光明ノ神子

 バレンタインのお礼にと友美は、ホワイトデーの贈り物を準備していた。
 夜になり友美は、光が本を読み始めるのを見計らって話しかけた。
「光!!」
 光は、開いた本を閉じると、どうしたのかと友美の方を見た。
 このタイミングを狙ったのは、何か意図がありそうだと思いながら。
「どうした??」
「これ……ホワイトデーの贈り物」
 友美が差し出したのは、小さな包み。
 光は、受ける取る驚いた顔をした。
「ありがとう。ちょっとビックリした」
「開けてみて」
 光は、頷くと包みを開ける。中から出てきたのは、繊細な細工がされた美しい栞だ。
「綺麗」
「ちょっとしたものだけど……栞なら無駄にならないかと」
 栞なら光も持っているが、それでも友美は、これを贈りたかった。
 光は、嬉しそうに笑うという。
「ありがとう」
 大切に栞を本に挟むと光は、友美の手をとり、自分の方にひいた。
「光??」
 優しく抱き締められ友美は、首をかしげる。
「本当に友美……」
 光は、そういうと優しく彼女に口付けをした。しかも深く。
 甘い吐息が互いに漏れるなか、友美は、光の腕をつかむ。そして口付けが終わると、友美は、光を睨んだ。
「いきなりこれは……」
「卑怯だって??」
「そうよ!!」
 光は、愛おしそうに友美に微笑む。
「だって友美が栞をくれたから……思わず……」
 友美は、困ったように笑う。
「嬉しいからってキスって……」
「ならこちらの方がよかった??」
 友美がはっとしたときには、すでに光に押し倒されていた。
「光媚薬でも飲んだ!?」
「飲んでない」
 珍しい光の行動に友美は、少し困惑していた。
「その……今年は、準備まだで来てなくて……」
 光は、困った顔をしいうと続けた。
「だから一先ず行動で……」
「まさかのホワイトデーのお礼が光って……」
「嫌??」
 悲しげな顔をしいわれると友美は、なにもいえなくなった。
「嫌じゃないけど……」
 しかし光にしては、珍しすぎる。確かにレスでは、ないが、何時もは、寝る準備を終えてからだ。
 友美は、頬を少し赤く染めた。
「光まだ寝るしたくが……」
「お風呂は、入ってるから大丈夫」
「確かにそうだけど……」
「ダメ??」
 寂しそうな顔をされ言われ、友美は、きゅんとしてしまった。可愛いと。
 友美は、視線をそらす。
「……ダメじゃないけど」
「けど」
「うーん……」
 どうしたものかと友美は、悩んでいると光は、しょぼんとする。
「……悩まれるほどの男なのか……俺は……」
「えっ!!??」
「悩むならやめといた方がいい」 
 自分から離れる光に友美は、思わず手を伸ばした。
「嫌じゃないわ!! ただ……」
 友美は、恥ずかしそうに言う。
「リビングでは、ちょっと……」
 光は、ハッとした顔をするとしだいに顔か青くなる。
「ごめん……」
「いいの……だからその……」
「分かってる……」
 光は、本を持ち友美を横抱きにすると、和室へ。
 そして友美を布団の上に降ろすと、本を文机の上に置く。
「あせってしまってごめん……その……こういうの慣れてないからつい……」
 何時もなら贈り物をくれる光。なのに今年は、行動で先に愛を伝えようとしている。
 確かに慣れていないとこうもなるのかと友美は、思いながら言った。
「確かに光いつも贈り物からのイチャイチャだもんね」
「……冷静に言わないでくれ」
 恥ずかしそうに光は、そいうと、仕切り直しと、友美の方を見た。
「……そのいいですか……??」
「うん」
 友美は、頷くと、微笑み手を広げた。
「光カモーン!!」
「うっ……穴があったら入りたい……」
 恥じらうでもなく堂々と言われたらこちらが少し恥ずかしくなる。しかしここで臆しては、男が廃る。
 光は、友美を抱き締めると彼女に口付けした。深くそして甘い。
「光恥ずかしいの??」
「そりゃ……かっこつくどころか……失態をさらしてるから……」
 困ったように光は、笑うと、友美は、それを見て言う。
「でも頑張ってるって分かるから嬉しい」
「ありがとう」
 互いに笑い合うとおでこをくっ付け合いそして再び口付けをすると、光は、ゆっくり布団の上に彼女を押し倒した。
「光その……甘々になる……??」
「いつも以上かも……」
 友美は、顔を真っ赤にするといった。上目遣いで。
「ほどほどに……ね??」
 光は、苦笑いを浮かべると優しく友美の手を握ると口付けをし、優しい声色でいった。囁くように。
「承諾は、出来かねます……」
 友美は、恥ずかしそうにしながらも頷く。 互いの吐息と温もりを感じ二人は、その後甘い夜を過ごした。

 朝になり、光は、隣で眠る愛する姫の頭を優しく撫でていて。
 目を覚ますと友美は、光に体をくっ付ける形で眠っていた。
「朝から怒られるかも……」
 甘々なのをほどほどにて欲しいといわれたのに、まったくほどほどに出来なかった。
 自分しか知らない彼女を見て、感じる度に想いが溢れてしまった。
「本当に可愛い……それに綺麗だ……」
 絹のような髪を優しくすくうと、友美が目を覚ました。
「光おはよう……」
「おはよう友美」
 恥ずかしそうに友美は、光を見るたいった。
「……ほどほどって言ったのに……」
「ごめん……その……」
「……でもいいの……私も似たようなものだったし……」
 友美は、困ったように笑うと光に口付けをした。
「光ぬくぬく……」
「そっか」
 優しく友美を抱き締めたとき、キッチンの方から何かの電子音が。
「おっ出来たか……」
「何が??」
「見れば分かるよ」
 一先ず服を着ると、和室からキッチンに。
 友美は、いい香りに何かわかり、瞳を煌めかせた。
「俺からのホワイトデーの贈り物」
「焼きたてのパン!!」
「そう。これを仕込んでたから、昨日渡せなくて」
「そうだったのね!!」
 パンを着ると光は、皿にのせ、友美に渡した。
「食べる??」
「もちろん!!」
 焼きたてのパンを友美は、食べその美味しさに頬が落ちた。
「美味しいー」
「それは、よかった」
「こういうホワイトデーもなかなかいいかも!!」
 光は、微笑むと友美の耳元で囁いた。
「なら今度からそうしようかな……熱い夜を過ごした後のオマケとして……」 
 友美は、頬を真っ赤にする。
「……そういいつつ甘々は、何時もじゃない!!」
「確かに」
 二人は、微笑み合うとまた口付けをした。何時もとは、違うホワイトデーだが、こういうのもありだなとお互いに思いながら。
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