光明ノ神子
あれは、光が大学三年の頃の話である。
「うーん」
彼は、学食で悩んでいた。
「なに悩んでんの光のやつ……まさか彼女に、ふられた??」
「それは、ないと思う」
目の前で春翔と類がそんな話をするなか、光は、そんな二人を見て呆れた顔をしていた。
「フラれてない!! というかようやく付き合えたのにフラれてたまるか!! 一ヶ月で!!」
どうやら聞かれていたらしい。
春翔は、申し訳なさそうな顔をし、そして類は、光に聞いた。
「ならなに悩んでるんだ??」
「少しな」
二人に話すことでもないので、光は、この場は、話を濁した。
学食で二人と分かれ、昼からの講義を受け、光は、その後キャンパス内にあるベンチに座り、あるものを見ていた。
「君が珍しいね」
この声はと顔を上げると鼻筋のとおった黒髪の青年が目の前にいた。
「小鳥遊楸……」
フルネームで名前をよばれ、楸は、苦笑いを浮かべた。
「なんで私警戒されてるんだ……」
「当たり前だろ!! 突然友美の兄です!!なんて信じられるか!! 友美は、一人っ子だぞ!?」
「その事か……」
「友美は、へぇーって感じだったが!!」
友美の反応は、不思議そうな感じだった。実際二人は、本当に姉弟なのだろうか。
「氏も違うしね……」
疑いの眼差しを向けていた。
「へぇー」
光は、嘘つけと思いながら、返事をする。
「なんだいその返事」
「だって薫さんが苦笑いしてたんだぞ」
確かにあの反応には、楸も驚いた。
「それは、私も聞きたいが……」
楸は、ため息をつきいうと、話を切り替える。
「で光は、なにをしてるのかな??」
光は、呆れた顔をし、言った。
「調べものだ」
「その自転車のカタログがかい??」
「そうだ」
楸は、カタログの覗き込む。
「買うのかい??」
「教えない」
光は、カタログを片付けると、鞄にしまった。
「まだ講義あるんだろ。早くいけ」
楸は、少しばかり不服そうな顔をした。
「私のこと少しは、信用してくれてもいいのでは!?」
「友美は、一人っ子で、お前とは、赤の他人と認めたらな」
「それは……」
楸は、困った顔に。彼もまたここ最近まで知らなかった。腹違いかもしれないが、妹がいたことを。
たまたま父から話を聞き、必死に探してようやく見つけられたのだ。そう簡単に認められるわけがない。
「君もなかなか酷だね……」
「不審者に言われたくない!!」
光が、唸るなか、水郷は、彼をみかねでてきた。
「光。こいつ友美の遠縁の親戚よ」
水郷の言葉に光は、驚く。
「はぁ!!??」
「だから薫が苦笑いしてたの」
突然なにかと話し出した光に楸は、君の方が不審者だと思っていた。
光は、目の前の哀れな男にどう説明しようかと考える。
「……楸お前……」
「なんだい??」
「遠縁の親戚だって。友美の」
楸は、ポカーンとしたのち、急いで親類に連絡をすると、しばらく話をし、電話を切った。
「すまない……まさか勘違いしてたとは……」
「でも妹は、いるんだろ??」
「たぶんね」
少し落ち込んでいる楸だが、光からすれば、気づけてよかったのでは、ないかと思った。
「それと……たぶん友美はじめから気づいていて、で捨て置いていいと思って放置してたと思う」
友美ならありえるので楸に伝えると、彼は、さらに驚いていた。
「ひとまず親類の兄として頑張るか……」
「そうか」
楸は、そう呟くと去っていった。
「水郷」
「なに光??」
「もしかして楸……見えてないのか?? 水郷が……」
光は、楸と会ったときから感じていたことがある。もしかして霊感がないのかと。
しかし楸の気配は、異質であり、光は、違和感を感じていた。
「彼見えてないわ」
「なら霊感がないんだな……」
「ないと言うより、あれは……」
「あれは??」
