光明ノ神子

 だんだん春の足音が聞こえ出した頃、友美は、頬を膨らませ拗ねていた。
 光の背後で。
 視線を合わせようとするとプイッとされる。光は、困った顔をした。
「友美」
「光は、私よりスイーツと読書だもん!!」
 普段は、物腰柔らかな話す友美。しかしこの時は、少し幼子のような話し方をしていた。
 間違いなくこれは、拗ねている。なんなら怒っているだろう。
 ことの原因は、ここ最近友美に話しかけられては、待って欲しいといい、読書やお菓子作りをしていたからだ。
 しかし光にも言い分がある。
「読書は、子供たちに頼まれてた調べもの!! お菓子は、友美が食べるからだろ!!」
 友美は、むすっとするといった。
「子供たちのためとは、別に読みまくってたじゃない!! あとお菓子も光が作りすぎたから私が食べたの!!」
 ぐうの音も言えなくなってしまった。友美の意見が至極まっとうなので。
 光は、困った顔をすると友美は、言う。
「……確かに読書し過ぎたのは、俺も悪いと思うが、お菓子に関しては、フェアだろ!!??」
 友美は、確かにと思った。お菓子に関しては、友美も美味しく食べたので。
「ならお菓子に関しては、濡れ衣きせて、ごめんなさい。でも読書に関しては、私激おこなんだから!!」
 光は、思わず笑った。
「激おこって……今の若い子は、使わないと思う」
 友美は、不服そうな顔をすると言った。
「……JKの言葉は、分からないわ」
 子供たちもまだJKでは、ない。夫も以前ならともかく今は、仕事では、暇な診療室に籠っている。
 友美は、そう言えばとあることを思い出していた。
「今のJKは、文章に、。をつけるだけで怖いからやめてくれ、。ハラだって云うみたいね」
 光もこれには、困った顔をし言った。
「愚痴聞かされたよ……同僚から」
「なら事実なの!?」
「事実だ」
 今のJkたちは、もしかすると昔より色々ヤバイことになっているのでは、ないかと友美は、思った。
「光その……学力的には……」
「そうだな……いい人は、いいが、悪い人は、更に悪化してるかも」
「悪化!?」
「物語の理解が出来ないんだ。そもそも全てを自分の知ってるテンプレートに当てはめようともするしな」
「まさか……そのテンプレートじゃないと話し読めないとか……」
「ざらにある。これも同僚から聞いた話だが……」
 想像のはるか上を越えてくる真実に友美は、顔を青ざめていた。
「うちみたいな進学校じゃなくて、自称進学校や偏差値低い学校には、ゴロゴロいるみたいだ……」
 さすがに光もこれ以上のことは、知らないらしい。
 友美は、さすがに酷すぎると思いながら、自分が怒っていたことを思い出した。
「脱線してしまった……」
「友美もう激おこじゃないのか??」
 友美は、しばらく考えたのち、怒っていることが、バカらしくなった。
「怒るの疲れたからやめる!!」
 そういうと彼女は、光に抱きつく。
「エネルギー補給!!」  
 光は、優しく目を細めると、友美の頭を優しく撫でる。
「そっか」
 友美の機嫌もなおったようでこれで平穏が訪れそうである。
 光は、ほっとした顔をしていると、友美の顔が目の前にあった。
「友美??」
 友美は、じっと光を見つめると、彼の口づけした。
「!?」
「満足」
 友美は、そういうと光から離れようとしたが、その時光に手を掴まれた。
 何か言いたげな顔をして。
「……俺は、健全な男なんですが」
「うん知ってる」
「こんなことされて、これでおしまいは……」
 光は、切なく瞳を揺らす。
 友美は、何かを察し頬を赤く染める。
「昨日も……」
 光は、少ししょぼんとするが、友美は、それをみて少し申し訳なさそうな顔に。
「……もう……しかたがないんだから」
「ありがとう」
 優しく光は、微笑むと友美に口づけをした。
「とりあえずお風呂!!」
「そうだな」 
 友美は、今だと急いで光から離れると和室を出ていってしまった。
「……ちょっとがっつきすぎたかな」  
 光は、ポツリと呟き悩むなか、友美は、リビングで、頬を赤く染め恥ずかしそうにしていた。
「光‥‥ギャップ……が……」
 突然可愛いところを見せないでほしい。友美は、そう思いながら、風呂のしたくをはじめたのであった。
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