光明ノ神子

「友美の馬鹿!! 嫌い!!」
 まさか光からこんな言葉が出るなんて。信じられないだろう。しかし友美は、驚きもしなかった。
「はぁ……」
 盛大な溜め息をつくと、コントローラから手を離した。
「ねぇ白野威めんどくさいから首からした土に埋めてきていい??」
「そのあと死罪にする??」
「近くに赤く塗ったノコギリおいてね!!」
 光は、神子と神とのやり取りを聞いて思わず顔を青ざめる突っ込んでいた。
「それ江戸時代の囚人にする罰だろ!! 俺は、放火に、窃盗、殺人は、してないぞ!?」
 友美と白野威は、ニヤリと笑う。ここまで神子と神は、にているものだろう。まさか自分と水郷も似ているのではいかと。
「さすが光的確な突っ込み!!」
「的確って……なら更にいうが、ノコギリを置くのは、罪人が土に埋められてるときな!?」
「そうだった!!」
 白野威と友美に突っ込み光は、ぜえぜえ肩で息をしていた。
「なら追放!!」
「友美さん戦国時代まで戻らなくていい!! そこから戸籍を抹消まで言わなくていいから!!」
 友美は、ニヤリと微笑むが、その顔がまさに悪人だ。
「本当に神子なのと思えてくるわ」
「自分が選んだ神子見ながらいうな!! ずぼら太陽神が!!」
 この神もまったく神に見えない。光は、そう思いながら白野威を睨んでいた。
「よし!! 光の、相手もしたしゲームゲーム」
 友美は、そういうと再びコントローラを握る。光は、不満げにそんな友美を見ていた。
「俺も……得意なら相手してくれてたのかな……」
「ソロプレイの時点で無理だつうの」
「五月蝿い!!」
 更に追い討ちをかけるなと光は、白野威をみたが、彼女は、楽しげに笑っていた。
「やっぱりこの装備がいいのかなぁ……」
 ゲームをすることは、別に光も反対では、ない。しかしここまで相手されないと寂しくもなる。
 光は、この時ばかりは、ゲームを少しばかり忌々しく思っていた。
「夜熱々の癖に」
「五月蝿い。それとこれは、別だ」
 そう。別。
 光は、友美の後ろに行くと座り彼女を後ろから抱きしめ彼女の肩に顎をおいた。
「友美は、俺よりゲームですか」
「はいそうです」
 そして知らぬまに友美は、光の腕からいなくなり、気づけば彼の頭上で浮きながらゲームをしていた。
「ワイアレスコントローラここで使えるとは!!」
「なに!?」
 にしても浮けることには、驚かないのか。光よ。彼にとっては、普通のことらしい。
「よし!! これでいいとして……とりあえずやることは、やったかな」
 セーブをしゲームを終えると友美は、床に降り立つ。そしてゲームを片付けるとしかたがないとすねすねな夫を見た。
「光」
「ふん!!」
 しかし光は、頬を膨らませ友美にそっぷを向いた。
「あら光そんなへそ曲がりでいいのかな?? 美味しいケーキをせっかく光にあげようと思ったのに」
 光は、微かに反応すると友美は、更に言った。
「白野威ケーキ食べる??」
「食べる。光要らなさそうだしね」
 これは、まずい光は、慌てて手をあげた。
「食べる!!」
「よし!! ということで白野威ケーキ一つになったわ」
「二つ食べれるかと思ったのに」
 あれ友美と白野威の顔がニヤリと笑っていた。光は、なにかを悟り不機嫌な顔に。
「はめただろ!?」
「さぁーね。とりあえず紅茶入れてくるからまっててね。すねすね光くん!!」
 今の友美の顔が義母と同じだ。光は、今日は、友美の手のひらで転がされている気がしていた。
「……やっぱり親子だな。似てる……お義母さんに」
「そりゃそうだろう」
 白野威は、何を今さらと思いながら光をみた。
 しばらくしてケーキと紅茶をもって友美は、リビングに戻ってきた。
 しかしそのケーキが問題である。
「ワンホール!?」
「子どもたちには、内緒よ?? お酒が入っててあの子達は、食べれないから。でも美味しくてワンホール買っちゃった!!」
 友美が珍しい。光は、そう思いながらケーキと紅茶の支度を手伝った。
「おー!!! おっきい!!」
