光明ノ神子

 友美は、驚いていた。
「光!! 凄い!! コン……」
 友美のこのテイションの高さ。光は、まずいと友美の口を押さえそして小声でいう。
 こんな外でいうことでは、ないので。
「大きな声で言わない!!」
 友美は、不服そうな顔するが抵抗とばかりに指だけは、しっかり指していた。自動販売機を。
「コンドームの自動販売機なんてはじめてみた」
「こんなのがあるんだな……しかも閑静な住宅街に」
 とりあえず小声で言ってくれたので光は、胸を撫で下ろしそして言った。
「このレトロ感……光探してみよう他もあるかも!!」
「えっ!?」
 光をほって友美は、歩きだしてしまいなんとか、光は、友美に追い付くとしかたがないとついていくことにした。そしてひとしきり探したが、他にあのような自動販売機は、なかった。
「あいつなかなかのレア物なのかしら……」
「分からないけど。とりあえず友美さん買い物……」
 近くのスーパーに買い物にいく途中で自動販売機を見つけてしまったせいで買い物がまだ出来ていない。
「光買ってみる??」
 自動販売機の前に戻ってきたが友美は、まだ興味が収まっていないらしい。
 とうとうこんなことまでいいだし光は、あせる。
「買わなくていい!!」
「でもあって困らないでしょう??」
 薬局の前でこんなに騒いでたらいつ店の人が出てくるか分からない。
 なんとかして友美をこの場から移動させなければ。
「でも街中にあると便利よね」
「友美買い物……」
「よし!!」
 財布を友美は、取り出すと買った。自動販売機でコンドームを。
 光は、驚いた顔をしていたが友美は、満足そうだ。
「まぁ劣化するかもだけど、持っといて損ないしお守り!!」
「お守りって……」
「何があるか分からないから!!」
 たぶん何があるか分からないのは、相手の方だと思う。
 光は、そう思っていた。なにせ目の前の友美は、大蛇すら恐れる人なのだから。
「……そんなに俺は、信用ならないか??」
 先程から沸々と沸いていた黒い淀みが思わず言葉として出てしまった。
 切ない光の顔を見て友美は、微笑む。
「光は、きっちりしてくれているって分かってるわ。でも持っていたらいざってときにやくだつでしょう??」
「そのいざって……」
「光を襲うとき」
 光は、このとき見てしまった。友美の中にいる獣を。
「……」
 顔を青ざめる光に対し楽しげに微笑む友美。やはり彼をいじるのは、楽しい。
「それに光も持ち歩いてるでしょう??」
「……一応」
「やっぱり!! まぁナプキン出てきた時から予想は、してたけど」
 あのときは、驚いた、出先で突然生理が始まり、そんなときに限ってナプキンを友美は、持っておらず一か八かで光に聞いたら、彼の鞄から可愛い巾着が。そして中には、ナプキンがあった。
「そりゃ何があるかわからないからな!?」
「だからって普通入れてないと思うけど。まぁあのときは、ありがとう」
 さてもうそろそろいかなくては。友美は、そう思い光の手をにぎった。
「行こう!! お買い物!! まぁその前にラブホでもいいけど……」
 光は、あきれた顔をするという。
「行きませんラブホなんか」
「一度いってみたいんですが……」
「世の中知らなくていいこともあるの!! とりあえずスーパーいくぞ!!」
 確りと握られた手を見て友美は、微笑む。
「光ってよく私を選んだわよねぇ……」
「それだけ素敵ってことだよ。それより晩御飯なににしようか」
「うーん光」
 友美は、期待に満ちた瞳でいうが光は、更に呆れた。
「人肉は、不味いから食べれません!!
というかカジュアルに襲います!! 宣言をしないでくれ!!」
「てへへ」
「てへへじゃない!!」
 これは、どうやら帰ってから大変なことになりそうだ。
「光なら……夜いい??」
 光は、可愛くおねだりされ頬を赤く染めると頷いた。
「その時……お互いによかったらね」
「ありがとう」
 満足げに友美は、微笑むと二人仲良く歩きだし、スーパーへと向かった。
 付き合いたてのカップルのようにドキドキを心臓をさせながら。

 
 月明かりが障子から差し込むなか、友美は、布団から抜け出した。色々気になって。
「やっぱり絶滅危惧なのねぇ」
 光を起こさないようにリビングにいくと早速スマホで友美は、調べていたあの自動販売機の事を。
「発祥は、大阪……当時のタバコの自動販売機を改造したのが始まりでバカ売れしたんだ……」
 当時いまのようにコンビニもネットショッピングも今のようには、なかった。そりゃ人気が出るのも分かる。
「地図とかもあるんだ……でも少ないから。本当に貴重なのね……」
 色々調べ感心していると背後に気配が。
「友美……夜中に何をしているんだ??」
 この声は、と振り返ると光が立っていた。
「昼間の自動販売機のことをしらべてたの」
「まだ続いてたのか」
 光は、友美のとなりに座ると気だるげに頬杖をついた。
「うん!! とりあえず昔は、電気屋には、乾電池の自動販売機、薬局には、コンドームの自動販売機は、普通だったみたい!! あと規制されている県とされてない県それに、なにも決めてない県もあるんだって!!」
「そうなのか」
 友美は、話ながら思っていた。よく嫌なかおもせず話を聞いてくれると。
「光……つまらないよね??」
「いや。俺の知らないことを知れるから結構好きだよ。友美とこういう話をするのも」
 友美は、ほっとした顔をすると微笑む。
「光なんで起きてきたの??」
「隣に姫がいないから」 
 すっかり頭から抜け落ちていたが、光は、こうして愛し合ったかと普段よりもぬくもりを感じたいのかくっついてくる。たぶんくっつこうとして友美がいなくて、不安になり起きてきたのだろう。
「本当に甘えん坊なんだから」
 友美は、そういうと光は、不満そうな顔をし友美に抱きつく。
「いいじゃないか……」
「うふふ」
 友美は、楽しげに笑うという。
「今回改めて色々光と話せてよかったわ。大切なことをね」
 あの後色々と二人は、言葉を紡いだ。そして改めて思った。営みというものは、互いの気遣いがとても大切だと。
「そうだな」
 二人は、微笑み合うと口づけをした。
「さてまた寝よう~」
「珍しい……何時もなら2ラウンド!! とか言うのに……」
 この時友美は、思わず光にニヤリと微笑むと、彼を担ぐ。
「ゆっ……」
「リクエストにお答えしますね!! だ・ん・な・様!!」
「遠慮します!!??」
 しかし光は、そのまま布団に下ろされると友美に押し倒されて、彼の悲鳴と共にふすまは、ゆっくりと閉められたのであった。
 
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