光明ノ神子

 まだまだ寒い朝。友美は、隣で寝ている光に抱きついた。
「ぬくぬく……」
 自分よりも大きくそして温い。本当に冬のこの時間は、至福の時間と言える。
 友美は、すりすりと光こ背中に頬をすり寄せているが、光は、この時起きていた。
 友美は、寝ていると思っているんだろうなと光は、思いつつ、目をつぶり、ため息を着いていた。
「光の香り落ち着く……」
 落ち着いてくれるのは、大変嬉しい。だが、今は、はやく離れて欲しいと光は、思っていた。
 朝のしたくがあるため、はやく起きたいと思いながら。
「光起きてる……??」
 まさかばれたのかと光は、内心ハラハラしていた。
 友美は、怪しいと光の顔を覗き込むと、優しく触れるだけの口づけをした。
「!?」
 思わず目を開けてしまった光の視界には、自信ありげな友美の顔が。
「やっぱり起きてた!!」
「おはよう……」
「おはよう光!!」
 そのまま友美に抱きつかれ、光は、さらに身動きがとれなくなった。
「朝からパワフル……」
「そりゃ光を堪能するためですから!!」
「堪能ね……」
 しかし朝は、加減して欲しいのが光の本音である。沈丁花の香りを感じながらも光は、重いと思っていた。
「光??」
「なにもない……」
 体を起こすと、友美が笑ってこちらをみていた。機嫌はすこぶるいいようだ。
「あとで充電するとして、先ずは、お仕事ねー!!」
 友美は、そういうとそそくさと和室を出ていき、光は、そんな友美を見送るとあくびをした。
「友美……着替えずに……パジャマで……行ってしまった……」
 数ヶ月前まで、神子装束きに替え、朝の神子としての仕事をやっていたが、ここ数日パジャマ姿でほぼやっている。
 白野威がパジャマでもいいんじゃないのかと言い出したのが始まりだ。
 友美の上司である白野威は、まだ布団の上で腹をだし寝ている。
「本当に呑気だな……」
 白野威が呑気ということは、平和ということなのでいいこととも言える。
 光は、着替えると、布団を片付け、和室を出た。
 朝の支度を済ませると、キッチンに行き、朝食の準備を始めた。
「そういえば……買って帰らないと……お酒……」
 料理酒が残り少なかったことを確認し、朝食を作り出すと、しばらくして友美が戻ってきた。
「光ー」
「友美お疲れさま」
 背中に抱きついてきた友美に優しい声色で光は、話しかける。
「……とりあえず桃の枝の件は、モアに責任とってもらうことにした!!」
 光は、苦笑いを浮かべると言う。
「桃の枝か……」
「そう!! 神子達の苦情が凄いの!! だからモアに丸投げ!! 形式として私所へ意見だしてもらってるけど、直接威ってもらうようにした!!」
 友美は、そういうとスッキリした顔をしていた。
「しばらくみたくないわ……あの枝……」
 魔の枝とも言えるあの物。色々とバージョンアップされさらに手強くなっている。しかし友美の手にかかれば、簡単に壊せる代物だ。
 黄泉に対する耐性があったとしても友美の力なら簡単に消せてしまう。
「でも友美の前では、おとなしいんだけどな……」
「身の危険を感じるのかしら……」
「かもね」
 友美は、光から離れると鍋をのぞく。
「いいお出汁の香り……」
「お腹空いてきた??」
「空いてきた!!」
 二人は、微笑み合うと、そういい、その後友美は、キッチンから離れ、他の用事をし始めた。
「友美光不足解消したの??」
「白野威解消してないけど、朝は、忙しいから、後で充電する!!」
 朝ら、忙しい。ならはやく用事を片付けるに限る。
 子供達も起きてきて、更に忙しくなり、用事を済ませ、朝食を食べたのち、子供達を学校に送り出す。
「友美」
「なに??」
 送り出すまでは、よかった。光は、困ったかおし、いう。
「離れて欲しいんだけど……螢おくれないし……なにより仕事行けない……」
 友美は、少し拗ねるがしかたがないと、光から離れた。
「お母さんいってきます!!」
「友美行って来ます」
「いってらっしゃい!!」
 光と螢を見送ると、友美は、リビングにいき、炬燵に入った。
「充電少ししか出来なかった」
「あらま」 
「でもいいわ!! 少しは、充電できたから!!」
 しかしどれがけもつかは、分からない。
「友美の甘えん坊モードは、もうしばらく続きそうだねー」
「うん……こう時々光に甘えたくなるのよねぇ……普段の十倍くらい……」
 不定期に訪れるこの甘えん坊モード。普段もしっかり甘えてるがさらに甘えたくなるのだ。
「うーんもしかして光を困らせたいのかしら……」
「それかかまってちゃんだね」
「かまってちゃん……」
 もしかまってちゃんが原因なら光から幻滅されそうだ。
「それは、いや……呆れてドナドナされちゃう!!」
「呆れは、しても光が離婚なんかするかつうの」
 呆れたかおをし、白野威は、いうと続けた。
「それに甘えられるの光もまんざらでもない顔してるし気にしない、気にしない」
 友美は、なら安心とおもいながら、一先ず仕事をすることにした。
 ノートパソコンをつけ、仕事を始め、昼前に何時もどうり仕事は、終わった。
