光明ノ神子

 トイレに入りながら、友美は、思った。
「もうそろそろ買いに行かないと……ナプキン……」
 女性につきもである月経。毎月訪れるこいつの対策として使うからナプキンは、けっこうな消耗品だ。
 確かもうそろそろなくなるはずと考えながら、トイレからで、手を洗い、洗面所の戸棚を開けた。
「あれ……ある……」
 取り出し確認をすると、間違いなく日頃から友美が使ってるものだ。
 彼女自身買った覚えながない。
 友美は、じっとナプキンをみていると、背後から声が。
「もうそろそろなくなると思って買っといたよ」
 声の主に、友美は、驚くと、ナプキンを片付け振り返った。
 にっこりと微笑む光に、友美は、思う。やはり光が犯人かと。
「ありがとう……」
 まさか日頃か、使用数を調べていたのだろうか。そう考えると凄いことだが、一歩間違えれば、変態行為とも言えよう。
「夜と昼どっちもあるから」
「凄い……」
 光は、そういうと、去っていったが、友美は、たまたまだろうと思うことにした。
 次にそういえば、綿棒は、あったかと思い、調べることにした。
 リビングの戸棚をみようとした時、目の前に新しい綿棒が。
「買っといたよ!!」
「ありがとう光」
 友美は、またかと思いつつ、今度は、お茶をいれようと思い、キッチンに行こうとしたら、すでにお茶が入れられていた。
「友美はい!!」
「ありがとう光……」
 なんだろう、しようとしたことがすでに準備されている。
 友美は、お茶をのみながらふとあることを思い出した。
 いつもそう。神子の役目の時でも、準備しておこうとしたことが、すでにされていることがあった。しかもその時絶対に光がいるのだ。 
「……まさか光……なにか察知して先回りして準備してる……」
 そんなことを考え、テラスを眺めていると、河童とアマビエが楽しそうに話をしていた。
 のどかだなと思っていると、友美は、あるものを見つけ、凝視してしまった。
 足のはえている桃の枝がリズミカルに歩いているでは、ないか。
 友美は、ぎょっとした顔をしたとき、光がテラスに出て、桃の枝を捕獲した。
「光それ……」
「モア作の桃の枝だな」
 光に捕まれ、足をバタバタしている桃の枝。
 友美は、モアに連絡している光をみながら思った。もしかして、これもまた察していたのかと。
「光桃の枝についてもう見つけてたの??」
 光は、電話を終えると言った。
「いいや。これに関しては、結界の異変で気づいたんだ」
 桃の枝を術でモアの所へ送ると、光は、溜め息をつく。
「あの桃の枝……さらに進化してそうだよ……」
「えっ!!??」
「場所転移を使えるようにしたらしいから」
 友美は、目が点になっていた。そんな機能いるのかと思いながら。
「まさか……それで桃の枝が勝手にここへ飛んできたの!?」
「みたいだよ」
 光は、友美の前に、柚子茶を出した。
「光これ……」
「蜂蜜入りだから風に効くと思う」
 友美は、驚いた顔をすると、そういえば、とあることに気づいた。
 昨日から少し体がだるいと思っていた。だが、生理のせいかと思っていたが、どうやら違ったらしい。
 友美は、微笑むとコップを持った。
「ありがとう光」
 温かく、柚子の香りがとても美味しい。
 友美は、ほっと息を吐く。
「どういたしまして」
「光その聞いていい??」
 友美は、考えるのをやめ、本人に聞くことをした。
 光は、友美のとなりに座ると目を細める。
「なに??」
 優しい声色に友美は、ほっこりしながらも聞いた。
「光私がやろうとしたことを先にしてくれてたりするでしょう??」
「うん」
「どうやって把握してるの?? 私光に伝えてるわけでもないし……」
 光は、しばらく考えると言った。
「野生のかん」
 真顔で言われ、友美は、思わず笑いをこらえた。
「野生のかん!!??」
「そう。友美って分かりやすいのもあるが……野生のかんかなぁ……って」
「例えば??」 
「友美が何か探し出す前に、分かるんだ。あっ!! 次これいるとか……神子の事でも裏でこれをやっとけば楽になるとか、必要とか……だから野生のかんかなって……」
 それは、感というより未来予知の一種では、ないのだろうか。
 友美は、そんなことを思いながらも、隣で笑ってる光をみて、どうでもいいかと思ってしまった。
「スパダリって凄いわね」
「といいますと??」
「世界を救っちゃう事も出きるから」
 神子の役目の事になると、まさにそうだ、友美が裏でやらなければならないことを、光が知らぬまに、やってくれるお陰で、色々負担が楽になったりする。
 だからこそ、本当にちゅうししなくては、いけないことに全力をそそげるのだ。
「世界を救うは、だいそれてるよ……でも家庭の平和は、救えてるかな……」
「そうね」
 その家庭の平和を守るのに、光は、世界も守ってたりするのだが。
 彼は、それを認めないのなら友美が言う必要もなかろう。
 友美は、コップをテーブルの上においた。
「ごちそうさま」
「友美チョコあるよ??」
 真顔の友美に光は、どうしたのかと不安になった。
「光……」 
「はい」
「妻を甘やかすのもいい加減にしなさい!!!! 助かるけど、私にも色々させてー!!!!!」
 やり過ぎてしまったらしい。光は、顔を青ざめるが、今回は、開き直ることにした。
「体調少し悪い妻に色々させてるかー!!!!! おとなしく甘やかさせなさい!!!!」
 友美は、驚いた顔をする。どうやら自分が思ってるより今日は、体調が悪いようだ。
「ごめんなさい」
 退いた友美に、光は、微笑む。
「それでよし!! 友美はい!! 美味しいチョコ!!」
「ありがとう……」
 本当に光に甘やかされすぎると、いつか破滅しそうだ。
 友美は、そう思いながらもチョコを食べそして眉を下げるのであった。 
 無垢な笑みを浮かべ、ただ自分に無償の愛をそそぎたくてしかたがない夫をみながら。

 
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