「封印されていると言うべきかしら」
光は、驚いた顔をする。
「そもそも友美の遠縁の親戚って事は、神関係に繋がるのよ。それに小鳥遊という氏からして……紅蓮の関係者かもしれないわ」
紅蓮は、荒神であり、光もよく知っている神だ。
彼は、普段鳥の姿をしているが、まさかの繋がりに驚く。
「えっ!?」
「彼は、友美の先祖と結婚したから……」
「それって数百年前の話とか??」
「まぁそうね」
遠縁すぎるだろと、光は、思ったが、もしそれが本当なら納得がいく。違和感の全てに。
「封印が解かれることは、あるのか??」
「基本ないと思うわ。それに彼の封印は、人のやったことでは、ないと思うの。あれは
神の術よ」
光は、目を伏せると思った。ならその封印が解かれないまま時が流れればいいと。
「で話変わるけど、光自転車どうするの??」
水郷の切り替えの早さに光は、さすがと思って話をした。
「買うつもりだが……ママチャリとスポーツバイクのさが全く分からなくて……」
水郷は、楽しげに笑う。
「ならデートかしら??」
「なぬ!?」
やはり何かを企んでいたか。
光は、焦りながら、言った。
「自転車買うだけで友美に着いてきてもらうって!! 俺子供か!!?? これでも成人してるんだが!!」
しかしこの時光は、自ら踏んだ。地雷を。
「未成年と……恋仲……俺……変態じゃないか……」
そしてダメージを食らった光をみて、水郷は、腹を抱え笑う。
「あはは!!!!」
「冷静になったらダメだな……」
光は、そう呟くと立ち上がった。
「帰ろ」
「あら見に行かないの??」
「もう少し貯めないと」
「貯めるねぇー」
水郷は、意味ありげに笑うが、光は、そんな水郷をみてまさか資金を出してくれるのかと思った。
もよりのバス停からバスに乗り、電車に揺られ、光は、帰路に着いた。やはりこの道自転車で行った方が早いとも思いながら。
「うーん」
彼は、学食で悩んでいた。
「なに悩んでんの光のやつ……まさか彼女に、ふられた??」
「それは、ないと思う」
目の前で春翔と類がそんな話をするなか、光は、そんな二人を見て呆れた顔をしていた。
「フラれてない!! というかようやく付き合えたのにフラれてたまるか!! 一ヶ月で!!」
どうやら聞かれていたらしい。
春翔は、申し訳なさそうな顔をし、そして類は、光に聞いた。
「ならなに悩んでるんだ??」
「少しな」
二人に話すことでもないので、光は、この場は、話を濁した。
学食で二人と分かれ、昼からの講義を受け、光は、その後キャンパス内にあるベンチに座り、あるものを見ていた。
「君が珍しいね」
この声はと顔を上げると鼻筋のとおった黒髪の青年が目の前にいた。
「小鳥遊楸……」
フルネームで名前をよばれ、楸は、苦笑いを浮かべた。
「なんで私警戒されてるんだ……」
「当たり前だろ!! 突然友美の兄です!!なんて信じられるか!! 友美は、一人っ子だぞ!?」
「その事か……」
「友美は、へぇーって感じだったが!!」
友美の反応は、不思議そうな感じだった。実際二人は、本当に姉弟なのだろうか。
「氏も違うしね……」
疑いの眼差しを向けていた。
「へぇー」
光は、嘘つけと思いながら、返事をする。
「なんだいその返事」
「だって薫さんが苦笑いしてたんだぞ」
確かにあの反応には、楸も驚いた。
「それは、私も聞きたいが……」
楸は、ため息をつきいうと、話を切り替える。
「で光は、なにをしてるのかな??」
光は、呆れた顔をし、言った。
「調べものだ」
「その自転車のカタログがかい??」
「そうだ」
楸は、カタログの覗き込む。
「買うのかい??」
「教えない」
光は、カタログを片付けると、鞄にしまった。
「まだ講義あるんだろ。早くいけ」