「白野威お待たせ」
 尻尾を全力でふりいただきますというとケーキを食べ始める白野威。
 光は、その勢いに驚いていた。
「それだけ美味しいってことか……」
「かもね」
 光は、いただきますというとケーキをたべ、口のなかに広がるオレンジの香りに目を煌めかせた。
「美味しい!」
「それは、よかった。光機嫌なおったかな??」
 光は、しばらく黙ると頷く。
「今回は、これでチャラにしてあげる」
「ありがとう」
 チャラというが、そもそも光が勝手に拗ねていただけである。
 友美は、とりあえずこれで最終手段を出さずにすむと無でを撫で下ろした。
「そう言えば友美離婚届は??」
 しかしすべてをぶち壊したのは、白野威。
友美は、笑ったまま固まり、光は、持っていたフォークを床に落とす。
「り……離婚届!?」
「白野威……余計なことを……」
 友美から黒い霧が現れ、光と白野威は、友美から離れた。
「白野威!! 黄泉の霧を充満させる気か!? この家どころか俺たちまでしぬぞ!?」
「そんなつもりなかったつうの!!!」
 まずい非常にまずい。今は、友美の周りに漂っているだけだが、間違いなく近くを浮遊していたホコリが消えてしまっている。
 どうにかして事をおさめなければ。
「友美ごめんなさい!!」
 素直に白野威は、謝ると霧は、消えた。光と白野威は、ほっとしたが、友美は、まだ不機嫌な顔をしていた。
「……まったく」
 一言だけそういうと友美は、ケーキをたべ出した。
「友美さんあの……離婚届って……」
 空気を詠めば今聞く話では、ないが、光は、気になり聞く。
 友美は、困った顔をすると言った。
「ユニから預かったの」
 まさかの人物の名前に光は、驚く。
「えっ!!??」
「何かあったときのためにって離婚届書いたんだって。で、ソーマには、秘密にしてほしいからって一時的にうちで預かることになったの」
 光は、真面目な顔になると言う。
「……産後が今回悪かったから余計にか……」
「えぇ。死には、しなかったけど、それでも何があるか分からないからって改めて思ったからって。ユニ言ってたわ。私に何かあっても彼には、幸せになってほしいからって」
 友美は、このとき特になにも言わず離婚届を預かることにした。
「本当は、貴女が生きていてそれで隣で笑ってくれてることがソーマの幸せなのって言ってあげたかったけど、ユニ分かってるだろうから言わなかったわ」
「そうだな……にしても紛らわしすぎるぞ……」
「おいおい話そうとしてたのにまったく、白野威が余計なことを言うから。あと補足だけど、光と別れる気まったくないからよろしく」
 光は、嬉しそうに微笑むと頷く。
「わかったよ。それとケーキ美味しい」
「でしょう!!」
 友美は、自慢げに微笑むと言う。
 本当彼女が愛おしい。友美は、わかっていない。彼女の事が、もすごく愛おしいからこそ、もっとかまって欲しいと光が思うことを。
「本当に友美って俺の気持ち分かったないよな……」
 光は、ポツリと呟くと隣から黒いオーラが。
「へぇーそうなんだーなら私への意見言ってくれる?? 光??」
 怖い怖すぎる。笑っているが友美が恐ろしい。
 光は、顔を青ざめると言う。
「だって……こんなに友美のこの事好きなのに……友美は、ゲームばかりじゃないか……」
「ゲームばかりって……光との時間な方が長いから」
「確かに」
 あきれた顔をし友美に言われ光は、確かにと納得してしまったが。
「それでもです!!」
「本当に甘えん坊なんだから……」
「いいじゃないか!! 甘えん坊でも!!」
 もう開き直るべし。光は、ほほを膨らまし言うが友美は、隣で苦笑いを浮かべていた。
「友美今日は、甘えん坊の日だから諦めな……」
「だね白野威」
 しかしこんな彼も可愛い。友美は、光に分からないように楽しげに微笑むのであった。いたずらっ子のような笑みを浮かべて。
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