ凄く力強いのは、分かるよね!?」
「そりゃ分かるわよ。私の力を分散させて保管できるほどだし……」
 友美の力は、強大であり、なかなか誰かに譲渡することも、一時的に預けることも難しい。
 光ですら、いきなりほられては、肩から息をするほどに消耗する。
 そんな力をこの神器は、7当分することで力を分散し、抑えることが出きる。
「まぁ普通そんなことないけどね」
「ケースバイケースよ!! 今は、ある人物と会うときは、あの綻びだらけの魂のことを考えて、そうしてるけど!!」
「人に預けるのなら光にだけど、光もそうとう力の配分が難しいっていうし……」
「そりゃ生産、生成の力に、友美のまで加わったらね??」
「即席新しい神の出来上がり!! って??」
「まぁそうもなるかな」
 それは、それで高天ヶ原が騒然とするかもしれない。
 それに便乗して、光がなら制裁だと高天ヶ原で暴れたら面白いかもしれないが。
「暴れて欲しいぜ」
「天照の仕事を増やさないの!!」
 友美は、そういうと炬燵の上の神器をみた。
「そんなに貴重なのこれ??」
「天之御中主神が作った神器ってだけで、めっちゃ貴重だから!!」
 友美は、ふとあることを思い付いた。 
「なら適当に神器って紙に書いて、売ったら売れる……??」
「まぁ本当に神器にして、天之御中主神の力が入ってならね??」
「荒稼ぎできる!! 白野威やろうかしら!!」
 確かに友美ならできるがそれは、非常に不味い。
「新手の新興宗教!!!!」
「それは、ダメね」
 稼げるがよくない。友美は、しかたがないと諦めることにした。
「友美とりあえずこれらは、貴重なんだから!! そもそも友美の力を受け入れることができる時点だ凄いと分かれ!!」
「といわれても生まれたときからあるんだなら気づかないわよ!!」
 といいつつ確かに凄いものでは、ある。友美は、神器をしまうと、言った。
「迂闊に外に出さないようにするわ」
「そうして」
 にしても神と神子は、やはり似た者同士なのかもしれない。
 神器に適当な呼び名をつける白野威とあまり価値を気にしていない友美。身近にあるからこそなのかもしれないが。
「ならこれを売れば……金儲け??」
「迂闊に外に出さないようにするっていったそばから売るとか考えるなー!!! つうか売るな!!」
「だって文献としては、貴重かなと」
「神器としても貴重だつうの!! それにお金に困ってないだろ!!」
「まぁそうだけど」
 あればあるほど、金とは、困らないものだ。
「でも、適当に名前つけてる白野威に言われたくない。高天ヶ原の統治者の証ならもっときっちり名前つけた方が」 
「いいのよ!! 結局使うやつ次第だし!!」
「まぁね」
 白野威の神器を使うのは、白野威自身か、友美と光である。
 友美は、このはなしは、終わりと、キッチンにいきクッキー缶をもって戻ってきた白野威をみる。
「それ光が高いといってた‥‥‥」
「共犯者よやるかい??」
 ニヤリと笑う白野威に友美も悪人がおでいう。
「もちろん」
 紅茶を入れ、くくくと笑いながら、クッキーを食べる友美と白野威。
 やはり神と神子は、似ている。だからこそうまくいくのだろう。いやこの神と神子が似ているからこそうまくいくのかもしれない。
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