「姫少しいいか??」
 友美は、陰から聞こえる声に、また一仕事ありそうだとおもいながら、頷く。
「どうぞ」
 声をかけると六花が現れたが、その顔は、涙目になっていた。
「あの六花が半泣き!?」
「白野威失礼。六花は、分かりにくいだけで感情は、あります」
 白野威に拳骨をおとし、友美は、いうと、六花は、困った顔をしていた。
「……表情は、乏しいと自覚していたが……やはりか……」
「表情あるから!! それよりどうしたの??」
 六花は、辺りを見渡すと呟いた。
「マリーを止めて欲しいんだ姫」
「あらマリーが何かしたの??」
「色々着替えさせられて大変なんだ……私は、着物でいいのに……せっかくだからと……」
 たぶんマリーの優しさを分かりつつ断れなくて、頑張った結果の涙なのかもしれない。
 友美は、微笑む。
「人の好意を断れない優しすぎる子ね」
「……」
 六花は、目を伏せるが彼女が純粋なのは、生粋の人では、ないからだろう。
「低位の神を人に憑依させ、作られた人造の神からねぇ……」
「白野威それ今いう!?」
「いうよ。それにその器もホムンクルスだしねぇ」
「……太陽神私は、やはり消えるべきだったのだろうか」
 白野威は、呆れた顔をしいう。
「なんでそうなるのさ。少なくとも他の個体とあんたは、違う。だからこそ、その眩い光属性なんだろうが」
 友美は、驚いた顔をした。
「白野威私その事知らなかったんですが!?」 
「まぁ知らなくてもいいことだし」
 白野威は、少し落ち込んでいる六花に向けていう。
「唯一無二の個体であり、本当なら次の実験に使われるかも知れなかったあんたが、その運命から抗いここにいきている。だからそんなこと言うなつうの」
 六花は、驚いた顔をすると頷く。
「あとマリーに関しては、素直に疲れたから今日やめとくと言っときな。それか私は、着物がいいとかねー」
 六花は、頷くと、そのまま姿を消した。
「白野威が珍しい」
「うるさい」
 友美がにやにや隣でするなか、白野威は、呆れた顔をし言った。
「六花のやつ少しずつ感情が出てきてるみたいだね」
「本人が閉じ込めてただけだからねー」
 とりあえず彼女も少しずつだが前に進めてるみたいでよかった。
「そうだ!! 私も光に遠慮がちに甘えれば……」
「今更やっても遅いつうの。昔から猪突猛進で光ー!!!! ってやるのが友美なんだから」
 友美は、お茶目に笑うと、確かにとおもった。
「人形みたいだったら……」
「天照がそんなに育てるかつうの」
 しかし友美が人形のようだったらと考えると、本当に美しい物になりそうな気もする。
 白野威からみても友美は、綺麗だからだ。
「まぁ友美が縹瑠璃みたいだったら、光が着せかえ人形にしてそうだね。今日は、かわいいこの服だよー!!! とかいってさ」
 友美は、顔を青ざめた。
「今でも友美これ似合うとおもうから買ってきた!! とか凄いのに!?」
「そう」
 これは、人形になんかならない方がいい。友美は、改めてそう思いながら、お昼の支度をすることにした。
「パスタでいい??」
「うん」
 ペペロンチーノでも作ろうかと思ったとき、スマホが鳴った。
「光??」
 夫から何かと思って電話に出ると、光は、ぜはぜは息をしながら、話をした。
「ペペロンチーノたべたい!!」
 友美は、真顔になると言った。
「詠んだな。私の考え!!」
「詠んでない!! びびっと来たんだよ!!」
「……まさか帰ってくるの??」
「食べれるなら帰る!!」
「分かったわ。なら待ってる」
 本当に光は、凄いやつと、白野威は、思って見ていると、友美は、通話を切り、キッチンに。
 簡単にペペロンチーノと生ハムを準備すると、光が落ちてきた、リビングに。
「うわぁ!!」
 光は、着地をしたが、そのかお、青ざめていた。
「光凄い登場のしかたね」
「ごめん……嬉しくて、座標見誤った」
 友美は、思わず笑う。
「なにそれ」
「とりあえずただいま」
「おかえりなさい」
 光に甘えようかと思ったが、これは、まず彼を甘えさせる必要があるかもしれない。
 準備が終わり、いざ昼食となり、白野威そして光と食事を始めた。
「幸せー」
「それは、よかったわ」
「友美……その……」
「なに??」
「あとで膝枕いいですか!?」
 友美は、頷くと、光は、嬉しそうに微笑む。
 今朝は、友美が甘えていたのに、次は、光とは。
 白野威は、二人の様子を見ながら、そう思っていた。
 食事を終え、片付けも済ませると、少しだけ、光は、友美の膝の上で昼寝を始めた。
「お疲れさま」
「本当にあまあまー」
「白野威なにが??」
「なにもないよ」
 本当にこの夫婦は、似た者同士だ。
 白野威は、そう思いながら、夜は、また友美が甘える番かもしれないと考えた。
「光可愛い」
 少しだけでもこうして昼に二人の時間が出来てよかった。
 友美は、そう思いながら、優しく彼の頭を撫でるのであった。
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