光明ノ神子

 冬の雨は、さらに冷たい。
 窓から外を見ながら、光は、少し鬱陶しそうに言った。
「雨か……」
 1日雨の予報だ。車で出勤したが、それでも少し憂鬱だ。
「傘使いたかったのに……」
 それは、今朝の出来事。雨が降っているからとはりきって新しく買った可愛い傘を使おうと光は、したのだが、それを見た友美に言われた。
「シロクマ柄の傘……」
「可愛いでしょう!!」 
「……出勤するときにそれは、ちょっと……」
  その時の友美のなんとも言えない顔。  光は、しかたがないと朝を車につんだが、使わずに、折り畳み傘をさし、駐車場から建物までやって来た。
 確かにやろうがあのちょう可愛い傘をさしているのも、少し変かもしれないが、使いたかった。
 しょぼんとへこみながら、仕事をしていると、友美からメッセージが。
「えっ!?」
 それは、仕事帰りに迎えに来てくれというのもだった。
 今日は、どこかにいくと言っていただろうか。そんな事を考えながら、光は、返信した。
「そもそも何処になんだ??」
 何処に迎えにいけば言いか、送ると、すぐに返信が。
「ここって……結羽のアトリエ……」
 指定されたのは、アトリエキリンだった。 光は、なにしに行ったのだろうと思いながら、仕事をし、退勤時間になると、車に乗り、アトリエキリンへと向かった。
 
 雨が降るなか、光は、車を走らせ、アトリエキリンにやって来た。 
 駐車場に車を停めると、店内に。
「光様いらっしゃいませ」
「結羽。友美は、来てる??」 
「はい。それと光様傘取ってきてください」
「傘??」
「今朝もっていかれた大きい傘です」
 光は、首をかしげながら、傘を取りに行き、また店内へ。
 結羽は、傘を確認すると、奥へ通してくれた。
 奥のサンルームから言い紅茶の香りがする。そこに向かうと、友美が優雅にお茶をしていた。
「光ありがとう!!」
「それは、いいよ。でもどうしたの?? 突然」
 そりゃ突然ここへ迎えにこいと言われたら、普通なぜと思うだろう。
 友美は、光に言った。
「その傘のためかなー」
「傘??」
 友美は、立ち上がると光の前に立つ。
「今朝は、ごめんなさい。あんなことを言って」
 光は、驚いた顔をした。
「別に気にしてないよ」
「光ありがとう」
 友美は、微笑む。
「人の楽しみを潰してしまったから、その罪滅ぼしに結羽に庭を借りたの」
「庭を……」
「その傘をさすためのね。あと私との相合傘つき……どうかな??」
 罪滅ぼしと友美は、言うが、光は、話を聞きながら思った。これは、ご褒美では、と。
 傘を使いたいという自分の願いとおまけの友美との雨の中の庭でのデートと来た。
 思わずにやけてしまった。
「光……なんで笑ってるの……??」
「ごめん!! つい……こんなご褒美ありか!!!?? と……」
「ご褒美!!??」
 友美は、ジト目になるの光に言った。
「光ドM……」
「失礼な!! 俺は、普通だ!!」
 いたって普通である。ただ、今回ばかりは、ご褒美と思っただけだ。
 ほほを膨らませ、プンプン起こる光を見ていると、友美は、可愛いと思ってしまっていた。
「ふふふ」
「友美また可愛いと思ってるよね!!??」
 友美は、頷くと、光は、不服そうな顔に。
「友美って意地悪だ!!」
「意地悪よ。何を今更」
 意地悪である。光限定で。
 友美は、楽しげに微笑むと、光は、そんな、友美を見て可愛いとおもっていた。
「友美可愛い……」
「ありがとうー」
 はじめの頃は、恥ずかしかったが、今は、なれてしまった。
 あれだけ可愛いと言われ続けていたら。
「光ならさっそく!!」
 友美は、手を差し出すと、光は、その手を受け取った。
 仲良く手を繋ぎ、庭に出ると、美しいクリスマスローズが咲いていた。
「結羽凄く綺麗に咲かせてる……」
「本当だね」
 光は、傘をさすと、友美に微笑む。
「姫いいですか??」
「もちろん!!」
 友美も微笑むと、二人は、庭を歩きだした。
「この傘やっぱり可愛いわね」
「だろ!! だからさしたかったんだ!!」
  朝とはうってちがってキラキラとした笑みを浮かべる光。友美は、結羽にお願いしてよかったとこの時思った。
「光本当に今朝は……」
「もういいよ。それよりこの時間を楽しもう!!」
「そうね」
  光の優しい笑みを見ていると、心が、あたたかくなる。
 友美も微笑むと、二人は、雨のふる庭でちょっとしたデートを楽しんだ。
「あら……雨やんでるわ」
「本当だ」
 いつのまにか雨がやんでいる。
 茜色の空が広がり、その空は、とても美しかった。
「帰ろっか」
「そうだな」
 二人は、微笑み合うとどちらからともなく、キスをした。
「ケーキ買って帰ろう!!」
「ケーキ!!??」
「雨の日デート記念に!!」
 友美は、ポカーンとしたのち、苦笑いを浮かべた。
「友美??」
「なにもないわ」
 なにもない。本当に。ただこの法則でいくなら、ほぼ毎日記念日になりそうだ。
「まぁ光だものね」
 首をかしげる光に友美は、優しく微笑むと、屋敷のなかに入っていった。
 こういう光だから好きなんだけどと思いながら。
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