短編
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殺してといえば殺してくれるのか、そう尋ねても答えが返ってくることは一向になかった。自殺志願者ではない、叶わない恋を永遠と追いかけるぐらいなら一層の事最愛の人の手で最後にして欲しいと切実に願っている恋する乙女なのだ。馬鹿らしいと目を合わせることもなく立ち去ろうとする相澤の背中に、好きだよー大好きーと声をかけるも反応も返事もなかった。押してダメなら引いてみな!といったマイクの言葉通り、私は今日で彼に執拗につきまとうのをやめることにしている、そして、ヒーローも。やるなら徹底的にというのがモットーの私ですから、これは冷静な判断だ。ヒーロー辞める時ってどうすればいいんだっけ?誰かに相談するのも億劫だ。なんなら今ここに敵が現れて、私のことを仲間にしてくれないかなぁ。
「苗字さんですね」
モヤモヤした霧のようなものに声をかけられる。すっと手を伸ばすとその手は闇の中へ消えた。なんだこれは、あ、個性か。随分警戒心がないんですね、わっと広がった闇が私を包みこもうとする。その中に現れた男の顔を、私は知っていた。すれ違う人々が悲鳴をあげて逃げ去っていく。誰かがヒーローを呼べ!と叫んだ。あ、私ヒーローです。もうやめますけど。
「あなたをスカウトしに来た。」
徐々に飲まれていく体、響き渡る悲鳴、全てが別の世界で起こっていることのように思えた。待ちに待った敵さんのスカウトを断る理由がなかったので、よろしくお願いします。と言えば、敵が警戒心むき出しにしながら何かしようとしているならただではおかないぞ、と言葉を付け足した。何かするも何も敵志望の有望株だぞ。手厚く歓迎しろ。体が飲み込まれる直前、相澤の声が聞こえた、気がした。振り向かなかったから確かではないけど、大好きだった彼の声を聞き間違えることはない。押してダメなら引いてみろ、早速効果が出た、これはすごい。
「っ名前!」
初めて呼ばれた自分の名前に全ての欲求が満たされる。今までの努力より、こっちのがうんといい方法だったのかなぁ。あぁ、これで心置きなく敵として頑張れます。さよなら、相澤さん。
「苗字さんですね」
モヤモヤした霧のようなものに声をかけられる。すっと手を伸ばすとその手は闇の中へ消えた。なんだこれは、あ、個性か。随分警戒心がないんですね、わっと広がった闇が私を包みこもうとする。その中に現れた男の顔を、私は知っていた。すれ違う人々が悲鳴をあげて逃げ去っていく。誰かがヒーローを呼べ!と叫んだ。あ、私ヒーローです。もうやめますけど。
「あなたをスカウトしに来た。」
徐々に飲まれていく体、響き渡る悲鳴、全てが別の世界で起こっていることのように思えた。待ちに待った敵さんのスカウトを断る理由がなかったので、よろしくお願いします。と言えば、敵が警戒心むき出しにしながら何かしようとしているならただではおかないぞ、と言葉を付け足した。何かするも何も敵志望の有望株だぞ。手厚く歓迎しろ。体が飲み込まれる直前、相澤の声が聞こえた、気がした。振り向かなかったから確かではないけど、大好きだった彼の声を聞き間違えることはない。押してダメなら引いてみろ、早速効果が出た、これはすごい。
「っ名前!」
初めて呼ばれた自分の名前に全ての欲求が満たされる。今までの努力より、こっちのがうんといい方法だったのかなぁ。あぁ、これで心置きなく敵として頑張れます。さよなら、相澤さん。
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