楸は、少しばかり不服そうな顔をした。
「私のこと少しは、信用してくれてもいいのでは!?」
「友美は、一人っ子で、お前とは、赤の他人と認めたらな」
「それは……」
楸は、困った顔に。彼もまたここ最近まで知らなかった。腹違いかもしれないが、妹がいたことを。
たまたま父から話を聞き、必死に探してようやく見つけられたのだ。そう簡単に認められるわけがない。
「君もなかなか酷だね……」
「不審者に言われたくない!!」
光が、唸るなか、水郷は、彼をみかねでてきた。
「光。こいつ友美の遠縁の親戚よ」
水郷の言葉に光は、驚く。
「はぁ!!??」
「だから薫が苦笑いしてたの」
突然なにかと話し出した光に楸は、君の方が不審者だと思っていた。
光は、目の前の哀れな男にどう説明しようかと考える。
「……楸お前……」
「なんだい??」
「遠縁の親戚だって。友美の」
楸は、ポカーンとしたのち、急いで親類に連絡をすると、しばらく話をし、電話を切った。
「すまない……まさか勘違いしてたとは……」
「でも妹は、いるんだろ??」
「たぶんね」
少し落ち込んでいる楸だが、光からすれば、気づけてよかったのでは、ないかと思った。
「それと……たぶん友美はじめから気づいていて、で捨て置いていいと思って放置してたと思う」
友美ならありえるので楸に伝えると、彼は、さらに驚いていた。
「ひとまず親類の兄として頑張るか……」
「そうか」
楸は、そう呟くと去っていった。
「水郷」
「なに光??」
「もしかして楸……見えてないのか?? 水郷が……」
光は、楸と会ったときから感じていたことがある。もしかして霊感がないのかと。
しかし楸の気配は、異質であり、光は、違和感を感じていた。
「彼見えてないわ」
「なら霊感がないんだな……」
「ないと言うより、あれは……」
「あれは??」
「封印されていると言うべきかしら」
光は、驚いた顔をする。
「そもそも友美の遠縁の親戚って事は、神関係に繋がるのよ。それに小鳥遊という氏からして……紅蓮の関係者かもしれないわ」
紅蓮は、荒神であり、光もよく知っている神だ。
彼は、普段鳥の姿をしているが、まさかの繋がりに驚く。
「えっ!?」
「彼は、友美の先祖と結婚したから……」
「それって数百年前の話とか??」
「まぁそうね」
遠縁すぎるだろと、光は、思ったが、もしそれが本当なら納得がいく。違和感の全てに。
「封印が解かれることは、あるのか??」
「基本ないと思うわ。それに彼の封印は、人のやったことでは、ないと思うの。あれは
神の術よ」
光は、目を伏せると思った。ならその封印が解かれないまま時が流れればいいと。
「で話変わるけど、光自転車どうするの??」
水郷の切り替えの早さに光は、さすがと思って話をした。
「買うつもりだが……ママチャリとスポーツバイクのさが全く分からなくて……」
水郷は、楽しげに笑う。
「ならデートかしら??」
「なぬ!?」
やはり何かを企んでいたか。
光は、焦りながら、言った。
「自転車買うだけで友美に着いてきてもらうって!! 俺子供か!!?? これでも成人してるんだが!!」
しかしこの時光は、自ら踏んだ。地雷を。
「未成年と……恋仲……俺……変態じゃないか……」
そしてダメージを食らった光をみて、水郷は、腹を抱え笑う。
「あはは!!!!」
「冷静になったらダメだな……」
光は、そう呟くと立ち上がった。
「帰ろ」
「あら見に行かないの??」
「もう少し貯めないと」
「貯めるねぇー」
水郷は、意味ありげに笑うが、光は、そんな水郷をみてまさか資金を出してくれるのかと思った。
もよりのバス停からバスに乗り、電車に揺られ、光は、帰路に着いた。やはりこの道自転車で行った方が早いとも思いながら。